脳内お花畑から帰還したダメ王子の不器用な愛し方

伊織愁

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31話

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 ジャンカルロは幼少期、母国とアルカンジェリが同盟を組むまで、アルカンジェリの王宮に預けられていた。

 王族が預けられると言う事は、人質と同義だった。 同盟後、幼いジャンカルロは国へ帰って行った。

 懐かしい表情を見て幼いジャンカルロを思い出した。 彼がヴァレリアを好きだった事は知っていた。 でも、ファブリツィオには関係なかった。 ヴァレリアとはお互いに想い合っていたから。

 「わ、悪かったっ、色々とあったんだ。 カルロが帰った後…….」

 言いたい事が言えたからか、ジャンカルロは少し落ち着いていた。

 「分かってるよ。 全部、リオから聞いた。 それでも、君は馬鹿だ」
 「懐かしいな、その言い方」

 大きく息を吐き出したジャンカルロは、両手を上げて顔を左右に振った。

 「いいんだ。 君たちが仲良くしている所を見るのが好きなんだ」
 「そうか……それ、何時も言ってたな?」
 「ああ、君たち二人が好きだったからな。 今もその気持ちは変わらない」
 「うん、分かった。 じゃ、一応、仲直りの握手だ」
 「分かった」

 ファブリツィオが差し出した手をジャンカルロは取った。 ファブリツィオは和かな笑みを浮かべていたが、握りしめた手はかなり強かった。

 「じゃ、話は済んだって事で、そろそろ天体観測しましょうよ。 私たちのグループだけよ。 まだ何もしてないの」
 「そうだな、天体観測しよう」

 フィオレラとフリオの二人から同時に天体観測の話が飛び出した。

 「そうだな、今夜は雲もないし、星も綺麗に見えるんじゃないか?」
 「そうだよねぇ、絶対にロマンチックな夜が過ごせるのにっ、女の子と居られないなんてっ」
 「フラヴィオ…….」
 「「ラヴィ先輩っ」」

 フィオレラの目が半眼になり、攻めるような眼差しでフラヴィオを見る。

 「…….流石、女ったらしだわ」
 「女ったらしだなっ」
 「フラヴィオ様らしいわねっ」

 キャンプ場の広場に戻って来たファブリツィオたちは、空いている場所で天体観測を始めた。

 他の生徒たちは、天体観測に夢中で、ファブリツィオのグループに二人の女生徒が居なくなっている事に気づいていない。

 一人はカーティア、もう一人はアリーチェだ。 生徒会の面々には、既に謹慎を言い渡したと伝えてあり、騒がない様にと念を押した。

 「リア、覗いてみろ。 綺麗に見えるぞ」
 「本当ですね。 綺麗です」
 「殿下、ここはやっぱり、『星を君にプレゼントするよ』だよ」
 
 気障なポーズをつけて宣ったフラヴィオだが、全員から白けた眼差しを向けられていた。 しかし、流石フラヴィオ、全く気にした様子はなく。 他の女子ばかりのグループに呼ばれて、喜んで飛んで行った。

 ◇

 「全く、ラヴィ先輩らしい。 その内、刺されるかもな」
  
 ジャンカルロの横で、ヴァレリオは何とも言えない表情を浮かべていた。 

 訳は、ジャンカルロに対して、どっちの対応をしたらいいのか、迷ってしまったからだ。

 「リオ?」
 「あ、いや、ジャンがあのカルロだと知って、どう接したらいいのか、迷ってしまった」

 瞳を細めて笑ったジャンカルロは、おかしそうに言う。

 「今まで通りでいい。 俺は卒業まで平民で学園に通うんだ」
 「分かったよ」
 「うん、それでいい。 リオに尊敬語で話されたら、寂しくて泣くぞ」
 「……」
 「まぁ、俺の事を覚えていなかった事もそれなりに、ショックだったけどな」
 「それは本当にごめん」
 「仕方ないから、ランチで許す」
 「簡単だな」
 「そうだろう」

 クスリと笑い合うヴァレリオとジャンカルロロ、夜空には満天の星空が輝いていた。

 顔を上げたジャンカルロの視線の先には、ファブリツィオとヴァレリアの姿がある。 ジャンカルロの視線を追い、ヴァレリオも姉とファブリツィオの背中を見る。

 二人の姿を優しげに見つめるジャンカルロに、ヴァレリオは少しの同情を覚えた。

 ジャンカルロの声にも優しさが滲んでいる。

 「やっぱり二人が仲良くしている姿はいいな」
 「……本当にいいのか?」
 「ああ、いい。 気持ちはぶつけたしな」
 「思いっきりぶつけてたな。 姉上と殿下、物凄く引いてたぞ」
 「……確かにな」

 自身の手を見て、ジャンカルロは小さく笑っている。 首を傾げるヴァレリオに告げられた事は。

 「物凄く強い握力で握られたっ」
 「殿下らしいなっ」

 ◇

 満天の星空が輝いている下で、ファブリツィオは、背後でヴァレリオとジャンカルロの会話に聞き耳を立てていた。 

 否、普段から周囲の音を敏感に聞き取っている為、聞こえて来たと言える。

 隣にはヴァレリアがいて、天体望遠鏡を覗きながら、観測した星は何かと、教本で調べている。 楽しそうに天体望遠鏡を覗くヴァレリアを眺めて、自然と頬が緩む。

 「天体観測を一緒にしたのは初めてだな」
 「そうですね。 王宮に来ても、私は夕食前には帰ってましたしね」
 「うん、城でも一度、やってみるか」
 「ええ、いいですね。 楽しそうです。 では、アントネット妃もお誘いしましょう」
 「……母上かっ……今までの事もあるし、お小言も一緒にされそうだなっ」
 
 少し意地悪な笑みを浮かべるヴァレリアもとても可愛いと思う。

 まぁ、何にしても、クローチェ伯爵令嬢の事は片が付いた。 後は、王妃かっ。 言質も取ったし、媚薬の現物もある。 しかし、申請書がないから薬師がシラを切る事は容易に想像が出来るな。 陛下と母上は期待できないっ。

 考え事をしていると、ヴァレリアから手を繋いで来た。 隣に視線を向けると、ヴァレリアの柔らかい笑みがあった。

 今はややこしい問題は、考えないでおこう。 ロマンチックな夜なのだから。

 「周りが落ち着いたら、一度、母上と……オラツィオ兄上にも会えれば、お茶会に誘おう」
 「はい」

 一瞬だけ驚いた表情をしていたけど、リアは嬉しそうに微笑んでくれた。 そうか、母上とリアが顔を合わせるのは、幼い頃以来か。

 二人だけじゃない事を忘れてしまいそうになり、甘い空気が漂う。

 「そろそろお開きにするぞ。 望遠鏡を片付けろ。 各自、テントに戻れ」

 教師たちの声が聞こえ、我に返って繋いでいた手をそっと離した。 名残り惜しそうに指先をゆっくり離す。 ヴァレリアは気恥ずかしかったのか、擽ったそうにしていた。

 園遊会の三日目も終わり、生徒会の面々も自分たちのテントへ戻った。 夜はテントに泊まるのだか、クラス別で男女に分かれる。

 ファブリツィオはフラヴィオとアドルフォ、サヴェリオと同じテントだった。

 二人の顔を見ると、一瞬で楽しい気持ちが萎んでいった。

 何故、こいつらと同じテントなんだっ。

 四日目は簡単に朝食を摂ると、テントを皆で片付け、保養所へ戻った。

 馬車で出発する前に、教師からカーティアとアリーチェが謹慎処分を受けた話があった。 詳しい話はされなかったが、生徒たちには動揺が走った。

 生徒たちの中には、直ぐに何かあったのかと、ファブリツィオの方へ視線を送る者もいる。 ファブリツィオは見られる事には慣れている。 良くも悪くも、王族は皆の関心を集めるからだ。

 隣に立つヴァレリアは、少しだけ緊張した面持ちだった。 安心させる様に手を握る。 

 帰りの馬車のボックス席は、行きと同じメンバーだった。 しかし、一人だけ足りない。 行きではファブリツィオの隣にカーティアが座っていたが、今はフラヴィオが座っていた。

 「六人用を四人で座ったら、座席に余裕があっていいね」

 フラヴィオは呑気な声を出している。

 「カーティアが謹慎になったのは、殿下と何かあったからですか?」
 「お前にはもう関係のない事だ」

 僅かに眉を歪めたアドルフォは、何も言わずに黙り込んだ。 隣でフラヴィオは瞳を細めている。 相変わらず話を聞いているのか聞いていないのか、サヴェリオは視線を合わせなかった。

 行きと同じ様な微妙な空気が流れる中、馬車は行きで寄った温泉施設へ向かった。

 温泉施設では、行きでは出来なかったヴァレリアと足湯を楽しんだ。

 ◇

 学園へ戻って来たファブリツィオは、執務室でカーティアが言っていた事を思い出した。

 王妃がファブリツィオの大事な物を奪おうとしているという。 ファブリツィオの大事なものは、ヴァレリアだ。

 王妃はリアを欲しがっているのか?

 「何でだ?」
 「はい? 何かいいましたか?」

 自身の机で仕事をしていたピエトロに独り言が聞こえたのか、顔を上げた。

 「いや、クローチェ伯爵令嬢が言っていただろう?」
 「ああ、殿下の大事なものを奪う云々ですね」
 「良く分かったな……やっぱり影で聞いてたかっ」
 「えっ」

 こめかみに青筋を立てているファブリツィオを見て、ピエトロは表情を引き攣らせた。

 「まさかと思いますけど、栄養剤の事、まだ根に持っているんですか?」

 ファブリツィオの鼻から勢いよく息が吐き出された。

 「お前はドSだからなっ! 俺が物凄い苦さに耐えている所を見て、ほくそ笑んでいたんだろうっ!」
 「やだなぁ、そんな事ないですよ」

 ピエトロはわざとらしく意地悪な笑みを浮かべて宣った。

 「でも、その苦さのお陰で苦しんでいる殿下を見て、媚薬の効果だと勘違いしてクローチェ伯爵令嬢は自白したんですよ」
 「それはそうだが、物凄く苦かったんだからなっ!」
 「それに、殿下には媚薬に掛かった演技は無理だったでしょう?」
 「……っ、それを言われたら……仕方ない」
 「それはもう水に流してもらって、後は王妃の事です」
 「そうだな」

 ファブリツィオは渋面な顔を作った。

 俺の排斥が成功していたとしたら、俺は王族から追放されるだろう。 そしたら、リアとは婚約解消だ。 その後、リアはどうなる?

 「……前に言っていたよな? リアの祖父が亡くなった後、リアの婚約者をマウリツィオ兄上に戻そうって話が出たって」
 「ええ、ありましたね。 でも、ストラーネオ侯爵令嬢が殿下がいいと仰って、今に至りますね」

 ファブリツィオは口元を手で覆い、考える。

 「もしかして、その婚約者を戻そうと言ったのは王妃なのか?」
 「その話を持ち出したのは陛下ですが、もしかしたら、王妃様からの進言だったんでしょうか」
 「その辺を調べてくれるか?」
 「承知致しました」

 ピエトロは直ぐに行動を移した。 カーティアの策略が失敗した以上、次に何を仕掛けてくるのか、予想がつかない。

 堪らず、深い溜め息が吐き出される。

 もし、王妃がリアを兄上の婚約者に戻そうと提案したとして、そこまでリアに固執するのは何でだ? まさか、リアが欲しいから、俺を排斥に追い込みたいとかか?

 頭を抱えて執務机に突っ伏す。

 執務室を出て行ったピエトロは直ぐに戻って来た。 方々に聞き取りをしなくても直ぐに分かったらしい。

 「殿下、分かりましたよ」
 「……随分、早いなっ」
 「ええ、一人目で当たりを引きました」
 「そうか…….」

 引きが良いな、ピエトロ。

 「で、やはり王妃様が戻そうと言い出したそうです」
 「そうか、やっぱり王妃は、マウリツィオ兄上にリアが嫁いで欲しいと思っているんだな」
 「はい、そうですね。 何としても、殿下たちを引き離したいと思っている様です」

 眉を顰めたファブリツィオは、王妃からの執拗な恨みを感じて背中に悪寒が走った。

 「ピエトロ、王妃がリアに拘る理由を調べて欲しい」
 「承知致しました。 あ、それと、先程戻った時に王太子の侍従と会ったのですが、王太子殿下が戻られる様です。 殿下とストラーネオ侯爵令嬢から話を聞きたいそうですよ」

 王太子の名前を聞くとファブリツィオの眉間に皺が深く寄った。 今更、気づいたが、マウリツィオの補佐官たちも本日はまだ顔を見せていなかった。

 「えっ、マウリツィオ兄上がっ?」
 「はい、近々、お茶をしましょうとの事です」
 「……そうか、今は忙しいし、来月の芸術祭が終わってからだな。 王妃の事もあるし、王宮は危ない」

 ファブリツィオが取ってつけた様な言い訳を並べたて、マウリツィオとのお茶会を後回しにしようとした。

 しかし、にっこりと嫌な笑みを浮かべるピエトロに、即、却下された。

 もう日時が決められているらしい。

 「四日後の午後が空いているので、王太子殿下がこちらに来られる様です」

 という事は、逃げられないという事だ。

 諦めの混じった溜め息がファブリツィオから吐き出される。

 「仕方ない、逆らえないのだから、会うよっ」
 「はい、スケジュールに入れておきます。 後、直ぐに王妃様の事も調べます」
 
 面白がる様な笑みから、真面目な表情に変えるピエトロに、ファブリツィオも真剣な表情で頷いた。

 「うん、頼んだ」

 流石に王妃の事になると、慎重に事を運ばないといけない。 ファブリツィオに付いている影が総出で調べる事になった。

 暫くして、ヴァレリアが執務室へやって来た。 園遊会の後なので、ヴァレリアには休みをやっていたのだが。

 「どうした、リア? 今日は休めと言っていただろう」
 「ええ、ですから、差し入れを持って参りました」
 「差し入れ?」
 「はい、ファーベル様は、夢中になられると休憩を忘れますから」

 執務机にバスケットが置かれる。 察するに、中身はサンドイッチだろう。

 ヴァレリアが持っていたバスケットに見覚えがある。

 「ありがとう、リア。 中身はサンドイッチかな?」
 「覚えてくれていました?」
 
 嬉しそうに笑うヴァレリアを見つめ、ファブリツィオの瞳に愛しさが滲む。

 「ああ、覚えているよ」
 
 幼い頃、二人はよくピクニックへ出掛けた。 ヴァレリアは何時も同じバスケットにサンドイッチを詰めて持って来ていた。

 暫し、面倒な事は横に置いておいて、ヴァレリアとの逢瀬を楽しんだ。
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