嫌われた妖精の愛し子は、妖精の国で幸せに暮らす

柴ちゃん

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1章妖精の愛し子

22.

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グラウィルはベットの脇から腰をあげると、改めてリリーフィアの部屋を見渡した。
リリーフィアの部屋は侍女が居ないにも関わらず、余りにもきれいに保たれている。
そして、そんな部屋に呆気に取られることもなくグラウィルは、少し恥ずかしそうに口を開いた。

「妖精達よ、今までリリーフィアを粗末に扱いすまなかった。 それでも尚、リリーフィアが良い子に育ったのは妖精達のお陰だと思っている。 これからは昼と夜も食堂に顔を出すように伝えてくれるか? ティファニーと時間が被らないように対処はしておくから」

部屋から出ていこうとするグラウィルの背に、サクラが声をかけた。
「まかせてよ、リリーフィアは私達が立派に育て上げて見せるんだから。 でも、たまには親としての愛情も注いであげてね? 子供には親からの愛情が一番大切なんだから」
「ああ、分かった。 ではまた夕食の時に会おう」
サクラの笑顔に返事をし、グラウィルは部屋から出ていった。

「にしても、どんな心変わりなんだろうな。 だってあんなにリリーフィアのことを無視してたんだそ?」
ハヤテは不思議そうに呟く。
「それはやっぱり自分の使命を思い出したんじゃないの? グラウィルの魂が綺麗な色に戻ったってことはそう言うことでしょ?」

スカイがリリーフィアの頬をなでながらそう答えると、サクラがそのまま続けた。
「だって、今まではティファニーのせいでグラウィルの魂が汚れてただけだもの。 グラウィルはもう大丈夫、今度こそリリーフィアを幸せにしてくれるよ」


   ***


もう外は薄暗くなり、街の家々に灯りがつき始めた頃、グラウィルは食堂でリリーフィアを待っていた。
もうティファニーとシャルロッテは食べ終わっており、あとはグラウィルとリリーフィアだけのはずだ。

「リリーフィアは来てくれるだろうか?」

そんなグラウィルの心配は杞憂きゆうに終わり、扉の外からは妖精達の羽ばたく羽音が聴こえてくる。
扉が開くと、可愛らしく頭を覗かせたリリーフィアが小さな声で呟く。

「おとうしゃま、いらっちゃいましゅか?」
「ああ、ここだ。 おいでリリーフィア、一緒にご飯を食べようか」
グラウィルは振り向き、リリーフィアが来たことを確認する。

グラウィルはリリーフィアにゆっくりと近づくと、優しく抱き上げ、リリーフィアの椅子に座らせた。
そしてグラウィルも席に着くと、いつものメイド達によってすぐに料理が運ばれてくる。
「いっしょにごはん、たべてもいいの?」
リリーフィアは少しそわそわとしながらグラウィルの様子を伺う。
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