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第4章 学校見学に行こう

14.

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エレンの、その一言を聞くと私の目はだんだんと潤んできた。
【どっ、どうした主。 何か駄目だったか?】
エレンは、私のことをしっかりと抱きながらも動揺をしている。
「ううん、違うの。 ただ、嬉しくて… 頭を下げることも、ありがとうと言ったら返してくれることも、この世界に来てから初めての事だったから」
私はそこまで言うと、エレンの胸に顔を埋めた。
そう、この世界に来てから諦めていたことはいっぱいある。
頭を下げたり、ありがとうと言ったら返してくれたり、いただきますやご馳走さまだったりなどと、数え始めたらきりがない程、諦めていたことはあった。
【そうだな、主よ。 こういう時には沢山泣いて、沢山笑って、そして、我のように言ってくれる者を探すが良い。 それでも見つからない時には、我らが、主の家族が、そして友達が沢山言ってやろう。 それはもう飽きる程にな】
私はそこまで聞き終わると、顔を上げた。
そして、エレンは言葉を続ける。
【それでも駄目ならば、主がみんなに伝えろ。 主の国のやり方をな。 その時には、我らも手伝ってあげようではないか】
エレンは私の頭を優しく撫でると、抱いている手に力を込めた。
「うん、ありがと。 その時はよろしくね」
私も、そう言ってエレンに思いっきり抱きついた。
その後、私は思いっきり泣いた。
それはもう盛大に。
嬉しかった、懐かしかった。
そして、助けてくれる仲間がいると知った。
エレンの胸を借りて泣きじゃくると、疲れはてた私はいつしか眠りについていた。

すぅ、すぅ、ひっく、すぅ…
周りには、ミユキの寝息だけが響いている。
暫くの間、静寂のなかで立ち尽くしていると話し始めたフェンリルがいた。
【ねえ、なんでミユキは泣き始めたのかな? なんでミユキは泣きながらも、あんなに幸せそうな表情を浮かべていたのかな? なんで…】
【もう良い、説明してやるから。 だからそのなんで攻撃をやめろ。 今すぐやめろ】
スズナは、エレンにそう言われて口を閉じた。
今のミユキは、ユズハの出したわたぼこの上に寝ている。
そして枕は、なぜかは分からないがヌレバの闇の空間に入っていたので出してもらった物だ。
ヌレバは、魔法の練習の成果からか、闇の空間に物を出し入れすることが出来るようになっていた。
他にも、闇を操って闇魔法を使ったり、闇の中に入ってワープのようなことも出来るようになっている。
逆にタポポは、自分の纏う光を消したり、周りを明るくしたり、光を操って魔法を使うことも出来るようになっていた。
二人とも、成長したのである。
【それで? 説明は?】
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