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【お嬢達の母上殿よ】
今までずっと静かに見守っていた黒炎がそう切り出す。
黒炎の姿は普通の人には見えないが、黒炎の姿がお母さんにも見えるようにと七海と海斗が前に祈っていたのでお母さんにも黒炎の姿は見えていた。
【母上殿は一度死んだのですぞ。 つい先程、奇跡的に生き返りましたがな】
意を決して黒炎はお母さんにそう伝えた。
するとお母さんはきょとんとした表情になり、そしてすぐに顔色が真っ青になった。
「うっ、嘘よ❗ そんなはずないわ」
お母さんは、慌てたようにそう言うと胸に手を当てて鼓動を確認した。
「だってほらっ❗ 生きているもの」
お母さんはどうしても認めたくないのか、首を振っている。
「本当だよ、お母さん。 お母さんは死んじゃったの、でも」
泣き止んだ私は、そこまで言うと顔を上げた。
すると泣き止んでいた海斗も顔を上げると、私の言葉を続きを言った。
「でも、お母さんは生き返ったんだよ」
「どうやって…? だって死んでしまったら、人はもう生き返らないわ」
お母さんは、驚いた時と戸惑っている時の中間の複雑な表情をしてそう言った。
「「祈ったの❗ あのね、祈ればどんなことでも叶うんだよ」」
私達は顔を見合せて、「ね~」と微笑み合う。
お母さんは、怯えたような顔を私達に向けてこう言った。
「普通の人は、どんなに祈っても願いは叶わないわ。 あなた達は何者なの?」
私は海斗と顔を見合せ、心の中で海斗に聞いてみる。
『私達が何者か知ってる?』
そう聞けばすぐに答えがかえってきた。
『ううん、知らない。 でも、僕たちは人間だよ』
そうだよね、うんきっとそうだ。
「お母さん、私と海斗は人間で、他の人とはなにも変わらないよ」
【あ~、ちょっと待つのですお嬢。 お嬢達は普通の人間ではありませんぞ】
黒炎がそう言うと、お母さんが必死にこくこくと頷いた。
「そっ、そうよ、全然普通なんかじゃないわ。 だって、あなた達の気持ちが乱れれば雨が降ったり風が吹いたりしたじゃない。 他にも、二人だけ声に出さずに会話していたり。 あとは、祈ればどんなことでも叶うだなんて馬鹿げているわ」
お母さんは一気にそう言いきると、上を見た。
「ずっと気のせいだとか思い続けてきたけど、やっぱりおかしい。 あなた達やっぱり変よ」
私と海斗は顔も身体も強張らせて、ピシッと固まった。
私と海斗に唯一いつでも愛情を注いで大切にしてくれたお母さんに変って言われた。
そう思うと悲しくなってきた。
でも泣いてはいけない、それは海斗も同じ。
「海斗、泣いちゃダメ、だからね」
そう言う私の声も、震えていた。
今までずっと静かに見守っていた黒炎がそう切り出す。
黒炎の姿は普通の人には見えないが、黒炎の姿がお母さんにも見えるようにと七海と海斗が前に祈っていたのでお母さんにも黒炎の姿は見えていた。
【母上殿は一度死んだのですぞ。 つい先程、奇跡的に生き返りましたがな】
意を決して黒炎はお母さんにそう伝えた。
するとお母さんはきょとんとした表情になり、そしてすぐに顔色が真っ青になった。
「うっ、嘘よ❗ そんなはずないわ」
お母さんは、慌てたようにそう言うと胸に手を当てて鼓動を確認した。
「だってほらっ❗ 生きているもの」
お母さんはどうしても認めたくないのか、首を振っている。
「本当だよ、お母さん。 お母さんは死んじゃったの、でも」
泣き止んだ私は、そこまで言うと顔を上げた。
すると泣き止んでいた海斗も顔を上げると、私の言葉を続きを言った。
「でも、お母さんは生き返ったんだよ」
「どうやって…? だって死んでしまったら、人はもう生き返らないわ」
お母さんは、驚いた時と戸惑っている時の中間の複雑な表情をしてそう言った。
「「祈ったの❗ あのね、祈ればどんなことでも叶うんだよ」」
私達は顔を見合せて、「ね~」と微笑み合う。
お母さんは、怯えたような顔を私達に向けてこう言った。
「普通の人は、どんなに祈っても願いは叶わないわ。 あなた達は何者なの?」
私は海斗と顔を見合せ、心の中で海斗に聞いてみる。
『私達が何者か知ってる?』
そう聞けばすぐに答えがかえってきた。
『ううん、知らない。 でも、僕たちは人間だよ』
そうだよね、うんきっとそうだ。
「お母さん、私と海斗は人間で、他の人とはなにも変わらないよ」
【あ~、ちょっと待つのですお嬢。 お嬢達は普通の人間ではありませんぞ】
黒炎がそう言うと、お母さんが必死にこくこくと頷いた。
「そっ、そうよ、全然普通なんかじゃないわ。 だって、あなた達の気持ちが乱れれば雨が降ったり風が吹いたりしたじゃない。 他にも、二人だけ声に出さずに会話していたり。 あとは、祈ればどんなことでも叶うだなんて馬鹿げているわ」
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私と海斗に唯一いつでも愛情を注いで大切にしてくれたお母さんに変って言われた。
そう思うと悲しくなってきた。
でも泣いてはいけない、それは海斗も同じ。
「海斗、泣いちゃダメ、だからね」
そう言う私の声も、震えていた。
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