18 / 50
1章妖精の愛し子
14.
しおりを挟む
「ん、どこ? 次は怪我しないように気を付けるんだぞ?」
「わかったなの。 ハヤテ、なおちてくれてありあと」
ハヤテはどういたしましてと言ってリリーフィアの頭をくしゃくしゃっと撫でた。
リリーフィアは嬉しそうにしながらも眠たそうに目を擦っている。
「それじゃリリーフィア、そろそろお昼寝しようか」
サクラはベッドを整えると、リリーフィアの枕をとんとんと優しく叩いた。
「ほら、おいで」
サクラの優しい声に誘われるようにリリーフィアはベッドに向かって歩いていく。
スカイに助けて貰いながらもコロンと寝転がると、ハヤテが布団をかけてくれた。
「おやすみ、リリーフィア」
スカイはリリーフィアの頭を一撫ですると、部屋を出ていった。
部屋の中は途端に静まり返り、サクラの子守唄だけが聞こえる。
ハヤテはポンポンとリリーフィアのお腹をサクラの歌に合わせながら優しく叩いた。
これが寝るときの準備であり、リリーフィアを安心させる秘訣でもある。
三分程続ければ、リリーフィアは夢の中へ行った。
リリーフィアが寝ている間にサクラは新しいリリーフィアの服を作ったり晩御飯の下準備をし、ハヤテとアロイは屋敷の様子を確認していた。
それぞれがすべきことをし、また、そのお陰でリリーフィアの暮らしは保たれていた。
***
今日も夜が更け屋敷の者達がみんな寝静まったあと、リリーフィアの部屋にて妖精達は会議を開いていた。
今日の議題は、「リリーフィアはここに居るべきか、妖精の国に行くべきか」だ。
「リリーフィアは妖精の国に行くべきだと思う。 だってここの暮らしは酷すぎるもん」
メイドに付いている黄色い羽の妖精は、軽く身を乗り出しながらそう言う。
「俺はここに居るべきだと思う。 ここなら良くも悪くも本当の家族がいる」
料理人に付いている赤い羽の妖精は顔を俯ける。
結果、屋敷に居た方がいいと言った者と、出ていくべきと言った者の数は半々だった。
屋敷に居るべきだと言った者達も、心の奥底では、リリーフィアには安全な妖精の国に行って欲しいと思っていた。
だがここには、リリーフィア幸せだった頃の思い出もあれば、虐げられる辛さもある。
どちらを取るべきかは誰にも分からないのだ。
それ故、会議は難航した。
「なら、リリーフィアが本当に危険なときに妖精の国につれていけば?」
難しい問題に直面しているなか、口を開いた妖精がいた。
小さな妖精の中に一人、中くらいの妖精が居るのはなんとも不自然だが、不思議なことになんの違和感もなく溶け込んでいたアロイだ。
「わかったなの。 ハヤテ、なおちてくれてありあと」
ハヤテはどういたしましてと言ってリリーフィアの頭をくしゃくしゃっと撫でた。
リリーフィアは嬉しそうにしながらも眠たそうに目を擦っている。
「それじゃリリーフィア、そろそろお昼寝しようか」
サクラはベッドを整えると、リリーフィアの枕をとんとんと優しく叩いた。
「ほら、おいで」
サクラの優しい声に誘われるようにリリーフィアはベッドに向かって歩いていく。
スカイに助けて貰いながらもコロンと寝転がると、ハヤテが布団をかけてくれた。
「おやすみ、リリーフィア」
スカイはリリーフィアの頭を一撫ですると、部屋を出ていった。
部屋の中は途端に静まり返り、サクラの子守唄だけが聞こえる。
ハヤテはポンポンとリリーフィアのお腹をサクラの歌に合わせながら優しく叩いた。
これが寝るときの準備であり、リリーフィアを安心させる秘訣でもある。
三分程続ければ、リリーフィアは夢の中へ行った。
リリーフィアが寝ている間にサクラは新しいリリーフィアの服を作ったり晩御飯の下準備をし、ハヤテとアロイは屋敷の様子を確認していた。
それぞれがすべきことをし、また、そのお陰でリリーフィアの暮らしは保たれていた。
***
今日も夜が更け屋敷の者達がみんな寝静まったあと、リリーフィアの部屋にて妖精達は会議を開いていた。
今日の議題は、「リリーフィアはここに居るべきか、妖精の国に行くべきか」だ。
「リリーフィアは妖精の国に行くべきだと思う。 だってここの暮らしは酷すぎるもん」
メイドに付いている黄色い羽の妖精は、軽く身を乗り出しながらそう言う。
「俺はここに居るべきだと思う。 ここなら良くも悪くも本当の家族がいる」
料理人に付いている赤い羽の妖精は顔を俯ける。
結果、屋敷に居た方がいいと言った者と、出ていくべきと言った者の数は半々だった。
屋敷に居るべきだと言った者達も、心の奥底では、リリーフィアには安全な妖精の国に行って欲しいと思っていた。
だがここには、リリーフィア幸せだった頃の思い出もあれば、虐げられる辛さもある。
どちらを取るべきかは誰にも分からないのだ。
それ故、会議は難航した。
「なら、リリーフィアが本当に危険なときに妖精の国につれていけば?」
難しい問題に直面しているなか、口を開いた妖精がいた。
小さな妖精の中に一人、中くらいの妖精が居るのはなんとも不自然だが、不思議なことになんの違和感もなく溶け込んでいたアロイだ。
3
お気に入りに追加
260
あなたにおすすめの小説
老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜
二階堂吉乃
ファンタジー
瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。
白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。
後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。
人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話。
白い結婚を言い渡されたお飾り妻ですが、ダンジョン攻略に励んでいます
時岡継美
ファンタジー
初夜に旦那様から「白い結婚」を言い渡され、お飾り妻としての生活が始まったヴィクトリアのライフワークはなんとダンジョンの攻略だった。
侯爵夫人として最低限の仕事をする傍ら、旦那様にも使用人たちにも内緒でダンジョンのラスボス戦に向けて準備を進めている。
しかし実は旦那様にも何やら秘密があるようで……?
他サイトでは「お飾り妻の趣味はダンジョン攻略です」のタイトルで公開している作品を加筆修正しております。
誤字脱字報告ありがとうございます!
【完結】聖女召喚に巻き込まれたバリキャリですが、追い出されそうになったのでお金と魔獣をもらって出て行きます!
チャららA12・山もり
恋愛
二十七歳バリバリキャリアウーマンの鎌本博美(かまもとひろみ)が、交差点で後ろから背中を押された。死んだと思った博美だが、突如、異世界へ召喚される。召喚された博美が発した言葉を誤解したハロルド王子の前に、もうひとりの女性が現れた。博美の方が、聖女召喚に巻き込まれた一般人だと決めつけ、追い出されそうになる。しかし、バリキャリの博美は、そのまま追い出されることを拒否し、彼らに慰謝料を要求する。
お金を受け取るまで、博美は屋敷で暮らすことになり、数々の騒動に巻き込まれながら地下で暮らす魔獣と交流を深めていく。
ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中!
※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります!
気付いたら異世界に転生していた主人公。
赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。
「ポーションが不味すぎる」
必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」
と考え、試行錯誤をしていく…
【完結】巻き込まれたけど私が本物 ~転移したら体がモフモフ化してて、公爵家のペットになりました~
千堂みくま
ファンタジー
異世界に幼なじみと一緒に召喚された17歳の莉乃。なぜか体がペンギンの雛(?)になっており、変な鳥だと城から追い出されてしまう。しかし森の中でイケメン公爵様に拾われ、ペットとして大切に飼われる事になった。公爵家でイケメン兄弟と一緒に暮らしていたが、魔物が減ったり、瘴気が薄くなったりと不思議な事件が次々と起こる。どうやら謎のペンギンもどきには重大な秘密があるようで……? ※恋愛要素あるけど進行はゆっくり目。※ファンタジーなので冒険したりします。
遺棄令嬢いけしゃあしゃあと幸せになる☆婚約破棄されたけど私は悪くないので侯爵さまに嫁ぎます!
天田れおぽん
ファンタジー
婚約破棄されましたが私は悪くないので反省しません。いけしゃあしゃあと侯爵家に嫁いで幸せになっちゃいます。
魔法省に勤めるトレーシー・ダウジャン伯爵令嬢は、婿養子の父と義母、義妹と暮らしていたが婚約者を義妹に取られた上に家から追い出されてしまう。
でも優秀な彼女は王城に住み、個性的な人たちに囲まれて楽しく仕事に取り組む。
一方、ダウジャン伯爵家にはトレーシーの親戚が乗り込み、父たち家族は追い出されてしまう。
トレーシーは先輩であるアルバス・メイデン侯爵令息と王族から依頼された仕事をしながら仲を深める。
互いの気持ちに気付いた二人は、幸せを手に入れていく。
。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.
他サイトにも連載中
2023/09/06 少し修正したバージョンと入れ替えながら更新を再開します。
よろしくお願いいたします。m(_ _)m
嫌われ聖女さんはとうとう怒る〜今更大切にするなんて言われても、もう知らない〜
𝓝𝓞𝓐
ファンタジー
13歳の時に聖女として認定されてから、身を粉にして人々のために頑張り続けたセレスティアさん。どんな人が相手だろうと、死にかけながらも癒し続けた。
だが、その結果は悲惨の一言に尽きた。
「もっと早く癒せよ! このグズが!」
「お前がもっと早く治療しないせいで、後遺症が残った! 死んで詫びろ!」
「お前が呪いを防いでいれば! 私はこんなに醜くならなかったのに! お前も呪われろ!」
また、日々大人も気絶するほどの魔力回復ポーションを飲み続けながら、国中に魔物を弱らせる結界を張っていたのだが……、
「もっと出力を上げんか! 貴様のせいで我が国の騎士が傷付いたではないか! とっとと癒せ! このウスノロが!」
「チッ。あの能無しのせいで……」
頑張っても頑張っても誰にも感謝されず、それどころか罵られるばかり。
もう我慢ならない!
聖女さんは、とうとう怒った。
農家は万能!?いえいえ。ただの器用貧乏です!
鈴浦春凪
ファンタジー
HOT最高は12位? 以上 ですがお気に入りは付かない作風です
ある日突然、異世界の草原で目を覚ました主人公。
記憶無し。食べ物無し。700km圏内に村も無し。
無いもの尽くしの不幸に見舞われた主人公には、名前もまだ無い。
急な災難に巻き込まれた少年が、出会う人々の優しさにより。
少しずつ異世界へと馴染み、やがて、現代日本の農業とグルメ。近代知識を生かして人生を歩む話。
皮肉家だが、根はやさしい少年が、恩人から受けた恩をこの世界へ返してゆく
*ステータスは開示されず、向いた職業の啓示を受ける世界です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる