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第七十話 『歓迎の宴』
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悪魔退治事業の立ち上げと、エルフの里で起こった騒動に加担したダークエルフの調査以来が書かれている書簡を、ダークエルフの里長へ届けに来た優斗たち。
しかし、ダークエルフの里長であるルクスから、思ってもいなかった事を言われた。
「次期里長の君に頼みがある。 私の中にいる悪魔を倒して欲しい」
少しだけ予想していたが、ダークエルフのルクスは悪魔を取り込んでいた。
情報では、悪魔が三体いる事が分かっている。
悪魔を倒して欲しいと宣ったルクスを真っ直ぐに見つめる。 僅かに笑みを浮かべるルクスからは、言葉の真意が読み取れない。
(……悪魔を倒して欲しいとか言ったか?)
『うん、そう言ったね』
後ろで控えている瑠衣やカークスたちも唖然としている。 隣で立っている華も同じ様な表情をしていた。
「貴方はっ、何を言っているんですかっ!」
自身の補佐官をチラリと見ただけで、ルクスは再び優斗を見つめた。
「私にはもう時間がない」
ルクスはユウェンを無視して話し出す。
「里長っ!」
「私の寿命はもう直ぐ尽きる。 そうなると、私の中にいる悪魔が身体を乗っ取るために出て来るだろう」
「寿命が尽きるっ……」
(えぇ、そんな歳なのかっ? やっぱり歳が分かりにくいなっ)
『……ダークエルフの寿命ってどれくらい?』
(ダークエルフも800ねんくらいいきるよ。 かれがしんだら、かくじつにまおうがうまれるっ)
優斗の頭の上で同化していたフィルから念話が届いた。
『そうなったら大惨事だねっ。 里には下僕に出来るダークエルフがいっぱいいるしっ。 魔王が爆誕するね。 魔族になれるダークエルフもいるしね』
(……っ)
握り締めた拳に、更に力が入る。 優斗の周囲で息を飲む音が鳴らされた。
ユウェンも想像していなかったのか、驚きを隠せないでいた。 何も知らされていなかった様だ。
「里長っ、どういう事ですかっ? 貴方はまだ800歳もいっていないっ! 600歳代のはずです。 寿命までまだ100年以上はあるはずですっ!」
(600歳代……悪魔を取り込んでどれくらないなのか分からないけど、寿命が早過ぎないか?)
グレーの瞳を閉じて、ルクスは小さく笑った。
「どういう事ですか?」
優斗の戸惑う様な声に、ルクスが視線を向けてくる。 グレーの瞳は何処か面白がっている様に見えた。
「悪魔が私の寿命を食べてしまってね。 寿命が減ったんだ」
執務室にいた全員が息を呑んだ。
「悪魔って寿命とか食べるのかっ……」
後ろで呟く瑠衣の声が届く。
「あまり時間がない、直ぐにでも私を殺して、悪魔を浄化して欲しい」
◇
話し合いは優斗たちが呆けている間に終わってしまった。 優斗たちが悪魔を浄化するまで帰してもらえない様だ。
優斗たちの間で話し合い、改めて返事をする事になった。
「いや、しかし本当の話なんだろうか?」
瑠衣の疑問が、優斗たちが滞在するにあたり、あてがわれた天幕の居間で発せられた。
「俺は本当だと思う。 嘘をついている様には見えなかった」
「私も次期里長と同じ意見です」
カークスたちも優斗の考えに同意した。
顔を上げた瑠衣と視線が合い、暫し見つめ合う。
「分かった。 皆が同じ意見なら、そうなんだろ」
瑠衣も嘘だとは思っていなかったが、皆に確認したかっただけなんだろう。
「……もしかしなくても、ダークエルフの里って、悪魔の支配下になってるっ?!」
仁奈の発言に、皆が彼女に注目する。
暫しの沈黙の後、瑠衣が呆れ半分、優しさ半分で口を開いた。
「そうだな、悪魔にとっては美味しい状況だな。 取り憑いたルクスさんが死ねば、身体が乗っ取れるし、周りのダークエルフを闇に落とせば、数千の下僕が出来上がる……一瞬で悪魔の里が出来上がって、魔王の爆誕だな」
驚きの表情を見せる仁奈に、瑠衣はニヤリと笑う。
「それに、エルフの騒動に加担したのは、ダークエルフの里長であるルクスさんの指示だろう」
「マジデスカ?」
「マジです」
カタコトで質問した仁奈に、瑠衣は真面目な様子で答えた。 瑠衣は少し茶化したが、言葉にすると物凄い状況だ。
『一刻の猶予もないって感じ』
監視スキルのおどけた声に、優斗は息を大きく吐き出した。
「憶測だけど、ルクスさんの願いを聞く限り、自身の悪魔を浄化してくれる人を探す為に、エルフの里に手を出したのかも知れない」
悪魔の巣になろうとしている場所に、自ら飛び込んだ形になったが、ルクスは優斗たちを丁寧に扱う様、戦士隊に伝えていた。
優斗たちの見張りなのか、護衛なのか、付いた戦士隊は悪魔も取り憑いていなし、悪魔を取り込んだ者、エトが操っている下僕でもない様だ。
脳内で立体地図を広げ、全ての戦士隊を敵認証していく。
ダークエルフの里は中央にルクスたち幹部が暮らす大きな天幕があり、一回り小さい天幕が周囲に作られている。
ルクス達の天幕を中心として、数個の天幕を集めて建てられ、周囲に点在して広がっている。 エルフの様に集落は無く、ただ広い草原がダークエルフの里の様だ。
優斗たちは東端に位置する空いている天幕をあてがわれた。
立体地図を眺めていると、周波数の高い音が耳に届く。 顔を上げた優斗は周囲を見回した。
「何の音だ?」
地面から魔力が湧き出す感覚を覚え、皆がソファーから立ち上がった。
優斗の脳内で広がった立体地図では、草原の草地に魔法陣が描き出されていた。
「……草原いっぱいに魔法陣が広がってるっ……」
優斗の呟きに瑠衣たちの視線が注目し、息を呑む。
『ユウト、結界を張られたっ! 結界を張った奴を倒さない限り、草原から出られないよっ!』
「……! 結界が張られた……結界を張った人間を倒さない限り、俺たちはこの草原から出られないっ」
「誰がそんな事って……犯人はあいつしかいないかっ」
「ああ、ルクスさんの魔力を感じるっ」
「まぁ、でもこれで覚悟が出来たんじゃない?」
フィルの明るい声が天幕の居間で響く。
「そうね、もう、ルクスたちを倒すしかないもの。 三体って言ってたし、ルクスにエト、後はユウェンって人だろうし、そうね、先ずはエトから倒しましょう。 まぁ、彼女の方から来そうだけど」
フィンが簡単に宣う。
「いや、でも、あの精神攻撃をどうやって交わすかが問題よ」
皆が仁奈の意見に同意にする。
『ユウト、戦士隊が来た』
立体地図にも天幕の入り口で立っている戦士隊が表示され、モニター画面にも映された。
「カークス、俺たちに用があるみたいだ。 戦士隊が来る」
優斗の言葉の後、扉がノックされた。
優斗達の天幕は、入ると直ぐに居間がある。 カークスは優斗に頷くと、エウロスに合図を送った。
頷き返したエウロスが対応に出る事になった。 監視スキルの敵認定では、下僕に落ちていない戦士隊だから大丈夫だろう。
「失礼致します。 皆様を歓迎する宴の準備が出来ましたので、どうぞ中央広場の方へお越し下さい」
緊張していた皆が、思ってもいなかった事なので、「歓迎の宴」と聞き、あんぐりと口を開けた。
「えっ、宴?」
◇
中央広場ではエルフの使者を歓迎する宴が繰り広げられている。
ダークエルフは芸術や音楽に長けている者が多い。 そして、防壁のエキスパートもである。 張られた結界は、魔物や悪魔も通さない。 長きに渡りダークエルフを守って来た。
執務室で仕事をしているルクスの元にも賑やかな音楽や話し声が聞こえて来ていた。
ルクスの家は防壁結界に長けた家門だ。
先祖代々、ダークエルフの草原に結界を張り、里の仲間を守って来た。
「里長、先程の話は何ですかっ?!」
「先程とは?」
「貴方の中の悪魔を殺してくれという事ですっ!」
ルクスから息が吐きだされた。
「では、お前は自身の命が尽きた後、どうすればいいか考えているか?」
「……それはっ」
「死んだ後、お前は魔王になるのか?」
無言で見つめ合うルクスとユウェン。
「……エルフの里に手を出したのは、魔王を倒せる相手を探していたからですか?」
「そうだ」
ユウェンの拳が強く握り締められる。
「すまん。 黙っていて……しかし、本当に時間がないんだ」
「……私は何の為に悪魔を取り込んでっ」
「あの時は、仕方なかった。 あんなに大勢が一度に悪魔に襲われる事は、想定していなかったっ……結界を越えられる悪魔が居るなど、思いもしなかったっ」
「ええ、そうですっ……私たちが悪魔を取り込めなければっ……あの時に全滅してましたからっ。 しかし、貴方を亡くす事は、賛成できませんっ」
眉を顰めたユウェンは踵を返す。
「エトも歪んできている。 もう、我々は限界だっ。 ユウェンも覚悟を決めてくれ」
ルクスの中で悪魔が楽しそうに笑う声が聞こえる。
返事もせず、ユウェンは執務室を出て行った。 執務室ではルクスの溜め息が落とされた。
◇
優斗たちの目の前で、ダークエルフの若い娘たちが竪琴の音色に合わせ、踊りを披露している。
宴には沢山の料理が提供され、優斗達も最初は遠慮がちだったが、宴の雰囲気に流され、最終的には宴を楽しんだ。
「……なんか、変な感じだなっ」
「俺らって、里長を殺してくれって頼まれてんだよな?」
黙って頷く優斗。
脳内では立体地図が広がっていて、楽しんではいたが、内心では敵に囲まれての食事は居心地が悪かった。
特に、エトの動向が気になった。
彼女は表立って攻撃はして来なかったが、下僕を集めて何かを企んでいる様だ。
「エルフの次期里長は、お若いのぅ」
手に地酒を持った三十代くらいのダークエルフが近寄って来た。
見た目は三十代でも、中身はきっと、700歳は超えている。 話し方も語尾が伸びていて、仙人の様な話し方だ。
「あ、はい。 まだ、若輩者で成人したばかりです」
「ほう、そんなに若いのかっ」
「若いというより、まだまだヒヨコだな」
もう一人、中身老人と思われるダークエルフが加わった。 最初に話しかけて来たダークエルフが眉尻を下げる。
「エルフという事は、悪魔を浄化できるのかのぅ?」
「はい、出来ます」
隣に座っていた華が答えた。
「そうかっ、じゃ、どうか我らが里長を助けてほしいんじゃ」
優斗たちは視線を交わし合った。
「えっと、皆さんはルクスさんたちが悪魔を取り込んだ事をご存知なんですか?」
「ああ、勿論だ」
「あれは、大きな『災害』だった様なもんじゃ」
「災害……」
カークスと視線を合わすと、エウロスたちを連れ、里の皆に聞き込みに走った。
信じていないわけではないが、何事も裏は取った方がいい。
「あれらが悪魔を取り込んだのは、里を守る為じゃ。 あやつらが悪魔を取り込む事に成功していなければ、ダークエルフの里は全滅していた」
「其方たちが来たのも、創造主様の思し召しだ」
「頼む、ルクスたちを悪魔から解放して、助けてやってほしい」
いつの間にか、優斗たちの前には沢山のダークエルフたちが集まっていた。
「……えとっ」
(フィル、ルクスさん達から悪魔を抜いたら、抜け殻になったりしないかっ?)
フィルに念話を飛ばす。 優斗の膝の上に座り、忙しく口と手を動かしている。
隣に座っている華の膝の上に座っているフィンも同じ様子だった。
(う~ん、悪魔がどれくらい浸透しているかで変わるね)
(そうかっ)
「あの、ルクスさん達はどれくらいの間、悪魔を取り込んでいるんですか? 長期間だと、悪魔の浸透率で無事では済まないと思います」
「……大体、300年くらいじゃ」
「300年ですかっ……」
『あぁ、もう魔王になるの確実だね』
(……厳しいねっ)
300年と聞き、皆が静まり返った。
「分かっている。 多くは望まない。 あいつらを魔王にしたくないんじゃ。 ダークエルフとして、死なせてやりたい」
「わしらが出来るお礼は必ずする」
最初に話しかけて来た中身仙人と中身老人が切実に訴えくる。 集まった沢山のダークエルフも優斗たちに頭を下げた。
「優斗」
華の眼差しが何を言いたいのか分かった。 優斗もただルクス達を倒すだけでは駄目なのだと悟った。
「分かりました。 俺たちがやれるだけの事はします。 お礼は今後、立ち上げる事業を手伝って下さい」
「事業?」
「はい、私達は創造主様から直々に勅命を受けました」
優斗が出した創造主の名前に、ダークエルフ一同は驚きを隠せないでいた。
「創造主様は何の事業をしろと?」
「悪魔退治の事業です。 エルフの里だけで無く、ダークエルフ、人族の国でもです」
人族の事を口に出すと、拒否反応を示すだろうと思っていたが、主さまがルクス達の救済を優斗たちに託したと思ったらしく、皆はとても喜んだ。
「あの、人族との確執があって、関係が悪い事は知っています。 エルフの里でも、何故、人族を助けないといけないのかと言われましたし、ただ、我々が表立つと、ダークエルフにも迷惑が掛かると思います」
「その事を踏まえて、敢えて言います。 私達の悪魔退治事業に協力して下さいっ」
最初に話しかけてくれたダークエルフが考えるポーズをした後、口を開いた。
「分かりました。 先ずは、ルクス達を助けてほしい。 その後、事業について話し合いましょう」
「「「「ありがとうございますっ」」」」
話の後、フィルとフィンが主さまの使いだと知り、二人はダークエルフに囲まれ、揉みくちゃにされていた。
宴の翌日、優斗たちはルクスから執務室に呼び出されていた。 ユウェンはあったが、エトの姿はなかった。
「気持ちは固まったか?」
「先ず、聞きたい事があります」
予想していたのか、ルクスは快く頷いた。
「何だ?」
「昨夜の宴で、ルクスさん達が里を守る為に悪魔を取り込んだと聞きました」
「それで、私達は里の皆さんからルクスさん達を助けてほしいと頼まれました」
昨日の時点では、皆、何も聞かずに倒す気でいたが、歓迎の宴の中でルクスが里の皆に親しまれている事を知った。
里の話を聞くと、ルクスとユウェンは苦笑を溢した。
「それに、張られた結界はルクスさんを倒さないと、解除されないでしょう?」
安易に、優斗は自分たちを閉じ込めただろうと微笑んだ。
にっと笑ったルクスは、結界の意図を正しく理解し気づいた優斗を見て、何処か嬉しそうだった。
「中々、鋭いな」
「俺たちは里の皆さんの願い通り、ルクスさん達を助けたいと思います。 どのくらい悪魔に侵食されてますか?」
「我々には時間がない。 これで察してほしい。 エトは侵食が進んでいるから、引き剥がせないかも知れない」
「分かりました。 では、ルクスさんとユウェンさんは助かる希望があるという事ですね」
ルクスは瞳を細め、ユウェンは視線を逸らした。 二人の様子で彼らも難しいかも知れないと察した。
「浄化の日は、後日に知らせる」
「……分かりましたっ」
悪魔を取り込んだダークエルフ三人の浄化は、三日後に決まった。
しかし、ダークエルフの里長であるルクスから、思ってもいなかった事を言われた。
「次期里長の君に頼みがある。 私の中にいる悪魔を倒して欲しい」
少しだけ予想していたが、ダークエルフのルクスは悪魔を取り込んでいた。
情報では、悪魔が三体いる事が分かっている。
悪魔を倒して欲しいと宣ったルクスを真っ直ぐに見つめる。 僅かに笑みを浮かべるルクスからは、言葉の真意が読み取れない。
(……悪魔を倒して欲しいとか言ったか?)
『うん、そう言ったね』
後ろで控えている瑠衣やカークスたちも唖然としている。 隣で立っている華も同じ様な表情をしていた。
「貴方はっ、何を言っているんですかっ!」
自身の補佐官をチラリと見ただけで、ルクスは再び優斗を見つめた。
「私にはもう時間がない」
ルクスはユウェンを無視して話し出す。
「里長っ!」
「私の寿命はもう直ぐ尽きる。 そうなると、私の中にいる悪魔が身体を乗っ取るために出て来るだろう」
「寿命が尽きるっ……」
(えぇ、そんな歳なのかっ? やっぱり歳が分かりにくいなっ)
『……ダークエルフの寿命ってどれくらい?』
(ダークエルフも800ねんくらいいきるよ。 かれがしんだら、かくじつにまおうがうまれるっ)
優斗の頭の上で同化していたフィルから念話が届いた。
『そうなったら大惨事だねっ。 里には下僕に出来るダークエルフがいっぱいいるしっ。 魔王が爆誕するね。 魔族になれるダークエルフもいるしね』
(……っ)
握り締めた拳に、更に力が入る。 優斗の周囲で息を飲む音が鳴らされた。
ユウェンも想像していなかったのか、驚きを隠せないでいた。 何も知らされていなかった様だ。
「里長っ、どういう事ですかっ? 貴方はまだ800歳もいっていないっ! 600歳代のはずです。 寿命までまだ100年以上はあるはずですっ!」
(600歳代……悪魔を取り込んでどれくらないなのか分からないけど、寿命が早過ぎないか?)
グレーの瞳を閉じて、ルクスは小さく笑った。
「どういう事ですか?」
優斗の戸惑う様な声に、ルクスが視線を向けてくる。 グレーの瞳は何処か面白がっている様に見えた。
「悪魔が私の寿命を食べてしまってね。 寿命が減ったんだ」
執務室にいた全員が息を呑んだ。
「悪魔って寿命とか食べるのかっ……」
後ろで呟く瑠衣の声が届く。
「あまり時間がない、直ぐにでも私を殺して、悪魔を浄化して欲しい」
◇
話し合いは優斗たちが呆けている間に終わってしまった。 優斗たちが悪魔を浄化するまで帰してもらえない様だ。
優斗たちの間で話し合い、改めて返事をする事になった。
「いや、しかし本当の話なんだろうか?」
瑠衣の疑問が、優斗たちが滞在するにあたり、あてがわれた天幕の居間で発せられた。
「俺は本当だと思う。 嘘をついている様には見えなかった」
「私も次期里長と同じ意見です」
カークスたちも優斗の考えに同意した。
顔を上げた瑠衣と視線が合い、暫し見つめ合う。
「分かった。 皆が同じ意見なら、そうなんだろ」
瑠衣も嘘だとは思っていなかったが、皆に確認したかっただけなんだろう。
「……もしかしなくても、ダークエルフの里って、悪魔の支配下になってるっ?!」
仁奈の発言に、皆が彼女に注目する。
暫しの沈黙の後、瑠衣が呆れ半分、優しさ半分で口を開いた。
「そうだな、悪魔にとっては美味しい状況だな。 取り憑いたルクスさんが死ねば、身体が乗っ取れるし、周りのダークエルフを闇に落とせば、数千の下僕が出来上がる……一瞬で悪魔の里が出来上がって、魔王の爆誕だな」
驚きの表情を見せる仁奈に、瑠衣はニヤリと笑う。
「それに、エルフの騒動に加担したのは、ダークエルフの里長であるルクスさんの指示だろう」
「マジデスカ?」
「マジです」
カタコトで質問した仁奈に、瑠衣は真面目な様子で答えた。 瑠衣は少し茶化したが、言葉にすると物凄い状況だ。
『一刻の猶予もないって感じ』
監視スキルのおどけた声に、優斗は息を大きく吐き出した。
「憶測だけど、ルクスさんの願いを聞く限り、自身の悪魔を浄化してくれる人を探す為に、エルフの里に手を出したのかも知れない」
悪魔の巣になろうとしている場所に、自ら飛び込んだ形になったが、ルクスは優斗たちを丁寧に扱う様、戦士隊に伝えていた。
優斗たちの見張りなのか、護衛なのか、付いた戦士隊は悪魔も取り憑いていなし、悪魔を取り込んだ者、エトが操っている下僕でもない様だ。
脳内で立体地図を広げ、全ての戦士隊を敵認証していく。
ダークエルフの里は中央にルクスたち幹部が暮らす大きな天幕があり、一回り小さい天幕が周囲に作られている。
ルクス達の天幕を中心として、数個の天幕を集めて建てられ、周囲に点在して広がっている。 エルフの様に集落は無く、ただ広い草原がダークエルフの里の様だ。
優斗たちは東端に位置する空いている天幕をあてがわれた。
立体地図を眺めていると、周波数の高い音が耳に届く。 顔を上げた優斗は周囲を見回した。
「何の音だ?」
地面から魔力が湧き出す感覚を覚え、皆がソファーから立ち上がった。
優斗の脳内で広がった立体地図では、草原の草地に魔法陣が描き出されていた。
「……草原いっぱいに魔法陣が広がってるっ……」
優斗の呟きに瑠衣たちの視線が注目し、息を呑む。
『ユウト、結界を張られたっ! 結界を張った奴を倒さない限り、草原から出られないよっ!』
「……! 結界が張られた……結界を張った人間を倒さない限り、俺たちはこの草原から出られないっ」
「誰がそんな事って……犯人はあいつしかいないかっ」
「ああ、ルクスさんの魔力を感じるっ」
「まぁ、でもこれで覚悟が出来たんじゃない?」
フィルの明るい声が天幕の居間で響く。
「そうね、もう、ルクスたちを倒すしかないもの。 三体って言ってたし、ルクスにエト、後はユウェンって人だろうし、そうね、先ずはエトから倒しましょう。 まぁ、彼女の方から来そうだけど」
フィンが簡単に宣う。
「いや、でも、あの精神攻撃をどうやって交わすかが問題よ」
皆が仁奈の意見に同意にする。
『ユウト、戦士隊が来た』
立体地図にも天幕の入り口で立っている戦士隊が表示され、モニター画面にも映された。
「カークス、俺たちに用があるみたいだ。 戦士隊が来る」
優斗の言葉の後、扉がノックされた。
優斗達の天幕は、入ると直ぐに居間がある。 カークスは優斗に頷くと、エウロスに合図を送った。
頷き返したエウロスが対応に出る事になった。 監視スキルの敵認定では、下僕に落ちていない戦士隊だから大丈夫だろう。
「失礼致します。 皆様を歓迎する宴の準備が出来ましたので、どうぞ中央広場の方へお越し下さい」
緊張していた皆が、思ってもいなかった事なので、「歓迎の宴」と聞き、あんぐりと口を開けた。
「えっ、宴?」
◇
中央広場ではエルフの使者を歓迎する宴が繰り広げられている。
ダークエルフは芸術や音楽に長けている者が多い。 そして、防壁のエキスパートもである。 張られた結界は、魔物や悪魔も通さない。 長きに渡りダークエルフを守って来た。
執務室で仕事をしているルクスの元にも賑やかな音楽や話し声が聞こえて来ていた。
ルクスの家は防壁結界に長けた家門だ。
先祖代々、ダークエルフの草原に結界を張り、里の仲間を守って来た。
「里長、先程の話は何ですかっ?!」
「先程とは?」
「貴方の中の悪魔を殺してくれという事ですっ!」
ルクスから息が吐きだされた。
「では、お前は自身の命が尽きた後、どうすればいいか考えているか?」
「……それはっ」
「死んだ後、お前は魔王になるのか?」
無言で見つめ合うルクスとユウェン。
「……エルフの里に手を出したのは、魔王を倒せる相手を探していたからですか?」
「そうだ」
ユウェンの拳が強く握り締められる。
「すまん。 黙っていて……しかし、本当に時間がないんだ」
「……私は何の為に悪魔を取り込んでっ」
「あの時は、仕方なかった。 あんなに大勢が一度に悪魔に襲われる事は、想定していなかったっ……結界を越えられる悪魔が居るなど、思いもしなかったっ」
「ええ、そうですっ……私たちが悪魔を取り込めなければっ……あの時に全滅してましたからっ。 しかし、貴方を亡くす事は、賛成できませんっ」
眉を顰めたユウェンは踵を返す。
「エトも歪んできている。 もう、我々は限界だっ。 ユウェンも覚悟を決めてくれ」
ルクスの中で悪魔が楽しそうに笑う声が聞こえる。
返事もせず、ユウェンは執務室を出て行った。 執務室ではルクスの溜め息が落とされた。
◇
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宴には沢山の料理が提供され、優斗達も最初は遠慮がちだったが、宴の雰囲気に流され、最終的には宴を楽しんだ。
「……なんか、変な感じだなっ」
「俺らって、里長を殺してくれって頼まれてんだよな?」
黙って頷く優斗。
脳内では立体地図が広がっていて、楽しんではいたが、内心では敵に囲まれての食事は居心地が悪かった。
特に、エトの動向が気になった。
彼女は表立って攻撃はして来なかったが、下僕を集めて何かを企んでいる様だ。
「エルフの次期里長は、お若いのぅ」
手に地酒を持った三十代くらいのダークエルフが近寄って来た。
見た目は三十代でも、中身はきっと、700歳は超えている。 話し方も語尾が伸びていて、仙人の様な話し方だ。
「あ、はい。 まだ、若輩者で成人したばかりです」
「ほう、そんなに若いのかっ」
「若いというより、まだまだヒヨコだな」
もう一人、中身老人と思われるダークエルフが加わった。 最初に話しかけて来たダークエルフが眉尻を下げる。
「エルフという事は、悪魔を浄化できるのかのぅ?」
「はい、出来ます」
隣に座っていた華が答えた。
「そうかっ、じゃ、どうか我らが里長を助けてほしいんじゃ」
優斗たちは視線を交わし合った。
「えっと、皆さんはルクスさんたちが悪魔を取り込んだ事をご存知なんですか?」
「ああ、勿論だ」
「あれは、大きな『災害』だった様なもんじゃ」
「災害……」
カークスと視線を合わすと、エウロスたちを連れ、里の皆に聞き込みに走った。
信じていないわけではないが、何事も裏は取った方がいい。
「あれらが悪魔を取り込んだのは、里を守る為じゃ。 あやつらが悪魔を取り込む事に成功していなければ、ダークエルフの里は全滅していた」
「其方たちが来たのも、創造主様の思し召しだ」
「頼む、ルクスたちを悪魔から解放して、助けてやってほしい」
いつの間にか、優斗たちの前には沢山のダークエルフたちが集まっていた。
「……えとっ」
(フィル、ルクスさん達から悪魔を抜いたら、抜け殻になったりしないかっ?)
フィルに念話を飛ばす。 優斗の膝の上に座り、忙しく口と手を動かしている。
隣に座っている華の膝の上に座っているフィンも同じ様子だった。
(う~ん、悪魔がどれくらい浸透しているかで変わるね)
(そうかっ)
「あの、ルクスさん達はどれくらいの間、悪魔を取り込んでいるんですか? 長期間だと、悪魔の浸透率で無事では済まないと思います」
「……大体、300年くらいじゃ」
「300年ですかっ……」
『あぁ、もう魔王になるの確実だね』
(……厳しいねっ)
300年と聞き、皆が静まり返った。
「分かっている。 多くは望まない。 あいつらを魔王にしたくないんじゃ。 ダークエルフとして、死なせてやりたい」
「わしらが出来るお礼は必ずする」
最初に話しかけて来た中身仙人と中身老人が切実に訴えくる。 集まった沢山のダークエルフも優斗たちに頭を下げた。
「優斗」
華の眼差しが何を言いたいのか分かった。 優斗もただルクス達を倒すだけでは駄目なのだと悟った。
「分かりました。 俺たちがやれるだけの事はします。 お礼は今後、立ち上げる事業を手伝って下さい」
「事業?」
「はい、私達は創造主様から直々に勅命を受けました」
優斗が出した創造主の名前に、ダークエルフ一同は驚きを隠せないでいた。
「創造主様は何の事業をしろと?」
「悪魔退治の事業です。 エルフの里だけで無く、ダークエルフ、人族の国でもです」
人族の事を口に出すと、拒否反応を示すだろうと思っていたが、主さまがルクス達の救済を優斗たちに託したと思ったらしく、皆はとても喜んだ。
「あの、人族との確執があって、関係が悪い事は知っています。 エルフの里でも、何故、人族を助けないといけないのかと言われましたし、ただ、我々が表立つと、ダークエルフにも迷惑が掛かると思います」
「その事を踏まえて、敢えて言います。 私達の悪魔退治事業に協力して下さいっ」
最初に話しかけてくれたダークエルフが考えるポーズをした後、口を開いた。
「分かりました。 先ずは、ルクス達を助けてほしい。 その後、事業について話し合いましょう」
「「「「ありがとうございますっ」」」」
話の後、フィルとフィンが主さまの使いだと知り、二人はダークエルフに囲まれ、揉みくちゃにされていた。
宴の翌日、優斗たちはルクスから執務室に呼び出されていた。 ユウェンはあったが、エトの姿はなかった。
「気持ちは固まったか?」
「先ず、聞きたい事があります」
予想していたのか、ルクスは快く頷いた。
「何だ?」
「昨夜の宴で、ルクスさん達が里を守る為に悪魔を取り込んだと聞きました」
「それで、私達は里の皆さんからルクスさん達を助けてほしいと頼まれました」
昨日の時点では、皆、何も聞かずに倒す気でいたが、歓迎の宴の中でルクスが里の皆に親しまれている事を知った。
里の話を聞くと、ルクスとユウェンは苦笑を溢した。
「それに、張られた結界はルクスさんを倒さないと、解除されないでしょう?」
安易に、優斗は自分たちを閉じ込めただろうと微笑んだ。
にっと笑ったルクスは、結界の意図を正しく理解し気づいた優斗を見て、何処か嬉しそうだった。
「中々、鋭いな」
「俺たちは里の皆さんの願い通り、ルクスさん達を助けたいと思います。 どのくらい悪魔に侵食されてますか?」
「我々には時間がない。 これで察してほしい。 エトは侵食が進んでいるから、引き剥がせないかも知れない」
「分かりました。 では、ルクスさんとユウェンさんは助かる希望があるという事ですね」
ルクスは瞳を細め、ユウェンは視線を逸らした。 二人の様子で彼らも難しいかも知れないと察した。
「浄化の日は、後日に知らせる」
「……分かりましたっ」
悪魔を取り込んだダークエルフ三人の浄化は、三日後に決まった。
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