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第5章 初めてのお祭り

21.

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「あら、ミユキちゃんはもっとゆっくりと食べても良いのよ?」
私の呟きを聞いたお母様はそう言ってくれる。
「でも、みんなを待たせるわけにはいかないから」
私はそう言ってから、また黙々と食べ始めた。

「食べ終わった❗」
私達食べるの遅い組が食べ終わった頃にはもうみんな食べ終わっていて、にこにことしながら私達が食べ終わるのを待っていた。
私はタポポとヌレバの姿が見えない組もきちんと口の中の物を飲み込み終わるのを確認してからお母様達に声をかける。
「お母様みんな食べ終わりました」
ならいきましょうかと言って、お母様は立ち上がる。
それに続いてお兄様達にエレナやエレン、スズナも立ち上がる。
お会計は私達が食べている間に側で控えていたアメリが済ましてくれていたので、私達はそのまま店を出た。
「そういえば、お母様達にはタポポとヌレバのことどんな風に見えてるの?」
私はふと思ったので聞いてみた。
タポポとヌレバがどんなにアピールしていてもお母様達はいつもなかなか気が付いてくれないのだ。
【タポポもそれ、知りたいぞ❗】
【ヌレバも❗】
ふたりも興味津々という感じで、私の肩と頭の上から身を乗り出していた。
「そうねぇ~」
お母様は小首を傾げながら軽く考える。
「私から見ると薄い黄色の光の玉と薄い黒の光の玉が飛んでる感じだな」
お母様が考えている間に、ウィリアムお兄様がそう教えてくれる。
「声も聞こえませんね、でもかすかに鈴を転がしたような音は聞こえるのできっとそれが声なのではないでしょうか?」
フィンリお兄様もそう教えてくれる。
にしても鈴を転がしたような音か…
私には普通にとして聞こえてるのにみんなには聞こえてないのか。
ということは…⁉️
私はある事実に気が付いてしまった。
「もしかして、私がひとりで喋ってるように思われてた⁉️」
すると私の横でエレンが笑いを堪えられないかのようにふっと吹き出した。
【主よ、今更過ぎないか?】
だってだって、今気になったんだもん…
【あと、主が妖精と話す時は独り言ではないぞ。 主の言葉が妖精の言葉に変換されている。 だから主の声は人には聞こえん】
「なら口パクってこと?」
【いや、主が気を許した相手にだけは主の声が聞こえる。 だからオリビアやハロルド達には主の会話が聞こえているはずだぞ。 あと、聞こえてないやつには鈴を転がしたような音に聞こえているはずだ】
私はそうなんだと適当に返事をするとまた考え始めた。
妖精との会話、難しいな。
私が気を許すかどうかによって聞こえるかどうかが変わるなんて…
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