26 / 38
26話
しおりを挟む・*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽
テスト期間が終了したからと言って、直ぐに答案が返却されるわけではなく、教師陣が採点を終えるまでは、通常授業。
長期休暇と交流会を目前に、生徒達がどことなくそわそわと過ごし――――
「で、どうよ?」
「うむ。おそらくは、回避できたと思う」
「よかったじゃねーか!」
「ああ、そう言うテッドの方はどうなんだ?」
「おう、なかなかの手応えってとこだな。リールはどうよ?」
「……いつもより、できたと思う」
「ライアン先輩って教え上手なのなー。ありがとうございました!」
「感謝します、ライアン先輩」
「ありがとうございました」
「助かりました」
と、みんなでライアンさんへお礼。
「いえいえ、そんなことはありませんよ。僕は、自分がセディック様に教わったようにして教えただけなので、教え上手なのはセディック様の方ですね」
確かに、ライアンさんの教え方はセディーの教え方と似ていて、わたしはやり易かったかも。
「ぉ~、そこで謙遜……というか、ハウウェルのおにーさんが出て来るんですか」
「? いえ、特に謙遜ではありませんが……ハウウェル君はどうでしたか?」
「わたしも、多分赤点ではないと思いますが……まだテストが返って来ていないので、なんとも言えませんねぇ」
「それもそうですね。ですが、休暇日数が短くなると、セディック様が悲しまれるかと……」
「まぁ、そうですねぇ・・・」
悲しそうなセディーの顔が脳裏に浮かび・・・次いで、「もっと勉強しようか? ネイト」と言って勉強する時間が増やされそうな気が・・・
「赤点は、是非とも回避したいですね」
これ以上の暗記とか、勘弁してほしい。というか、セディーは次期侯爵としての自分の勉強の方はどうなっているんだろう? いや、セディーが非常に優秀なのは、十二分にわかっているんだけどさ?
帰省中とか、わたしに構ってばかりいて大丈夫なんだろうか? セディーに、あんまりわたしに構わなくていいんだよと言っても、「僕と過ごすのは嫌?」って寂しそうな顔で聞かれちゃうし。
わたしは、セディーの悲しそうな顔に弱い。そう自覚している。セディーも、その辺りをわかっていて利用しているように思う。それを判っていて尚、わたしはセディーに弱い。
お祖父様もおばあ様も、そんなセディーとわたしを微笑ましいという顔で見ていますし。あと、「勉強ばかりでは気が滅入るでしょ?」と言って、お茶とお菓子を用意してくれたり、「セディーに構ってばかりいるのはズルいではないか」と、ゲームを持って乱入して来るのはどうなんでしょうか?
いや、ずっと勉強漬けよりは助かりますけど。
「赤点だとかそんな湿っぽい話はやめようぜ! それよりも交流会、どうすんだ?」
1
お気に入りに追加
42
あなたにおすすめの小説
【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った
五色ひわ
恋愛
辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。アメリアは真実を確かめるため、3年ぶりに王都へと旅立った。
※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話

【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて
ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」
お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。
綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。
今はもう、私に微笑みかける事はありません。
貴方の笑顔は別の方のもの。
私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。
私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。
ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか?
―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。
※ゆるゆる設定です。
※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」
※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド
いつの間にかの王太子妃候補
しろねこ。
恋愛
婚約者のいる王太子に恋をしてしまった。
遠くから見つめるだけ――それだけで良かったのに。
王太子の従者から渡されたのは、彼とのやり取りを行うための通信石。
「エリック様があなたとの意見交換をしたいそうです。誤解なさらずに、これは成績上位者だけと渡されるものです。ですがこの事は内密に……」
話す内容は他国の情勢や文化についてなど勉強についてだ。
話せるだけで十分幸せだった。
それなのに、いつの間にか王太子妃候補に上がってる。
あれ?
わたくしが王太子妃候補?
婚約者は?
こちらで書かれているキャラは他作品でも出ています(*´ω`*)
アナザーワールド的に見てもらえれば嬉しいです。
短編です、ハピエンです(強調)
小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿してます。

蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
根暗令嬢の華麗なる転身
しろねこ。
恋愛
「来なきゃよかったな」
ミューズは茶会が嫌いだった。
茶会デビューを果たしたものの、人から不細工と言われたショックから笑顔になれず、しまいには根暗令嬢と陰で呼ばれるようになった。
公爵家の次女に産まれ、キレイな母と実直な父、優しい姉に囲まれ幸せに暮らしていた。
何不自由なく、暮らしていた。
家族からも愛されて育った。
それを壊したのは悪意ある言葉。
「あんな不細工な令嬢見たことない」
それなのに今回の茶会だけは断れなかった。
父から絶対に参加してほしいという言われた茶会は特別で、第一王子と第二王子が来るものだ。
婚約者選びのものとして。
国王直々の声掛けに娘思いの父も断れず…
応援して頂けると嬉しいです(*´ω`*)
ハピエン大好き、完全自己満、ご都合主義の作者による作品です。
同名主人公にてアナザーワールド的に別な作品も書いています。
立場や環境が違えども、幸せになって欲しいという思いで作品を書いています。
一部リンクしてるところもあり、他作品を見て頂ければよりキャラへの理解が深まって楽しいかと思います。
描写的なものに不安があるため、お気をつけ下さい。
ゆるりとお楽しみください。
こちら小説家になろうさん、カクヨムさんにも投稿させてもらっています。

冤罪から逃れるために全てを捨てた。
四折 柊
恋愛
王太子の婚約者だったオリビアは冤罪をかけられ捕縛されそうになり全てを捨てて家族と逃げた。そして以前留学していた国の恩師を頼り、新しい名前と身分を手に入れ幸せに過ごす。1年が過ぎ今が幸せだからこそ思い出してしまう。捨ててきた国や自分を陥れた人達が今どうしているのかを。(視点が何度も変わります)

アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる