願いをおひとつ叶えます~仲良し姉弟の最高神が生まれ変わったのは人間の双子でした~

柴ちゃん

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泣きつかれて眠った二人を布団に寝かせたお母さんは、スマホを見ていた。
勿論次の就職先を探すためである。
だが、良い就職先はなかなか見つからないでいた。
とにかく晩御飯を済ませ、お風呂に入って早めに寝ることにしたお母さんは、布団の中で悩んでいた。
「家にはお金がない。 でもこの子達は食べ盛りだから沢山食べさせないと… そのためには…」
そのあと口が続きを紡ぐことなく、お母さんは静かに深い眠りについたのだった。

次の日、今日は土曜日なので学校には行かなくてよかった。
七海と海斗が目を醒ますとお母さんはまだ寝ていた。
二人はお母さんに近寄ると、ぴとっと引っ付いた。
だが、いつも抱き寄せてくれるお母さんの腕は動かない。
「お母さん? ねえ、起きてよ…」
「ねえってば、起きてよ」
二人がどんなに声をかけてもお母さんは目を醒まさない。
私が恐る恐るお母さんの胸に耳を当てると、わずかに心臓の音が聞こえた。
だが、それもどんどん小さくなっていく。
二人は声をかけ続けた。
そんな努力も虚しく、ついにお母さんの心臓は止まってしまった。
「「起きてよ❗ お願い、置いてかないで❗」」
二人はきれいに声をハモらせてそう言う。
外では、台風並の雨風が吹き荒れ始めていたが誰も気にしない。
二人にお父さんは居なかった。
お父さんは、産まれた私達の姿が普通ではないからと言って家を出ていったとお母さんには言われていた。
だから勿論、お父さんの顔なんて知らなかった。
私達は、身内のなかに外国人がいないにも関わらず、瞳の色は濃い青色だった。
例えると、瑠璃色に近い色だった。
そんなわけでシングルマザーの家庭で育った二人には、お母さんしか頼れる人が居なかった。
なのにそのお母さんも今死んでしまった。
二人は、泣きながら祈った。
私はどうかまたお母さんに抱き締めて貰えますようにと、そして海斗はまたお母さんの声を聞けますようにと。
二人は、一生懸命願った。
ここまで必死に願ったことは生まれてから一度もなかった。
二人は、泣きつかれて眠ってしまった。
だが、夢の中でも祈り続けた。
しっかりと片方ずつお母さんの手を握りながら…

〖久しぶりですね、二人とも〗
夢の中で不思議な女の人がそう言う。
「「あなたは誰?」」
隣にいた海斗と共にそう聞くと、女の人は微笑んだ。
〖そのうち分かりますよ。 それよりも、あなた達のお母さんを生き返らせたいのなら…をなさい〗
「えっ? なに?」
大事なところが聴こえなくて聞き返したが、返事をして貰う前に目が醒めてしまった。
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