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第5章 初めてのお祭り
25.
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【お前、ジュランには我の主に会って欲しい】
「だが、きっと怖がられてしまう… 獣人は嫌われ者だから…」
ジュランは俯きぎみになってそう言った。
【大丈夫だ、我の主は誰であろうと受け入れてくれるからな。 現に我だってただのドラゴンではなくエンシェントドラゴンだが受け入れて貰えたからな】
エレンはにっこりと笑ってジュランの頭の上に手を置くと、ジュランの頭をわしわしと撫でた。
「わかった、俺はその主に会ってみるよ… って、えっ⁉️ エンシェントドラゴンって言った⁉️」
ジュランの少し送れた反応に私とエレンは笑い、牢の中の者は羨ましさや恨みたらたらで睨んでいた。
【てな訳で、一旦主のところに戻るから話を聞くのはまたあとでになる。 どうだ?ハロルドも主に会いに来るか?】
エレンはハナを回収して、外に出るドアを開けながらそう聞いた。
「あっ、ああ。 私も一緒に行く」
私もエレンの後を追い、一番最後にジュランは出た。
その時に「さようなら」という言葉を牢の者たちに残して。
【ここから主のいる部屋までは時間がかかる。 その間にジュランの過去の話を少し聞かせてくれないか?】
エレンがそう頼むと、ジュランは結構あっさりと了承した。
「俺は、この国の辺境にあるラキュラス村に産まれた。 その日はいつも通り外に遊びにいったのだが、そこで問題が起きた」
***
「ねぇねぇ母さん、遊んできていい?」
まだ幼い日のジュランがそう聞く。
「いいわよ、でも暗くなる前には戻るのよ? あと、森には入らないこと」
「うん、わかってるよ❗」
そう返事をして外に飛び出していくジュラン。
ジュランはしっかりと約束を守って村の中で友達と遊んでいた。
すると村の叔母さんが俺達に話しかけてきた。
「最近村に変質者が出るみたいだから気を付けるのよ?」
「うん? 良くわからないけどわかった❗」
「大丈夫かしらね?」
そう言い残してその叔母さんは去っていった。
その時はまだ言葉の意味がわかっておらず、みんなで特に気にすることもなく普段のように村の中で遊び続けた。
段々と日が暮れてきて、そろそろ帰ろうと話していたら突然人間の男に話しかけられた。
「ねぇ、君たちってここの村の子だよね?」
ラキュラス村には顔見知りしかいないのでそんなことを聞いてくる人は今までいなかったのだ。
だから友達のうちのひとりが答えてしまった。
「うん、そうだよ❗」
するとその男は今までの様子から一変し、俺たちのことを品定めでもするかの様に上から下までくまなく舐めるように見た。
その視線に嫌悪感を抱きながらも俺達はその場に立っていた。
その時に気が付けばよかったのだが、なんにも気づかないどころか俺らは考えずにいた。
「だが、きっと怖がられてしまう… 獣人は嫌われ者だから…」
ジュランは俯きぎみになってそう言った。
【大丈夫だ、我の主は誰であろうと受け入れてくれるからな。 現に我だってただのドラゴンではなくエンシェントドラゴンだが受け入れて貰えたからな】
エレンはにっこりと笑ってジュランの頭の上に手を置くと、ジュランの頭をわしわしと撫でた。
「わかった、俺はその主に会ってみるよ… って、えっ⁉️ エンシェントドラゴンって言った⁉️」
ジュランの少し送れた反応に私とエレンは笑い、牢の中の者は羨ましさや恨みたらたらで睨んでいた。
【てな訳で、一旦主のところに戻るから話を聞くのはまたあとでになる。 どうだ?ハロルドも主に会いに来るか?】
エレンはハナを回収して、外に出るドアを開けながらそう聞いた。
「あっ、ああ。 私も一緒に行く」
私もエレンの後を追い、一番最後にジュランは出た。
その時に「さようなら」という言葉を牢の者たちに残して。
【ここから主のいる部屋までは時間がかかる。 その間にジュランの過去の話を少し聞かせてくれないか?】
エレンがそう頼むと、ジュランは結構あっさりと了承した。
「俺は、この国の辺境にあるラキュラス村に産まれた。 その日はいつも通り外に遊びにいったのだが、そこで問題が起きた」
***
「ねぇねぇ母さん、遊んできていい?」
まだ幼い日のジュランがそう聞く。
「いいわよ、でも暗くなる前には戻るのよ? あと、森には入らないこと」
「うん、わかってるよ❗」
そう返事をして外に飛び出していくジュラン。
ジュランはしっかりと約束を守って村の中で友達と遊んでいた。
すると村の叔母さんが俺達に話しかけてきた。
「最近村に変質者が出るみたいだから気を付けるのよ?」
「うん? 良くわからないけどわかった❗」
「大丈夫かしらね?」
そう言い残してその叔母さんは去っていった。
その時はまだ言葉の意味がわかっておらず、みんなで特に気にすることもなく普段のように村の中で遊び続けた。
段々と日が暮れてきて、そろそろ帰ろうと話していたら突然人間の男に話しかけられた。
「ねぇ、君たちってここの村の子だよね?」
ラキュラス村には顔見知りしかいないのでそんなことを聞いてくる人は今までいなかったのだ。
だから友達のうちのひとりが答えてしまった。
「うん、そうだよ❗」
するとその男は今までの様子から一変し、俺たちのことを品定めでもするかの様に上から下までくまなく舐めるように見た。
その視線に嫌悪感を抱きながらも俺達はその場に立っていた。
その時に気が付けばよかったのだが、なんにも気づかないどころか俺らは考えずにいた。
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