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第3章 街にお出かけします

七夕の日の番外編 天の川と流れ星

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「ミユキ、これに着替えてきなさい。 今日の服だ。」
そう言って寝起きの私にお父様がある服を渡してきた。
なんかキラキラしてて、ふわふわとした天女の羽衣だっけ?みたいなものが付いている。
うん、確か天女の羽衣なはず…
まあそれよりも、今聞きたいことはこれ一択❗
「お父様、なぜいつもの服ではないのですか?」
お父様は、朝から機嫌がいいのか私に服を着せながら答えてくれた。
「それは今日が七夕祭りの日だからだ。 子供達は、この服を着るという伝統があるからこの服を今日は着るんだぞ。」
私に服を着せ終わって、可愛いなと頬擦りしながらご飯の部屋へと私を連れていく。


   ***


ご飯の部屋には、もうみんな揃っていた。
「ミユキちゃんおはよう。 あら、今日はとっても可愛いじゃない。 伝統のオリヒメの服ね。」
お母様は、にこにことしながらそう言った。
いつもの他愛もない雑談をしながら朝食を食べ終わると、お母様がスズナ達を呼んだ。
お母様は、スズナとチェリニーの二匹には羽衣をつけ、ユズハと妖精達には彦星らしい帽子をかぶせた。
「よし、これで完璧ね。 あとは、今日一日中街中で過ごすのだけど、きっとみんな驚くわよ?」
お母様達は、そう言うと私を抱き上げて外へと連れ出した。
玄関前で私をおろしてくれて、アシェルがドアを開けてくれた。
「【【うわぁ~~❗ なにこれ~❗】】」
私達は、外へでた瞬間にそう叫んでいた。
だってだって、夜みたいに辺り一面暗かったんだもん❗
でもね、天の川や星々が綺麗に見えていて、逆に明るく感じるの、すごいね~❗
「ふふ、みんな驚いたみたいね。 今日、七夕の日は日が昇らないのよ。 その代わりに天の川や星がとっても綺麗に見えるの。 流れ星もたくさん流れるからお願い事がし放題よ?」
最後は冗談よという感じで説明してくれたお母様。
お母様、なんか今日はお茶目だね。

街中につくとこちらも賑わっていた。
子供達は私のような服を着て、出店の前には星や笹で飾られてとってもお祭りらしい雰囲気になっていた。
私は、瞳をきらきらと輝かせながら家族と一緒に街中を歩いた。
スズナは、本来の大きさに戻ってチェリニーなどの小さい子達を背に乗せてくれている。
七夕関連のものは、ここでも同じらしく私達はお願い事を短冊に書いて飾ることにした。
「ミユキちゃんは何て書いたのかしら?」
お母様が、楽しそうな顔をして聞いてくる。
「ふふ、内緒です❗」
私も楽しくなってそう答えた。
お昼ごはんには、素麺が入ったスープや、星空ゼリーなどといった七夕メニューまででた。
どれも綺麗で美味しくて、幸せだった。
最後に空を見上げると、大きな天の川に沢山の星々、日本にいた頃は絶対に見ることが出来ない景色がそこにはあった。
「綺麗…」
私の呟きも、まわりにかき消されるほど街は賑わっていた。
さて、まだまだ見ていない場所は沢山ある。
「お母様、お父様、あっちが見たいです❗」
お父様達の手を引いて私は駆け出した。


   ***


「いつまでも孫やスズナ達が幸せに過ごせますように… ミユキ」
今日の短冊のなかに、見えないように飾られていたこの一枚。
誰も気づいていないようだが、こっそりと見にきていたサーヤ様だけが気付いていた。
『もちろん、叶えてあげるわよね? 織姫さん、彦星さん?』
私がそう呟くと、ベガとアルタイルがキラッと光ったが、誰にも気付かれることはなく、街の喧騒の中に埋もれていったのだった。
さて、私も少し楽しんだら帰りますか。
サーヤ様は、そう考えながら街の中へ一歩踏み出した。




さて、今回は七夕の日の番外編でした。
皆さんはなにか願い事を短冊に書きましたか?
書いた人も、書いていない人も、きっと素敵なことが起こるはずです。
だって今日は年に一度の織姫と彦星が会える日なのですから…

明日からは本編に戻ります。
そして七夕は、旧暦の場合は8月7日です。
なので読んでくださっているかたの中には、今日は七夕ではないと思っている人もいるでしょうが、そこはご了承下さい。
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