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第九話 辻馬車営業所が出来上がった

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 苦手なダンスレッスンを終え、汗を流した後、アルフの部屋の居間で見知らぬ美少女が自身の部屋かの様に、ソファで読書をしながら寛いでいた。 居間の扉はガラスの両扉なので、中に人が居たら気づくのだが、髪を拭きながら扉を開けたため、人がいる事に気づかなかった。

 アルフが開けた扉をそっと抑えていたグランの事にも気づいていなかった。 アルフの頭の中には、下宿屋の間取りをどうするかに支配されていた。

 「えっと、君は誰?」

 アルフは自身が貴族だという事が頭から抜けていた。 勿論、居間で寛いでいる美少女も貴族だ。

 貴族は格差社会なので、礼儀が求められ、身分の高い者は低い者には先に挨拶をしない。 美少女を良く見ると、ギーゼラを幼くしたような容姿だった。 直ぐに美少女がギーゼラの娘だと理解が出来、慌てて挨拶を交わした。 そして、美少女から思いもよらぬ事を宣言された。

 ◇

 「何故、私がここに居るのかって? それはね、未来の旦那様の顔を見る為よ」

 何食わぬ顔で平然と宣った美少女アンネは、デブリッツ家の1人娘、現在14歳。 アルフより1つ年上だ。 アルフも貴族なのだから、婚約者が出来る事もあるだろうと、少しだけ覚悟はしていた。

 アルフの脳内で、ある日のノルベルトの言葉が駆け巡った。 今、アルフに妻や子供が出来ると、大変困る事になる。 幸せな家庭が壊れる妄想を脳みそが勝手に妄想する。
 
 アンネを見つめたアルフは、頬を引き攣らせ、突然の事で訳の分からない事を宣った。
 
 「いや……突然、そんな事を言われても……僕には莫大な借金があって、君を幸せに出来る自信がないっ」
 「はぁっ? えっ、ちょっと待ってっ」

 アルフは涙目になりながら、アンネに詰め寄った。 アルフが詰め寄った分、後ずさったアンネは窓際に追い詰められた。 窓際にはアンネが座っていたソファがあり、ソファへ押し返され、自然と再び腰を下ろす。 窓の外は、前庭に作られた植物で囲まれた小さな広場と、貴賓室から見える薔薇園が上から覗ける状態で見える。

 ソファの足元へ跪いたアルフは、戸惑うアンネの両手を握ると、拝むように自身の胸の前へ持って来た。 アルフの行動にアンネの肩が小さく跳ねた。

 「君がもし、僕の婚約者だと言うのが本当ならっ……」
 「……本当ならっ?……」
 「……初対面でこんな事を言うのは憚れるだろうけど、君みたいな美少女に破棄されるのは悲しいけれど、受け入れるしかないっ! 子供も作れませんっ、身の破滅……御家断絶……」
 「ちょっと待ちなさいっ! 子供って何っ?! 最後は何を言ってるのか分からないわよ……」

 背後で控えていたグランが、頭が痛いと、溜め息を吐きつつこめかみを抑えている。 しかし、アルフの脳内では、ノルベルトから教育されている事柄が巡っており、正常な思考が出来ていなかった。

 軽く、予期せぬ事態にパニック状態だとも言える。

 背後から近づいて来たグランがアルフとアンネを引き離し、アルフに声を掛けて来た。
 
 「若様、大丈夫です。 デブリッツ嬢がおっしゃられた事は、ギファイ伯爵だけがおしゃっておられる事ですから、口約束にもなりませんよ」
 「えっ……じゃ、身の破滅とお家断絶は?」
 「ありません」
 「……そうか」

 ホッと胸を撫で下ろしたアルフの耳にすっかり忘れられたアンネの声届く。
 
 「ちょっとっ、さっきから何なの? その、身の破滅とか、お家断絶とかっ」

 唇を尖らせて不満の声を上げるアンネは可愛らしく、少しだけ胸が小さく跳ねた。 使い物にならないアルフの代わりにグランが詳しく説明をする。

 漸く理解が出来たアンネの笑みは、穏やかではなかった。 アンネはソファで腕を組み、ドレスのスカートで隠れている足を器用に組み替えた。 アルフはアンネの不機嫌な様子に疑問譜を飛ばした。

 「ふ~ん、私が自分や家の為に、利益を得る為、アルフに近づいて来たと思ったのね。 まぁ、そんな馬鹿な女は沢山いるでしょうけどっ。 私は親戚と結婚する気はさらさらないわっ」
 「あ、違うよっ、そうじゃないんだ。 ただ、今、婚約者が出来るのは、難しいと思っていて……」
 「……そうね、おじい様からの莫大な借金があるものね。 私も悪かったわ。 ちょっとだけ、年下の親戚の男の子を揶揄ってあげよう……と思っただけなんだけど……。 まさか、ノルベルトの教育がここまで浸透しているなんて、思わないじゃない」
 「「「……」」」

 3人が無言で視線を見合わせ、アルフは自身の妄想力に羞恥心が沸き上がり、頬が熱くなった。

 「なんか、ごめんなさいっ」
 「ううん、でも、アルフ。 おじい様に借金を返してからって考えてたら、一生、結婚できないわよ。 おじい様も頑固だし、頭が固い上にしつこいしね」

 アンネは自身の祖父だと言うのに、容赦なくこき下ろす。

 「うん、でも、やっぱり今はまだ婚約者の事は考えられないよ」
 「そう、気にしなくてもいいわよ。 本当におじい様が1人で言っているだけだから、大叔母さま、マルガ様の事よ。 大叔母さまが反対するに決まっているしね。 私たちは、婚約とか関係なく仲良くしましょう」
 「うん、ありがとう。 アンネ」

 アンネの登場ですっかり午後の計画が頭の中から消えてしまったアルフは、親戚になるアンネと仲良く成るべく、時々グランを交えて、アンネが帰るまでお互いの事を語り合った。

 「随分とアンネと仲良く過ごしたそうですね、アルフ」
 「はい、とても楽しい時間を過ごしました」
 「そうですか……兄の勘もたまには当たるのですね」

 晩餐前には、マルガの体調も良くなったようだ。 ギーゼラが体調回復の『祝詞』を上げてくれたようで、夕食を共にするまでに回復していた。 祖母の言葉は晩餐の時に出た話だ。

 ロイヴェリクの食堂は、1階の階段の横に設けられている。 食堂の入り口の壁が全面ガラス張りで、扉もガラス扉だ。 中へ入ると、縦に長くて大きなテーブルが置かれ、正面に出窓が2つ。

 右側に大きな暖炉がある。 部屋の4隅には観葉植物が置かれている。 マルガは一番奥の席、1つだけある席に着いていた。 背後の出窓から、裏庭に植えられている果物の木が見えていた。

 アルフの姿が見えると、マルガは嬉しそうに微笑んだ。 10人が座れる白いテーブルに、2人の晩餐が運ばれて来る。 アルフは左側の一番奥の席を選び、腰掛けた。

 マルガと話しやすい近い席の方が良いと思ったのだ。 いつも1人で食事する時も座っている席でもある。 アルフがロイヴェリク邸へ来て、一番困ったのは、食事だった。

 今まで音を鳴らさずに物を食べるという事をしてこなかったので、とても難しい上に、カトラリーの扱いを覚えるのも大変だった。 孤児院ではスプーンとホークだけで事足りたのだ。

 マルガから先ほど言われた事が気になり、彼女へ視線を向ける。

 「私はアンネでも構いませんよ」

 マルガが言っている事に理解が出来ず、アルフは首を傾げた。

 「アルフのお嫁さんです」

 『お嫁さん』というワードに、アルフは固まり、食堂の入り口で控えているグランとノルベルト、コンラートのアテシュ家の皆が困惑の表情を浮かべていた。

 「え、えと、おばあ様……僕はまだ、結婚は考えられないと言うか……」
 「ええ、まだまだ先の話です。 ですけど、今から考えておくのもいいでしょう」
 「あの、アンネとは……結婚とか関係なく仲良くしようと、友達になったんです」
 「あら、そうなの? まぁ、最初は友達からって言いますものね」

 マルガはすっかり、アンネを迎え入れる気になっている様だった。 アンネと仲良くなったのが仇になっている、とアルフはがっくりと項垂れた。

 今夜の晩餐は、アルフの好きな牛肉のステーキで、甘酸っぱいソースを掛けてある料理だ。 折角のステーキだが、味はあまりしなかった。

 ◇

 アンネの襲撃の数日後、いつものノルベルトの午前の授業の教材を腕に抱え、図書室へ向かった。

 4階のアルフの部屋を出ると、廊下に下へ降りる階段が設置されている。 2階まで降りて、右へ曲がり、突き当りを左へ曲がると左側に図書室がある。 3階は全てが客室になっているので、行った事がない。 立ち並ぶ本棚をよけ、奥の窓際へ進む。 大きな柱に黒板が書かれていて、読書スペースに、ソファセットが置いてある。

 (今日は……確か、数学と貴族と王家の成り立ちだったかなって……えっ)

 今日の授業の内容を思い出していると、目の前のソファにトゥールが腰掛けていた。 ソファの側でルヴィも立っていた。 向かい合って置いてあるソファには、ノルベルトが既に座っていた。

 後ろから着いて来ていたグランは、黒板の定位置へ着く。 図書室へ到着したアルフに、トゥールが笑いかけて来た。

 「やぁ、ごきげんよう、アルフ。 良い朝だね。 ぼさっとしていないで、私の隣へ座り給え」
 「い、いや、何でトゥール殿下がここへ?! しかも、一緒にノルベルトの授業を受けようとします?!」
 「だとしたら、どうだと言うんだい?」
 「……」

 (一緒にはやりづらい……なんて、言えないっ)

 「若様、取り敢えず殿下の隣へお座り下さい。 それから、エスターライヒ殿もこちらへお座り下さい。 余分な椅子が無くて申し訳ありませんが」
 「いえ、俺はここでいいです」
 
 アルフはノルベルトの言う通りに、大人しくトゥールの隣へ座った。

 「エスターライヒ殿は本当にそちらで良いのですか?」
 
 再度、ノルベルトがルディに確認すると、ルディは黙って頷いた。

 「では、授業を始めましょう。 最初の授業は数学です」

 ノルベルトの淡々とした説明が始まり、授業が始まった。 一緒に授業を受けた日から、トゥールと受ける授業が増えて行った。 マゼルやアンネが一緒になる時もあった。

 そして、アルフは人が恋に落ちる瞬間を見てしまった。

 「マゼル、紹介するよ。 彼女はおばあ様の姪で、ズザンネ・フォン・デブリッツ嬢。 僕たちより1つ上だよ。 アンネ、彼は僕の友人で、マゼル・フォン・シファーだ」

 アルフのいつもの場所、厩舎の裏の広場で、マゼルが遊びに来ており、丁度、アンネがギーゼラの『祝詞』について来ていた。 アンネはギーゼラから『祝詞』を教わっており、本日も当然の様にロイヴェリク家へ来ていた。

 「ごきげんよう、マゼル。 初めまして、アンネよ。 よろしくね」

 アンネが爽やかな笑みを浮かべて、マゼルに握手を求めて手を差し出した。 しかし、マゼルは一言も発しない。 どうしたのかと、右隣で立っているマゼルを覗き見ると、マゼルは頬を染めて、一心にアンネを見つめていた。 マゼルの瞳にはアンネが映し出され、熱を帯びていた。

 「マゼル?」

 マゼルはアルフの呼ぶ声に、ハッとした様に肩を小さく跳ねさせ、アンネに見惚れていた事に羞恥心が沸いたのか、更に顔を真っ赤にさせた。 慌てて、挨拶をしてアンネが差し出した手を恐る恐るとっていた。 アンネの方も、満更でもないのか、少しはにかみながらマゼルと握手を交わしていた。

 アルフの目の前で仲良くする2人の様子に、アルフの胸に靄が掛かる。

 (2人が仲良くなるのはいいんだけど……ちょっと、面白くないなっ)

 突然、婚約者だと言われて困惑して、莫大な借金の為に断っていたが、無意識化ですっかりアルフも乗り気になっていた様だ。 マゼルの恋する瞳をまじまじと見つめ、アルフの中ではアンネへの気持ちがマゼルの様に育っていない段階だと悟った。

 一瞬で恋に落ちてしまったマゼルは夢心地だろう。 後、マゼルの母親はとても喜ぶだろうと思われる。 結婚となれば、アンネは婿を娶るのだから、マゼルは貴族のままでいられるのだ。

 (少しだけ、寂しいけど……。 2人が幸せなら、いいよね)

 まだ13歳と14歳だ。 幼い2人が将来、結婚するかどうかは分からない。 上手く行くかもしれないし、駄目になるかも知れない。 しかし、アルフは2人を応援しようと決めた。

 一部始終を3人の背後で見ていたグランは、アルフの消極的な態度に、少しだけ溜め息を吐いた。

 ◇

 漸く半年がたち、下宿屋と辻馬車営業所の建物が出来上がった。 居間のソファで、貸し部屋もしようかな、と考えていたアルフは、先ずは辻馬車営業所へ向かった。

 屋敷の裏庭と使用人宿舎の間に厩舎へ続く裏道がある。 屋敷の裏戸を出て、畑の横を通り過ぎ、左へ曲がると、厩舎へ続く裏道に出る。 真っ直ぐに厩舎へ向かおとして、ついて来たグランに引き留められた。

 「若様、こちらから辻馬車営業所へは行けません」
 「えっ?! そうだっけ?」

 しかし、前までは厩舎の裏の広場からも辻馬車営業所の建物が出来上がっていく過程が見えていた。

 当然、裏庭の裏道から営業所へ行き来きが出来るものと思っていた。 アルフはグランの言葉を確かめるように裏道を歩いて行くと、裏庭の畑の隣に小さい林が出来ていた。 林の向こうに、件の辻馬車営業所の建物が見えた。 どうやら、ロイヴェリク邸と辻馬車営業所の間に、小さい林を作った様だ。

 「おうっ、林に遮られて営業所に行けないっ。 どうして?」
 
 アルフに追いついたグランが辻馬車計画書の羊皮紙を覗き込みながら、説明をする。
 
 「え~、辻馬車営業所の位置がですね。 丁度、薔薇園に近い場所でして、貴賓室もございます。 貴賓室から営業所が見えない様に、目隠しをしたという所ですね。 色々な方が辻馬車営業所へ行き来する事が想定されますので、防犯上でも容易には薔薇園へ近づけない様にしております」
 「……ああ、そうか。 ん?」

 一緒に羊皮紙を覗き込んでいたアルフは、アーモンド形の青い瞳を見開いた。

 「あれっ? 営業所の図案が僕の考えた図案と違う形になってるっ?! どうしてっ!」
 「えっ、そうなのですか? ですが、もう出来上がってしまってるのですが……」

 辻馬車営業所へは、屋敷の玄関を出て前庭の薔薇園の横を通って正門を出て、右に進路を取って進む。 薔薇園を横切り、小さい林を超えて右に曲がると、数メートル先に辻馬車営業所が見える。

 石畳みの道が敷かれ、路肩には石で積まれた高さ150cm程の塀が出来ていた。 塀の向こう側は小さい林になっている。 親方とノルベルトの姿が営業所の前で話している姿が見え、急いで駆け寄った。 ダッシュで数メートル走をして、アルフは息も絶え絶えに営業所へ辿り着いた。

 ノルベルトと親方に声を掛けたが、アルフの声は言葉にならず、息だけが吐き出された。

 「若様、息を整えてからで良いので、ゆっくりと息をして下さい。 おい、誰か、水を持って来てくれ」

 後ろを走っていたグランは何故か、全く平然としている。 息を整えないと、話も出来ないアルフと違って、1つも汗を掻いていないグランに少しだけ嫉妬をした。

 持って来てもらった水を一気に飲み干し、喉と息が整い、親方に視線を向けた。

 「どうして僕が出した図案と違う図案になっているんですか?!」
 「ん? どうした若様、わしらは若様が出して来た図案通りに作り上げたぞ。 最終確認もしただろう?」

 図案通りにしたと言うが、アルフが握り締めている羊皮紙には、Yの形のスターハウスではなく、Tの字の建物の図案で描かれていた。 事態を察していたノルベルトがアルフの耳元で囁いた。

 「若様、どうやら親方は、Yの斜めの部分を羽ペンを真っ直ぐに引けなくて、斜めなってしまったのだと思っていた様です。 まぁ、羽ペンで線を引くのは難しいですからね」

 (こんな落とし穴があったとはっ……)

 間取りはアルフの要望通りになっているので、良いだろう。 ただ、社員寮や辻馬車営業所の周囲には、やはり小さい林が出来ており、営業所や社員寮を回り込むように石畳みの道が敷かれていた。

 「もう出来上がってしまいましたからね。 どうにもなりませんよ」
 「……う、うん」

 最初だけ親方とやり取りをして、アルフは装飾品造りに没頭していたのだ。 ちゃんとすり合わせをしなかったアルフが悪いのだ。 心配気にアルフの様子を見ていた親方と向き合った。

 「すみません、親方。 大丈夫です。 中を見せてもらってもいいですか?」
 「ああ、構わないよ。 営業所の内装も出来ているから、直ぐにでも営業できますぜ」
 「ありがとうございます」

 アルフは気を取り直して、営業所の店構えを眺めた。 ガラス両扉の横に天井まである細長い窓を左右に付けた。 解放感溢れる店構えにしたのだ。 右側の壁にアルフが制作したロイヴェリク辻馬車営業所のエンブレムが飾られている。 ガラス扉の取っ手に手を掛けると、自然と心が躍る。

 新築の木の匂いは、とても柔らかくて心が落ち着く。 ガラスの両扉を開けて営業所の中へ入って行った。 後ろからノルベルトとグラン、親方が続いて入って行った。

 左側に受付けカウンター、右側にお客様を応対する接客スペース。 そして、小さいけれどテラスも作られていた。 カウンターの奥の扉は、事務所兼社員の詰め所がある。

 明日から早速、営業する事になり、暫くはマクシミリアンの所の社員で持ちまわる事になった。 最初は赤字だろうが、直ぐに黒字になると予想している。
 
 直ぐに社員と、営業所の所長を任せられる人員の募集を掛ける事にした。 新しい木の匂いに、アルフの頬が緩み、お金が入ってくる事を想像して、にやける顔を止められないアルフだった。

 都合のいい妄想しているだろうアルフを大人たちは苦笑を零し、グランはまた溜め息を吐いていた。
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