嫌われた妖精の愛し子は、妖精の国で幸せに暮らす

柴ちゃん

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番外編・お知らせ

ファンタジー小説大賞宣伝用プチ番外編

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ファンタジー小説大賞にエントリーしているので、ぜひ応援よろしくお願いします!

では、宣伝用プチ番外編をどうぞ!


   ***

夏の暑さが引き、段々と木々の葉が赤く染まり始めた日のことであった。

「リリーフィア、九月だよ!」
「っ!? び、びっくりちたの」
部屋で遊んでいたリリーフィアの前に突然飛び出してきたスカイ。

「ところでスカイ、九月ってなんのこと?」
リリーフィアの持つクマの人形にリボンを結んでいたサクラが首をかしげる。
「九月はね~、どこかの世界の東の国?で使われている季節を十二で分けた時の呼び方なんだよ」
「それで、その九月がどうしたの?」

それがね~、と言いながら何かを準備するスカイ。
「はやくおちえてほしいなの」
「ちょっと待って…… よし、準備できた」
横断幕の様な布をリリーフィアの部屋の端から端までに魔法で広げて浮かせると、スカイは布の後ろにまわった。

「え~と、九月はファンタジー小説大賞が開催されます。 よって… よってリリーフィア達も参加することになりましたことをここに発表します…」
「ちょっと待ってスカイ、なにを読み上げているの?」
スカイの言葉に違和感を覚えたサクラがスカイの持つ紙を取りあげた。
「えっと、『ファンタジー小説大賞宣伝用メモ』 ……なにこれ」

「それはね、今朝起きたら空から降ってきたメモだよ。 この大きい布と一緒に手紙もついてたんだよ」
スカイはどこからともなく一緒についていたという手紙を取り出すとサクラに見せた。
手紙には、誰でもいいから今日これを読んで欲しいという件と、横断幕の使い方が書かれていた。

「「…………」」
サクラとスカイはどちらも無言を貫く。
サクラはこんなに怪しいものを拾ったスカイに心底呆れる。
スカイはサクラのただならぬ雰囲気に息をのむ。

サクラはため息をつく。
「まぁいいや… とにかく、これを言ってなにかなるの?」
「う~ん、特になにもないと思うけど… 気持ちの問題じゃないかな?」

「リリーフィア、この布で遊んでいいよ」
意味もよく分からずに読んでいたスカイをかまうのを止めたサクラは、横断幕にハサミを入れた。

「ああ~! ちょっとサクラ何してるの!?」
慌ててスカイが止めようとするが、時すでに遅し。
だってもう要らないでしょ?と言ったサクラによってどんどんと布は小さくなっていった。

そしてリリーフィアの遊びやすい大きさに裁断すると手渡した。
「やったなの! さらさらで気持ちいいぬのなの~」

さっそくリリーフィアは布をテーブルクロス代わりにしておままごとを始めている。
こうなると、誰もリリーフィアから布を取り返すことはできない。

「大事な空からの布が…」
スカイがうなだれて、小さな声を漏らした。

こうして今日もにぎやかに、そして楽しくリリーフィア達の一日は過ぎていくのであった。
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