嫌われた妖精の愛し子は、妖精の国で幸せに暮らす

柴ちゃん

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1章妖精の愛し子

44.

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「ねぇシャラーティル? お姉様の前で人の失敗を笑わないでもらえる? お姉様の教育に悪いわ」
「………シャルの方が教育に悪いと思うけど」
シャラーティルがぼそりと呟けば、シャルロッテは真っ黒な笑みを浮かべた。
「何か言ったかしら?」
「なんでもありませんっ!」
シャラーティルは慌てて口を閉じると、静かにシャルロッテから距離を取った。


   ***


「それで、このペガサスの親を探せばいいんだな?」
「そうだ、頼めるか?」
フィーディアンはわめき続けているシャルロッテを腕の中に閉じ込めながらグラウィルのことを見た。
そんな我が子に呆れながらも、グラウィルは力強く頷いてみせた。
「ちょっと! 離しなさいよ!」
あれから何度もシャラーティルとの間に痴話喧嘩を起こしているシャルロッテ。
もちろん離してもらえるはずもない。
そのままシャルロッテはフィーディアンに半ば連行される形でグラウィルの前を去った。

「いっちゃったなの」
少し寂しそうにしながらリリーフィアはグラウィルを見上げた。
グラウィルはリリーフィアの頭をなでてあげながらわずかに微笑む。
「大丈夫だ。 ふたりはちゃんと戻ってくるからな」
突然シャラーティルはそうだ、と言うとポンッと手を叩き、リリーフィアを抱き上げるとささやいた。
「僕と一緒に人の世界を探検しようよ。 絶対に楽しいよ?」
「いくなの!」
ぱぁっと顔を輝かせて喜んだリリーフィアに、グラウィルは焦りを見せた。
「な、なにをリリーフィアに吹き込んだんだ?」
「リリーフィアと街に探検しに行くんだ。 どうせここにいても何もできないし名案でしょ?」
シャラーティルは人差し指を口にあてると、ぱちっとウインクをする。
しかしペガサスの親の件がある今、外に出かけることに対してグラヴィルはいい顔をしない。
「ん~、ならさ、剣を一本貸してよ。 それならいいでしょ?」
諦めずに打開策を持ってくるあたり、どうしても街に行きたいらしいシャラーティルにグラウィルは一振りの剣を貸してやった。

リリーフィアをグラウィルに渡し、受け取った剣をまじまじと見つめるシャラーティル。
「この程度か~、まあまあかな」
シャラーティルは納得いかなかったのか、剣を軽く振りながらなにかをぶつぶつと呟いた。
するとその剣は金色の光に包まれた。
「なにをしたんだ?」
「えっとねぇ、僕の力を剣に分け与えたんだよ。 簡単に言うと加護を与えるみたいな感じ」
光を吸収した剣を眺めながらシャラーティルは答えた。
「これでよし、それじゃあ街に行こうリリーフィア!」
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