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第四十八話 『今、身体が勝手にっ……動いた?』
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ティオスが華へ手を伸ばす様子を視界で捕らえ、頭上からはディプスの土剣が振り下ろされる。
優斗の頭の上で軽く弾ける音が鳴り、頭上から飛び上がると、小さく躍動した。 フィルが銀色の美少年に姿を変え、ディプスの土剣を素手で受け止める。 弾力のある身体が土剣を柔らかく包み込む。
「華っ!!」
『ユウトっ! ハナは大丈夫だよ。 僕が絶対にあいつを近づけさせないっ!』
(ユウトっ! 僕が抑えているから……早く、黒い心臓を見つけてっ! 魔道具の発動をっ……)
脳内でフィルの声が聞こえ、振り仰ぐ。 フィルはディプスの土剣にしがみつき、足をディプスの腕に絡めていた。 ディプスはフィルを振り落とそうと、腕を上下に大きく振っていた。
脳内のモニター画面に映し出された映像で、ティオスが結界に阻まれ、顔を歪めている様子が分かった。 華とティオスの会話が聞こえて来て、優斗も眉をしかめる。
そして、監視スキルの声が脳内でアナウンスされた。
『虫よけ結界の強度が限界突破しました。 一定の距離を超えて来た敵(虫)を攻撃します。 虫除けスプレー噴射の準備ができました。 いつでも噴射できます。 噴射するスプレーを選んで下さい』
(ん? 今、敵と書いて虫って言わなかったかっ……)
華の周囲で発動された結界が強化の限界を超え、硬度が増した。 何かが詰まって行くような音を鳴らして、結界が光り輝く。 結界は、一定の距離を保たないと、相手を攻撃する設定がされた。
『ハナの事は任せてっ! 今はディプスに集中するんだっ!』
(分かった……任せたぞっ!)
『で、虫除けスプレーの種類は何にするの?』
(……っ、殺虫スプレーは無しとして、睡眠か、気絶かのどっちだなっ)
何にするか悩んだ末、いつもの気絶スプレーを選んだ。 監視スキルは少しだけ不満の色が混じった声を出したが、渋々了承した様だ。
(ティオスを殺すわけにはいかないからな、我慢してくれ)
フィルが限界の声を上げる。 優斗の視界に銀色の足跡が入り、足跡を踏んでディプスの懐へ入る。
手袋の魔道具を発動し握り込むと、ディプスの鳩尾へ叩きつけた。 丁度、フィルが振り落とされたと同時だった。 フィルに気が散っていたディプスの口から、息の詰まった様な音が漏れる。
ディプスが吹っ飛ばされていく様子を眺めながら、黒い心臓を探す。 優斗の白銀の瞳に魔力が宿り、ディプスの身体が透けていく。 黒い心臓を視界に捉えた。
二本の木製短刀に氷と炎を纏わせ、直ぐにクロスした氷と炎の刃を黒い心臓目掛けて飛ばす。
ディプスが立ち上がった時には、もう目の前にクロスした氷と炎の刃が迫っていた。 口元に笑みを浮かべたディプスの白銀の瞳に魔力が宿り、土魔法が放たれる。
ディプスは土壁を一瞬で作り上げ、同時に大量の土礫を優斗へ放った。
優斗の視界に大量の土礫が入り、土礫の向こう側で、クロス状の氷と炎の刃が土壁に潰された様子が霞んで見えた。 大量の土礫の隙間から黒い人影が見え隠れする。
土剣が優斗の首元を掠める。 優斗は影を視界に捉えていたが、攻撃を避けられる様な余裕はなかった。 身体が優斗の意思を無視して勝手に動いたのだ。
(今、身体が勝手にっ……動いた?)
攻撃を避けられるとは思っていなかったディプスの白銀の瞳が大きく見開かれる。
再び、優斗の身体が勝手に動く。 銀色の足跡を踏んで踏み込むと、木製短刀がディプスの黒い心臓を狙う。 強く短刀を握り込んだ優斗は、柄に手を添えてディプスの黒い心臓を刺した。
黒い心臓を刺したのだが、刺した感触がしない。 土にスコップを差し入れた様な感触に、優斗は眉をしかめた。 ディプスは己の身体を土に変えていた。
『えっ!! 身体が……土に』
「……」
人が土に変わり、また人へ戻って行く見た事もない様子を口を大きく開けて見守ってしまった。
まさか、人が土になるとは思っていもいなかったのだ。 先程、自身の身体が勝手に動いた事など、すっかり忘れて信じられない思いでいた。 監視スキルも驚きを隠せない気配をさせていた。
「うわぁ、凄いなっ! あんなの初めて見た」
フィルが優斗のそばへ駆け寄り、感心したような声を上げた。 そして、再びスライムに姿を変え、優斗の頭上へ飛び上がって乗って来た。 弾力のある物体の感触が頭上で跳ねた。
「フィル、さっきはありがとうな。 助かったよ。 怪我はないか?」
「うん、だいじょうぶだよ。 ユウトのあたまは、ぼくがまもるからね!」
「……ああ、ありがとう……」
何となく素直に喜べない優斗は、自身がひねくれているのだろうかと思ったが、考え事をしている余裕はなかった。 ディプスが土剣を作り出し、攻撃の態勢に入ったからだ。
息を深く吐いて、心を落ち着けてディプスを見つめる。
「よしっ、黒い心臓も見える。 今度こそ、悪魔をディプスから引っ張り出すっ!」
「うん」
『気合い入れて頑張ろうっ!』
◇
一方、華はとティオスはどうしているのか。
結界に阻まれたティオスは、眉を歪めた。 自身の弾かれた手を見つめ、結界に触れた箇所が赤くはれていた。 少しだけ痺れる様な感覚もある。 華と、世界樹ダンジョンから戻った時に連れていた銀色の美少女が視界に入る。
(これがパレストラの言っていた結界か……。 確かに硬くて、近づけないなんて、厄介な能力だ)
「エレクトラ、少しだけ話し合おう。 それで、出来ればその結界を解いてほしい」
ティオスの声を聴いた結界は、拒絶するように一瞬だけ光を放つ。 しかし、警戒したような表情を浮かべたエレクトラは、一歩後ずさる様子を見せた。 銀色の美少女は、何も言葉を発しないが、ティオスを警戒している様な表情を浮かべていた。 とても子供には見えない。
「エレクトラ、僕が優しく言っている間に、大人しく言う事を聞いた方がいい。 彼も直ぐにディプスに倒されるだろう」
エレクトラを視線だけで促し、エレクトラの婚約者が苦戦している様子を見せた。 エレクトラの瞳が大きく見開かれる。 しかし、エレクトラは毅然とした態度でティオスと向かい合った。
「優斗は負けないわ。 私は優斗を信じているから。 ティオス、お願い投降して。 父を……里長を開放して」
「……エレクトラ」
エレクトラの感情を読み取っているのか、結界の壁がティオスを拒絶するように煌めく。
(あの魔力……エレクトラの魔力にしては大きいような……まさかっ)
ディプスと戦っている優斗へ視線をやり、優斗の魔力を感知する。 エレクトラの周囲で漂っている魔力と優斗の魔力が同じだと気づく。
「そうか……その結界は彼の能力か……彼がエレクトラを守っているって事だね」
「ティオス……」
「でも、彼が死ねば、その結界も解けるよね。 気絶する魔法を放てる様だけど……彼、戦いに夢中だし、こちらを気遣う余裕はなさそうだ」
にっこり笑みを浮かべたティオスを、エレクトラは恐れおののくような表情で見つめて来た。
◇
ティオスの浮かべた笑みに、華は背筋が凍る思いだった。 今のティオスに何を言っても無駄なような気がして、何とか話し合いで済ましたかったが、無理なようだ。
(ティオス、なんでこんな風に育ったのっ……昔はあんなに可愛かったのにっ)
華の脳裏に、幼い頃のティオスが思い出される。 ずっと弟の様に思ってきたティオスが、顔を歪に歪めた様な笑みを浮かべる。 前世で弟がいた華は、ティオスを弟と重ねて見ていた。
(……それが駄目だったんだろうな。 ティオスがこんな風になったのは、私の所為だ。 私がちゃんと、ティオスに引導を渡さないとっ)
ずっと黙っていたフィンが脳内に念話を送って来た。
(ハナの所為じゃないわ。 あんな風に育ったのは、彼が闇に落ちたからよ)
(うん、分かってる。 でも、きっと私の事も少なからず、影響しているのよ)
(ハナ)
「ティオス、優斗は死なないわ。 私は貴方とは結婚できません。 ティオスの境遇は同情するけれど……。 貴方がした事は、許される事ではありません。 ティオス、貴方を捕らえます」
華の言葉と同時に、いつの間にか、ティオスの配下を下へ落とし終えた瑠衣と仁奈がそばに来ていた。 フィンが華の気持ちを察して、瑠衣と仁奈を瞳を細めて避難の眼差しを向けていた。
「フィン、そんな顔するなよ。 ちゃんと下で受け止めてるから。 まぁ、仁奈の雷魔法で感電はしているだろうけどな」
「雷魔法のネットを下に張っておいたのよ。 だから、落とした皆は死んでないわよ」
「仁奈、それも酷いよ……」
「俺の風魔法で閉じ込めている奴もいるしな」
「……」
結界に弾かれず、結界の中へ入れた瑠衣と仁奈の二人をティオスは瞳を見開いて見つめて来た。
『なるほど』と呟いたティオスは、少しだけ寂しそうな笑みを浮かべた。 ティオスも自覚していない様で、自然に出た表情の様だ。
そばで仁奈と瑠衣がアイコンタクトで会話する気配を感じ、華は二人がティオスを捕らえる為、邪魔にならない様、静かに瑠衣と仁奈から離れた。
◇
脳内に流れる映像で、華たちの会話を聞いていた優斗は、ディプスの攻撃を避けながら、内心でげんなりしていた。
『いつの間に、そんな事してたんだろう。 でも、えぐい事には変わりないね』
(ほんとうだよね。 さすがルイだよ、はらぐろいっ!)
(落とされた人たち、ショック死してなければいいけどなっ)
監視スキルとフィルの声が脳内で響く中、優斗は目の前のディプスに集中した。
優斗の頭の上で軽く弾ける音が鳴り、頭上から飛び上がると、小さく躍動した。 フィルが銀色の美少年に姿を変え、ディプスの土剣を素手で受け止める。 弾力のある身体が土剣を柔らかく包み込む。
「華っ!!」
『ユウトっ! ハナは大丈夫だよ。 僕が絶対にあいつを近づけさせないっ!』
(ユウトっ! 僕が抑えているから……早く、黒い心臓を見つけてっ! 魔道具の発動をっ……)
脳内でフィルの声が聞こえ、振り仰ぐ。 フィルはディプスの土剣にしがみつき、足をディプスの腕に絡めていた。 ディプスはフィルを振り落とそうと、腕を上下に大きく振っていた。
脳内のモニター画面に映し出された映像で、ティオスが結界に阻まれ、顔を歪めている様子が分かった。 華とティオスの会話が聞こえて来て、優斗も眉をしかめる。
そして、監視スキルの声が脳内でアナウンスされた。
『虫よけ結界の強度が限界突破しました。 一定の距離を超えて来た敵(虫)を攻撃します。 虫除けスプレー噴射の準備ができました。 いつでも噴射できます。 噴射するスプレーを選んで下さい』
(ん? 今、敵と書いて虫って言わなかったかっ……)
華の周囲で発動された結界が強化の限界を超え、硬度が増した。 何かが詰まって行くような音を鳴らして、結界が光り輝く。 結界は、一定の距離を保たないと、相手を攻撃する設定がされた。
『ハナの事は任せてっ! 今はディプスに集中するんだっ!』
(分かった……任せたぞっ!)
『で、虫除けスプレーの種類は何にするの?』
(……っ、殺虫スプレーは無しとして、睡眠か、気絶かのどっちだなっ)
何にするか悩んだ末、いつもの気絶スプレーを選んだ。 監視スキルは少しだけ不満の色が混じった声を出したが、渋々了承した様だ。
(ティオスを殺すわけにはいかないからな、我慢してくれ)
フィルが限界の声を上げる。 優斗の視界に銀色の足跡が入り、足跡を踏んでディプスの懐へ入る。
手袋の魔道具を発動し握り込むと、ディプスの鳩尾へ叩きつけた。 丁度、フィルが振り落とされたと同時だった。 フィルに気が散っていたディプスの口から、息の詰まった様な音が漏れる。
ディプスが吹っ飛ばされていく様子を眺めながら、黒い心臓を探す。 優斗の白銀の瞳に魔力が宿り、ディプスの身体が透けていく。 黒い心臓を視界に捉えた。
二本の木製短刀に氷と炎を纏わせ、直ぐにクロスした氷と炎の刃を黒い心臓目掛けて飛ばす。
ディプスが立ち上がった時には、もう目の前にクロスした氷と炎の刃が迫っていた。 口元に笑みを浮かべたディプスの白銀の瞳に魔力が宿り、土魔法が放たれる。
ディプスは土壁を一瞬で作り上げ、同時に大量の土礫を優斗へ放った。
優斗の視界に大量の土礫が入り、土礫の向こう側で、クロス状の氷と炎の刃が土壁に潰された様子が霞んで見えた。 大量の土礫の隙間から黒い人影が見え隠れする。
土剣が優斗の首元を掠める。 優斗は影を視界に捉えていたが、攻撃を避けられる様な余裕はなかった。 身体が優斗の意思を無視して勝手に動いたのだ。
(今、身体が勝手にっ……動いた?)
攻撃を避けられるとは思っていなかったディプスの白銀の瞳が大きく見開かれる。
再び、優斗の身体が勝手に動く。 銀色の足跡を踏んで踏み込むと、木製短刀がディプスの黒い心臓を狙う。 強く短刀を握り込んだ優斗は、柄に手を添えてディプスの黒い心臓を刺した。
黒い心臓を刺したのだが、刺した感触がしない。 土にスコップを差し入れた様な感触に、優斗は眉をしかめた。 ディプスは己の身体を土に変えていた。
『えっ!! 身体が……土に』
「……」
人が土に変わり、また人へ戻って行く見た事もない様子を口を大きく開けて見守ってしまった。
まさか、人が土になるとは思っていもいなかったのだ。 先程、自身の身体が勝手に動いた事など、すっかり忘れて信じられない思いでいた。 監視スキルも驚きを隠せない気配をさせていた。
「うわぁ、凄いなっ! あんなの初めて見た」
フィルが優斗のそばへ駆け寄り、感心したような声を上げた。 そして、再びスライムに姿を変え、優斗の頭上へ飛び上がって乗って来た。 弾力のある物体の感触が頭上で跳ねた。
「フィル、さっきはありがとうな。 助かったよ。 怪我はないか?」
「うん、だいじょうぶだよ。 ユウトのあたまは、ぼくがまもるからね!」
「……ああ、ありがとう……」
何となく素直に喜べない優斗は、自身がひねくれているのだろうかと思ったが、考え事をしている余裕はなかった。 ディプスが土剣を作り出し、攻撃の態勢に入ったからだ。
息を深く吐いて、心を落ち着けてディプスを見つめる。
「よしっ、黒い心臓も見える。 今度こそ、悪魔をディプスから引っ張り出すっ!」
「うん」
『気合い入れて頑張ろうっ!』
◇
一方、華はとティオスはどうしているのか。
結界に阻まれたティオスは、眉を歪めた。 自身の弾かれた手を見つめ、結界に触れた箇所が赤くはれていた。 少しだけ痺れる様な感覚もある。 華と、世界樹ダンジョンから戻った時に連れていた銀色の美少女が視界に入る。
(これがパレストラの言っていた結界か……。 確かに硬くて、近づけないなんて、厄介な能力だ)
「エレクトラ、少しだけ話し合おう。 それで、出来ればその結界を解いてほしい」
ティオスの声を聴いた結界は、拒絶するように一瞬だけ光を放つ。 しかし、警戒したような表情を浮かべたエレクトラは、一歩後ずさる様子を見せた。 銀色の美少女は、何も言葉を発しないが、ティオスを警戒している様な表情を浮かべていた。 とても子供には見えない。
「エレクトラ、僕が優しく言っている間に、大人しく言う事を聞いた方がいい。 彼も直ぐにディプスに倒されるだろう」
エレクトラを視線だけで促し、エレクトラの婚約者が苦戦している様子を見せた。 エレクトラの瞳が大きく見開かれる。 しかし、エレクトラは毅然とした態度でティオスと向かい合った。
「優斗は負けないわ。 私は優斗を信じているから。 ティオス、お願い投降して。 父を……里長を開放して」
「……エレクトラ」
エレクトラの感情を読み取っているのか、結界の壁がティオスを拒絶するように煌めく。
(あの魔力……エレクトラの魔力にしては大きいような……まさかっ)
ディプスと戦っている優斗へ視線をやり、優斗の魔力を感知する。 エレクトラの周囲で漂っている魔力と優斗の魔力が同じだと気づく。
「そうか……その結界は彼の能力か……彼がエレクトラを守っているって事だね」
「ティオス……」
「でも、彼が死ねば、その結界も解けるよね。 気絶する魔法を放てる様だけど……彼、戦いに夢中だし、こちらを気遣う余裕はなさそうだ」
にっこり笑みを浮かべたティオスを、エレクトラは恐れおののくような表情で見つめて来た。
◇
ティオスの浮かべた笑みに、華は背筋が凍る思いだった。 今のティオスに何を言っても無駄なような気がして、何とか話し合いで済ましたかったが、無理なようだ。
(ティオス、なんでこんな風に育ったのっ……昔はあんなに可愛かったのにっ)
華の脳裏に、幼い頃のティオスが思い出される。 ずっと弟の様に思ってきたティオスが、顔を歪に歪めた様な笑みを浮かべる。 前世で弟がいた華は、ティオスを弟と重ねて見ていた。
(……それが駄目だったんだろうな。 ティオスがこんな風になったのは、私の所為だ。 私がちゃんと、ティオスに引導を渡さないとっ)
ずっと黙っていたフィンが脳内に念話を送って来た。
(ハナの所為じゃないわ。 あんな風に育ったのは、彼が闇に落ちたからよ)
(うん、分かってる。 でも、きっと私の事も少なからず、影響しているのよ)
(ハナ)
「ティオス、優斗は死なないわ。 私は貴方とは結婚できません。 ティオスの境遇は同情するけれど……。 貴方がした事は、許される事ではありません。 ティオス、貴方を捕らえます」
華の言葉と同時に、いつの間にか、ティオスの配下を下へ落とし終えた瑠衣と仁奈がそばに来ていた。 フィンが華の気持ちを察して、瑠衣と仁奈を瞳を細めて避難の眼差しを向けていた。
「フィン、そんな顔するなよ。 ちゃんと下で受け止めてるから。 まぁ、仁奈の雷魔法で感電はしているだろうけどな」
「雷魔法のネットを下に張っておいたのよ。 だから、落とした皆は死んでないわよ」
「仁奈、それも酷いよ……」
「俺の風魔法で閉じ込めている奴もいるしな」
「……」
結界に弾かれず、結界の中へ入れた瑠衣と仁奈の二人をティオスは瞳を見開いて見つめて来た。
『なるほど』と呟いたティオスは、少しだけ寂しそうな笑みを浮かべた。 ティオスも自覚していない様で、自然に出た表情の様だ。
そばで仁奈と瑠衣がアイコンタクトで会話する気配を感じ、華は二人がティオスを捕らえる為、邪魔にならない様、静かに瑠衣と仁奈から離れた。
◇
脳内に流れる映像で、華たちの会話を聞いていた優斗は、ディプスの攻撃を避けながら、内心でげんなりしていた。
『いつの間に、そんな事してたんだろう。 でも、えぐい事には変わりないね』
(ほんとうだよね。 さすがルイだよ、はらぐろいっ!)
(落とされた人たち、ショック死してなければいいけどなっ)
監視スキルとフィルの声が脳内で響く中、優斗は目の前のディプスに集中した。
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