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35話 エルフの血
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クリスの剣と、優斗の氷の木刀の打ち合う音が鳴り響く。 黒い剣からは、黒いオーラはもう染みだしてはいない。 黒い剣から黒い半月状の刃が生成され、優斗へ向かって飛んでくる。
避けることは間に合わず、優斗は飛んできた黒い刃を蹴り上げた。 銀色の足跡が輝き、クリスとの間合いを詰める。 屈んで懐に入ると、氷の木刀を胸に突き刺し、凍結魔法を放った。
クリスの身体が、またしても揺らいで歪んだ。 凍結魔法をかわされ、クリスの背中で氷の棘が砕け散る。
「ユウト! くろいしんぞうを、ねらわないと! クリスをよくみて! からだのどこかに、くろいしんぞうがあるはずだよ」
(黒い心臓っ?)
優斗の脳裏に祖父の声が記憶の底から蘇る。 脳内に懐かしい祖父の姿が浮び、困惑する幼い優斗の頭を、祖父は撫でていた。
『いいか、優斗。 相手をよく見て、次の動きを読むんだ。 足を使って相手を翻弄し、隙を作り、そして最後は力の限りぶった叩く! 後は気合いだ、気合い!』
優斗はクリスを真っ直ぐに見据えて動きを読む。 クリスの右足が動く、荒野の地面に銀色の足跡が輝くと、足跡を踏んで一瞬で間合いを詰めた。 クリスの黒い剣を持つ手を打って、剣を地面に落とすと、再び胸を狙って突きを繰り出す。 優斗の心臓が大きく跳ねると、突然クリスの身体が透けて見えた。
黒い心臓が見え、優斗は更に踏み込んで、黒い心臓を狙って突きを出した。 また、クリスの身体が揺れて歪んだ。 優斗は舌打ちをして、クリスから距離を取る為に後方へ飛んだ。
(くそっ! 次は行けると思ったのにっ。 このままじゃ、埒が明かない!)
「おしいっ! もうすこしだったのにっ」
「簡単には、殺られてはくれないって事かっ」
『花咲華の周辺に下僕が集まっています。 吹き飛ばします』
結界がクリスの下僕を次々と吹き飛ばして消していく。 華がずっと心配気にこちらを見ている様子が、脳内で流れてくる。 クリスの下僕は何処からともなく集まって来るようだ。
(クリスを倒さないと、下僕もいなくならないのかっ)
――その頃、瑠衣たちは優斗たちの場所へ向かっていた。
フィルから伝令を受けた瑠衣たちは、雷神に乗ってダンジョン都市の外れの荒野へ向かっていた。 風神は雷神の足がガシッと掴んでいる。 フィンを真ん中に挿んで、仁奈と瑠衣が前後で乗っている。
「結構、遠いなっ! 優斗は大丈夫か? フィン」
「今の所、大丈夫よ。 虫除け結界が前よりも強化されてるわね。 でも、ユウトが苦戦してるのは変わらないわ」
「やっぱり、華も連れて行かれたのは、エルフの力の事で?」
「でしょうね。 一応、魔族にとっては脅威だからね」
「魔族は優斗の力を奪いに来たのか?」
「ええ、ハルキの力を奪った魔族と対等に戦う為にね。 でも、大丈夫よ、ユウトの力は奪えないから。 主さまに選ばれたんだしね」
「そう言うけどさ。 うちらって勇者召喚に巻き込まれただけだよね?」
「ふふん。 もしそうだとしても、世界樹ダンジョンには落とさないでしょ? もっと、別な安全な場所に落として、ついでに記憶を消したりしたら、平和に暮らせるじゃない? それをしないで、世界樹ダンジョンに落としたんだから、主さまが選んだって事よ」
果たして、記憶を消される事が平和だと言えるのだろうかと、瑠衣と仁奈の顔が引き攣る。 雷神が一鳴きして、目的の場所に着いた事を瑠衣たちへ知らせた。 瑠衣は眼下で見えた光景に、目を見開いて驚き、状況を理解した。
「仁奈っ! このまま降りたら、奴にバレる! 何処か身を隠せる所に降りよう。 それで、俺の言う通りにしてくれ」
「うん、分かった」
瑠衣たちは、優斗を援護するべく、行動に移した。
――『黒い刃が大量に生成されます。 警戒して下さい』
監視スキルの声が響くと、クリスの剣から大量の黒い刃が生成される。 黒い刃は、優斗を追尾して何処までも追いかけてくる。 左右、ジグザグに避け、左右から飛んできた黒い刃を避ける為、後ろに数歩下がると、黒い刃同士がぶつかって霧散する。
『背後から黒い刃が来ます。 警戒して下さい』
監視スキルの警報は間に合わず、優斗が後ろへ下がると同時に、背後から来た黒い刃に足を取られ、荒野の地面で転がった。 フィルが荒野で転がり、銀色の少年の姿へ変わる。
「ユウト!」
優斗は一瞬で、複数の黒い刃に手足を荒野に縫い留められ、手足が黒い刃で擦れて血が滲んだ。 クリスが荒野の土を蹴散らして、優斗に近づいてくる。 フィルがクリスに飛びかかっていったが、みぞうちに膝蹴りをくらい、背中へ留めの一撃を喰らって返り討ちに遭い、フィルは気絶した。
優斗のそばでフィルはピクリとも動かない。
「フィルっ!」
優斗の視界では、クリスの黒い心臓が未だ透けて視えている。 優斗はクリスの黒い心臓をじっと見つめてから、ハッとして気づいた。
(もしかして、正面じゃなくて、背中側なのか?)
優斗はクリスに気づかれない様に、複数の氷の棘を生成した。 クリスの頭上に氷の棘を作るつもりが、見つからない様にと慎重になり過ぎて、上空になってしまった。
(くっ、少し遠すぎるっ! でも、作り直してる時間もないっ! 気づかれない様に、ちょっとづつ近づけるか)
クリスが黒い剣を優斗の胸に突きつけてきた。 クリスの顔が愉悦に歪むと、胸に剣の先が差し込まれていく。 華の悲鳴が荒野に鳴り響き、優斗が痛みに顔を歪めると、目を見開いた。 心臓が大きく跳ね、全身の血が沸騰して熱くなる。
「お前の勇者の力を頂くぜっ!」
差し込まれた剣は、先が少ししか入らず、深くは刺さらない。 クリスが目を見開き、剣を乱暴に抜いた勢いに、優斗が苦痛の叫び声を上げる。 華が結界から飛び出そうとしている映像が優斗の脳内を掠め、優斗は叫んだ。
「来るな~~!」
『花咲華を虫除け結界内に留めます』
結界が光ると硬いガラスの球体に変わり、華は眉を寄せて、拳を強く握り締めて立ち止まった。 優斗は顔を歪めて、じっとチャンスを伺った。 クリスの顔が苛立ちを露わにして声を荒げる。
「なんでっ?! 力が奪えないんだ! ベネディクトの奴はあんなに簡単に奪ったじゃねぇか!」
(?! こいつもあの場にいたのか?!)
「くそっ! 勇者の剣も何処を探しても見つからなかったっ! もういいっ! こいつを殺して、こいつの獲物を頂けばっ! まだ、あいつに勝てる見込みはあるっ」
(くっ! まだ、遠いっ、間に合わない!)
クリスがぶち切れ、黒い剣を思いっきり振り仰いで、振り下ろした。 横から鞭の撓る音が鳴ると、クリスの黒い剣に巻きつく。 鞭は瑠衣の魔力を纏っており、直ぐには外れそうになかった。
横目で瑠衣を見ると、瑠衣が眉間に皺を寄せて、汗を掻きながら鞭を引っ張っていた。
「なっ?!」
「今だ、優斗! やれぇ!」
優斗の目が見開くと、氷の棘を見据える。 クリスが上空を見上げて目を見開いた。
『黒い心臓を打ち抜け!!』
氷の棘がクリスの背中にある黒い心臓を目掛けて降り注いだ。 クリスは叫び声をあげ、凍りついて砕け散った。 荒野の風に吹かれて、クリスの砕けた氷の欠片が吹き飛ばされていく。
あまりにあっけなく最後を遂げたクリスの氷の欠片を、優斗は信じられない気持ちで見つめていた。 優斗を縫い留めていた黒いオーラも消滅し、煙の様に霧散する。 瑠衣が優斗の方へ駆け寄って来ると、心配気な顔が優斗を覗いていた。
優斗の脳内に結界が解除され、華たちがフィルの様子を心配そうに見ている映像が流れてきた。 フィンがフィルの頬を叩いて、起こしている。 『フィル! 大丈夫! フィル!』とフィンの声が脳内で流れた。
『花咲華の周囲に危険はありません。 安全です。 フィルも気絶しているだけです』
優斗は監視スキルが初めて華以外の安否の報告をしてきた事に、瞼を閉じて笑みを浮かべた。
「優斗! 大丈夫か?」
(良かったっ。 皆、無事か)
「ああ、瑠衣 めちゃ助かったよ、ありがとう」
「上手くいって良かったよ。 あいつの上に氷の棘が作られてるの見て、反撃の機会を伺ってるんだなって思ったから。 俺たちの所為でバレたら、台無しだからな。 風神の幻影魔法で姿を消して近づいたんだ」
「見つからない様にって思ったら、慎重になり過ぎて、氷の棘の位置が遠すぎた。 もっと正確に作れないとっ」
「今更だけど、黒い剣が黒いオーラを出してなくて良かったよ。 出てたら俺、今、闇の中だったなっ」
「俺も正直、めちゃやばかった」
瑠衣の『さぁ、帰ろうぜ』の声に優斗は立ち上がり、瑠衣と共に華たちの元へと歩いて行った。
――隠れ家へ帰って来た優斗たちは、華のキラキラした瞳に、引き気味になっていた。
帰って来て直ぐに華がした事は、優斗の体中の傷に、華が作った軟膏を塗りつけた事だった。 念入りに塗られ、少し頬が赤くなった。 不意に華の顔が近づいたので、余計に優斗の頬は赤くなった。
そして魔族との戦いで何か不具合を起こしていないか、武器と防具を整備したいと華から言われ、優斗と瑠衣は、また引き気味に武器と防具を預けた。 武器と防具が戻って来るのは、明日の朝になると言う。
心成しか、華の背中がウキウキしている気がするのは、気のせいだろうかと、優斗と瑠衣は一抹の不安を感じていた。 2人は、岩風呂に入って寝る事にし、入る準備をする為に自室へ戻った。
岩風呂に入ったら疲れも取れ、直ぐに眠れるかと思いベッドへ入ったが、中々眠れず、優斗は水を飲むついでにテラスへ出た。
(岩風呂に入れば、眠れると思ったけど、反対に眼が冴えて眠れないな。 華が寝たって報告も来てないし。 今日は無理か、ウキウキで防具と武器の整備してるだろうしな)
『花咲華はまだ、防具と武器の整備中で就寝していません。 自室に居ますので、安全です』
(やっぱりか、今夜は夜更かしコースかな。 また、変な物、足してないだろうな)
優斗の防具を華が整備している姿が脳裏に浮かび、優斗の顔に困惑と慈愛の表情が混在している。
『お前っ! エルフの血を飲んだのかっ!』
突然、クリスとかいう魔族の言葉が優斗の脳裏に蘇った。 何故、アンバーが自身の血を優斗に飲ませたのかは分からない。 セレンのニヤニヤ笑いが優斗の脳裏を過ぎった。
(絶対、セレンさんの差し金だなっ! くっ、アンバーさんのお陰で助かったのは確かだけど。 なんか嫌だ! でも、前は闇に落ちかけたよな? その時にはもう、アンバーさんの血を飲んでたのに。 そう言えば、あの時飲んだ薬は、華も飲んでるよな? 直感で感じただけだけど。 あの薬、何の薬か訊けば良かった)
『推測ですが、セレンティナアンナの浄化の光を浴びた時に、セレンティナアンナの気配を感じて、アンバーの血が目覚めたのではないかと。 それと、小鳥遊優斗と花咲華が飲んだ薬は同じものです。 安全なの物でしたので、止めませんでした』
(やっぱり、同じ薬なのか?! 2人の意図が分からないな。 監視スキルの推測が当たってるとして、それが本当なら、アンバーさんのセレンさんへの執着心が怖いっ?! あれ? 俺、今、普通に監視スキルと喋ってるっ?!)
『花咲華がリビングへ降りてきます』
階段を降りる足音が聞こえ、監視スキルの声に振り返ると、華がリビングへ入って来た所だった。 水を飲みに降りて来たようで、華はテラスでいる優斗に直ぐに気づいた。
「小鳥遊くん? もしかして、眠れないの?」
「ちょっとね。 華はまだ、整備してるのか? 程ほどにして、寝ろよ」
「うん」
華が『ちょっと待ってね』とまた、部屋へ戻って行った。 テラスに戻って来た華の手には、何かが握られていた。 優斗が隣の椅子を自身の方へ近づけ、ポンポンと叩いてここに座るように促すと、華は少し照れながら座った。
「これ、元の世界から一緒に転移して来た物」
優斗は香りで直ぐに何か分かった。
「桜の香りの匂い袋?」
「うん、桜の香りはね、不安を取り除いてくれて、安眠効果があるんだって。 実は、もし絶叫マシーンへ乗る事になったら、持って乗ろうかと思ったんだけど。 すっかり忘れてて、学生鞄の奥底に入ってたの」
絶叫マシーンの事を思いだしたのか、華の瞳が怪しく光った。
「そうなんだっ」
(今、華の目が怪しい光を放った様な気がしたけどっ! そんなにも怖かったんだな、絶叫マシーンっ)
不意に華が凝視してくると、優斗の頬に手が掛かり、心臓が大きく跳ねた。
「良かった。 頬の傷、薄くなってる。 これなら、明日には消えてるね。 これ、眠れないなら、小鳥遊くん使って」
華がにっこり笑い、優斗に桜の匂い袋を渡して来た。 華は、いつもみたいにキラキラした瞳で優斗を見つめるのではなく、慈愛に満ちた瞳で優斗を見つめてくる。 優斗の胸の鼓動が高鳴っていく。
(今、華は妄想した俺を見ていない。 俺に、そんな顔を見せてくれるんだな)
「いや、俺はこっちでいい」
そう言うと、優斗と華の唇が重なる。 華は一瞬、目を見開いたが、直ぐに閉じて、優斗の背中へ手を回してきた。 監視スキルの『小鳥遊優斗の花咲華への執着心も負けてません』の声が脳内に響いたが、優斗は無視した。 遠くでフクロウの鳴く声が森の中で響いていた。
――夜空に欠けた月が浮かんでいる。
満月まではまだまだ遠い。 ベネディクトは、欠けた月を眺めていた。 優斗たちの隠れ家から、1㎞以上離れた場所、森で1番高い木の上の枝に立っていた。 黒い影から、クリスが優斗たちにやられたと、報告を受けていた。
「ふ~ん。 あいつやられたの。 ダメダメだな。 まぁ、クリスは魔王候補って言っても下っ端だったしな。 それにしても、エルフの血ね。 面白いじゃない。 まだまだ、楽しませくれそうだな。 お前は、また戻って、浄化した女についとけ。 あっちの女には、もっと、偽物の勇者の剣をばら撒いとけって伝えとけ。 必ずあれもつけてな」
黒い影は頷くと、ゆらゆらと揺れて歪んで消えた。
「さて、次はどいつの下僕を頂きにいくかな。 偽物の剣を掴んで、下僕に落ちる人間も集まるだろうし、もう、そろそろいいだろうな。 俺から行くのも面倒になって来たしな。 あれ、やるか」
ベネディクトは、春樹の剣の刃を煌めかせて眺めると、ニヤリと笑って夜の闇に消えた。
――翌朝、戻って来た防具と武器を見て、優斗はこめかみをピクリと引き攣らせた。
やっぱり華は、ただでは起きなかった。 リビングで華から受け取った防具は、以前と変わりはないが、加護の魔法を以前より強い物を掛けてくれた。 木刀は柄の部分に1本線が入っているだけだったが、1本線がなくなり、防具の竜のベルトと同じ、黒い竜が巻き付いていた。
黒い竜から桜が咲き乱れている様にデザインされている。 優斗は片手で顔を覆って項垂れた。 もう、固定したから元には戻せないと言う。
(絶対にこれ、あのクリスとか言う魔族の黒い剣に影響された結果だな。 華の俺に竜を巻き付かせよう計画は、着実に叶ってるみたいだっ。 竜の部分を持てば、ギリ見えないかっ)
悪戦苦闘していると、隣で瑠衣が忍び笑いをしている。 じろりと瑠衣を見ると、白いマントの下は、アサシン風の防具を着ている。 以前、華が瑠衣の防具をアサシン風にしたいと言っていた事を思い出した。
(そんなに面白いかっ!)
笑いを収めた瑠衣がコソコソと、優斗を食堂の方へ誘導すると、何やらピンク色の瓶を渡された。 瑠衣から渡された物の使用方法を聞き、優斗は度肝を抜かされた。 優斗は真っ赤になり、無理やり受け取らされた瓶を見て、瑠衣に抗議をした。
「瑠衣! お前っ、こんなの華に作らせたのかっ!」
「まぁまぁ、落ち着けよ。 華ちゃんはどういう物か知らないし、でも、必要だろ。 優斗なら悪用しないだろうし、使うかどうかは優斗の自由だ。 それにこれ、街で買ったらめちゃ高いんだからな」
(ああ、それでフィンの目が金マークになってたのかっ)
優斗は瑠衣から受け取った瓶をポッケトの奥に突っ込んで、瑠衣と玄関へ向かった。 玄関で待っていた華の顔が直視できなくて、華は優斗の様子に首を傾げていた。 背後から忍び笑いが聞こえ、振り返ると、瑠衣が肩を震わせて笑っている。
(ほんとっ! こいつはっ!)
優斗たちは今日も魔道具の街のギルドまで足を運ぶ為に、隠れ家を後にした。 魔道具の街の武器屋で、優斗たちは探し物と出会う事になる。
避けることは間に合わず、優斗は飛んできた黒い刃を蹴り上げた。 銀色の足跡が輝き、クリスとの間合いを詰める。 屈んで懐に入ると、氷の木刀を胸に突き刺し、凍結魔法を放った。
クリスの身体が、またしても揺らいで歪んだ。 凍結魔法をかわされ、クリスの背中で氷の棘が砕け散る。
「ユウト! くろいしんぞうを、ねらわないと! クリスをよくみて! からだのどこかに、くろいしんぞうがあるはずだよ」
(黒い心臓っ?)
優斗の脳裏に祖父の声が記憶の底から蘇る。 脳内に懐かしい祖父の姿が浮び、困惑する幼い優斗の頭を、祖父は撫でていた。
『いいか、優斗。 相手をよく見て、次の動きを読むんだ。 足を使って相手を翻弄し、隙を作り、そして最後は力の限りぶった叩く! 後は気合いだ、気合い!』
優斗はクリスを真っ直ぐに見据えて動きを読む。 クリスの右足が動く、荒野の地面に銀色の足跡が輝くと、足跡を踏んで一瞬で間合いを詰めた。 クリスの黒い剣を持つ手を打って、剣を地面に落とすと、再び胸を狙って突きを繰り出す。 優斗の心臓が大きく跳ねると、突然クリスの身体が透けて見えた。
黒い心臓が見え、優斗は更に踏み込んで、黒い心臓を狙って突きを出した。 また、クリスの身体が揺れて歪んだ。 優斗は舌打ちをして、クリスから距離を取る為に後方へ飛んだ。
(くそっ! 次は行けると思ったのにっ。 このままじゃ、埒が明かない!)
「おしいっ! もうすこしだったのにっ」
「簡単には、殺られてはくれないって事かっ」
『花咲華の周辺に下僕が集まっています。 吹き飛ばします』
結界がクリスの下僕を次々と吹き飛ばして消していく。 華がずっと心配気にこちらを見ている様子が、脳内で流れてくる。 クリスの下僕は何処からともなく集まって来るようだ。
(クリスを倒さないと、下僕もいなくならないのかっ)
――その頃、瑠衣たちは優斗たちの場所へ向かっていた。
フィルから伝令を受けた瑠衣たちは、雷神に乗ってダンジョン都市の外れの荒野へ向かっていた。 風神は雷神の足がガシッと掴んでいる。 フィンを真ん中に挿んで、仁奈と瑠衣が前後で乗っている。
「結構、遠いなっ! 優斗は大丈夫か? フィン」
「今の所、大丈夫よ。 虫除け結界が前よりも強化されてるわね。 でも、ユウトが苦戦してるのは変わらないわ」
「やっぱり、華も連れて行かれたのは、エルフの力の事で?」
「でしょうね。 一応、魔族にとっては脅威だからね」
「魔族は優斗の力を奪いに来たのか?」
「ええ、ハルキの力を奪った魔族と対等に戦う為にね。 でも、大丈夫よ、ユウトの力は奪えないから。 主さまに選ばれたんだしね」
「そう言うけどさ。 うちらって勇者召喚に巻き込まれただけだよね?」
「ふふん。 もしそうだとしても、世界樹ダンジョンには落とさないでしょ? もっと、別な安全な場所に落として、ついでに記憶を消したりしたら、平和に暮らせるじゃない? それをしないで、世界樹ダンジョンに落としたんだから、主さまが選んだって事よ」
果たして、記憶を消される事が平和だと言えるのだろうかと、瑠衣と仁奈の顔が引き攣る。 雷神が一鳴きして、目的の場所に着いた事を瑠衣たちへ知らせた。 瑠衣は眼下で見えた光景に、目を見開いて驚き、状況を理解した。
「仁奈っ! このまま降りたら、奴にバレる! 何処か身を隠せる所に降りよう。 それで、俺の言う通りにしてくれ」
「うん、分かった」
瑠衣たちは、優斗を援護するべく、行動に移した。
――『黒い刃が大量に生成されます。 警戒して下さい』
監視スキルの声が響くと、クリスの剣から大量の黒い刃が生成される。 黒い刃は、優斗を追尾して何処までも追いかけてくる。 左右、ジグザグに避け、左右から飛んできた黒い刃を避ける為、後ろに数歩下がると、黒い刃同士がぶつかって霧散する。
『背後から黒い刃が来ます。 警戒して下さい』
監視スキルの警報は間に合わず、優斗が後ろへ下がると同時に、背後から来た黒い刃に足を取られ、荒野の地面で転がった。 フィルが荒野で転がり、銀色の少年の姿へ変わる。
「ユウト!」
優斗は一瞬で、複数の黒い刃に手足を荒野に縫い留められ、手足が黒い刃で擦れて血が滲んだ。 クリスが荒野の土を蹴散らして、優斗に近づいてくる。 フィルがクリスに飛びかかっていったが、みぞうちに膝蹴りをくらい、背中へ留めの一撃を喰らって返り討ちに遭い、フィルは気絶した。
優斗のそばでフィルはピクリとも動かない。
「フィルっ!」
優斗の視界では、クリスの黒い心臓が未だ透けて視えている。 優斗はクリスの黒い心臓をじっと見つめてから、ハッとして気づいた。
(もしかして、正面じゃなくて、背中側なのか?)
優斗はクリスに気づかれない様に、複数の氷の棘を生成した。 クリスの頭上に氷の棘を作るつもりが、見つからない様にと慎重になり過ぎて、上空になってしまった。
(くっ、少し遠すぎるっ! でも、作り直してる時間もないっ! 気づかれない様に、ちょっとづつ近づけるか)
クリスが黒い剣を優斗の胸に突きつけてきた。 クリスの顔が愉悦に歪むと、胸に剣の先が差し込まれていく。 華の悲鳴が荒野に鳴り響き、優斗が痛みに顔を歪めると、目を見開いた。 心臓が大きく跳ね、全身の血が沸騰して熱くなる。
「お前の勇者の力を頂くぜっ!」
差し込まれた剣は、先が少ししか入らず、深くは刺さらない。 クリスが目を見開き、剣を乱暴に抜いた勢いに、優斗が苦痛の叫び声を上げる。 華が結界から飛び出そうとしている映像が優斗の脳内を掠め、優斗は叫んだ。
「来るな~~!」
『花咲華を虫除け結界内に留めます』
結界が光ると硬いガラスの球体に変わり、華は眉を寄せて、拳を強く握り締めて立ち止まった。 優斗は顔を歪めて、じっとチャンスを伺った。 クリスの顔が苛立ちを露わにして声を荒げる。
「なんでっ?! 力が奪えないんだ! ベネディクトの奴はあんなに簡単に奪ったじゃねぇか!」
(?! こいつもあの場にいたのか?!)
「くそっ! 勇者の剣も何処を探しても見つからなかったっ! もういいっ! こいつを殺して、こいつの獲物を頂けばっ! まだ、あいつに勝てる見込みはあるっ」
(くっ! まだ、遠いっ、間に合わない!)
クリスがぶち切れ、黒い剣を思いっきり振り仰いで、振り下ろした。 横から鞭の撓る音が鳴ると、クリスの黒い剣に巻きつく。 鞭は瑠衣の魔力を纏っており、直ぐには外れそうになかった。
横目で瑠衣を見ると、瑠衣が眉間に皺を寄せて、汗を掻きながら鞭を引っ張っていた。
「なっ?!」
「今だ、優斗! やれぇ!」
優斗の目が見開くと、氷の棘を見据える。 クリスが上空を見上げて目を見開いた。
『黒い心臓を打ち抜け!!』
氷の棘がクリスの背中にある黒い心臓を目掛けて降り注いだ。 クリスは叫び声をあげ、凍りついて砕け散った。 荒野の風に吹かれて、クリスの砕けた氷の欠片が吹き飛ばされていく。
あまりにあっけなく最後を遂げたクリスの氷の欠片を、優斗は信じられない気持ちで見つめていた。 優斗を縫い留めていた黒いオーラも消滅し、煙の様に霧散する。 瑠衣が優斗の方へ駆け寄って来ると、心配気な顔が優斗を覗いていた。
優斗の脳内に結界が解除され、華たちがフィルの様子を心配そうに見ている映像が流れてきた。 フィンがフィルの頬を叩いて、起こしている。 『フィル! 大丈夫! フィル!』とフィンの声が脳内で流れた。
『花咲華の周囲に危険はありません。 安全です。 フィルも気絶しているだけです』
優斗は監視スキルが初めて華以外の安否の報告をしてきた事に、瞼を閉じて笑みを浮かべた。
「優斗! 大丈夫か?」
(良かったっ。 皆、無事か)
「ああ、瑠衣 めちゃ助かったよ、ありがとう」
「上手くいって良かったよ。 あいつの上に氷の棘が作られてるの見て、反撃の機会を伺ってるんだなって思ったから。 俺たちの所為でバレたら、台無しだからな。 風神の幻影魔法で姿を消して近づいたんだ」
「見つからない様にって思ったら、慎重になり過ぎて、氷の棘の位置が遠すぎた。 もっと正確に作れないとっ」
「今更だけど、黒い剣が黒いオーラを出してなくて良かったよ。 出てたら俺、今、闇の中だったなっ」
「俺も正直、めちゃやばかった」
瑠衣の『さぁ、帰ろうぜ』の声に優斗は立ち上がり、瑠衣と共に華たちの元へと歩いて行った。
――隠れ家へ帰って来た優斗たちは、華のキラキラした瞳に、引き気味になっていた。
帰って来て直ぐに華がした事は、優斗の体中の傷に、華が作った軟膏を塗りつけた事だった。 念入りに塗られ、少し頬が赤くなった。 不意に華の顔が近づいたので、余計に優斗の頬は赤くなった。
そして魔族との戦いで何か不具合を起こしていないか、武器と防具を整備したいと華から言われ、優斗と瑠衣は、また引き気味に武器と防具を預けた。 武器と防具が戻って来るのは、明日の朝になると言う。
心成しか、華の背中がウキウキしている気がするのは、気のせいだろうかと、優斗と瑠衣は一抹の不安を感じていた。 2人は、岩風呂に入って寝る事にし、入る準備をする為に自室へ戻った。
岩風呂に入ったら疲れも取れ、直ぐに眠れるかと思いベッドへ入ったが、中々眠れず、優斗は水を飲むついでにテラスへ出た。
(岩風呂に入れば、眠れると思ったけど、反対に眼が冴えて眠れないな。 華が寝たって報告も来てないし。 今日は無理か、ウキウキで防具と武器の整備してるだろうしな)
『花咲華はまだ、防具と武器の整備中で就寝していません。 自室に居ますので、安全です』
(やっぱりか、今夜は夜更かしコースかな。 また、変な物、足してないだろうな)
優斗の防具を華が整備している姿が脳裏に浮かび、優斗の顔に困惑と慈愛の表情が混在している。
『お前っ! エルフの血を飲んだのかっ!』
突然、クリスとかいう魔族の言葉が優斗の脳裏に蘇った。 何故、アンバーが自身の血を優斗に飲ませたのかは分からない。 セレンのニヤニヤ笑いが優斗の脳裏を過ぎった。
(絶対、セレンさんの差し金だなっ! くっ、アンバーさんのお陰で助かったのは確かだけど。 なんか嫌だ! でも、前は闇に落ちかけたよな? その時にはもう、アンバーさんの血を飲んでたのに。 そう言えば、あの時飲んだ薬は、華も飲んでるよな? 直感で感じただけだけど。 あの薬、何の薬か訊けば良かった)
『推測ですが、セレンティナアンナの浄化の光を浴びた時に、セレンティナアンナの気配を感じて、アンバーの血が目覚めたのではないかと。 それと、小鳥遊優斗と花咲華が飲んだ薬は同じものです。 安全なの物でしたので、止めませんでした』
(やっぱり、同じ薬なのか?! 2人の意図が分からないな。 監視スキルの推測が当たってるとして、それが本当なら、アンバーさんのセレンさんへの執着心が怖いっ?! あれ? 俺、今、普通に監視スキルと喋ってるっ?!)
『花咲華がリビングへ降りてきます』
階段を降りる足音が聞こえ、監視スキルの声に振り返ると、華がリビングへ入って来た所だった。 水を飲みに降りて来たようで、華はテラスでいる優斗に直ぐに気づいた。
「小鳥遊くん? もしかして、眠れないの?」
「ちょっとね。 華はまだ、整備してるのか? 程ほどにして、寝ろよ」
「うん」
華が『ちょっと待ってね』とまた、部屋へ戻って行った。 テラスに戻って来た華の手には、何かが握られていた。 優斗が隣の椅子を自身の方へ近づけ、ポンポンと叩いてここに座るように促すと、華は少し照れながら座った。
「これ、元の世界から一緒に転移して来た物」
優斗は香りで直ぐに何か分かった。
「桜の香りの匂い袋?」
「うん、桜の香りはね、不安を取り除いてくれて、安眠効果があるんだって。 実は、もし絶叫マシーンへ乗る事になったら、持って乗ろうかと思ったんだけど。 すっかり忘れてて、学生鞄の奥底に入ってたの」
絶叫マシーンの事を思いだしたのか、華の瞳が怪しく光った。
「そうなんだっ」
(今、華の目が怪しい光を放った様な気がしたけどっ! そんなにも怖かったんだな、絶叫マシーンっ)
不意に華が凝視してくると、優斗の頬に手が掛かり、心臓が大きく跳ねた。
「良かった。 頬の傷、薄くなってる。 これなら、明日には消えてるね。 これ、眠れないなら、小鳥遊くん使って」
華がにっこり笑い、優斗に桜の匂い袋を渡して来た。 華は、いつもみたいにキラキラした瞳で優斗を見つめるのではなく、慈愛に満ちた瞳で優斗を見つめてくる。 優斗の胸の鼓動が高鳴っていく。
(今、華は妄想した俺を見ていない。 俺に、そんな顔を見せてくれるんだな)
「いや、俺はこっちでいい」
そう言うと、優斗と華の唇が重なる。 華は一瞬、目を見開いたが、直ぐに閉じて、優斗の背中へ手を回してきた。 監視スキルの『小鳥遊優斗の花咲華への執着心も負けてません』の声が脳内に響いたが、優斗は無視した。 遠くでフクロウの鳴く声が森の中で響いていた。
――夜空に欠けた月が浮かんでいる。
満月まではまだまだ遠い。 ベネディクトは、欠けた月を眺めていた。 優斗たちの隠れ家から、1㎞以上離れた場所、森で1番高い木の上の枝に立っていた。 黒い影から、クリスが優斗たちにやられたと、報告を受けていた。
「ふ~ん。 あいつやられたの。 ダメダメだな。 まぁ、クリスは魔王候補って言っても下っ端だったしな。 それにしても、エルフの血ね。 面白いじゃない。 まだまだ、楽しませくれそうだな。 お前は、また戻って、浄化した女についとけ。 あっちの女には、もっと、偽物の勇者の剣をばら撒いとけって伝えとけ。 必ずあれもつけてな」
黒い影は頷くと、ゆらゆらと揺れて歪んで消えた。
「さて、次はどいつの下僕を頂きにいくかな。 偽物の剣を掴んで、下僕に落ちる人間も集まるだろうし、もう、そろそろいいだろうな。 俺から行くのも面倒になって来たしな。 あれ、やるか」
ベネディクトは、春樹の剣の刃を煌めかせて眺めると、ニヤリと笑って夜の闇に消えた。
――翌朝、戻って来た防具と武器を見て、優斗はこめかみをピクリと引き攣らせた。
やっぱり華は、ただでは起きなかった。 リビングで華から受け取った防具は、以前と変わりはないが、加護の魔法を以前より強い物を掛けてくれた。 木刀は柄の部分に1本線が入っているだけだったが、1本線がなくなり、防具の竜のベルトと同じ、黒い竜が巻き付いていた。
黒い竜から桜が咲き乱れている様にデザインされている。 優斗は片手で顔を覆って項垂れた。 もう、固定したから元には戻せないと言う。
(絶対にこれ、あのクリスとか言う魔族の黒い剣に影響された結果だな。 華の俺に竜を巻き付かせよう計画は、着実に叶ってるみたいだっ。 竜の部分を持てば、ギリ見えないかっ)
悪戦苦闘していると、隣で瑠衣が忍び笑いをしている。 じろりと瑠衣を見ると、白いマントの下は、アサシン風の防具を着ている。 以前、華が瑠衣の防具をアサシン風にしたいと言っていた事を思い出した。
(そんなに面白いかっ!)
笑いを収めた瑠衣がコソコソと、優斗を食堂の方へ誘導すると、何やらピンク色の瓶を渡された。 瑠衣から渡された物の使用方法を聞き、優斗は度肝を抜かされた。 優斗は真っ赤になり、無理やり受け取らされた瓶を見て、瑠衣に抗議をした。
「瑠衣! お前っ、こんなの華に作らせたのかっ!」
「まぁまぁ、落ち着けよ。 華ちゃんはどういう物か知らないし、でも、必要だろ。 優斗なら悪用しないだろうし、使うかどうかは優斗の自由だ。 それにこれ、街で買ったらめちゃ高いんだからな」
(ああ、それでフィンの目が金マークになってたのかっ)
優斗は瑠衣から受け取った瓶をポッケトの奥に突っ込んで、瑠衣と玄関へ向かった。 玄関で待っていた華の顔が直視できなくて、華は優斗の様子に首を傾げていた。 背後から忍び笑いが聞こえ、振り返ると、瑠衣が肩を震わせて笑っている。
(ほんとっ! こいつはっ!)
優斗たちは今日も魔道具の街のギルドまで足を運ぶ為に、隠れ家を後にした。 魔道具の街の武器屋で、優斗たちは探し物と出会う事になる。
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