転生することになりました。～神様が色々教えてくれます～

第５章 初めてのお祭り

26.

「今となっては相手が人間だという時点で警戒しておけばよかったと思っている。　村には獣人しか居なかったからな…」
【それで？　続きを聞かせてくれ】
エレンが促すと、ジュランは続きを話し始めた。


　　　＊＊＊


それから男の人がなにも言わないと分かると、俺達は挨拶をしてその場から去ろうとした。
「「さようなら、お兄さん」」
お兄さんと呼ぶには苦しい見た目をしていたが、フードを被っていてはっきり顔が見えないということもあり、俺達はそう言ってそれぞれの家を目指して歩き始めた。
「おい、そこの猫獣人待て」
男の人はそう言うが、俺らの中には猫の獣人はいなかった。
だからなんのことか分からずに無視して歩き続けた。
「待てって言ってるだろ、猫獣人❗」
男の人はつかつかと歩いてくると俺の腕を急に掴んできた。
俺はその男の人をキッと睨むと男の人に言い返した。
「俺は猫じゃない、ピューマだ❗」
すると男は俺のことを勢い良く蹴り飛ばしてこう言った。
「はっ、んなことどうでもいいんだよ。　いいからさっさと来い」
蹴られた痛みからその場に蹲っていた俺は、その男に無理やり手を掴まれて連れていかれそうになった。
「嫌、だ❗」
俺はピューマの獣人らしくまだ小さいながらも立派に生えている牙で男の手を噛んだ。
「いっっ、何するんだ❗」
男が俺のことをまた蹴り飛ばした隙に咄嗟に距離をとる。
「村の人を呼んできて」
俺は痛むお腹を庇いながら狼獣人の友達にそう言うと、友達は慌てて近くの家に駆け込んだ。
もうすぐご飯の時間だからか、村の人は歩いていなかったのだ。
その間、逃げれそうもなかった俺は助けが来るまで時間稼ぎをした。
「お待たせ、家具屋の叔父さん連れてきた❗」
友達はそう言って、狐の獣人である家具屋の叔父さん連れてきてくれた。
だがもう疲れていた俺は上手く抵抗が出来ず、あと少しというところでその男に捕まってしまった。
そしてそのまま男は俺を連れたまま村の外にある森に逃げ込んだ。
叔父さんも後を追いかけて助けてくれようとしたが、男の人が叔父さんをまいてしまってそのまま俺は誘拐された。

それから俺はずっと獣人族だけに伝わる不思議な術で耳と尻尾を隠して生きてきた。
そこでは、俺が一番小さくて雑用としてこき使われ続けた。
そして10歳を過ぎた頃、俺は珍しい生き物を捕まえてこいと命令された。
最初の頃は嫌だと言ったが、やらないとそのリーダーに酷いことをされた。
殴る蹴るはまだよかったけど、酷いときにはご飯を抜きにされたこともあった。