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19話 『ハニートラップに気を付けて』

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 闘牛は、ブレア宅の裏の森を抜けた草原に逃げ出していた。 優斗とフィルは、捕まえた闘牛たちを魔道具の檻に閉じ込めていた。 瑠衣は風神に乗り、目の前で走っている闘牛を見つめる。

 瑠衣の弓が鞭に変わり、闘牛の角に巻き付いた。 思いっきり引っ張ると、闘牛は足を突っ張りながら止まった。 首を振って暴れる闘牛を、鞭に魔力を流して力任せに抑えた。

 苦戦している瑠衣の元に、仁奈が槍を片手にやって来た。 仁奈の槍の鉾が瑠衣の鞭に触れると、電撃が流された。 闘牛に電撃が走ると、身体を痺れさせながら気絶した。

 「サンキュー、仁奈! 助かった」

 瑠衣は仁奈に笑いかけた。 仁奈も瑠衣に微笑みかけてきたが、笑顔がどことなくぎごちない。 仁奈は直ぐに、優斗とフィルのサポートに行ってしまった。 華はブレア宅で、フィンと一緒に闘牛小屋を修繕している。 仁奈の態度で、瑠衣は全てを理解した。

 「やっぱり、あれかな。 英美理との事、バレてんのかっ! でも何で仁奈が知ってるんだよ?! まさかあの時、噂になってたのか?!」

 『本人に直接訊けばいいのではないのか』

 風神の声に、瑠衣はそんな簡単な事じゃないと項垂れた。 優斗がフィルを連れて、跳躍しながら瑠衣の側にやって来る。 優斗は全ての闘牛を檻に閉じ込め、休憩しようとやってきたらしい。

 手にはバスケットを持っている。 華が瑠衣たちの分を持ってきてくれたようだ。

 「瑠衣、昼にしよう。 鈴木は華の方に行った」
 「優斗は華ちゃんの方に行かなくていいのか?」
 「ああ、女同士で話す事があるだろうし。 瑠衣の悪口とかっ」
 「おいっ!」
 
 瑠衣は『否定できん』、と顔を引き攣らせて乾いた笑いを漏らした後、両手で顔を覆った。
 
 「やっぱ、バレてるよな。 何で知ってるんだよ?!」
 「俺は何も言ってないからなっ」
 「分かってるよ。 優斗の事は疑ってない」
 「俺は、華の事も心配だな。 華は英美理ちゃんの事、良い先生だと思ってるからな。 鈴木から話を聞いて、ショック受けるんじゃないかな、華」
 「ああ、だろうね。 外面は良かったから、あの人」

 瑠衣は、余所行きの顔をして澄ましている英美理の姿を思い出した。 当時は英美理が無理をしている様に見えて、そんな所も可愛いと思っていた事も事実だ。 苦笑を漏らすと、瑠衣は近くの木に足を向けた。

 木の根元に何も敷かずに、瑠衣たち3人は並んで座った。 真ん中に座ったフィルは、優斗が草地に置いたバスケットをご機嫌な様子で開ける。 バスケットの中身はサンドイッチだ。

 親切にも、お手拭きが3人分入っていた。 お手拭きで手を拭くと、瑠衣はサーモンのサンドイッチをつまんだ。 一口齧ると、サワークリームと、燻製したサーモンの香りが口の中に広がる。

 (うまっ! これ、仁奈が作ったやつだな)

 サンドイッチを美味しそうに食べている瑠衣の頭の中に、風神の声が聞こえて来た。 風神は、少し離れた場所で、草原の草を食んでいた。

 『主、雷神に何かを知ってるか訊いたら。 主が元カノ?という者と接吻している所をニーナが見たそうだぞ。 元の世界に居る時の話だそうだが』

 瑠衣は飲み込んだサンドイッチが喉に詰まり、咽て咳込んだ。 瑠衣の様子に、優斗が慌てて搾りたてのジュースのカップを瑠衣の手に押しつけた。 瑠衣は一気にジュースを喉に流し込み、大きく息を吐いた。

 「大丈夫か? 瑠衣」
 「だ、大丈夫だっ」
 
 瑠衣は再び深く溜め息を吐いた。 溜め息に哀愁を感じさせる。
 
 「仁奈が何で、英美理との事知ってるのか分かった」
 「えっ」
 
 瑠衣が両手で顔を覆って情けない声を出した。
 
 「仁奈、俺が英美理と付き合ってる時に、俺たちがキスしてる所を見てたらしい。 今、風神が雷神に訊いたって、教えてくれたっ」
 「瑠衣、それ。 学校でそんな事してたのかっ」
 「仕方ないだろう。 外では会いたくないって言われるし、学校でコソコソ会うしかなかったんだからっ。 まさか、仁奈に見られてるとはっ」

 瑠衣は草地に寝転がり、分かりやすく不貞腐れた。 優斗から呆れた様な苦笑が聞こえた。

 「俺は英美理の事、本気で好きだったんだよ。 でも、今は違う、終わった事だし。 仁奈の事は、今まで付き合って来た彼女たちの中で、一番好きなんだ」
 「それ、鈴木に言えよ」
 「ルイって意外と純粋なんだね」

 仕方がないと思っていても、心が沈む。 瑠衣はもう英美理の事は本当に何とも思っていない。 仁奈に興味が沸いたあの時から。 仁奈が仁王立ちして、薙刀を結城真由に突きつけていた光景を思い出し、瑠衣の表情が自然と緩む。

 それに、英美理が瑠衣とは遊びだった事は分かっていた。 旦那が浮気した腹いせに、瑠衣と関係を持ったのだ。 悪い大人に捕まってしまったと思って諦めるしかなかった。

 暗い過去を思い出していた瑠衣の心の奥が、大きく揺れた。 言い知れぬ不安に、闇に呑まれていく。

 【俺が叶えてやろうか。 あの女の心が欲しいのだろう】

 何処からか声が聞こえてくる。 ハッと我に返ったが、身体が動かない。 遠くの方で、優斗とフィルの声が聞こえる。 風神の声が、頭の中で壊れたラジオの様に、割れて流れ込んできた。

 瑠衣には、何を言っているのか理解ができなかった。 闇に呑まれかけた時、突然、腹に衝撃を受けた。 一瞬、呼吸が止まり、空気を吐き出した。

 蹴り飛ばされて草地に転がり、えづいた瑠衣は何かを吐き出した。 吐き出した物を見ると、黒い液体の様な物が草地で蠢いている。 黒い液体をぐしゃりと、白い足が踏みつけた。

 黒い液体は、蒸気を上げて消えていった。 最後に叫び声を上げたような気がした。 見上げた瑠衣は、足の持ち主を確認して、目を最大限に開いて驚いた。

 瑠衣の視線の先には、鋭い瞳で踏みつけた物を見ている人物がいた。 黒い液体はもう跡形もなかった。 鋭い瞳を優しい瞳に変えると、瑠衣を見つめて来た。 しわがれた優しい声が落ちる。

 「やぁ、2人とも大丈夫かい? もう少し遅かったら、危なかったね」
 
 瑠衣は何とか声を出した。
 
 「ぬ、主さまっ!」

 隣で優斗の呻く声が聞こえた。 ハッとして瑠衣は優斗の方を見た。 優斗は首を押さえて、咽ていた。 おぼろげに、脳裏で浮かんで来た映像が、自分が何をしたのか移していた。

 瑠衣は闇にのまれた時、優斗に覆いかぶさり、誰の制止も聞かずに優斗の首を絞めたらしい。 その事実に瑠衣は、愕然として青ざめた。

 「君、手荒な真似をして悪かったね」
 
 瑠衣は顔を横に振っただけで、何も言葉が出なかった。
 
 「そっちの君も大丈夫かい?」

 優斗はゆっくりと起き上がって荒い息を整え、何とか声を出した。 しかし、声は掠れていた。

 「は、はい、大丈夫です。 ありがとうございます、主さまっ」
 「ぬ、主さまっ」

 フィルが主さまの膝に抱きついて行く。 周囲の様子が視界に映っているが、瑠衣は自分のした事が信じられず、自分の両手を呆然と見つめていた。

 「お、俺っ」
 「大丈夫だっ、瑠衣。 瑠衣は闇に呑まれかけたんだ。 瑠衣の意思じゃないっ!」

 主さまに優しく頭を撫でられた瞬間、瑠衣の心に温かい物が流れ込んで来た。 瑠衣の瞳から、一筋の涙が零れ落ちた。 頬を伝った涙にどんな意味があるのか、瑠衣には分からなかった。

 「気を付けて。 悪魔は何処にでもいるからね。 心の隙間に入って来る。 今回は、私が気まぐれに地上に降りて来ていて助かったけれど。 次はないよ」

 「でも、どうしてっ! いきなり、ルイが闇に呑まれたの?! 悪魔の気配も、魔族の気配もしなかったのにっ」
 
 フィルが眉を下げて叫んだ。 おかっぱの銀髪がシャラシャラと鳴り響く。
 
 「うん、つい最近だと思うんだけど。 彼の身体に少量だけど、気づかないうちに黒いオーラが混じったんだろうね。 黒い液体を吐き出したでしょ。 心の不安や心配事、それに過去の出来事を思い出して、心が弱った事で、少量だった黒いオーラが増幅したんじゃないかな? どこでもらったかは知らないけど」

 全員の視線が瑠衣に集まった。 瑠衣は皆の視線に、眉を下げて困惑した。 最近の出来事を思い出してみたが、何もわからなかった。
 
 (ええっ! そんなの何時だ? 覚えがないっ!)

 「全く、覚えがないんですけどっ」
 
 瑠衣の頭の中で風神の声が響いた。
 
 『悪寒がするとか言っていた時ではないか?』
 「悪寒?」
 「なるほど。 悪寒がした時、何かあったかい?」

 主さまには、瑠衣と風神の会話が聞こえている様で、主さまは自然と会話に入って来た。 瑠衣は頭を捻って考えたが、やはり何も分からなかった。

 「何もなかったと思うんですけど、酒を飲んだ後だったし。 身体が熱くなった後に、風神に乗って帰ったから、温暖差で悪寒がしただけだと思ったんですけど」
 「そう」
 
 主さまは少し面白そうな笑み浮かべると、にこやかに微笑んだ。
 
 「ふふっ。 ハニートラップに気を付けてね」

 瑠衣と優斗は、分かりやすく固まった。 フィルは何の事か分からない表情をしていた。 主さまは何処まで地球かぶれなのだろうか、と瑠衣と優斗は顔を引き攣らせた。

 どうやら瑠衣は、ハニートラップをかけられそうになっているらしい。 主さまの話に瑠衣は、いつの事だろうと真剣に考え込んだ。

 「ハニー、何? そうだ、主さまはどうしてここに?」
 
 フィルが首を傾げて問いかけた。
 
 「うん、私もカウボーイの真似事をしてみたくて来たのだけど。 もう、終わったみたいだね」

 闘牛を閉じ込めている檻を眺めると、主さまは残念そうに眉を下げた。 主さまのその様子に、本気で言ってるのだと察して、瑠衣と優斗、フィルと風神は目を細めて主さまを見た。

 「まじかっ! そんな理由で地上に降りて来たのかっ?!」
 『ふむ、主を助けに来たのではなかったんだな』

 風神の声が瑠衣の頭の中で響いた。 助けてもらったのに申し訳ないと思いながらも、風神に近づく主さまを呆れた顔で眺めた。 優斗も少し呆れた声を出した。

 「つっ、相変わらず主さまは、地球かぶれだな」
 「主さまは、何処の世界も覗いてるよ。 あ、でも、ユウトたちを覗くのが、一番楽しいって言ってた」

 フィルの話に、瑠衣と優斗は乾いた笑い声を漏らした。 主さまはニコニコと笑い、風神の頭を撫でている。 風神も主さまに撫でられ、とても嬉しそうに目を細めていた。 瑠衣は風神の様子に、少しモヤッとした物が胸に広がるのを感じた。
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