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【ねぇお姉様、お兄様、これ必要でしょ?】
そう言って美海那が私と海斗に渡してきた物がこれだ。
私のブローチは綺麗な桃色を、海斗のブローチは綺麗な海の水の色をしていた。
そして私のブローチには桜の花が、海斗のブローチには白い貝殻がそれぞれ1つずつ埋め込まれていた。
「ありがとう、みーちゃん。 ずっと預かっててくれたんだね」
【うん、だってお姉様とお兄様が次に会いに来るまで預かってって言ったんでしょ? 私は約束を守っただけだよ】
美海那は微笑み、私と海斗に抱き付いてきた。
【また、会いに来てね?】
「ああ、この人生が終わるまでにはもう一度必ず会いに来るさ」
「だから安心して?」
【絶対だよ?】
美海那は瞳を潤ませながら改めて私達に抱き付いた。
美海那よりも大きかった私達も今では小さい、私達は生まれ変わったということを私は改めて今実感していた。


   ***


ざっとこんな感じなのだが、これをそのまま双葉さんに伝えても良いのだろうか?
「神島さん?」
「あっ、いや、ごめんね。 ちょっと考え事してただけだよ」
私は改めて双葉さんの方を向き、表情を引き締めた。
その雰囲気を感じ取った双葉さんも、姿勢を正した。
「なんで私がこれを持っているかについてだけどね、そもそもこれは私のブローチなの」
双葉さんは、口元を両手で隠して驚いた。
「そんなことあるの? だってそれを持てるのは神様だけ、なんで… あれ? ということはもしかして、神島さんって神様なの?」
意外と双葉さんの勘は鋭いようで、あっという間に見抜いていた。
まあ、結構ヒントをあげちゃったけどね…
なんてことはさておき、ちゃんと質問に答えないとね。
でも普通に答えるだけじゃ面白くない、そうだ、こうすれば良い。
そう思うと、私は早速口を開いた。
「さぁ、どうだろうね。 色々考えてみな? でも、どうしても答えが欲しいのならば中休みにここに来てよ」
私は一方的にそう告げるとランドセルを背負って自分のクラスへ行った。
「えっ? ちょっと待ってよ」という双葉さんを階段に残して…

「七海、何処に行ってたの?」
教室に入ると、早速海斗が聞いてきた。
「ちょっとね… あっ、そうだ❗ 中休みは海斗にもちょっと来て欲しいの」
「分かった」
軽く話している間にチャイムが鳴った。
私達はとにかく授業を受けながら中休みまで待つことにした。
ただ、1つ問題があった。
「授業がつまらない…」
そう、神様の時の記憶が戻ると同時に神様の時の知識も戻ってきたのだ。
「そのせいで全部知ってるからつまらない。 強いて言うならその時代体験してきたし…」
私は、ノートを取りながらも暇をもて余していた。
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