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第二十二話 『『私は、優斗を信じてるから』』
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森から大量の魔物の瘴気が消え去り、いつもの森の気配が戻って来ていた。
動物や鳥の鳴き声が森の奥でこだましている。 オースターの集落でも、安堵と喜びで溢れていた。
『災害』と魔物の暴走が治まった事を知らせる狼煙が、キャンプ場付近で上がった。 狼煙を上げた後、優斗たちはミノタウロスの後処理がある為、キャンプ場に残った。 華がオースターの集落に向かっている事を聞くと、クリストフと戦士隊長はエカテリーニの治療の為、直ちにオースターの集落へ戻る事を決めた。
エカテリーニが、目覚める様子が見えなかった為だ。 まさかとは思うが、悪魔を取り込んでいるカラトスが何かしている可能性が出て来た。 数人の戦士隊と戦士隊副隊長がエカテリーニをタンカーに乗せ、担いでオースターへと向かう後ろ姿を見送る。
付き人のリアアンナが付き添いとして、先にオースターの集落へ戻って行った。
リアアンナは、とても申し訳なさそうにしていたが、皆は快く送り出した。
頭の中で監視スキルの声が響く。
『大丈夫だよ。 ハナの浄化の力ならね。 流石にカラトスが、ノトス村の村長の娘、エカテリーニに何かしているとは信じたくないけど。 だけど、カラトスは敵認定したままにしておくよ』
(ああ、頼む。 このまま引き下がるとは思えないしな)
華はオースターに二日程で着く。
だから、優斗は安心していた。 まさか、エカテリーニが華にあんな暴言を吐くなんて思ってもいなかった。
◇
氷結されたミノタウロスの片付けの為、キャンプ場で泊まり込んでいる優斗の頭の中で監視スキルの声が響いた。
停止されていた監視スキルが開始され、毎朝の恒例の文言が響く。
『おはようございます。 【ハナを守る】スキルを一部のスキルを除いて開始します。 就寝中のハナの周囲には、危険などはありませんでした。 ハナは夜遅くにオースターの集落に着き、既に起床して、エカテリーニの治療に当たっています。 【透視】と【傍聴】スキルを開始しますか?』
(そうか、華、もう着いてたのか……久しぶりだ、ちょっとだけ見せてくれ)
優斗は枕に顔を埋めて、華の映像が流れるのを大人しく待った。
『最新のハナの映像です』
監視スキルの声の後、立体型の地図が脳内で拡がり、地図上の空にモニター画面が現れた。 モニターに華の映像が流れ、エカテリーニの手を握り、華の魔力を流している姿が映った。 華はいつもの白いローブを着ていた。 立体型の地図上で華の位置が表示される。
オースターの治療院に青い人型の表示が点滅し、『ハナ』の吹き出しが指している。
華は自身の魔力をエカテリーニに流していて、周囲で優斗の魔力が華を守るように漂っていた。 暫く眺めていると、浄化は上手く行ったようで、エカテリーニが目を覚ました。
しかし、エカテリーニが華の手を払い、華に言い放った言葉で優斗の怒りが爆発した。
『わ、私は、ずっとレアンドロスと付き合ってたんだからっ! 泥棒猫っ! レアンドロスを返してよっ! 私のなんだからっ!』
(いやいや、付き合ってないからっ! 何言ってんだ、エカテリーニっ! 華、信じないでくれっ!)
リアアンナが平身低頭で謝っている姿が、黒い笑みを浮かべた華と一緒に映し出された。
『私は、優斗を信じているから。 優斗が私以外に目移りするわけないし、それに申し訳ないけど……エカテリーニさんは、優斗の嫌いなタイプの女性だから。 優斗が貴方を好きになる訳ないわ』
信じてくれた華にホッとしたが、華は随分と怒っている。 エカテリーニの病室を出た華は、優斗のスキル越しの視線を感じたのか、優斗に向かって赤い舌を出した。
そして、戦士隊の詰め所の方へ歩いて行った。
『ハナ、凄く怒ってるね。 「舌を出して怒ってるハナ可愛い」とか思ってないで、後でちゃんと謝りなよ』
(分かってるよっ! 皆まで言うなよっ! 恥ずかしいだろうっ)
フィンの責める様な半眼の瞳も、優斗の精神を追い詰める。 華の映像はまだ続いていた。 華を守るように周囲を漂っている優斗の魔力が、緊張感を張りつめている様に視えた。
(ん? 何で、俺の魔力はピリピリしてるんだ? もしかして、さっきのが影響してるのか?)
『治療相手が男だからじゃない? ほら、彼なんて、ハナに触れられて顔を赤くして喜んでるように見えるよ』
華が戦士隊の男の患部に手を触れて、治療魔法が行使された。 治療魔法を使うという事は、彼の怪我は重症だという事だ。
軽傷には治療魔法は使わない。
分かっているのだが、華が他の男に触れている姿を視た途端、優斗の胸に嫉妬の炎が灯った。
映像を凝視すると、華の周囲で漂っている優斗の魔力に嫉妬の色が混じり、怒りで魔力が揺らいだ。 優斗の魔力が溢れ出ている場所から冷気も漂い始めた。
優斗の不穏な気配を感じた華が振り返る。
スキル越しに優斗と華の視線が合い、モニター画面に映し出された華の表情は硬かった。
『ユウト、感情を押さえなよ。 治療をしているだけだ。 虫除けスプレーのスキルが発動するから、冷静になって』
監視スキルが言う『虫除けスプレー』の言葉に、胸に拡がっていた嫉妬の炎が一気に萎んだ。
(えっ、虫除けスプレーっ?! あぁ、なんかそんなの新しく付けられてたっけ? まさかと思うけど……なんか噴き出すとかなのか?)
『スプレーだけにね。 虫除け結界はハナの意思で発動されるけど。 虫除けスプレーはユウトの意思で発動されるから、過剰反応しない様に気を付けなね』
(そうなのか……どんなスキルなんだっ、聞くの怖いけどっ)
監視スキルと話をしているうちに、華の周囲で漂っている優斗の魔力が落ち着きを取り戻し、華のホッとした顔がモニター画面に映し出された。 しかし、直ぐに華の白銀の瞳がムスッと細められた。
後で会った時、華にちゃんと説明しないといけないと、息を大きく吐き出した。
(華に引かれないといいな……)
『色々、バージョンがあるよ。 さっきのは、相手の男に眠りのスプレーを掛けようとしてたみたいだけど』
(色々って、なんだよっ……スキルの内容を全部、説明しろっ)
監視スキルから、虫除けスプレーのスキル説明を聞いた後、優斗の精神が痛みを伴って削られていった。 落ち込む優斗を他所に、監視スキルが前向きな意見を言う。
『でもね、ハナはお人好しな所があるから、ハナ自身が相手を拒絶できなくて、結界が発動できない場合も出てくると思うんだ。 緊急事態では、離れていてもユウトの虫除けスプレーのスキルが有利に働く。 コントロール出来るようになっていた方が良い。 前に怪しい奴が1人いるって言ったよね』
(そう言えば、ブートキャンプ前に言ってたな……華は秘術を持ってるし、もしかしたら、身内に狙われる可能性があるのかっ……カラトスみたいなエルフも居るっていうのも分かったし。 分かった、頑張ってみる)
突然、弾力のある物体がお腹の上で飛び跳ね、優斗の息が詰まった。
瞼を閉じていたので、フィルがテントの中に入って来た事に気づかなかった。
目が覚めてから大分、監視スキルと話をしていたらしい。 飛び跳ねながらフィルの元気な声が落ちてくる。
リズミカルに羽ばたく、フィルの白い羽根が騒がしい音を鳴らしていた。
「ユウトっ! あさごはんだよっ! いつまでねてるの、おきてっ!」
「分かった、分かったっ! 起きるから、腹の上で飛び跳ねるなっ!」
溜め息を吐いてからテントを出ると、既に起きていた瑠衣から声がかかる。
「おはよう、優斗。 随分とゆっくりだったな」
「……瑠衣、おはよう。 悪い……手伝う」
(虫除けスプレーの話は絶対に瑠衣にはしないようにしないと、当然フィルにも。 フィルは直ぐに口を滑らすからなっ。 監視スキルも、フィルには知られない様にしてくれよ)
『了解だよ』
朝の支度を済ませ、朝食を用意している新成人たちの準備を手伝った。 今朝は皆の表情が明るい、ミノタウロスの後処理の目処がたち、後数日で終わる事が分かっているからだ。
瑠衣と仁奈には、話さなければならない事がある。 他の新成人たちと、テーブルで野菜を刻んでいる仁奈を横目で見る。
瑠衣は野菜スープを作る為の火を熾していた。 優斗は瑠衣に向き合い、朝食の用意をしながらする話でもないな、と他にも人が居る中もあって、言葉が上手く出て来なかった。
しかし、瑠衣と約束をしていたので、意を決して口を開いた。
「あ、あのさ、瑠衣。 瑠衣たちの故郷の事なんだけど……」
「ああ、その事な。 何となく内容は分かるけど、ミノタウロスの後処理が終わってからでいいぞ。 俺は急がないから」
「……そうか、悪いな。 じゃ、落ち着いたら、絶対に話すよ」
「おう、頼む」
爽やかな笑みを浮かべる瑠衣に、優斗は申し訳なさそうに眉尻を下げた。
キャンプ場での朝食は簡単な野菜スープと、日持ちさせる為にわざと硬く焼いたパンだ。 新成人たちと火を囲み、野菜スープに硬いパンを浸して食べる。
本日の朝食はキャンプ場でなくても、狩りで何日も森へ入る狩人の定番でもある。
皆、火を囲みながら、和気あいあいと話しながら朝食を食べ始めた。
(随分、仲良くなったもんだよな。 ブートキャンプが始まった当初は、皆、我関せずって感じだったのに)
朝食が済んだら、ミノタウロスの後処理が待っている。 優斗は、硬いパンを野菜スープに浸し、温かい野菜スープを啜りながら、森の奥を見つめた。
キャンプ場を囲む周囲の森は静かに佇み、氷結されたミノタウロスが転がっている様にはとても感じられなく、優斗たちが来た時に感じた平和な森の気配に戻っていた。
◇
少し時間を遡る。
華は夜中にオースターへ着くと、翌朝には治療を始めていた。
オースターの集落では、『災害』と魔物の暴走が治まり、ブートキャンプも無事に終わりを迎え、住人の皆が喜んでいた。
そして、村長の家では、毎年の恒例である成人を祝う会の準備で住人総出になり、新成人たちを出迎える為、大忙しだった。
忙しく働く村長の家の隣の治療院では、病室に集まった全員が固唾を飲んで見守っていた。
暖かい木の温もりが漂うログハウスの1室、貴族やその家族が使用する特別室のベッドでエカテリーニは寝かされていた。
ベッドは1つしかなく、完全に1人部屋だ。
華はベッドのそばに丸椅子を持ってきて座り、エカテリーニの左手を取った。
両手で握りしめ、魔力を注いでいく。
華の周囲で優斗の魔力が溢れ出し、守るように漂った。
華の身体から光の粒が溢れ出し、エカテリーニへと注がれていく。 華の魔力がエカテリーニの全身を循環して悪魔の痕跡がないか、隈なく探す。
暫くすると、華の眉が寄せられた。
胸の奥の方で、悪魔の痕跡が残っており、放っておけば直ぐにでも再び悪魔に魅入られてしまう事が分かった。 カラトスはわざとなのか、緩く浄化をしたようだ。
(見つけたっ! この痕跡を消せば、エカテリーニさんは目覚めるはずっ!)
華の瞳が大きく見開かれ、白銀の瞳に力が宿る。
今度は、浄化の力が華の全身から溢れ出し、エカテリーニへと注がれていく。
悪魔の痕跡に浄化の力が触れた時、悪魔の囁きが華の耳元で鳴る。 エルフの血が華の身体を自動で循環し、悪魔の囁きを弾き返した。
悪魔の痕跡を押し出す感覚で浄化の力をエカテリーニの全身に巡らせる。
エカテリーニの全身が光り輝き、浄化の光の粒が溢れ出して来た。
最後の浄化の光りの粒が出されると、エカテリーニの頬に赤みが差し、少し呻いた後、ゆっくりと瞼を開けた。
華は小さく息を吐き、エカテリーニに微笑んだ。 華を見て、直ぐに誰か分かったのだろう。
ずっと眠っていたエカテリーニの第一声は。
「いつまで手を握ってるの、離して」
「えっ……」
勢いよく、華を手を跳ねのけると、布団の中に潜り込み、エカテリーニはあり得ない事を口にした。
「わ、私は、ずっとレアンドロスと付き合ってたんだからっ! 泥棒猫っ! レアンドロスを返してよっ! 私のなんだからっ!」
「えっ……」
「ちょ、ちょっとエカテリーニっ! エレクトラアハナ様、申し訳ございませんっ! 今、エカテリーニが言った事は全て、嘘ですからっ! どうか、忘れて下さい」
エカテリーニの付き添いで一緒に戻って来たリアアンナは、土下座する勢いで平身低頭、華に謝罪して来た。 エカテリーニの激情に触れ、呆気に取られた華だったが、にっこり微笑んで宣った。
華の周囲で漂っている優斗の魔力が、エカテリーニの言葉で怒り心頭だ。
優斗の魔力が大きく揺れている。 華以外には、優斗の魔力は視えていない様だ。
「私は、優斗を信じてるから。 優斗が私以外に目移りするわけないし、それに申し訳ないけど、エカテリーニさんは、優斗の嫌いなタイプの女性だから。 優斗が貴方を好きになる訳ないわ。 治療は済んだから、それだけ元気なら大丈夫ね。 後はよろしくお願いします」
病室に常駐していて、華たちの話を頑張って我関せずとした態度を貫き、目が死んだ様になっていた術者に視線を向ける。
治療院の術者に後を頼み、華は病室を出ていった。
リアアンナは平身低頭で頭を下げて、出て行く華を見送った後、病室から魔力が込められたリアアンナの怒鳴り声が治療院中に響き渡った。
(優斗~っ! 一言くらい言っときなさいよっ! ウザ絡みされたじゃないっ!)
華の周囲で漂っている優斗の魔力が再び小さく揺れた。 空中を睨みつけると、何処かで見ているであろう優斗に向かって、赤い舌を出すのだった。
病室の外で待っていたフィンだったが、中の会話が丸聴こえで、何処かで見ているであろう優斗を半眼で見つめておいた。
『ハナも強くなったわよね』と呟いたフィンの声は、怒り心頭の華には聞こえていなかった。
◇
ミノタウロスの後処理が終わり、優斗たち新成人はオースターの集落に向けて出発した。 ブートキャンプの行きの時とは違い、大勢の深緑のマントを着た集団が森の中を歩いていた。
1人だけ白銀のマントを羽織っているクリストフは、深緑のマントの中で目立っていた。
優斗は自身の待遇に少し戸惑い気味で、白銀の瞳を細めて前を見据えていた。
監視スキルの楽しそうな笑い声が頭の中で響く。
『どうしたのユウト、何か不満でもあるのか、この行進に』
優斗は今、戦士隊の隊員数人に囲まれながら、深緑のマント集団の中心で森の中を歩いている。 先頭がクリストフで、しんがりが戦士隊の隊長だ。 初日の時は突然の次期里長のブートキャンプ参加を知らされ、準備が間に合わなかったが、ブートキャンプの最終日には優斗と要人たちを迎えに行く算段だったらしい。
元々は、南の里アウステルの長の息子であるヨティスの為の護衛だったが、優斗が参加した事と。 『災害』と魔物の暴走で、護衛する戦士隊の人数も増えていた。
瑠衣は先頭でクリストフと仁奈、フィルまでが一緒に歩いている。 しかも、風神も一緒で、優斗だけが仲間外れになった気分だった。 瑠衣たちの背中を見つめ、優斗は諦めたように息を吐き出した。
(次期里長って、面倒だなっ……)
背後でヨティスとマリナの二人が仲睦まじく話をしている気配を感じると、優斗も華が恋しくなる。 監視スキルが戻って来てから、常に脳内の端で華の映像が流れているモニター画面に意識が向けられる。
華の周囲で優斗の魔力が漂う中、笑顔で侍女と話す華に自然と表情が緩む。
ふと思う、華は本当に里長になる事を了承しているのか、ちゃんと聞いた事が無かったな、と今更ながらに気づいた。
(ちゃんと話し合った方が良いよな、今後、華と一緒に里を離れて、悪魔退治の旅をするなら。 後、アレだな。 凄い怒ってからなぁ……瑠衣たちの言う通り、何とかして伝えとけば良かった。 でも、まさかこんな事になるとは思ってなかったしなぁ……あ、フィルとフィンに伝言、頼めばよかったんじゃないかっ? あいつらは繋がってるんだからっ)
華の侍女なのか、初めて見る顔なので、アウステル村長の所の侍女だろう。
数人の侍女たちと楽しそうに話している華がこちらを向いた。 華は、周囲で漂っている優斗の魔力が揺らいだ事で、優斗が自身を見ている事に気づいた様だ。
華とスキル越しに視線が合い、意識が華に行き過ぎて足元が疎かになっていた。
『今更、後悔しても後の祭りだよっと。 全く、危なっかしいね。 普通そこまでハナの映像に見入るかな……』
優斗が転ぶ前に監視スキルが身体を支える。
自動で優斗の魔力を全身に纏うと、生い茂る森の中でも、脳内のモニターの華に意識が行っていても、ちゃんと歩ける。
優斗には、監視スキルの声も聞こえてなくて、支えられた事にも気づいていない。
そして、優斗と要人たちを守りながら、周囲で歩いている戦士隊たちの興味津々な視線にも気づいていなかった。
華が秘術を授かっている事もあり、婚約者でありながら、あまり目立たなかった優斗だが、今回の事で注目を浴びる事になった。
『災害』を犠牲者なく防いだ事、魔物の暴走を止める為に、キャンプ場を含む周囲の森一帯を一瞬で氷の世界に変えた事。
優斗の能力はエルフの中では、中々、無いものだ。
氷結された数百体のミノタウロスを1回の炎魔法で燃やし尽くした事も、戦士隊たちにしたら、もの凄い事なのだ。
優斗は軽く片付けてしまい、ミノタウロスを片付けた後も、偉ぶる事もなく、大量の魔力を使い果たした様子も見受けられなかった。 純粋に凄いと戦士隊たちは感心したのだ。
戦士隊の一同の思いは『流石、秘術を授かった方の婚約者だ。 只者ではない』だった。
動物や鳥の鳴き声が森の奥でこだましている。 オースターの集落でも、安堵と喜びで溢れていた。
『災害』と魔物の暴走が治まった事を知らせる狼煙が、キャンプ場付近で上がった。 狼煙を上げた後、優斗たちはミノタウロスの後処理がある為、キャンプ場に残った。 華がオースターの集落に向かっている事を聞くと、クリストフと戦士隊長はエカテリーニの治療の為、直ちにオースターの集落へ戻る事を決めた。
エカテリーニが、目覚める様子が見えなかった為だ。 まさかとは思うが、悪魔を取り込んでいるカラトスが何かしている可能性が出て来た。 数人の戦士隊と戦士隊副隊長がエカテリーニをタンカーに乗せ、担いでオースターへと向かう後ろ姿を見送る。
付き人のリアアンナが付き添いとして、先にオースターの集落へ戻って行った。
リアアンナは、とても申し訳なさそうにしていたが、皆は快く送り出した。
頭の中で監視スキルの声が響く。
『大丈夫だよ。 ハナの浄化の力ならね。 流石にカラトスが、ノトス村の村長の娘、エカテリーニに何かしているとは信じたくないけど。 だけど、カラトスは敵認定したままにしておくよ』
(ああ、頼む。 このまま引き下がるとは思えないしな)
華はオースターに二日程で着く。
だから、優斗は安心していた。 まさか、エカテリーニが華にあんな暴言を吐くなんて思ってもいなかった。
◇
氷結されたミノタウロスの片付けの為、キャンプ場で泊まり込んでいる優斗の頭の中で監視スキルの声が響いた。
停止されていた監視スキルが開始され、毎朝の恒例の文言が響く。
『おはようございます。 【ハナを守る】スキルを一部のスキルを除いて開始します。 就寝中のハナの周囲には、危険などはありませんでした。 ハナは夜遅くにオースターの集落に着き、既に起床して、エカテリーニの治療に当たっています。 【透視】と【傍聴】スキルを開始しますか?』
(そうか、華、もう着いてたのか……久しぶりだ、ちょっとだけ見せてくれ)
優斗は枕に顔を埋めて、華の映像が流れるのを大人しく待った。
『最新のハナの映像です』
監視スキルの声の後、立体型の地図が脳内で拡がり、地図上の空にモニター画面が現れた。 モニターに華の映像が流れ、エカテリーニの手を握り、華の魔力を流している姿が映った。 華はいつもの白いローブを着ていた。 立体型の地図上で華の位置が表示される。
オースターの治療院に青い人型の表示が点滅し、『ハナ』の吹き出しが指している。
華は自身の魔力をエカテリーニに流していて、周囲で優斗の魔力が華を守るように漂っていた。 暫く眺めていると、浄化は上手く行ったようで、エカテリーニが目を覚ました。
しかし、エカテリーニが華の手を払い、華に言い放った言葉で優斗の怒りが爆発した。
『わ、私は、ずっとレアンドロスと付き合ってたんだからっ! 泥棒猫っ! レアンドロスを返してよっ! 私のなんだからっ!』
(いやいや、付き合ってないからっ! 何言ってんだ、エカテリーニっ! 華、信じないでくれっ!)
リアアンナが平身低頭で謝っている姿が、黒い笑みを浮かべた華と一緒に映し出された。
『私は、優斗を信じているから。 優斗が私以外に目移りするわけないし、それに申し訳ないけど……エカテリーニさんは、優斗の嫌いなタイプの女性だから。 優斗が貴方を好きになる訳ないわ』
信じてくれた華にホッとしたが、華は随分と怒っている。 エカテリーニの病室を出た華は、優斗のスキル越しの視線を感じたのか、優斗に向かって赤い舌を出した。
そして、戦士隊の詰め所の方へ歩いて行った。
『ハナ、凄く怒ってるね。 「舌を出して怒ってるハナ可愛い」とか思ってないで、後でちゃんと謝りなよ』
(分かってるよっ! 皆まで言うなよっ! 恥ずかしいだろうっ)
フィンの責める様な半眼の瞳も、優斗の精神を追い詰める。 華の映像はまだ続いていた。 華を守るように周囲を漂っている優斗の魔力が、緊張感を張りつめている様に視えた。
(ん? 何で、俺の魔力はピリピリしてるんだ? もしかして、さっきのが影響してるのか?)
『治療相手が男だからじゃない? ほら、彼なんて、ハナに触れられて顔を赤くして喜んでるように見えるよ』
華が戦士隊の男の患部に手を触れて、治療魔法が行使された。 治療魔法を使うという事は、彼の怪我は重症だという事だ。
軽傷には治療魔法は使わない。
分かっているのだが、華が他の男に触れている姿を視た途端、優斗の胸に嫉妬の炎が灯った。
映像を凝視すると、華の周囲で漂っている優斗の魔力に嫉妬の色が混じり、怒りで魔力が揺らいだ。 優斗の魔力が溢れ出ている場所から冷気も漂い始めた。
優斗の不穏な気配を感じた華が振り返る。
スキル越しに優斗と華の視線が合い、モニター画面に映し出された華の表情は硬かった。
『ユウト、感情を押さえなよ。 治療をしているだけだ。 虫除けスプレーのスキルが発動するから、冷静になって』
監視スキルが言う『虫除けスプレー』の言葉に、胸に拡がっていた嫉妬の炎が一気に萎んだ。
(えっ、虫除けスプレーっ?! あぁ、なんかそんなの新しく付けられてたっけ? まさかと思うけど……なんか噴き出すとかなのか?)
『スプレーだけにね。 虫除け結界はハナの意思で発動されるけど。 虫除けスプレーはユウトの意思で発動されるから、過剰反応しない様に気を付けなね』
(そうなのか……どんなスキルなんだっ、聞くの怖いけどっ)
監視スキルと話をしているうちに、華の周囲で漂っている優斗の魔力が落ち着きを取り戻し、華のホッとした顔がモニター画面に映し出された。 しかし、直ぐに華の白銀の瞳がムスッと細められた。
後で会った時、華にちゃんと説明しないといけないと、息を大きく吐き出した。
(華に引かれないといいな……)
『色々、バージョンがあるよ。 さっきのは、相手の男に眠りのスプレーを掛けようとしてたみたいだけど』
(色々って、なんだよっ……スキルの内容を全部、説明しろっ)
監視スキルから、虫除けスプレーのスキル説明を聞いた後、優斗の精神が痛みを伴って削られていった。 落ち込む優斗を他所に、監視スキルが前向きな意見を言う。
『でもね、ハナはお人好しな所があるから、ハナ自身が相手を拒絶できなくて、結界が発動できない場合も出てくると思うんだ。 緊急事態では、離れていてもユウトの虫除けスプレーのスキルが有利に働く。 コントロール出来るようになっていた方が良い。 前に怪しい奴が1人いるって言ったよね』
(そう言えば、ブートキャンプ前に言ってたな……華は秘術を持ってるし、もしかしたら、身内に狙われる可能性があるのかっ……カラトスみたいなエルフも居るっていうのも分かったし。 分かった、頑張ってみる)
突然、弾力のある物体がお腹の上で飛び跳ね、優斗の息が詰まった。
瞼を閉じていたので、フィルがテントの中に入って来た事に気づかなかった。
目が覚めてから大分、監視スキルと話をしていたらしい。 飛び跳ねながらフィルの元気な声が落ちてくる。
リズミカルに羽ばたく、フィルの白い羽根が騒がしい音を鳴らしていた。
「ユウトっ! あさごはんだよっ! いつまでねてるの、おきてっ!」
「分かった、分かったっ! 起きるから、腹の上で飛び跳ねるなっ!」
溜め息を吐いてからテントを出ると、既に起きていた瑠衣から声がかかる。
「おはよう、優斗。 随分とゆっくりだったな」
「……瑠衣、おはよう。 悪い……手伝う」
(虫除けスプレーの話は絶対に瑠衣にはしないようにしないと、当然フィルにも。 フィルは直ぐに口を滑らすからなっ。 監視スキルも、フィルには知られない様にしてくれよ)
『了解だよ』
朝の支度を済ませ、朝食を用意している新成人たちの準備を手伝った。 今朝は皆の表情が明るい、ミノタウロスの後処理の目処がたち、後数日で終わる事が分かっているからだ。
瑠衣と仁奈には、話さなければならない事がある。 他の新成人たちと、テーブルで野菜を刻んでいる仁奈を横目で見る。
瑠衣は野菜スープを作る為の火を熾していた。 優斗は瑠衣に向き合い、朝食の用意をしながらする話でもないな、と他にも人が居る中もあって、言葉が上手く出て来なかった。
しかし、瑠衣と約束をしていたので、意を決して口を開いた。
「あ、あのさ、瑠衣。 瑠衣たちの故郷の事なんだけど……」
「ああ、その事な。 何となく内容は分かるけど、ミノタウロスの後処理が終わってからでいいぞ。 俺は急がないから」
「……そうか、悪いな。 じゃ、落ち着いたら、絶対に話すよ」
「おう、頼む」
爽やかな笑みを浮かべる瑠衣に、優斗は申し訳なさそうに眉尻を下げた。
キャンプ場での朝食は簡単な野菜スープと、日持ちさせる為にわざと硬く焼いたパンだ。 新成人たちと火を囲み、野菜スープに硬いパンを浸して食べる。
本日の朝食はキャンプ場でなくても、狩りで何日も森へ入る狩人の定番でもある。
皆、火を囲みながら、和気あいあいと話しながら朝食を食べ始めた。
(随分、仲良くなったもんだよな。 ブートキャンプが始まった当初は、皆、我関せずって感じだったのに)
朝食が済んだら、ミノタウロスの後処理が待っている。 優斗は、硬いパンを野菜スープに浸し、温かい野菜スープを啜りながら、森の奥を見つめた。
キャンプ場を囲む周囲の森は静かに佇み、氷結されたミノタウロスが転がっている様にはとても感じられなく、優斗たちが来た時に感じた平和な森の気配に戻っていた。
◇
少し時間を遡る。
華は夜中にオースターへ着くと、翌朝には治療を始めていた。
オースターの集落では、『災害』と魔物の暴走が治まり、ブートキャンプも無事に終わりを迎え、住人の皆が喜んでいた。
そして、村長の家では、毎年の恒例である成人を祝う会の準備で住人総出になり、新成人たちを出迎える為、大忙しだった。
忙しく働く村長の家の隣の治療院では、病室に集まった全員が固唾を飲んで見守っていた。
暖かい木の温もりが漂うログハウスの1室、貴族やその家族が使用する特別室のベッドでエカテリーニは寝かされていた。
ベッドは1つしかなく、完全に1人部屋だ。
華はベッドのそばに丸椅子を持ってきて座り、エカテリーニの左手を取った。
両手で握りしめ、魔力を注いでいく。
華の周囲で優斗の魔力が溢れ出し、守るように漂った。
華の身体から光の粒が溢れ出し、エカテリーニへと注がれていく。 華の魔力がエカテリーニの全身を循環して悪魔の痕跡がないか、隈なく探す。
暫くすると、華の眉が寄せられた。
胸の奥の方で、悪魔の痕跡が残っており、放っておけば直ぐにでも再び悪魔に魅入られてしまう事が分かった。 カラトスはわざとなのか、緩く浄化をしたようだ。
(見つけたっ! この痕跡を消せば、エカテリーニさんは目覚めるはずっ!)
華の瞳が大きく見開かれ、白銀の瞳に力が宿る。
今度は、浄化の力が華の全身から溢れ出し、エカテリーニへと注がれていく。
悪魔の痕跡に浄化の力が触れた時、悪魔の囁きが華の耳元で鳴る。 エルフの血が華の身体を自動で循環し、悪魔の囁きを弾き返した。
悪魔の痕跡を押し出す感覚で浄化の力をエカテリーニの全身に巡らせる。
エカテリーニの全身が光り輝き、浄化の光の粒が溢れ出して来た。
最後の浄化の光りの粒が出されると、エカテリーニの頬に赤みが差し、少し呻いた後、ゆっくりと瞼を開けた。
華は小さく息を吐き、エカテリーニに微笑んだ。 華を見て、直ぐに誰か分かったのだろう。
ずっと眠っていたエカテリーニの第一声は。
「いつまで手を握ってるの、離して」
「えっ……」
勢いよく、華を手を跳ねのけると、布団の中に潜り込み、エカテリーニはあり得ない事を口にした。
「わ、私は、ずっとレアンドロスと付き合ってたんだからっ! 泥棒猫っ! レアンドロスを返してよっ! 私のなんだからっ!」
「えっ……」
「ちょ、ちょっとエカテリーニっ! エレクトラアハナ様、申し訳ございませんっ! 今、エカテリーニが言った事は全て、嘘ですからっ! どうか、忘れて下さい」
エカテリーニの付き添いで一緒に戻って来たリアアンナは、土下座する勢いで平身低頭、華に謝罪して来た。 エカテリーニの激情に触れ、呆気に取られた華だったが、にっこり微笑んで宣った。
華の周囲で漂っている優斗の魔力が、エカテリーニの言葉で怒り心頭だ。
優斗の魔力が大きく揺れている。 華以外には、優斗の魔力は視えていない様だ。
「私は、優斗を信じてるから。 優斗が私以外に目移りするわけないし、それに申し訳ないけど、エカテリーニさんは、優斗の嫌いなタイプの女性だから。 優斗が貴方を好きになる訳ないわ。 治療は済んだから、それだけ元気なら大丈夫ね。 後はよろしくお願いします」
病室に常駐していて、華たちの話を頑張って我関せずとした態度を貫き、目が死んだ様になっていた術者に視線を向ける。
治療院の術者に後を頼み、華は病室を出ていった。
リアアンナは平身低頭で頭を下げて、出て行く華を見送った後、病室から魔力が込められたリアアンナの怒鳴り声が治療院中に響き渡った。
(優斗~っ! 一言くらい言っときなさいよっ! ウザ絡みされたじゃないっ!)
華の周囲で漂っている優斗の魔力が再び小さく揺れた。 空中を睨みつけると、何処かで見ているであろう優斗に向かって、赤い舌を出すのだった。
病室の外で待っていたフィンだったが、中の会話が丸聴こえで、何処かで見ているであろう優斗を半眼で見つめておいた。
『ハナも強くなったわよね』と呟いたフィンの声は、怒り心頭の華には聞こえていなかった。
◇
ミノタウロスの後処理が終わり、優斗たち新成人はオースターの集落に向けて出発した。 ブートキャンプの行きの時とは違い、大勢の深緑のマントを着た集団が森の中を歩いていた。
1人だけ白銀のマントを羽織っているクリストフは、深緑のマントの中で目立っていた。
優斗は自身の待遇に少し戸惑い気味で、白銀の瞳を細めて前を見据えていた。
監視スキルの楽しそうな笑い声が頭の中で響く。
『どうしたのユウト、何か不満でもあるのか、この行進に』
優斗は今、戦士隊の隊員数人に囲まれながら、深緑のマント集団の中心で森の中を歩いている。 先頭がクリストフで、しんがりが戦士隊の隊長だ。 初日の時は突然の次期里長のブートキャンプ参加を知らされ、準備が間に合わなかったが、ブートキャンプの最終日には優斗と要人たちを迎えに行く算段だったらしい。
元々は、南の里アウステルの長の息子であるヨティスの為の護衛だったが、優斗が参加した事と。 『災害』と魔物の暴走で、護衛する戦士隊の人数も増えていた。
瑠衣は先頭でクリストフと仁奈、フィルまでが一緒に歩いている。 しかも、風神も一緒で、優斗だけが仲間外れになった気分だった。 瑠衣たちの背中を見つめ、優斗は諦めたように息を吐き出した。
(次期里長って、面倒だなっ……)
背後でヨティスとマリナの二人が仲睦まじく話をしている気配を感じると、優斗も華が恋しくなる。 監視スキルが戻って来てから、常に脳内の端で華の映像が流れているモニター画面に意識が向けられる。
華の周囲で優斗の魔力が漂う中、笑顔で侍女と話す華に自然と表情が緩む。
ふと思う、華は本当に里長になる事を了承しているのか、ちゃんと聞いた事が無かったな、と今更ながらに気づいた。
(ちゃんと話し合った方が良いよな、今後、華と一緒に里を離れて、悪魔退治の旅をするなら。 後、アレだな。 凄い怒ってからなぁ……瑠衣たちの言う通り、何とかして伝えとけば良かった。 でも、まさかこんな事になるとは思ってなかったしなぁ……あ、フィルとフィンに伝言、頼めばよかったんじゃないかっ? あいつらは繋がってるんだからっ)
華の侍女なのか、初めて見る顔なので、アウステル村長の所の侍女だろう。
数人の侍女たちと楽しそうに話している華がこちらを向いた。 華は、周囲で漂っている優斗の魔力が揺らいだ事で、優斗が自身を見ている事に気づいた様だ。
華とスキル越しに視線が合い、意識が華に行き過ぎて足元が疎かになっていた。
『今更、後悔しても後の祭りだよっと。 全く、危なっかしいね。 普通そこまでハナの映像に見入るかな……』
優斗が転ぶ前に監視スキルが身体を支える。
自動で優斗の魔力を全身に纏うと、生い茂る森の中でも、脳内のモニターの華に意識が行っていても、ちゃんと歩ける。
優斗には、監視スキルの声も聞こえてなくて、支えられた事にも気づいていない。
そして、優斗と要人たちを守りながら、周囲で歩いている戦士隊たちの興味津々な視線にも気づいていなかった。
華が秘術を授かっている事もあり、婚約者でありながら、あまり目立たなかった優斗だが、今回の事で注目を浴びる事になった。
『災害』を犠牲者なく防いだ事、魔物の暴走を止める為に、キャンプ場を含む周囲の森一帯を一瞬で氷の世界に変えた事。
優斗の能力はエルフの中では、中々、無いものだ。
氷結された数百体のミノタウロスを1回の炎魔法で燃やし尽くした事も、戦士隊たちにしたら、もの凄い事なのだ。
優斗は軽く片付けてしまい、ミノタウロスを片付けた後も、偉ぶる事もなく、大量の魔力を使い果たした様子も見受けられなかった。 純粋に凄いと戦士隊たちは感心したのだ。
戦士隊の一同の思いは『流石、秘術を授かった方の婚約者だ。 只者ではない』だった。
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