『えっ! 私が貴方の番?! そんなの無理ですっ! 私、動物アレルギーなんですっ!』

伊織愁

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26話

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 アーヴィング家の騒動を片付けた後、堂々とカルタシア王国の王宮へ乗り込んで行ったリジィたちは、突然の訪問に門番から止められていた。 王宮の門前で止められ、数十分は経っている。

 「あの、やっぱり行き成りは王様も会ってはくれないのではないですか?」
 「大丈夫だよ、シェラン国から使者を送ると、先触れを出しているからな」

 (いつの間にっ!)

 暫し、門番たちは揉めている様だったが、程なくして王への謁見が許された。

 重くて重厚そうな門が開けられる。 

 リジィたちを乗せた馬車がゆっくりと動き出した。

 カルタシア王国には、シェラン国、ブリティニア王国、カラントリム帝国から苦情と確認などが相次いでいた様で、王は慌ててラトとの謁見を決めた。

 謁見の間の前でラトと並んで立ったリジィは、とても緊張していた。 後ろにはダレンとバトも立っていた。 一緒に王と謁見をするらしい。 皆の腰に佩いていた剣は入り口で預けている。

 謁見の間の扉が開けられると、リジィの喉が上下に動いた。
 
 リジィはラトと並んで歩き、後ろからダレンとバトが続く。 そして、バトがマッケイを引きずっている音が続く。 

 リジィは俯きながら歩き、緊張で心臓が爆発しそうだった。

 リジィたちが片膝をつくと、王から顔を上げるように言われ、王の重々しい声が落ちて来た。

 「そなたらがシェラン国からの使者か」
 
 カルタシア王は気の良さそうなおじいちゃんだった。 王の問いかけに答えたのはラトだ。

 「カルタシア王、お初にお目にかかる。 私はシェラン国、近衛騎士団第二騎士団所属、ウールヴル王より団長を拝命しております。 後ろの二人は私の部下です。 隣にいるのは私の番です」
 「ほう、近衛騎士団長か。 番様もご一緒とは、獣人族の方々は番をとても大事にすると聞き及んでいるが、本当なのだな」
 「はい、私にとって唯一無二の存在でございます。 本日は私の番の事で、カルタシア王にご報告したい事があり、御前へ参りました」
 「ん? どういう事だ?」
 
 ラトがバトへ指示を出し、バトは縄に縛っていたマッケイを引きずって前へ出した。

 「ほら、自分の口で言えっ! お前がやった事、全てなっ!」

 マッケイは情けない声出して蹲っている。 王や謁見の間にいた貴族たちは、マッケイに初めて気づいた様だ。 端で並んでいる貴族たちがざわつく中、何人かが息を呑んだ。

 「それに縛られているのは、マッケイ子爵かっ? どうしたんだ? そなた、何故、そのような事になっているっ?」

 自身の国の貴族がラトに捕らえられ、泣きべそをかいている姿を焦ったように、眺めている。 怪しい動きを見せた貴族たちに、目ざとく気づいたラトがダレンとバトに指示を出す。

 「今、怪しい動きをした奴らを連れて来い」
 「了解っ!」
 「承知致しました」

 ダレンとバトが集まっている貴族たちに向かっていくと、何処からか小さい悲鳴が聞こえて来た。

 素早く貴族たちの間を風の様に抜け、怪しい人物の腕を掴み、ダレンとバトが二人づつ抱えてマッケイの元へ連れて来る。

 カルタシアの王は、ラトたちの突然の強行に、暫し固まっていた。

 カルタシアの貴族たちは、ダレンとバトの早業で捕まり、抱えられながら呆けた様な顔をしている。 そばに居た侍従から何かの報告を聞き、徐々に青ざめたカルタシア王が我に返った様だ。

 「マッケイ、本当なのかっ! お前、こちらの番様を害そうとしたのかっ?!」

 カルタシア王は立ち上がり、握った拳は物凄く震えていた。 王に問われたマッケイは、顔を伏せてまだ震えている。 

 ダレンとバトが抱えて来た四人も、マッケイの隣に並べられた。

 というか、バトとダレンに床へ投げつけられ、大人四人の男性が情けない声を出していた。

 少し落ち着いた王から、『説明せよっ』と低くて重い声が飛び出した。 人の良さそうな顔をした王は、今は目と眉が吊り上がっていた。 マッケイが顔を上げず、震える声で説明した。

 「わ、私は、十数年前……魔石の鉱山が欲しくっ……手に入れがたん為、アーヴィング家をっ」

 マッケイが言い淀み、口を噤もうとした瞬間、ラトから鋭い睨みと身体から魔力が溢れた為、もの凄く恐ろしい。 

 リジィが睨まれていないと分かっていても、とても怖かった。

 マッケイと隣に並ばされた貴族たちから悲鳴が沸き起こる。 バトがマッケイの尻を蹴り上げ、先を促す。 『痛いっ』と情けない声を上げたマッケイは話を続けた。

 「ここに居る私たちはアーヴィング家を陥れ、私たちがした悪事を全て押し付け、犯罪者に仕立て上げましたっ! その……彼の方の番様はっ……アーヴィング家のご令嬢ですっ」
 「なんとっ、マッケイ、お主はなんて事をっ!」

 カルタシア王国の王侯貴族は、獣人の番に手を掛けたと知り、阿鼻叫喚の叫び声を上げた。

 ラトがカルタシア王を真っ直ぐに見た。 

 ダレンやバトは、端に並んでいる貴族たちの阿鼻叫喚の叫びを鬱陶しそうに見ていた。 リジィは、あまりのカオスな状態を黙って眺めるしかできなかった。

 「カルタシア王、それで私から頼みがある」
 「……た、頼みかっ、なんだ?」
 
 カルタシア王はラトが何を言いたいのか分かっているが、聞くのが怖いと顔を青ざめさせている。

 「リジィの家族を陥れたこいつらの処分を我々に任せて欲しい」

 ラトの処分と聞き、獣人の威圧から、殺されると思ったマッケイたちが更に悲鳴を上げた。 しかし、王が待ったを掛けた。

 「待ってくれ、近衛騎士団長殿。 彼らが悪事を働いたという証拠はあるのだろうか? それに犯罪者と言っても、我々の国の貴族だ。 カルタシア国の法律で裁きたい」
 「ダレン」
 「はい、こちらはアーヴィング家の地下に隠してありました。 この方たちの悪事の全てです。 きっと証拠を提出している暇もなく、アーヴィング家の当主は国を追われたのでしょう」

 ダレンが持ち帰って来た色々な物をポーチ型のマジックバッグから出した。 

 かなり重い量の書類に、カルタシア王と貴族たちは、息を呑んだ。

 「こちらの証拠書類は、アーヴィング家の当主が集めていたようです。 彼らに領地を狙われていると気づいていたんですね」

 ダレンの冷たい視線がマッケイたちに突き刺さる。 彼らは氷が凍結するように固まった。

 王の指示のもと、文官や宰相などが、ダレンが差し出した証拠書類を改める。 

 王も証拠書類を確認していく毎に、徐々に顔色を変えていった。 他の貴族たちも同様だ。

 リジィは目の前で起こっている状況を他人事の様に見ていた。 まだ、実感が湧かない。

 (でも、これで両親の無実が晴れるっ、父に、母に会える?)

 両親に会える事を思うと、リジィの胸から喜びが湧いて来た。 きっと何処かで隠れ住んでいる両親に、早く伝えたい、見つけたい出したいと、心から思っていた。

 「近衛騎士団長殿、少しだけ番様と話をしたい。 謝罪もさせて頂きたい」

 王が丁寧な口調でラトへ問いかけて来た。 ラトがリジィの方へ視線を向け、リジィの意思を問いかけて来る。 リジィも頷き返した。 ラトは王に向けて頷いた。

 「承知しました」
 
 王はリジィに視線を向けて来た。 視線が合ったリジィは、緊張と粗相しないかと、身体を小さく震えさせて反応した。

 「アーヴィング家のご息女よ。 我らの調べが足りず、マッケイの話を鵜呑みにし、アーヴィング家の面々に多大な罪を着せてしまった事、申し訳なかった。 そなたに許しを請う事は、許されないと思っている。 一族を離散させてしまったのだ……。 そなたの心情的には許す事は出来ないだろう」

 深い溜息を吐いた後、王はリジィへ優しい眼差しに、悔いる様な色を滲ませて見つめて来た。

 「アーヴィング一族には、心からの謝罪と賠償をしよう。 そこで、そなたに問いたい」
 「はい」

 王はマッケイたちに氷の様な冷たい視線を向けた後、再びリジィに柔らかい笑みを向けた。

 「そなたは、マッケイたちをどうしたい? どのような処分を望む?」
 
 リジィの脳内では、父と母の優しい眼差しと、リジィを呼ぶ声。 両親との記憶を思い出した今、リジィが望む事は、ただ一つだ。 顔を上げたリジィの答えは。

 「私は両親に会いたいです。 何処かで生きているのか……もしかしたら、殺されているかもしれないっ……でも、私は父と母に会いたいですっ」

 隣で聞いていたラトがリジィの腰を引き寄せる。 リジィの切実な訴えは、周囲の人々の胸を打った。 リジィの話を聞いているマッケイたちは、顔を青ざめさせ、もの凄く身体を震わせていた。

 「マッケイ子爵と、関わった人達には相応の罰を与えて下さい。 優しい両親は、きっと死刑は望まないと思います」
 「そなたの望みを叶えよう。 アーヴィング一族は、必ず見つけると約束しよう。 マッケイたちの処分をどうするか……。 番様はこう申しているが、近衛騎士団長殿はよろしいか?」

 最後の言葉は、ラトに視線を向けて王は言った。

 「私は、番であるリジィの望むようにしたい。 リジィが罰を与えたいのであれば、そうする」

 ラトのマッケイたちを見る表情は、『本当は殺したいがなっ!』と物語っていた。

 マッケイたちはラトの殺気を受け、小さい悲鳴を上げて身体を縮こませた。 

 恐怖で震えるマッケイたちを見ても同情する気持ちは湧き上がらなかった。

 マッケイ子爵領は、不当に取り上げられた為、アーヴィング家に戻される事となった。

 無実が晴れたアーヴィング家は、不当に取り上げられた領地を取り戻し、貴族社会にも復帰を果たす。 しかし、何の領地経営をした事もなく、貴族社会も知らないリジィには管理は無理だ。

 「アーヴィング家の領地なのだが……」
 「カルタシア王、アーヴィング家の悲劇を思うと、我々はそちらの官僚や貴族は信用ならない」
 「うむ、そなたたちの懸念は分かるが、しかしっ……」
 
 カルタシア王の表情から、魔石の鉱山を手放したくはないと顔に出ていた。

 (はっきり言って……ここからの話し合い、私は全く役に立たないだろうなっ)

 「リジィの両親や親族の所在が分かるまで、我々が領地管理の代理をする」

 ラトの宣言に周囲の人々がざわついた。

 避難や抗議めいた声も上がられたが、バトの鋭い視線を受け、貴族たちは黙り込んだ。 少しだけ、バトが騎士ではなくて、破落戸に見えた。

 「また、不当に領地を取り上げられるかも知れないからな。 何も知らないリジィをいいように利用しようとする輩が出ても困る。 それに魔石の鉱山の地図は私の手元にある」

 ラトの責める様な視線に、黙り込んだ貴族たちの顔が青ざめ、数名が身体を震わせている。 ラトの言うような事を考えた者がいる様だ。

 (貴族って怖いっ!)

 「早々に、私の信頼を置ける者を代理として派遣させる。 シェラン国と繋げる転送魔法陣もアーヴィング家の屋敷に設置する事も考えている。 勿論、アーヴィング家の一族が見つかるまでだ。 お前たちを見張らせてもらう。 ちゃんとリジィの両親を探すか。 もし、偽物を両親だと言っても分かるからな。 リジィには両親の記憶があるからな。 誤魔化そうたって利かないからな」
 「親類縁者も同じです。 アーヴィング家の当主はちゃんと一族の姿絵を残してくれていましたからね。 その他にも我々には、縁者だと分かる魔道具がありますから」

 ラトは王侯貴族を鋭い眼差しで眺め回し、ダレンがにっこり微笑んで牽制している。 リジィはラトの隣で生唾を飲み込んだ。

 (偽物っ……その可能性も全く考えてなかったっ)

 獣人を敵に回しても得策ではなく、今後の事を考えると、いい関係を築いた方がいいと判断したカルタシア王は、ラトの要求を呑む事とした。 そして、マッケイたちの処遇は爵位を剥奪、貴族籍からの排斥、労働階級へ落され、アーヴィング家の鉱山以外、別の場所にある鉱山でタダ働きだそうだ。

 代理は、なんと副団長のダレンだ。 

 しかも、ラトは事態を予測していたのか、初めから考えていたのか、転送魔法陣を設置できる騎士団員を連れて来ていた。

 カルタシア王とシェラン国の王から許可を取ると、一日で設置出来てしまった。

 「流石、仕事が早いです……時間が掛かるって言っていたのにっ」
 「でしょう? 備えあれば憂いなしです。 本来なら手続きに相当な時間が掛かるんですけど、カルタシア王に無理を通してもらいました。 お互いにいい関係でいたいですからね。 これで国際問題は回避です」

 ダレンが得意げに宣った。 転送魔法陣はアーヴィング家の屋敷の中に、設置する事になり、屋敷の管理も当分はダレンが代行してくれる。 皆がリジィの為に動いてくれた事で、決意を固めた。

 「転送魔法陣を設置したのなら、私も父が見つかるまで手伝わせて下さいっ! 私の家の事なのでっ」

 リジィの真剣な眼差しを受け、ラトは少し考えていたが、リジィが手伝う条件を出して来た。

 「条件は、絶対に夜は俺の屋敷に帰ってくる事。 一人にはならない事。 これだけは絶対に守って欲しい。 リジィの帰ってくる場所は俺の所だと」
 「分かりました。 絶対に守ります」

 力強く頷いたリジィに、ラトはホッと胸を撫で下ろしていた。 話し合いを重ねた結果、リジィはシェラン国とカルタシア王国を屋敷の転送魔法陣を使って行き来する事になった。 色々な手続きを終えて、シェラン国へ帰還する日が来た。

 リジィの身の安全の為、転送魔法陣を使う事になり、事前にスヴァットには報告をしていたが、彼は安全第一が一番だと快く了承してくれた。 あわよくば魔石の取引を持ち掛けてくる辺り、商人だなと思わせた。 リジィたちは、アーヴィング家の屋敷にダレンを残し、無事にシェラン国に帰還した。
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