29 / 50
1章妖精の愛し子
25.
しおりを挟む
そして更に一日が経過した頃、アロイ達は妖精の国を出発しようとしたのだったが、ここに来てある問題が発生した。
「はやく通れ、人の国に行くんだろ」
「いやフィーディアン、アロイは通りたくても通れないってさっきから説明してくれてるじゃん。 焦らせちゃ駄目だよ」
妖精の国と人の国を繋ぐ魔法の扉をアロイが通れないのだ。
それもそのはず、なんせアロイは人の国に行くための許可を妖精王から貰ってないのだから。
その事に気が付かないアロイ達は通る方法を考えては試し続けたが、結局通ることは叶わなかった。
***
あっという間に月日は流れ、今日はリリーフィア達が国王に報告に行く日。
リリーフィア達は馬車に揺られながら城へと向かっていた。
「こんな娘の為にわざわざ足を運ぶなんて信じられないわ! シャルロッテちゃんも私と出かける方が良かったでしょ?」
いつものことながら、リリーフィアが関わることになるとティファニーは荒れる。
いや、傲慢になると言うべきかもしれない。
そして普段ならここでシャルロッテもティファニーの話に乗っていくところだが、日々成長しているシャルロッテは自分の意見を口にした。
「シャルはおしりょに行くのがたのしみでしゅわ! だって、はじめていくんでしゅもの」
シャルロッテはリリーフィアと一緒にね~、と言うとふたりで仲良く話し始める。
リリーフィアとシャルロッテはもともと、ティファニーが勝手にふたりを切り離しただけであって別にそこまで仲が悪いわけではなかった。
というよりは、リリーフィアと仲良くするとティファニーに怒られるので距離を置いていただけである。
だからこそ、家で一番偉いグラウィルがほんの少しリリーフィアに対する態度を変えただけで、仲良くして良いとシャルロッテは思ったのだ。
それに納得のいかないティファニーは、グラウィルに文句をたれたり、シャルロッテの気を引こうと頑張っているが、一切効果はなさそうである。
ましてやグラウィルにまで無視をされる始末で、ティファニーの機嫌は日に日に悪くなっていた。
それから馬車は順調に進んでいき、特に大きな問題もなく城に着くことができた。
「シャロン公爵様方、今日はようこそお越しくださいました。 本日は執事長の私が公爵様方と行動を共にさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。 それでは、中で国王様と神官長殿がお待ちですので、どうぞ着いてきてくださいませ」
前を歩く執事長の後を追ってきらびやかな長い廊下を歩いていくグラウィル達。
リリーフィアとシャルロッテはキョロキョロと辺りを見回しては、グラウィルの後を追いかけるを繰り返す。
「はやく通れ、人の国に行くんだろ」
「いやフィーディアン、アロイは通りたくても通れないってさっきから説明してくれてるじゃん。 焦らせちゃ駄目だよ」
妖精の国と人の国を繋ぐ魔法の扉をアロイが通れないのだ。
それもそのはず、なんせアロイは人の国に行くための許可を妖精王から貰ってないのだから。
その事に気が付かないアロイ達は通る方法を考えては試し続けたが、結局通ることは叶わなかった。
***
あっという間に月日は流れ、今日はリリーフィア達が国王に報告に行く日。
リリーフィア達は馬車に揺られながら城へと向かっていた。
「こんな娘の為にわざわざ足を運ぶなんて信じられないわ! シャルロッテちゃんも私と出かける方が良かったでしょ?」
いつものことながら、リリーフィアが関わることになるとティファニーは荒れる。
いや、傲慢になると言うべきかもしれない。
そして普段ならここでシャルロッテもティファニーの話に乗っていくところだが、日々成長しているシャルロッテは自分の意見を口にした。
「シャルはおしりょに行くのがたのしみでしゅわ! だって、はじめていくんでしゅもの」
シャルロッテはリリーフィアと一緒にね~、と言うとふたりで仲良く話し始める。
リリーフィアとシャルロッテはもともと、ティファニーが勝手にふたりを切り離しただけであって別にそこまで仲が悪いわけではなかった。
というよりは、リリーフィアと仲良くするとティファニーに怒られるので距離を置いていただけである。
だからこそ、家で一番偉いグラウィルがほんの少しリリーフィアに対する態度を変えただけで、仲良くして良いとシャルロッテは思ったのだ。
それに納得のいかないティファニーは、グラウィルに文句をたれたり、シャルロッテの気を引こうと頑張っているが、一切効果はなさそうである。
ましてやグラウィルにまで無視をされる始末で、ティファニーの機嫌は日に日に悪くなっていた。
それから馬車は順調に進んでいき、特に大きな問題もなく城に着くことができた。
「シャロン公爵様方、今日はようこそお越しくださいました。 本日は執事長の私が公爵様方と行動を共にさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。 それでは、中で国王様と神官長殿がお待ちですので、どうぞ着いてきてくださいませ」
前を歩く執事長の後を追ってきらびやかな長い廊下を歩いていくグラウィル達。
リリーフィアとシャルロッテはキョロキョロと辺りを見回しては、グラウィルの後を追いかけるを繰り返す。
3
お気に入りに追加
262
あなたにおすすめの小説

『忘れられた公爵家』の令嬢がその美貌を存分に発揮した3ヶ月
りょう。
ファンタジー
貴族達の中で『忘れられた公爵家』と言われるハイトランデ公爵家の娘セスティーナは、とんでもない美貌の持ち主だった。
1話だいたい1500字くらいを想定してます。
1話ごとにスポットが当たる場面が変わります。
更新は不定期。
完成後に完全修正した内容を小説家になろうに投稿予定です。
恋愛とファンタジーの中間のような話です。
主人公ががっつり恋愛をする話ではありませんのでご注意ください。

異世界に行った、そのあとで。
神宮寺 あおい@受賞&書籍化
恋愛
新海なつめ三十五歳。
ある日見ず知らずの女子高校生の異世界転移に巻き込まれ、気づけばトルス国へ。
当然彼らが求めているのは聖女である女子高校生だけ。
おまけのような状態で現れたなつめに対しての扱いは散々な中、宰相の協力によって職と居場所を手に入れる。
いたって普通に過ごしていたら、いつのまにか聖女である女子高校生だけでなく王太子や高位貴族の子息たちがこぞって悩み相談をしにくるように。
『私はカウンセラーでも保健室の先生でもありません!』
そう思いつつも生来のお人好しの性格からみんなの悩みごとの相談にのっているうちに、いつの間にか年下の美丈夫に好かれるようになる。
そして、気づけば異世界で求婚されるという本人大混乱の事態に!
【完結】「妹の身代わりに殺戮の王子に嫁がされた王女。離宮の庭で妖精とじゃがいもを育ててたら、殿下の溺愛が始まりました」
まほりろ
恋愛
国王の愛人の娘であるヒロインは、母親の死後、王宮内で放置されていた。
食事は一日に一回、カビたパンや腐った果物、生のじゃがいもなどが届くだけだった。
しかしヒロインはそれでもなんとか暮らしていた。
ヒロインの母親は妖精の村の出身で、彼女には妖精がついていたのだ。
その妖精はヒロインに引き継がれ、彼女に加護の力を与えてくれていた。
ある日、数年ぶりに国王に呼び出されたヒロインは、異母妹の代わりに殺戮の王子と二つ名のある隣国の王太子に嫁ぐことになり……。
※カクヨムにも投稿してます。カクヨム先行投稿。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します。
「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」
※2023年9月17日女性向けホットランキング1位まで上がりました。ありがとうございます。
※2023年9月20日恋愛ジャンル1位まで上がりました。ありがとうございます。
※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。

聖女は聞いてしまった
夕景あき
ファンタジー
「道具に心は不要だ」
父である国王に、そう言われて育った聖女。
彼女の周囲には、彼女を心を持つ人間として扱う人は、ほとんどいなくなっていた。
聖女自身も、自分の心の動きを無視して、聖女という治癒道具になりきり何も考えず、言われた事をただやり、ただ生きているだけの日々を過ごしていた。
そんな日々が10年過ぎた後、勇者と賢者と魔法使いと共に聖女は魔王討伐の旅に出ることになる。
旅の中で心をとり戻し、勇者に恋をする聖女。
しかし、勇者の本音を聞いてしまった聖女は絶望するのだった·····。
ネガティブ思考系聖女の恋愛ストーリー!
※ハッピーエンドなので、安心してお読みください!

豊穣の巫女から追放されたただの村娘。しかし彼女の正体が予想外のものだったため、村は彼女が知らないうちに崩壊する。
下菊みこと
ファンタジー
豊穣の巫女に追い出された少女のお話。
豊穣の巫女に追い出された村娘、アンナ。彼女は村人達の善意で生かされていた孤児だったため、むしろお礼を言って笑顔で村を離れた。その感謝は本物だった。なにも持たない彼女は、果たしてどこに向かうのか…。
小説家になろう様でも投稿しています。

薬屋の少女と迷子の精霊〜私にだけ見える精霊は最強のパートナーです〜
蒼井美紗
ファンタジー
孤児院で代わり映えのない毎日を過ごしていたレイラの下に、突如飛び込んできたのが精霊であるフェリスだった。人間は精霊を見ることも話すこともできないのに、レイラには何故かフェリスのことが見え、二人はすぐに意気投合して仲良くなる。
レイラが働く薬屋の店主、ヴァレリアにもフェリスのことは秘密にしていたが、レイラの危機にフェリスが力を行使したことでその存在がバレてしまい……
精霊が見えるという特殊能力を持った少女と、そんなレイラのことが大好きなちょっと訳あり迷子の精霊が送る、薬屋での異世界お仕事ファンタジーです。
※小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

婚約破棄され逃げ出した転生令嬢は、最強の安住の地を夢見る
拓海のり
ファンタジー
階段から落ちて死んだ私は、神様に【救急箱】を貰って異世界に転生したけれど、前世の記憶を思い出したのが婚約破棄の現場で、私が断罪される方だった。
頼みのギフト【救急箱】から出て来るのは、使うのを躊躇うような怖い物が沢山。出会う人々はみんな訳ありで兵士に追われているし、こんな世界で私は生きて行けるのだろうか。
破滅型の転生令嬢、腹黒陰謀型の年下少年、腕の立つ元冒険者の護衛騎士、ほんわり癒し系聖女、魔獣使いの半魔、暗部一族の騎士。転生令嬢と訳ありな皆さん。
ゆるゆる異世界ファンタジー、ご都合主義満載です。
タイトル色々いじっています。他サイトにも投稿しています。
完結しました。ありがとうございました。

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。
優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。
家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。
主人公は、魔法・知識チートは持っていません。
加筆修正しました。
お手に取って頂けたら嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる