願いをおひとつ叶えます～仲良し姉弟の最高神が生まれ変わったのは人間の双子でした～

7.

美海がそう言った瞬間に、私の頭の中ではあることがフラッシュバックしていた。
それは、私と海斗がまだ神様だった頃の記憶だった。

【かい君、この子は美海那だよ。　私達の妹だって最高神様が言ってたよ】
【そうか、この子が…】
私が寝返りも出来るかわからない程の幼子である美海那を海斗に紹介すると、海斗は美海那に優しく触れた。
その時の私達はまだ幼稚園児くらいの姿だ。
それから時は流れ、今度は美海那が幼稚園児くらいだった。
そして、私達は小学校中学年くらいだ。
【みーちゃんおいで～】
【美海、こっちにこい】
私達がそう呼ぶと、美海那はとてとてと歩いてくる。
【ねーね、にーに、なに？】
まだたどたどしさの残る喋り方で美海那は喋っている。
そして、さらに時は進み、私達は大人になっていた。
【お姉様、お兄様、本当に行かれてしまうのですか？】
なにがあったのか、美海那は心配そうな表情をして私達のことを止めている。
【ええ、行くわ】
【だって俺らが行かないといけないからな】　
そう言って歩き出そうとする私達の背に、美海那は叫んだ。
【なら、美海那も行く❗】
【【ダメ、絶対に】】
私達は、即座にそう返すと何処かに向かって歩いて行った。

「全部、思いだした、よ」
私はそう言って美海那の顔を見る。
驚いた表情のみんなと目が合うが、私はしっかりと美海那の顔を見て言う。
「思いだした。　美海、あなたでしょ？　みーちゃんって…」
美海那ははっとしたように私をみた。
そして私の一言が引き金になったのか、海斗も思いだしたと呟いていた。
「そうだ、俺らは神だ。　こんなに大事なことを何故忘れてたんだろうな」
海斗はそう呟くと、お母さんの方を向きながら両手を広げた。
「俺らは、お前を守るためにきたんだ❗　お前の近くにいることでお前を守ることができる。　だから、これからもよろしくな」
それはそれは眩しい笑顔でそう言うと、質問は？と聞いた。
「ありまくりよ❗　何がどうなってこうなった訳？　ええと…」
「ふふっ、かいくんもそこまでにしときなよ、お母さんが困ってるよ？」
私はそう言った後にこう続けた。
「別に、住む世界が違うんだから知らなくて良いこともあるよね。　これはそう言うことだから」
海斗は、でも…と言い淀んでいたが私が軽く睨むとすぐに諦めてくれた。
でも問題は山積みだ。
海斗が途中までお母さんに、じゃなくて咲苗さなえさんに話してしまったから誤魔化すことも難しいし、どうしたものか…
私は、悩みながら横目に咲苗さんのことを見る。
咲苗さんは、頭を抱えながらも必死に何かを考えていた。