嫌われた妖精の愛し子は、妖精の国で幸せに暮らす

柴ちゃん

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1章妖精の愛し子

25.

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そして更に一日が経過した頃、アロイ達は妖精の国を出発しようとしたのだったが、ここに来てある問題が発生した。

「はやく通れ、人の国に行くんだろ」
「いやフィーディアン、アロイは通りたくても通れないってさっきから説明してくれてるじゃん。 焦らせちゃ駄目だよ」
妖精の国と人の国を繋ぐ魔法の扉をアロイが通れないのだ。

それもそのはず、なんせアロイは人の国に行くための許可を妖精王から貰ってないのだから。
その事に気が付かないアロイ達は通る方法を考えては試し続けたが、結局通ることは叶わなかった。


   ***


あっという間に月日は流れ、今日はリリーフィア達が国王に報告に行く日。
リリーフィア達は馬車に揺られながら城へと向かっていた。

「こんな娘の為にわざわざ足を運ぶなんて信じられないわ! シャルロッテちゃんも私と出かける方が良かったでしょ?」
いつものことながら、リリーフィアが関わることになるとティファニーは荒れる。
いや、傲慢ごうまんになると言うべきかもしれない。

そして普段ならここでシャルロッテもティファニーの話に乗っていくところだが、日々成長しているシャルロッテは自分の意見を口にした。
「シャルはおしりょに行くのがたのしみでしゅわ! だって、はじめていくんでしゅもの」
シャルロッテはリリーフィアと一緒にね~、と言うとふたりで仲良く話し始める。

リリーフィアとシャルロッテはもともと、ティファニーが勝手にふたりを切り離しただけであって別にそこまで仲が悪いわけではなかった。
というよりは、リリーフィアと仲良くするとティファニーに怒られるので距離を置いていただけである。
だからこそ、家で一番偉いグラウィルがほんの少しリリーフィアに対する態度を変えただけで、仲良くして良いとシャルロッテは思ったのだ。

それに納得のいかないティファニーは、グラウィルに文句をたれたり、シャルロッテの気を引こうと頑張っているが、一切効果はなさそうである。
ましてやグラウィルにまで無視をされる始末で、ティファニーの機嫌は日に日に悪くなっていた。


それから馬車は順調に進んでいき、特に大きな問題もなく城に着くことができた。

「シャロン公爵様方、今日はようこそお越しくださいました。 本日は執事長の私が公爵様方と行動を共にさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。 それでは、中で国王様と神官長殿がお待ちですので、どうぞ着いてきてくださいませ」

前を歩く執事長の後を追ってきらびやかな長い廊下を歩いていくグラウィル達。
リリーフィアとシャルロッテはキョロキョロと辺りを見回しては、グラウィルの後を追いかけるを繰り返す。
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