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咲苗さんの姿を見て、ここまで悩むのならばいっそ今体験したことに関する記憶を消してしまっても良いのではないか、とも思ったがさすがに8年間育てて貰った恩もあるのでそれだけは止めておくことにした。
ではどうすることが一番良い答えなのだろうか…
答えが出ぬまま、私はとにかく家に帰った。
家に帰っても、咲苗さんと私達の間には深い溝ができたままだった。
まあそうだよね、だって娘と息子が神様の生まれ変わりだって言われたんだもの…
私は1人納得しながら2人のことを眺めた。
「かっ、母さん、とにかくご飯にしない? ほら、もう夜だしさ?」
海斗は、どぎまぎしながらもそう言った。
その後、微妙な雰囲気のままご飯を食べ、眠った。
***
そして日曜日も気まずいまま終わり、気が付けば月曜日になっていた。
「「いってきます❗」」
私と海斗は大きな声でそう言うと家を出た。
「おっはよ~う❗ じゃま、どいてくれない?」
私と海斗をいつも通り貶して横を通っていくクラスメイト達。
いつものことだが私達に挨拶をするクラスメイトはいない。
「かいくんはこのままクラスの中に入っていって、私は少し用事があるから」
私はそこで海斗と別れると、隣のクラスへと向かった。
「失礼します、双葉さんはいる?」
私が現れるとクラスの中はざわつき始めた。
そのざわつきの中、双葉さんが私の方へと寄ってきてくれた。
「おはようございます。 えっと、神島さん?」
「おはようございます。 双葉さんって、あの双葉神社の娘さんよね?」
私は挨拶もそこそこに本題を切り出した。
「ええ、そうだけど… なにか家にごようじ?」
不思議そうにしている双葉さんの手を引っ張って、私は屋上へと続く階段へと連れ込んだ。
双葉さんに階段に腰かけるよう促すと、私は双葉さんの目を見ながら話し始めた。
「うん、神社の娘ならこれ、見たことあるよね?」
そう言って私がランドセルの中から取り出したものは複雑な模様が彫られた綺麗な箱だ。
そしてその箱を開けると中には1つのブローチが入っていた。
「こっ、これって…神様から認められた人で、しかも心が綺麗じゃないと貰えないっていうブローチだよね? なんで、神島さんが持ってるの?」
双葉さんは、驚きと恐怖が入り交じった表情で私に聞いた。
そう、これは神と名の付く誰しもが1つは必ず持っているものだ。
そして双葉さんの言った通りある条件を満たさないと貰えない。
そんな物をどうして私が持っているかと言うと、それは一昨日の帰り際まで遡る。
ではどうすることが一番良い答えなのだろうか…
答えが出ぬまま、私はとにかく家に帰った。
家に帰っても、咲苗さんと私達の間には深い溝ができたままだった。
まあそうだよね、だって娘と息子が神様の生まれ変わりだって言われたんだもの…
私は1人納得しながら2人のことを眺めた。
「かっ、母さん、とにかくご飯にしない? ほら、もう夜だしさ?」
海斗は、どぎまぎしながらもそう言った。
その後、微妙な雰囲気のままご飯を食べ、眠った。
***
そして日曜日も気まずいまま終わり、気が付けば月曜日になっていた。
「「いってきます❗」」
私と海斗は大きな声でそう言うと家を出た。
「おっはよ~う❗ じゃま、どいてくれない?」
私と海斗をいつも通り貶して横を通っていくクラスメイト達。
いつものことだが私達に挨拶をするクラスメイトはいない。
「かいくんはこのままクラスの中に入っていって、私は少し用事があるから」
私はそこで海斗と別れると、隣のクラスへと向かった。
「失礼します、双葉さんはいる?」
私が現れるとクラスの中はざわつき始めた。
そのざわつきの中、双葉さんが私の方へと寄ってきてくれた。
「おはようございます。 えっと、神島さん?」
「おはようございます。 双葉さんって、あの双葉神社の娘さんよね?」
私は挨拶もそこそこに本題を切り出した。
「ええ、そうだけど… なにか家にごようじ?」
不思議そうにしている双葉さんの手を引っ張って、私は屋上へと続く階段へと連れ込んだ。
双葉さんに階段に腰かけるよう促すと、私は双葉さんの目を見ながら話し始めた。
「うん、神社の娘ならこれ、見たことあるよね?」
そう言って私がランドセルの中から取り出したものは複雑な模様が彫られた綺麗な箱だ。
そしてその箱を開けると中には1つのブローチが入っていた。
「こっ、これって…神様から認められた人で、しかも心が綺麗じゃないと貰えないっていうブローチだよね? なんで、神島さんが持ってるの?」
双葉さんは、驚きと恐怖が入り交じった表情で私に聞いた。
そう、これは神と名の付く誰しもが1つは必ず持っているものだ。
そして双葉さんの言った通りある条件を満たさないと貰えない。
そんな物をどうして私が持っているかと言うと、それは一昨日の帰り際まで遡る。
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