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3. スズナをサーヤ様に預けよう

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まず私とサラは、サーヤ様にスズナを預けたいということを話した。
そして、その理由も説明する。
話した内容を要約すると、向こうの森はスズナの体に合わないっぽいので預かって欲しいと言うことと、スズナは珍しいフェンリルなのできっとこっちにいた方がいいだろうという内容だ。

『う~ん、分かりました。 スズナはこちらで預からせていただきます。 その代わり、私の好きにさせて貰いますね?』
サーヤ様の好きなようにする。
これがスズナを預かって貰う条件だった。
「分かりました。 それでいいです。 それでは、これからスズナのことをどうかよろしくお願いいたします」
私とサラはサーヤ様の条件をのんで、スズナを預けることに決めた。
では、用事も終わったことだし森に帰るとするか。
「ユキナ、ハクロ、森に帰るよ」
サラが、優しい声でユキナとハクロを呼ぶ。

私が森に帰るための扉を開くと、サラを先頭について行くよう進めた。
すると、スズナも着いてこようとする。
「スズナ、お前はここに残るんだ。 これからはサーヤ様と暮らすんだぞ?」
私がそう言うと、スズナはやだやだと首を振って、泣きながら私達のもとへ駆け寄ってきた。
「スズナ!! お前はここに残るんだ。 着いてきてはいけない」
私が少し厳しめに言うと、他の兄弟達もなになに?とよってきた。
「あれ? スズナは着いてこないの?」
ユキナが心底不思議そうに聞く。
「うん、着いていっちゃダメなんだって。 なんでかな~?」
スズナが他の兄弟達にそう話すと、これまた面倒なことになった。
なんと他の子達もなんでスズナが一緒じゃないの?と、騒ぎ始めたのだ。
私は、あまり意味が分からないだろうが一応説明をする。
それでも、スズナ達がまだ騒ぎ続けるので最終的は、強行手段となった。
私とサラが、一匹ずつ口にくわえて森まで運ぶという手段だ。
それでもスズナが追っかけてこようとするので、森までの扉をくぐったあと、すぐに閉めてスズナが入ってこられないようにした。

そしてその日の晩、子供達が寝静まったあとに私とサラは揃って泣いた。
あんなに幼い子を置いてきてしまったと、もう少し元気に森を駆け回って欲しかったと、そう言いながら泣いた。
それはもう、涙が枯れるまで、そして朝が来るまで。
私は、次の日の晩夢を見た。
ずっと夢に見ていた、スズナも交えて森でおもいっきり遊ぶ夢をだ。
夢から覚めると、私は泣いていた。
夢で泣いたのはいつぶりだろうか、子供の時以来じゃないかと、そんなことを考えながら私は、心に決めた。
他の二匹はスズナの分まで大切に育てようと。
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