132 / 176
第5章 初めてのお祭り
11.
しおりを挟む
それからしばらくお父様とエレンは同じやり取りを続け、今やっと話し合いが終わった。
【それでは、我らは闇商人のところへ行ってくる。 エレナとスズナは主のことを頼んだぞ】
エレンはハナをだっこし、お父様と共に人混みのほうへと向かっていった。
「お父様、エレン、ハナ、頑張ってきてね❗」
私がお父様達の後ろ姿に向かってそう叫ぶと、エレンは片手をあげて答えてくれた。
「それじゃあミユキちゃん、ハロルド達が帰ってくるまでお祭りを楽しみましょうか」
そうお母様に促されて、私達も人混みの中へと紛れていったのだった。
***
「エレンどうだ? 商人達は見つかりそうか?」
【ちょっと待て、あと少しだ…】
我は、目を閉じ額に手を当てたままそう答えた。
ここはある通りの路地裏だ、そこでエレン達は作戦会議をしていた。
【ハロルドよ、あいつらが居たぞ。 そこの角を曲がったところだ】
エレンはそう言って路地からでて少し先の角を指差した。
そして、ハナを抱いていたハロルドは、頼んだぞという言葉と共にハナを地面に降ろした。
【分かったわ。 上手くいけばエレンに連絡するから】
ハナはそう言い残し、ふよんふよんと弾みながらエレンの指差したほうへと向かっていった。
我はすぐさまハナの様子を確認するために魔法でなにもない空間にハナの周りで起きていることを映像化した。
この魔法はルーレイといい、注ぐ魔力の量によって見える映像が変わる。
今回は、映像がハナを中心に半径5メートル以内のことが分かるようにしてある。
そして魔力を多めに注ぐことでハロルドもこの映像に干渉することが出来るようにしたのだ。
「エレン、ハナが無事に商人の元へ着いたようだがハナの元へ向かわなくていいのか?」
共に映像を見ていたハロルドがそわそわとしながら聞いてくる。
【ああ、問題ない。 このままハナからの指示が出るまではここで待機をする。 ハナも神獣だ、それなりに戦うことは出来るであろう】
我はそう返すと、映像の中の商人の口許をじっと見た。
【なっ、逃げたとの報告にあったマシュマロスライムか? 逃げたやつがなんでここに…】
「エレン? なにをしているんだ?」
【そんなことよいから逃げぬうちにさっさと捕まえんか❗】
「本当になにしてるんだ?」
ハロルドは、我の行動を見ていかにも不思議そうな顔をしている。
我はハロルドの顔も見ずにこう告げた。
【あいつらの口を読んでいるんだ。 なにモタモタしておる、さっさと捕まえんか】
【それでは、我らは闇商人のところへ行ってくる。 エレナとスズナは主のことを頼んだぞ】
エレンはハナをだっこし、お父様と共に人混みのほうへと向かっていった。
「お父様、エレン、ハナ、頑張ってきてね❗」
私がお父様達の後ろ姿に向かってそう叫ぶと、エレンは片手をあげて答えてくれた。
「それじゃあミユキちゃん、ハロルド達が帰ってくるまでお祭りを楽しみましょうか」
そうお母様に促されて、私達も人混みの中へと紛れていったのだった。
***
「エレンどうだ? 商人達は見つかりそうか?」
【ちょっと待て、あと少しだ…】
我は、目を閉じ額に手を当てたままそう答えた。
ここはある通りの路地裏だ、そこでエレン達は作戦会議をしていた。
【ハロルドよ、あいつらが居たぞ。 そこの角を曲がったところだ】
エレンはそう言って路地からでて少し先の角を指差した。
そして、ハナを抱いていたハロルドは、頼んだぞという言葉と共にハナを地面に降ろした。
【分かったわ。 上手くいけばエレンに連絡するから】
ハナはそう言い残し、ふよんふよんと弾みながらエレンの指差したほうへと向かっていった。
我はすぐさまハナの様子を確認するために魔法でなにもない空間にハナの周りで起きていることを映像化した。
この魔法はルーレイといい、注ぐ魔力の量によって見える映像が変わる。
今回は、映像がハナを中心に半径5メートル以内のことが分かるようにしてある。
そして魔力を多めに注ぐことでハロルドもこの映像に干渉することが出来るようにしたのだ。
「エレン、ハナが無事に商人の元へ着いたようだがハナの元へ向かわなくていいのか?」
共に映像を見ていたハロルドがそわそわとしながら聞いてくる。
【ああ、問題ない。 このままハナからの指示が出るまではここで待機をする。 ハナも神獣だ、それなりに戦うことは出来るであろう】
我はそう返すと、映像の中の商人の口許をじっと見た。
【なっ、逃げたとの報告にあったマシュマロスライムか? 逃げたやつがなんでここに…】
「エレン? なにをしているんだ?」
【そんなことよいから逃げぬうちにさっさと捕まえんか❗】
「本当になにしてるんだ?」
ハロルドは、我の行動を見ていかにも不思議そうな顔をしている。
我はハロルドの顔も見ずにこう告げた。
【あいつらの口を読んでいるんだ。 なにモタモタしておる、さっさと捕まえんか】
10
お気に入りに追加
363
あなたにおすすめの小説

裏の林にダンジョンが出来ました。~異世界からの転生幼女、もふもふペットと共に~
あかる
ファンタジー
私、異世界から転生してきたみたい?
とある田舎町にダンジョンが出来、そこに入った美優は、かつて魔法学校で教師をしていた自分を思い出した。
犬と猫、それと鶏のペットと一緒にダンジョンと、世界の謎に挑みます!

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

野草から始まる異世界スローライフ
深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。
私ーーエルバはスクスク育ち。
ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。
(このスキル使える)
エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。
エブリスタ様にて掲載中です。
表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。
プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。
物語は変わっておりません。
一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。
よろしくお願いします。

こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく

異世界の片隅で引き篭りたい少女。
月芝
ファンタジー
玄関開けたら一分で異世界!
見知らぬオッサンに雑に扱われただけでも腹立たしいのに
初っ端から詰んでいる状況下に放り出されて、
さすがにこれは無理じゃないかな? という出オチ感漂う能力で過ごす新生活。
生態系の最下層から成り上がらずに、こっそりと世界の片隅で心穏やかに過ごしたい。
世界が私を見捨てるのならば、私も世界を見捨ててやろうと森の奥に引き篭った少女。
なのに世界が私を放っておいてくれない。
自分にかまうな、近寄るな、勝手に幻想を押しつけるな。
それから私を聖女と呼ぶんじゃねぇ!
己の平穏のために、ふざけた能力でわりと真面目に頑張る少女の物語。
※本作主人公は極端に他者との関わりを避けます。あとトキメキLOVEもハーレムもありません。
ですので濃厚なヒューマンドラマとか、心の葛藤とか、胸の成長なんかは期待しないで下さい。
ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス
於田縫紀
ファンタジー
雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。
場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。

異世界無知な私が転生~目指すはスローライフ~
丹葉 菟ニ
ファンタジー
倉山美穂 39歳10ヶ月
働けるうちにあったか猫をタップリ着込んで、働いて稼いで老後は ゆっくりスローライフだと夢見るおばさん。
いつもと変わらない日常、隣のブリっ子後輩を適当にあしらいながらも仕事しろと注意してたら突然地震!
悲鳴と逃げ惑う人達の中で咄嗟に 机の下で丸くなる。
対処としては間違って無かった筈なのにぜか飛ばされる感覚に襲われたら静かになってた。
・・・顔は綺麗だけど。なんかやだ、面倒臭い奴 出てきた。
もう少しマシな奴いませんかね?
あっ、出てきた。
男前ですね・・・落ち着いてください。
あっ、やっぱり神様なのね。
転生に当たって便利能力くれるならそれでお願いします。
ノベラを知らないおばさんが 異世界に行くお話です。
不定期更新
誤字脱字
理解不能
読みにくい 等あるかと思いますが、お付き合いして下さる方大歓迎です。

プラス的 異世界の過ごし方
seo
ファンタジー
日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。
呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。
乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。
#不定期更新 #物語の進み具合のんびり
#カクヨムさんでも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる