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45話 それぞれの誕生日プレゼント パート2
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世界樹ダンジョンを後にした優斗たちは、真由を王城に預ける為、王都へ向かった。 ベネディクトが死んだ事で、真由はベネディクトの呪縛から解けたが、やはり心が壊れていた。 真由は修道院へ送られる事になり、他の勇者御一行 と騎士たちは、療養所へ送られたそうだ。 王だけは王城の奥で療養している。
――ベネディクトの戦いから1週間後。
食堂のテーブルには、自分たちで作った朝食のメニューが並ぶ。 いつもの席に座り、楽しい朝食が始まる。 毎朝の恒例であるミーティングの席で、華がお披露目したミニ版の立体映像に、優斗は『やっぱり作ったか』と顔を引き攣らせた。
「じゃ、じゃ~ん。 悪魔バージョンの小鳥遊くんです!」
『おお! やっぱり作ったんだ!』とフィルとフィンの感嘆の声が上がった。 フィルを挟んで座る瑠衣が、肩を震わせて笑っている。
「くっくっ、何処の魔王様だっ! あの時より、めちゃ盛られてるけどっ」
瑠衣の言うと通り、頬や額に何やら紋章みたいな物が描かれ、生えていなかった尻尾が生えていた。
「あの立体映像は、華が妄想する何処か他所の世界の俺のそっくりさんだ」
「あっははっ!」
瑠衣が優斗の言葉を聞いて、堪らず大声で笑いだした。 仁奈も何とか笑いを堪えているが、声は抑えられていない。 華は瑠衣と仁奈の様子に『むぅ』と口を尖らせていた。
ミニ版で着ていた悪魔バージョンの防具は、等身大の立体映像が着ていた。 時折、華の部屋へ訪れると、ドンとベッドの足元に置いてあり、じろりと優斗を見る。 華の趣味がバレてから、優斗が華の部屋に入る事は解禁されている。
(やっぱり、こいつだけは慣れない!)
優斗たちは今まで通り、ギルドで依頼を受けてお金を稼ぎ、たまに修道院や療養所にいる同級生の下へ訪れる。 そして、極たまに魔族と出くわす。 そうして優斗たちは、異世界の生活に馴染んでいった。
――ベネディクトとの闘いから、3週間以上が過ぎ、異世界に落とされて66日目。
今朝の朝食当番は、華と仁奈だ。 今朝のメニューは、ハムとチーズのトースト、スクランブルエッグにレタスとトマト、野菜たっぷりのミネストローネだ。
「華さ、今日、買い物付き合ってくれない? 明後日さ、瑠衣の誕生日なんだよね」
「ああ、そうか。 瑠衣くんの誕生日! ん~、私も何かしないとな。 瑠衣くんにも助けられてるし」
「私、思ったんだけど。 これって瑠衣からの誕プレだと思うんだよね」
仁奈の首には、『一生、外れない』ネックレスがかかっており、しかも追跡魔法が掛けてある。 華はネックレスを見ると、頬が引き攣った。
(仁奈、そんな怖い物を貰ったのに、お返しを渡すんだね)
「じゃ、今日は買い物に行くからって、ギルドの依頼は一緒に行くの断ろうか」
「うん」
華と仁奈は朝食が終わると、街へと繰り出して行った。 街は、少しづつ人が戻りつつあり、以前よりも賑わいを取り戻していた。 街の雑貨屋に、華と仁奈の姿があった。 華と仁奈、フィンの3人は、頭を悩ませていた。 いったい何をあげれば、瑠衣は喜ぶのか。
早々に根を上げた華は、優斗にあげた飾り紐の瑠衣バージョンを作ることにして、魔法が掛かっている魔法石を探した。 実は仁奈の誕生日プレゼントにも、仁奈バージョンを作って渡している。
仁奈はまだ、悩んでいる様だ。 瑠衣が欲しい物なんて、ちょっと思いつかない謎な人物だ。 仁奈が悩んだ末、手に取ったのは女性が寄って来る香水だった。 華は仁奈の手を止めて、別の物を渡した。
「仁奈! 何でそっち?! こっちの香水の方がよくない?」
「ん? だって瑠衣、ギルドへ行くといつも女に囲まれるから?」
フィンも呆れた声を出す。
「普通は、逆の女避けにするでしょ? 何で、ニーナは自分の事になると、斜め上な考えになるのかしら?!」
華たちの賑やかな声が雑貨屋に響いていたが、こっそりと瑠衣と優斗、フィルの3人が様子を覗いており、瑠衣が面白そうに微笑んでいる事に気づいていなかった。 優斗とフィルは、瑠衣に引っ張って連れてこられただけだ。 瑠衣への誕生日プレゼントは、華とフィンにより、防御魔法が掛かった香水に変えられた。
――小鳥遊優斗の朝は、いつも監視スキルの声で起こされる事から始まる。
『花咲華の位置を確認、安全を確認しました。 就寝中の危険は、ありませんでした。 花咲華はまだ、就寝中です』
瑠衣の誕生日から2か月が経ち、異世界へ落とされて127日目の朝が来た。 明後日は、華の誕生日だ。 勿論、瑠衣と仁奈の誕生日も当日に祝った。 今日の朝食当番は、優斗と瑠衣だ。 優斗は朝食の準備をしながら、深い溜め息を吐いた。 瑠衣が優斗の様子に気づき、声を掛けてくる。
「どうした、優斗。 何、悩んでるのか?」
「いや、大した事じゃないけど。 前に瑠衣と行った装飾品店あるだろう? この前、また行って来たんだけど、中々これっていうのが見つからなくて。 華の誕生日、もう明後日なのに」
「ああ、ペアーリング? なるほどね。 いまいち華ちゃんの好みが、俺には分からないけどな」
お皿にキャベツの千切りを盛る瑠衣の指輪がキラリと光る。 優斗は瑠衣の指輪を見ると、ピクリとこめかみが引くついた。 瑠衣は知らぬ間に、優斗の木刀と華の魔道具、フィルとフィン、雷神と仁奈のネックレスに追跡魔法をかけ、瑠衣の指輪で全員の位置が分かるようにしていた。
後で、瑠衣に聞いた時はぞっとしたが、反対の立場になり、華の気持ちが痛いほど分かった。 だから、優斗は改めて、決して監視スキルを悪用しない様にしようと心に決めた。
「じゃあさ、手作りにしてみれば? 華ちゃんも手作りくれたんだろう? 優斗の誕プレ」
「うん。 でも、手作りか~。 アクセとか作った事ないしな」
「じゃ、好きなデザイン考えて、お店に頼んでみれば? 魔除けの魔法とかも、好きなの掛けてくれるし」
「そうか、じゃ、そうしようかな」
『花咲華が起床しました。 食堂へ降りてきます』
「あ、やばっ! 華もう、降りてくる!」
「まじ、もうそんな時間! 優斗、急げ!」
「おお!」
監視スキルの声に、優斗たちは急いで朝食の準備を済ませ、テーブルのセッティングを済ませた。 フィルとフィンが森から新鮮な果物を採って来ると、いつもの賑やかな朝食が始まり、今日の予定を決める。
今日は、お隣と言っても、大分距離はあるが、前から頼まれていた農家のお手伝いだ。 報酬は採れたての野菜を好きなだけ持って行って良いという事だった。 大食漢が2匹いるのでとても助かると、我が家の大蔵大臣こと瑠衣が大喜びしていた。
――次の日、装飾品店に優斗の姿があった。
魔道具の街の市場は、ベネディクトがいなくなってから、大分人が戻り、活気が戻ってきていた。 瑠衣たちの隙をついて、1人で来ていた優斗は悩んでいた。 優斗の頭を悩ませていたのは、魔法石に付与する魔法をどれにするかだ。 優斗には、監視スキルがある為、今以上のスキルは要らないのだ。
デザインは直ぐに決まったが、黒縁メガネのチョビ髭男性店員が進める付与魔法は、どれも監視スキルで補えるものだった。
「では、男性避け等はどうでしょう?」
優斗の頬が引き攣る。 自身のベルトに付いている華からの誕生プレゼントの飾り紐に、女避けの魔法が掛かってる事を知らない優斗は、店員の勧めに少し引いていた。
「それって、皆、付与するもんですか?」
「ですね~。 一番、多いのは魔物避けですけどね」
「2人とも冒険者なので、魔物除けされると、狩が出来なくなって困ります」
店員は優斗に乾いた笑い声を上げた。
「あ、ダークエルフ除けとかありますか?」
「ないです。 そもそも、エルフと出会う事がレアです。 ダークエルフなんて、幻じゃないかって言われてます」
「そうなんですね」
店員の話に、優斗は唖然とした。
(じゃ、俺らって、めっちゃレアな人物に出会ったんだな しかも、秘術を受け継いでるし。 エルフの血とか貰ってるし、知ったらびっくりするだろうな。 ん? 出会う事がレア? なら俺らの子孫、エルフと結婚出来るのか? いや、それより今は、付与をどうするかだ)
「どうするかなぁ」
悩んでいる優斗に、店員が提案したのは契約魔法だった。
「では、契約魔法になさっては?」
「契約魔法? それって大丈夫なんですか?」
「ええ、安全祈願みたいなものですよ。 叶ったらいいな的な。 冒険者でしたら、『必ず、生きて帰って来る』とか『絶対に死なない』とか『怪我しませんように』とかですかね。 恋人でしたら『浮気防止』が一番多いですね。 勿論、契約違反したら、罰が下ります。 罰と言っても軽いものですよ。 叶ったらいいな的な契約魔法ですから」
(それ、本当に大丈夫なのかっ! 罰がどんなものか、めちゃ気になるんだけど)
優斗は、店員の胡散臭い言い様に目を見開いて驚いた。 そして、いつの間に隣に居たのか、直ぐ側で瑠衣の声がした。 優斗と視線が合うと、瑠衣はニヤリと嗤った。
「俺は『一生、外すな』にしたけどね」
「瑠衣! それって、前に買ってたネックレスか?! 追跡魔法を掛けた?!」
優斗は瑠衣が言った言葉の意味を考え、背中に悪寒が走った。 瑠衣は何でもない事の様に宣った。
「そう。 中々、効き目は上場だったよ。 優斗は何にするんだ?」
「いや、契約魔法をつけるかどうかも迷ってるっ」
「ふ~ん。 難しく考えるなよ。 あまりにも酷いのは、つけてくれないから。 それに、罰って言っても、装飾品が壊れるだけだぞ。 ね、店員さん」
「そうかっ」
(瑠衣、却下された内容があるんだなっ)
瑠衣が店員に黒い笑みを向けると、店員の口元がピクリと動いた。 優斗は暫く考え、注文書を書くと、店員にデザイン画と一緒に渡す。
「これでお願いします」
優斗の契約内容を読むと、店員はにっこりと生暖かい瞳で微笑み、優斗に丁寧にお辞儀をした。
「かしこまりました。 では、出来上がるまで、少々お待ち下さい」
店員は注文書とデザイン画を持って、お店の奥へ行くと、別の店員に注文書を渡し、次に入店して来たお客の接客へ回った。 指輪が出来上がるまでに、瑠衣が優斗に話があると切り出した。
「優斗。 この後、ちょっと付き合ってくれない? 大事な話があるんだよ」
「ああ、分かった」
暫くしてから、店員が奥から商品を持って来ると、出来上がりを優斗の前に並べた。 優斗が考えたデザイン画通りに出来ており、満足できる仕上がりになっていた。 最後に、契約についての説明を店員から受け、品物を受け取って優斗と瑠衣はお店を後にし、瑠衣の目的地へと向かった。
――華の17歳の誕生日。
「「「「「華、17歳、おめでとう!!」」」」」
「ありがとう、皆!!」
乾杯の合図で、グラスの澄んだ音を鳴らし、グラスが打ち合わされる。 グラスの中身はジュースだ。 こちらの世界では、成人年齢に達しているのだが、優斗たちの中に刷り込まれている『お酒は20歳になってから』というフレーズが過ぎり、一度も試していないのだ。
今日は、華の誕生日という事で、優斗と瑠衣、仁奈とフィル、フィンたち5人だけで夕食の準備をした。 テーブルに並んでいるのは、華の好きな物ばかりである。 食事を楽しんだ後は、プレゼントのお渡し会が始まった。 フィルとフィンは、森で採取した大量の花束を持って、華に手渡した。
「ハナ! ぼくとフィンからの誕生日プレゼント!!」
「ハナ、おめでとう! 隠れ家の森に咲いている花だけど、綺麗でしょ?」
「わぁ、ありがとう! 綺麗ね、部屋に飾るね」
仁奈が選んだのは、アロマキャンドルだった。 ほのかに桜の香りがしている。
「はい、華。 私からの誕生日プレゼント」
「仁奈、ありがとう。 大事に使うね」
「俺からは、これね」
そう言うと、瑠衣は数個の鍵の束をテーブルに出した。 テーブルの上で鍵の擦れ合う音が鳴る。
「華ちゃんにっていうか、これは皆に提案な。 優斗にはもう話したんだけど。 春樹の剣を売ってたお店あっただろう? あの店の人はもういないんだけど。 商業ギルドで訊いたら、お店を借りられる事になってさ。 主さまの依頼も終わって落ち着いたし。 いつまでも、冒険者を続ける事なんて出来ないだろう? 今は若いからいいけど。 で、俺は考えた。 華ちゃんの回復薬とか売れるんじゃないかと! 武器屋と回復薬店なんていいかなって思うんだけど」
「俺も瑠衣に賛成なんだ。 勿論、冒険者も続けるよ。 最初は上手くいかないと思うんだけど。 俺たちが必要な素材とか採りに行くし、接客も頑張るし。 フィルとフィンも手伝ってくれるか?」
「王子が接客したら、女性客がいっぱい押しかけて来るかもね。 でも、良いじゃない。 華、美男美女の妄想防具、いっぱい作れるよ」
「オーダーメイドか……やっぱり、オーダーメイド防具を作るには、広い作業部屋がほしいな」
華は仁奈の話を聞くと、瞳をキラキラさせて、もうトリップしている。 華の妄想は止まらない。 華は断然、やる気になったようだ。 優斗の瞳が鋭く光ると、華がトリップから覚醒し、優斗の黒い笑みに首を振り、涙目になっていた。 瑠衣が採決を取る為、全員に確認を取った。
「じゃ、皆、賛成でいい? 明日からお店の準備とか進めたいんだけど。 フィル、フィン。 今度、高値で売れそうな薬とか教えてくれ。 作戦、立てないとな」
「いいわよ。 面白そうだから、手伝ってあげる。 私たちにも報酬くれるわよね?」
「もちろん。 交渉次第な」
瑠衣の意見に皆が賛成して、本格的に始める事に決まった。 ただ一人、慎重派のフィルだけが、不安そうな声を上げていた。
「そんな、上手くいくかな? 皆が思うほど、世の中甘くないと思うけど……」
次は優斗の番だが、皆の前で渡すのは流石に恥ずかしいので、華に移動しようと、優斗は華をテラスへ誘った。 2人でテラスのテーブルに着くと、優斗は深呼吸して、ポケットから指輪のケースを取り出した。
「これ、俺からの誕生日プレゼント」
実は優斗は、朝からずっと緊張していた。 店員の説明では、指輪をお互いにして、契約内容を契約者に宣言し、相手が了承の言葉を口にすれば契約が成立する。 成功の印に、魔法石が光るのだそうだ。 優斗はじっと華の動向を見ている。
「開けていい?」
「うん」
ケースを開けると、ペアーリングが2つ並んで収まっている。 素材はシルバーで、つる草が複雑に絡み合い、桜の花びらを散らして、輪っかになっていた。 華用には、中央に桜の形の魔法石が1輪咲いている。 優斗用には、ダイアモンドカットした魔法石が嵌っていた。
(華が好きそうな桜にしたんだけど、反応がっ)
「ありがとう、小鳥遊くん。 とっても嬉しい」
「華、つけてくれる?」
「うん、小鳥遊くんもつけて」
「うん」
優斗と華が、少し震えながら、お互いに指輪をつけあった。 優斗の息を呑む音が、テラスに響き、緊張が華にも伝わっていた。 優斗が華の手を取ると、契約の内容を宣言する。
「華、『ずっと一緒にいよう』」
華は一瞬、目を見開いたが、直ぐに目を細めて微笑むと、優斗へ返事を返した。
「うん、私もずっと一緒にいたい」
2人の指輪の魔法石がキラリと光った。 華は優斗を見つめていて気付かなかったが、優斗の脳内で、監視スキルの声が響く。
『無事、契約が成立しました。 おめでとうございます』
優斗と華の視線が絡まると、どちらからともなく、唇が重なる。 唇が離れると、華を抱きしめ、優斗はずっと思っていた事を華に囁いた。
「ねぇ、華。 そろそろ、優斗って呼んで欲しいな」
「う、ごめん。 恥ずかしくて、中々呼べなくてっ」
「瑠衣の事は『瑠衣くん』って呼べるのに? あ、くん付けは駄目だ。 瑠衣と同じは嫌だし、呼び捨て一択ね」
「ぐっ、いきなりハードル高くない!」
「ん~、じゃ、段階を踏むか。 暫くは、くん付けでいいよ」
華を離すと、真っ赤になりながら華は『優斗くん』と呟いた。 優斗はそれだけでも嬉しくて、また強く華を抱きしめる。 リビングでは、ソファーの影に隠れて、こっそりと瑠衣たちが見ていた事に、優斗と華は気づいていなかった。 異世界へ落とされて129日目の夜が静かに更けていった。
――ベネディクトの戦いから1週間後。
食堂のテーブルには、自分たちで作った朝食のメニューが並ぶ。 いつもの席に座り、楽しい朝食が始まる。 毎朝の恒例であるミーティングの席で、華がお披露目したミニ版の立体映像に、優斗は『やっぱり作ったか』と顔を引き攣らせた。
「じゃ、じゃ~ん。 悪魔バージョンの小鳥遊くんです!」
『おお! やっぱり作ったんだ!』とフィルとフィンの感嘆の声が上がった。 フィルを挟んで座る瑠衣が、肩を震わせて笑っている。
「くっくっ、何処の魔王様だっ! あの時より、めちゃ盛られてるけどっ」
瑠衣の言うと通り、頬や額に何やら紋章みたいな物が描かれ、生えていなかった尻尾が生えていた。
「あの立体映像は、華が妄想する何処か他所の世界の俺のそっくりさんだ」
「あっははっ!」
瑠衣が優斗の言葉を聞いて、堪らず大声で笑いだした。 仁奈も何とか笑いを堪えているが、声は抑えられていない。 華は瑠衣と仁奈の様子に『むぅ』と口を尖らせていた。
ミニ版で着ていた悪魔バージョンの防具は、等身大の立体映像が着ていた。 時折、華の部屋へ訪れると、ドンとベッドの足元に置いてあり、じろりと優斗を見る。 華の趣味がバレてから、優斗が華の部屋に入る事は解禁されている。
(やっぱり、こいつだけは慣れない!)
優斗たちは今まで通り、ギルドで依頼を受けてお金を稼ぎ、たまに修道院や療養所にいる同級生の下へ訪れる。 そして、極たまに魔族と出くわす。 そうして優斗たちは、異世界の生活に馴染んでいった。
――ベネディクトとの闘いから、3週間以上が過ぎ、異世界に落とされて66日目。
今朝の朝食当番は、華と仁奈だ。 今朝のメニューは、ハムとチーズのトースト、スクランブルエッグにレタスとトマト、野菜たっぷりのミネストローネだ。
「華さ、今日、買い物付き合ってくれない? 明後日さ、瑠衣の誕生日なんだよね」
「ああ、そうか。 瑠衣くんの誕生日! ん~、私も何かしないとな。 瑠衣くんにも助けられてるし」
「私、思ったんだけど。 これって瑠衣からの誕プレだと思うんだよね」
仁奈の首には、『一生、外れない』ネックレスがかかっており、しかも追跡魔法が掛けてある。 華はネックレスを見ると、頬が引き攣った。
(仁奈、そんな怖い物を貰ったのに、お返しを渡すんだね)
「じゃ、今日は買い物に行くからって、ギルドの依頼は一緒に行くの断ろうか」
「うん」
華と仁奈は朝食が終わると、街へと繰り出して行った。 街は、少しづつ人が戻りつつあり、以前よりも賑わいを取り戻していた。 街の雑貨屋に、華と仁奈の姿があった。 華と仁奈、フィンの3人は、頭を悩ませていた。 いったい何をあげれば、瑠衣は喜ぶのか。
早々に根を上げた華は、優斗にあげた飾り紐の瑠衣バージョンを作ることにして、魔法が掛かっている魔法石を探した。 実は仁奈の誕生日プレゼントにも、仁奈バージョンを作って渡している。
仁奈はまだ、悩んでいる様だ。 瑠衣が欲しい物なんて、ちょっと思いつかない謎な人物だ。 仁奈が悩んだ末、手に取ったのは女性が寄って来る香水だった。 華は仁奈の手を止めて、別の物を渡した。
「仁奈! 何でそっち?! こっちの香水の方がよくない?」
「ん? だって瑠衣、ギルドへ行くといつも女に囲まれるから?」
フィンも呆れた声を出す。
「普通は、逆の女避けにするでしょ? 何で、ニーナは自分の事になると、斜め上な考えになるのかしら?!」
華たちの賑やかな声が雑貨屋に響いていたが、こっそりと瑠衣と優斗、フィルの3人が様子を覗いており、瑠衣が面白そうに微笑んでいる事に気づいていなかった。 優斗とフィルは、瑠衣に引っ張って連れてこられただけだ。 瑠衣への誕生日プレゼントは、華とフィンにより、防御魔法が掛かった香水に変えられた。
――小鳥遊優斗の朝は、いつも監視スキルの声で起こされる事から始まる。
『花咲華の位置を確認、安全を確認しました。 就寝中の危険は、ありませんでした。 花咲華はまだ、就寝中です』
瑠衣の誕生日から2か月が経ち、異世界へ落とされて127日目の朝が来た。 明後日は、華の誕生日だ。 勿論、瑠衣と仁奈の誕生日も当日に祝った。 今日の朝食当番は、優斗と瑠衣だ。 優斗は朝食の準備をしながら、深い溜め息を吐いた。 瑠衣が優斗の様子に気づき、声を掛けてくる。
「どうした、優斗。 何、悩んでるのか?」
「いや、大した事じゃないけど。 前に瑠衣と行った装飾品店あるだろう? この前、また行って来たんだけど、中々これっていうのが見つからなくて。 華の誕生日、もう明後日なのに」
「ああ、ペアーリング? なるほどね。 いまいち華ちゃんの好みが、俺には分からないけどな」
お皿にキャベツの千切りを盛る瑠衣の指輪がキラリと光る。 優斗は瑠衣の指輪を見ると、ピクリとこめかみが引くついた。 瑠衣は知らぬ間に、優斗の木刀と華の魔道具、フィルとフィン、雷神と仁奈のネックレスに追跡魔法をかけ、瑠衣の指輪で全員の位置が分かるようにしていた。
後で、瑠衣に聞いた時はぞっとしたが、反対の立場になり、華の気持ちが痛いほど分かった。 だから、優斗は改めて、決して監視スキルを悪用しない様にしようと心に決めた。
「じゃあさ、手作りにしてみれば? 華ちゃんも手作りくれたんだろう? 優斗の誕プレ」
「うん。 でも、手作りか~。 アクセとか作った事ないしな」
「じゃ、好きなデザイン考えて、お店に頼んでみれば? 魔除けの魔法とかも、好きなの掛けてくれるし」
「そうか、じゃ、そうしようかな」
『花咲華が起床しました。 食堂へ降りてきます』
「あ、やばっ! 華もう、降りてくる!」
「まじ、もうそんな時間! 優斗、急げ!」
「おお!」
監視スキルの声に、優斗たちは急いで朝食の準備を済ませ、テーブルのセッティングを済ませた。 フィルとフィンが森から新鮮な果物を採って来ると、いつもの賑やかな朝食が始まり、今日の予定を決める。
今日は、お隣と言っても、大分距離はあるが、前から頼まれていた農家のお手伝いだ。 報酬は採れたての野菜を好きなだけ持って行って良いという事だった。 大食漢が2匹いるのでとても助かると、我が家の大蔵大臣こと瑠衣が大喜びしていた。
――次の日、装飾品店に優斗の姿があった。
魔道具の街の市場は、ベネディクトがいなくなってから、大分人が戻り、活気が戻ってきていた。 瑠衣たちの隙をついて、1人で来ていた優斗は悩んでいた。 優斗の頭を悩ませていたのは、魔法石に付与する魔法をどれにするかだ。 優斗には、監視スキルがある為、今以上のスキルは要らないのだ。
デザインは直ぐに決まったが、黒縁メガネのチョビ髭男性店員が進める付与魔法は、どれも監視スキルで補えるものだった。
「では、男性避け等はどうでしょう?」
優斗の頬が引き攣る。 自身のベルトに付いている華からの誕生プレゼントの飾り紐に、女避けの魔法が掛かってる事を知らない優斗は、店員の勧めに少し引いていた。
「それって、皆、付与するもんですか?」
「ですね~。 一番、多いのは魔物避けですけどね」
「2人とも冒険者なので、魔物除けされると、狩が出来なくなって困ります」
店員は優斗に乾いた笑い声を上げた。
「あ、ダークエルフ除けとかありますか?」
「ないです。 そもそも、エルフと出会う事がレアです。 ダークエルフなんて、幻じゃないかって言われてます」
「そうなんですね」
店員の話に、優斗は唖然とした。
(じゃ、俺らって、めっちゃレアな人物に出会ったんだな しかも、秘術を受け継いでるし。 エルフの血とか貰ってるし、知ったらびっくりするだろうな。 ん? 出会う事がレア? なら俺らの子孫、エルフと結婚出来るのか? いや、それより今は、付与をどうするかだ)
「どうするかなぁ」
悩んでいる優斗に、店員が提案したのは契約魔法だった。
「では、契約魔法になさっては?」
「契約魔法? それって大丈夫なんですか?」
「ええ、安全祈願みたいなものですよ。 叶ったらいいな的な。 冒険者でしたら、『必ず、生きて帰って来る』とか『絶対に死なない』とか『怪我しませんように』とかですかね。 恋人でしたら『浮気防止』が一番多いですね。 勿論、契約違反したら、罰が下ります。 罰と言っても軽いものですよ。 叶ったらいいな的な契約魔法ですから」
(それ、本当に大丈夫なのかっ! 罰がどんなものか、めちゃ気になるんだけど)
優斗は、店員の胡散臭い言い様に目を見開いて驚いた。 そして、いつの間に隣に居たのか、直ぐ側で瑠衣の声がした。 優斗と視線が合うと、瑠衣はニヤリと嗤った。
「俺は『一生、外すな』にしたけどね」
「瑠衣! それって、前に買ってたネックレスか?! 追跡魔法を掛けた?!」
優斗は瑠衣が言った言葉の意味を考え、背中に悪寒が走った。 瑠衣は何でもない事の様に宣った。
「そう。 中々、効き目は上場だったよ。 優斗は何にするんだ?」
「いや、契約魔法をつけるかどうかも迷ってるっ」
「ふ~ん。 難しく考えるなよ。 あまりにも酷いのは、つけてくれないから。 それに、罰って言っても、装飾品が壊れるだけだぞ。 ね、店員さん」
「そうかっ」
(瑠衣、却下された内容があるんだなっ)
瑠衣が店員に黒い笑みを向けると、店員の口元がピクリと動いた。 優斗は暫く考え、注文書を書くと、店員にデザイン画と一緒に渡す。
「これでお願いします」
優斗の契約内容を読むと、店員はにっこりと生暖かい瞳で微笑み、優斗に丁寧にお辞儀をした。
「かしこまりました。 では、出来上がるまで、少々お待ち下さい」
店員は注文書とデザイン画を持って、お店の奥へ行くと、別の店員に注文書を渡し、次に入店して来たお客の接客へ回った。 指輪が出来上がるまでに、瑠衣が優斗に話があると切り出した。
「優斗。 この後、ちょっと付き合ってくれない? 大事な話があるんだよ」
「ああ、分かった」
暫くしてから、店員が奥から商品を持って来ると、出来上がりを優斗の前に並べた。 優斗が考えたデザイン画通りに出来ており、満足できる仕上がりになっていた。 最後に、契約についての説明を店員から受け、品物を受け取って優斗と瑠衣はお店を後にし、瑠衣の目的地へと向かった。
――華の17歳の誕生日。
「「「「「華、17歳、おめでとう!!」」」」」
「ありがとう、皆!!」
乾杯の合図で、グラスの澄んだ音を鳴らし、グラスが打ち合わされる。 グラスの中身はジュースだ。 こちらの世界では、成人年齢に達しているのだが、優斗たちの中に刷り込まれている『お酒は20歳になってから』というフレーズが過ぎり、一度も試していないのだ。
今日は、華の誕生日という事で、優斗と瑠衣、仁奈とフィル、フィンたち5人だけで夕食の準備をした。 テーブルに並んでいるのは、華の好きな物ばかりである。 食事を楽しんだ後は、プレゼントのお渡し会が始まった。 フィルとフィンは、森で採取した大量の花束を持って、華に手渡した。
「ハナ! ぼくとフィンからの誕生日プレゼント!!」
「ハナ、おめでとう! 隠れ家の森に咲いている花だけど、綺麗でしょ?」
「わぁ、ありがとう! 綺麗ね、部屋に飾るね」
仁奈が選んだのは、アロマキャンドルだった。 ほのかに桜の香りがしている。
「はい、華。 私からの誕生日プレゼント」
「仁奈、ありがとう。 大事に使うね」
「俺からは、これね」
そう言うと、瑠衣は数個の鍵の束をテーブルに出した。 テーブルの上で鍵の擦れ合う音が鳴る。
「華ちゃんにっていうか、これは皆に提案な。 優斗にはもう話したんだけど。 春樹の剣を売ってたお店あっただろう? あの店の人はもういないんだけど。 商業ギルドで訊いたら、お店を借りられる事になってさ。 主さまの依頼も終わって落ち着いたし。 いつまでも、冒険者を続ける事なんて出来ないだろう? 今は若いからいいけど。 で、俺は考えた。 華ちゃんの回復薬とか売れるんじゃないかと! 武器屋と回復薬店なんていいかなって思うんだけど」
「俺も瑠衣に賛成なんだ。 勿論、冒険者も続けるよ。 最初は上手くいかないと思うんだけど。 俺たちが必要な素材とか採りに行くし、接客も頑張るし。 フィルとフィンも手伝ってくれるか?」
「王子が接客したら、女性客がいっぱい押しかけて来るかもね。 でも、良いじゃない。 華、美男美女の妄想防具、いっぱい作れるよ」
「オーダーメイドか……やっぱり、オーダーメイド防具を作るには、広い作業部屋がほしいな」
華は仁奈の話を聞くと、瞳をキラキラさせて、もうトリップしている。 華の妄想は止まらない。 華は断然、やる気になったようだ。 優斗の瞳が鋭く光ると、華がトリップから覚醒し、優斗の黒い笑みに首を振り、涙目になっていた。 瑠衣が採決を取る為、全員に確認を取った。
「じゃ、皆、賛成でいい? 明日からお店の準備とか進めたいんだけど。 フィル、フィン。 今度、高値で売れそうな薬とか教えてくれ。 作戦、立てないとな」
「いいわよ。 面白そうだから、手伝ってあげる。 私たちにも報酬くれるわよね?」
「もちろん。 交渉次第な」
瑠衣の意見に皆が賛成して、本格的に始める事に決まった。 ただ一人、慎重派のフィルだけが、不安そうな声を上げていた。
「そんな、上手くいくかな? 皆が思うほど、世の中甘くないと思うけど……」
次は優斗の番だが、皆の前で渡すのは流石に恥ずかしいので、華に移動しようと、優斗は華をテラスへ誘った。 2人でテラスのテーブルに着くと、優斗は深呼吸して、ポケットから指輪のケースを取り出した。
「これ、俺からの誕生日プレゼント」
実は優斗は、朝からずっと緊張していた。 店員の説明では、指輪をお互いにして、契約内容を契約者に宣言し、相手が了承の言葉を口にすれば契約が成立する。 成功の印に、魔法石が光るのだそうだ。 優斗はじっと華の動向を見ている。
「開けていい?」
「うん」
ケースを開けると、ペアーリングが2つ並んで収まっている。 素材はシルバーで、つる草が複雑に絡み合い、桜の花びらを散らして、輪っかになっていた。 華用には、中央に桜の形の魔法石が1輪咲いている。 優斗用には、ダイアモンドカットした魔法石が嵌っていた。
(華が好きそうな桜にしたんだけど、反応がっ)
「ありがとう、小鳥遊くん。 とっても嬉しい」
「華、つけてくれる?」
「うん、小鳥遊くんもつけて」
「うん」
優斗と華が、少し震えながら、お互いに指輪をつけあった。 優斗の息を呑む音が、テラスに響き、緊張が華にも伝わっていた。 優斗が華の手を取ると、契約の内容を宣言する。
「華、『ずっと一緒にいよう』」
華は一瞬、目を見開いたが、直ぐに目を細めて微笑むと、優斗へ返事を返した。
「うん、私もずっと一緒にいたい」
2人の指輪の魔法石がキラリと光った。 華は優斗を見つめていて気付かなかったが、優斗の脳内で、監視スキルの声が響く。
『無事、契約が成立しました。 おめでとうございます』
優斗と華の視線が絡まると、どちらからともなく、唇が重なる。 唇が離れると、華を抱きしめ、優斗はずっと思っていた事を華に囁いた。
「ねぇ、華。 そろそろ、優斗って呼んで欲しいな」
「う、ごめん。 恥ずかしくて、中々呼べなくてっ」
「瑠衣の事は『瑠衣くん』って呼べるのに? あ、くん付けは駄目だ。 瑠衣と同じは嫌だし、呼び捨て一択ね」
「ぐっ、いきなりハードル高くない!」
「ん~、じゃ、段階を踏むか。 暫くは、くん付けでいいよ」
華を離すと、真っ赤になりながら華は『優斗くん』と呟いた。 優斗はそれだけでも嬉しくて、また強く華を抱きしめる。 リビングでは、ソファーの影に隠れて、こっそりと瑠衣たちが見ていた事に、優斗と華は気づいていなかった。 異世界へ落とされて129日目の夜が静かに更けていった。
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