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第5章 初めてのお祭り

9.

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【それは、闇商人に関することか?】
エレンはハナと視線を合わせるようにしゃがむとそう聞いた。
【ええ、そうよ】
ハナがそう返すとエレンは突然ハナの額あたりに自分の額をくっつけた。
「えっと…、ふたりともなにしてるの?」
私はエレンとハナの顔を交互に見比べながらそう言う。
しかし当の本人達は額をくっつけて目を閉じたままだ。
【今お兄ちゃんはハナの記憶を読んでいるのよ。 額をくっつけることで相手の体験したことやその時の感情が分かるの。 これはスズナ達神獣や私達のような魔力を沢山持っている者なら誰でも出来るのよ】
エレナがそう言い終えると同時に、エレンはパチッと目を開けてハナから額を離した。
【大体のことは分かった。 それで、何かそいつらを追い詰める方法はあるか? このままでは主が安心して遊ぶことが出来ん】
ハナは、う~んと考えながら縦に横に伸び縮みしている。
それは癖なのかな?
【多分私が居なくなったことに気付いて探し出すと思うのよ。 そこで私が姿を見せるとそいつらは私のことを捕まえようとするはずだからそこを捕まえれば良いわ】
ハナがそう言うとエレンは、にやっとあまり見たことない笑顔を見せた。
「エレン、顔が怖いよ」
エレンはすぐさま表情を柔らかくした。
それを見て、タポポとヌレバは楽しそうにエレンの真似をしている。
最初は顔をニヤッとさせて、その後に笑顔に戻すという遊びだ。
その遊びが楽しいのかは私には分からないが、ふたりが楽しいのならそのままでいいだろう。
【エレナとハロルドよ、この話を聞いておったな? 今すぐそいつらを取っ捕まえに行くぞ❗】
エレンとエレナは握り拳を作ると、ハナを抱き上げまたどこかへ向かおうとした。
だが、ふたりが歩き出す前にお父様は呼び止め、私達が人の少ない場所に移動するとふたりを地面に正座させた。
「だからそういつもいつも、なんでふたりは勝手に行動をしようとするんだ❗」
お父様はふたりの前に仁王立ちをすると早速怒鳴り始めた。
【全ては主のためだ。 主の為なら他がどうなろうと我は知ったことではない。】
【私もお兄ちゃんと同意見だわ。 主が国を消せと言うのならば私達は喜んでやるわよ】
ふたりは逆に開き直るとお父様にそう言い返した。
というか、国を消してと言ったら本当に消すんだ…
絶対に口が裂けても言ってはいけないな。
「エレナとエレンのその忠誠心は素晴らしい。 だが、ずっとミユキと居たいのならその危険な思考は捨てろ。 ふたりのせいでミユキに危険が及んだらどうする気だ」
お父様がはっきりと告げるとふたりは口を開いた後また閉じ、軽く俯いた。
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