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1章妖精の愛し子

13.

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「うん、おいちいなの!」
リリーフィアは笑顔でパンケーキを食べ進める。
それを眺めながらサクラ達はとある相談をしていた。

「ねぇ、リリーフィアはずっとここに居るべきなのかな?」
「なんで? ここはリリーフィアの家よ、他にいく場所は無いでしょ?」
アロイの言葉に首をかしげるサクラ達。
だがアロイは首を横に振ると、遠くを見ながら続けた。
「いく場所は、あるよ… でもそこにいくとここにはもう戻って来れないんだ」
「そこはリリーフィアにとっていい場所なのか?」
「うん、きっとね。 そこは君達も知ってる場所だよ」
サクラ達は何処だろうかと顔を見合わせて考える。

「妖精の国だよ。 自分の生まれた場所、忘れちゃったの?」
アロイは冗談を交えつつ答えを教えた。
サクラ達ははっとした顔でアロイを見ると、へにゃとした顔で爆弾発言を落とした。
「「へへ、忘れてた」」
「嘘、冗談のつもりだったのに!? えっ、本当に忘れてたの!?」
「「うん」」
声を揃えてまでそう言われると、アロイはもう溜め息をつくことしか出来なかった。

「ごちそうしゃまなの~」
突然リリーフィアの間の抜けた声が聞こえて、サクラ達は現実に引き戻される。
「あ、うん。 美味しかった?」
サクラはお皿をさげながらリリーフィアに聞く。
「おいちかったなの」
リリーフィアはスカイに椅子から降ろしてもらうと、とてとてとアロイのところへ行く。

「なんのおはなちしてたの?」
「ん? リリーフィアは美味しそうに食べるねって話だよ」
アロイはリリーフィアの頭を撫でながらさらっと嘘をついた。
その時のサクラ達は、こいつさらっと嘘を吐きやがったと思っていたとか…
一瞬リリーフィアの笑顔は固まると、ほんとに?ともう一度聞いた。
「うん、本当だよ」
「そっか~」
意外にも鋭いリリーフィアは、納得していないという表情を一瞬したが、すぐに笑顔に戻ると、部屋の中のおもちゃで遊び始めた。
「アロイ駄目だよ、リリーフィアに嘘ついちゃ」
「なんで? 今妖精の国のことバレたらヤバイんじゃないの?」
「そうだけどさぁ~」
サクラは深い溜め息をつく。

「リリーフィアはね、なんでか分からないけど、妙なところで鋭いときがあるんだよ。 そしたらさ、嘘をつかれたと気が付いたリリーフィアはどう思うと思う?」
サクラの言葉を続けたスカイは、アロイの目の奥をじっと見つめながらそう言った。

「ごめん、これからは気を付ける」
なにかに気が付いたアロイは、素直に謝る。
「ハヤテ~、ここにょ傷なおちて~」
そんなことをやっているうちに、少し気まずくなった雰囲気を払拭するかのように、リリーフィアは近づいてきて擦り傷をハヤテに見せた。
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