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第六章 見えないところで誰かがきっと
53.取り越し苦労
しおりを挟む今年の梅雨明けは早かった。まだ七月にも入らないうちに真夏日の連続。そして本格的な夏となり、新堂さんが体調を崩してしまった。
カウントダウンあと八ヶ月というここへ来ての事だ。
「きっと急な暑さに体がびっくりしちゃったのよ。ゆっくり休んで」
嫌がる彼を寝室に連行する。
「大袈裟だよ。少しだるいだけで、熱もそれほどない。安静にしていれば……」
「だ、か、ら!ここで。ね?」
横になろうとしない彼を、強制的に押し倒して毛布を掛けた。
昨日仕事から帰って疲れた顔をしていたので、気になっていたのだ。
例のごとく「俺は大丈夫だから」を連呼されて、パートの仕事に行った。だが帰宅してみれば新堂さんの顔色はやはり良くない。熱を計らせたら(無理やり!)微熱があったという訳だ。
「……分かったよ」ようやく彼が折れた。
「よろしい。じゃ、夕飯できたら呼びに来るから」
「悪いな」
寝室のドアを閉めて、一人憤る。
「これが逆の立場だったら、私は完全に病人扱いされてるのに!」自分に甘いというのか、こういう時に休もうとしないのが男だ。
「ま、大した事ないって証拠か」
彼の言うように私が大袈裟なのかもと普通の食事を用意したが、なかなか食が進まないようだ。やはり彼の強がりか。食事風景を眺めてさらに不安が募る。
だがここは、過剰反応は控えよう。
「ごちそうさま。あなたはゆっくり食べてて」
「済まん。決して不味いとか、そういう訳じゃないからな」
「分かってるから」
笑顔で言って立ち上がり、他の事をして気を紛らわす。
「時にユイ。最近眩暈はどうなんだ?」
「あの連休の旅行以来、酷いのはないわ。時々クラクラする事があるけどね」
しばらくして箸を置く音がして振り返る。
「ごちそうさま」
「偉い偉い!全部食べれたね」
並んだ皿を見回して、わざとこんなセリフを投げてみる。
「子供か?俺は!」
そう突っ込んでから、食器をキッチンに運び始めた。
「あ、置いといて。後で洗うから」
「いいよ。これくらいするよ。作ってもらったし」
それならばと軽くお礼を言って、先に入浴を済ませた。
リビングに戻ると、彼の姿がなかったので書斎を覗いてみた。
彼はやはりそこにいた。
「お風呂、いいよ」
「ああ……。後で入る」
「ねえ?それ、お仕事なの?今日はそれくらいにしたら」
「……そうだな。どうにも捗らない」
やっぱり様子はいつもと違った。
「それで、風邪薬とか飲んだの?」
「ああ。大丈夫だ」
飲んだのか飲んでいないのか判断のつかない回答をしてくる。医者の彼にこれ以上の詮索は無意味か。
そんな事を思って凝視していたら、顔を上げた新堂さんと目が合った。
やがて深いため息の後に、彼が折れた。
「おまえに心配かける訳には行かないな。今日はもう休むよ」
「うん。そうして」良かった、願いが通じた!
素っ気なく答えたものの、こんな状況はあの病が発覚する前の時に良く似ていて……。それはもう気が気ではなかった。
そして彼はすぐに床に就いた。私は何もしてあげられない。しばらく悶々としながらリビングで過ごす。
だが三十分もしないうちに、彼がリビングに現れた。
「あれ?新堂さん。どうしたの」
「喉が、渇いてな……」
そう言った彼の顔は心なしか赤い気がする。そっと近づいて額に手を当ててみた。
「何だよ」
「ごめん、ちょっと動かないで!」
「おいおい、また子供扱いか?やめてくれ」
「新堂さん、凄く熱いよ!熱上がってるんじゃない?」
額だけでなく、触れる限り確認した箇所は全て燃えるように熱かった。
私の中で不安がピークに達する。
「大丈夫だ。解熱剤をこれから打つ」
「大丈夫って……」
すぐさま貴島さんの顔が浮かぶ。夜中だが緊急事態なのだから……と電話に目が行くも、それを察して釘を刺された。「連絡するなら、明日の朝にしろ」
「でもっ」
「今何時だと思ってる?俺は大丈夫だって言ってるだろ」
こう言われては成す術はない。大人しく引き下がる。
一緒に寝室へ行くが、私が足を踏み入れたところで彼が振り返り、立ちはだかる。
「ユイ、悪いが、今夜は向こうで寝てくれるか」
「え?……でも」心配だし、何かできる事があるかも、と言いかけたが遮られる。
「何らかのウイルス感染だ。おまえに移ると困る」
「だけど……っ」またも途中で遮られた。「頼むよ」
隙間から寝室を覗くと、注射器やら薬瓶が目に入った。もう準備してあったのか。
「分かったわ。何かあったら呼んで」
私がそう言った瞬間にドアは閉じられた。
「はあ~……。やっぱこうなるのか!でも確かに、自分に注射打ってる姿なんて見られたくないよね」
トボトボと個室の方に向かい、ベッドに横になった。小一時間くらい悶々とした挙句に起き出す。「あ~無理!こんなんじゃ寝付けない!」
そっと寝室ドアを開けると、眠っているようだが荒い呼吸を繰り返している。忍び足で部屋に入り、彼の額に触れる。やはり熱い。
「下がってないみたい……」
冷凍庫からアイスノンを引っ張り出し、タオルに包んで持って行く。
「新堂さん、ちょっとごめんね」
彼の頭を持ち上げて枕の上にそれを置き、寝かせた。苦しそうな彼は目覚める気配もない。
その場でしばし様子を見ていたけれど、一旦退却した。もしこれが原因で私が寝込む羽目になったら困るので!
そして二時間後に再び様子を見に行く。
「熱い……。アイスノンが熱いじゃない!」
回収して別の物に取り替える。
「新堂さん、頑張って。……きっとただの風邪よ」
そして個室に戻って横になる。
朝方になってようやく眠りにつく事ができた気がしたが、キッチンからの物音で目が覚めた。
慌てて向かうと、彼がマスク姿で朝食の片付けをしていた。
「新堂さん!」
「おはようユイ。寝室には入るなと言っただろ?」
「あっ、ごめんなさい……」アイスノンを見れば私が行った事はすぐにバレる。
「どうせマスクも着けずに来たんだろ?……全く」
黙り込む私。だってどうしても心配で!との言い訳は口に出さなかった。
すると彼が表情を緩めた。「そうは言っても……ありがとな。途中からとても楽になった。あれのお陰だったんだな。助かったよ」
「ホントに?それなら良かった!」お役に立てて嬉しいです!
「それでおまえは、ちゃんと寝れたのか?」私の顔を見てこんな事を言う。
たった一晩で寝不足が顔に出るほどにはならないと思うが?
「それはこっちのセリフ!そんな事よりあなたは?熱下がったの?朝食なら私が用意して寝室に運んだのに」と言っても現在九時。寝過ごした……。
「微熱はあるが恐らく峠は越えた。もう心配ない。悪いが、ユイの分の朝食はまだ……」
「私の事はいいから!」
「感染者が調理をする訳にはいかんからな」
「だから私がっ」
「朝はいつも別々だろ?」
そう、起きるのが遅い私は、一緒に朝食を摂れない事が多い。苦い顔をして黙る。
「それと、俺はもう少し休むけど、貴島は呼ばなくていいからな」
「なんで!」
「あいつに移しても悪いだろ」
医者にそんな遠慮をするのはあなたくらいだ!と目で訴える。だがこんなのは時間のムダだ。「分かったわよ……」
彼は頷くとリビングから出て行った。その後ろ姿を見つめて呆然とする。
「ダメだ……。私じゃ太刀打ちできない」
もしこれが再発の前兆だったら?ここまで来たのに?あと一年なのに!
「ちゃんと調べなきゃ対処もできないじゃない……。ヤダよ、そんなのっ」
朝っぱらから涙が溢れる。
彼が出て行ってくれて助かった。こんな姿を見られたら何を言われるか分からない。
今私はちょうど四連休中で、とことん彼の世話を焼ける状況にある。なのに何もできない。新堂さんの再発の不安に、たった一人で向き合う自信がない。
そんな心境に比例するように天候は最悪。外は大雨が降っている。
この日の昼過ぎ、きっとお腹が空いただろうとポテトサラダを作った。何がいいか迷ったが、冷蔵庫の食材でできそうなのがこれくらいだったのだ。
「新堂さん……お昼だけど、何か食べる?」薄暗い寝室に顔を出す。
「……ああ。もうそんな時間か……」ぼんやりとした声が響いた。
「ポテトサラダで良かったら、食べない?作ったんだけど」
「ありがとう。食べるよ」
「うん!」
寝室を出る時は、必ずマスクを着用する彼。
「ねえ。それ、しなくてもいいよ?煩わしいでしょ。どうせ食べる時は取るんだし」
「そういう訳には行かない。できればおまえにも着けてほしいんだがね」
見下ろされて言われ萎縮するものの、ここは見ぬフリを決め込む。
すると彼がため息の後に言った。「だから俺がしてるんだ」
居心地が悪くなり、すぐに話題を切り替える。
「ええっと!どれくらい食べれそう?これだけじゃ何だよね。他に何かないかな……」
「それで十分だよ。ありがとう」
何とか話題を反らす事には成功したが、彼が食欲がない事を思い出して、またしても不安に襲われる。
「そんなに心配するなよ。栄養はちゃんと補給済みだから?」そう言った彼が、軽く笑って左腕を見せてきた。注射の痕がいくつかある。
点滴で栄養補給という訳か。自らそれができるとは便利なものだ。
「……何だか、ヤク中の人みたい!」
「変な疑いを掛けるのはやめろ」
「あははっ!」
わざとおどけてみると、ポカリと頭を叩かれた。
良かった、元気になってる!この仕草でそれを実感した。昨夜は全然余裕がない感じで、本当に不安になったから。
あの時の彼の額の熱が、まだ私の手の平から消えてくれない。
「……新堂さん、大丈夫だよね?本当に……」
美味しそうにサラダを口に運ぶ彼を見つめながら、改めて確認する。こんな時に大丈夫じゃない、などという答えが返ってくる訳がないのだが。
「何を心配してる?これは再発ではない。血液検査して確認した。感染症、つまりただの風邪だよ」
「血液検査したの!いつ?」
「朝だ」
全然知らなかった。「って、ダメじゃない!そういう事は貴島さんが……」
私が途中で言葉を切ったのは、彼が首を横に振っているのが見えたからだ。
「俺が朝したのは、白血病の検査じゃない。ウイルス検査だ。約束は破ってない」ウイルス検査でも白血球の値は確認する、と続ける。
なるほど……。無言で頷くしかなかった。言っている事は正しい。
「便利だよね~。自分で何でもできちゃうんだからさ」
「それも、ただでな」と彼が笑う。
「そうだ、ユイに移ってないか、おまえも血液検査してみ……」
こんな申し出は当然すぐさま遮る。嫌な予感しかしない!「しません!移ってません!ユイさんはこの通りピンピンしてます!」
そして続ける。「あなたは今病人なの。つまり患者なのよ?人の診察してる場合?」
このコメントは効いたらしい。「そうだな。早く治さんとおまえの診察もできん。ならば今日は徹底的に休む。じゃ」そう言って、さっさと寝室へと消えて行った。
「あんなに休む事を拒否してた人の言動とは思えないんですけど!」
今度から彼を休ませる時にはこう言おう。早く治さないとユイさんの診察ができないよ?と。これはいい口実を見つけたり!
彼が寝室に行った後、片付けを済ませてから軽く室内トレーニングで体を動かす。
まだ雨は継続中。さすがに雨の中ランニングに出かけたら、我が主治医が許さないだろうから?
しかし室内ではやれる事が限られている。
「本当は射撃の練習したかったのよね。あ~、地下に射撃場作ってくれないかしら!」
ボヤキながら個室に向かい、コルトのメンテをする事にした。
それも終えてしまうと、暇だ。
「何だか時間、中途半端だなぁ。早々に夕ご飯の支度でもしよっと」
キッチンに移動して冷蔵庫を開けて再び考え込む。何しろ食材がなかったのだ。
考えた末に、残り野菜でチーズリゾットを作る事にした。
「早く作りすぎちゃった……」
彼を呼びに行くのはまだ早いだろうと、エプロン姿のまま廊下をウロウロする。
結局寝室には行かず、彼の書斎にお邪魔した。
「相変わらず殺伐としてるわ!」
デスク周辺を見渡し、山積みになった本やら資料を眺めながら椅子に座る。
「新堂さんはいつも、こういう景色を見てるのか」
彼の特等席に腰を下ろし、クルリと窓の方に回転させてみた。
ブラインドを指でこじ開けて外を眺めると、愛車のベンツが見える。
「あの時は、ゴミ箱に使用済みの点滴バッグが大量に入ってたっけ……」
チラリと目を向けるも、そこに入っていたのは丸めたティッシュだけだった。こんな事でほっとする自分に苦笑する。
そんな時、廊下から声がした。「ユイ?どこにいるのかと思ったら」
「あっ、新堂さん。もしかして探してた?」
半開きのドアから、彼が顔を出していた。「こんなとこで何してるんだ?」
「ごめん、勝手に入って……」
「別にいいけど。ユイの興味を惹きそうなものはないと思うぞ?」
「新堂さんが、いつもどんな景色を見てるのかな~って。ここに座って見てたの」
ふうん、と気のない返事が返ってくる。
「あ、お腹減った?もうできてるの。呼びに行こうか迷って。まだ時間早いし」立ち上がって尋ねた。
「それはありがたい。実はかなり腹ペコだ」
「ホント?なら良かった!食べましょ!」食欲が戻ってきた事を知って嬉しくなる。
満面の笑みで彼の背に手を添えて、廊下を進んだ。
「お、いい匂いがする」
「風邪引いてるのに、匂い分かるのね!」
「鼻風邪じゃないからな」
ダイニングテーブルに、取り分けたリゾットを盛った皿を運ぶ。
「いただきます」
「召し上がれ!」
彼は私の料理をまたしても絶賛し、そして完食した。
「ユイ。今回は色々とありがとな。凄く助かったよ」
「私は何もしてないよ。いつもと同じ事をしてただけ」
「昔、風邪を引いた時も、こうしてユイがいてくれたら、今みたいにすぐに治ってたんだろうな」
こんな言葉は私にとって究極の賛辞だ。「ふふっ、そうかもね~」素っ気なく答えるも、顔はどこまでも緩んでしまう。
医者でもない私が、床に臥せった彼の役に立てた事は心の底から嬉しい。
「それにしても新堂さんったら、本当に回復が早いわね」私が高熱を出した時は、余裕で一週間は寝込んでいるというのに!
「俺は案外頑丈にできてる。だから、あまり心配するな」
向けられた彼の強い眼差しが、どれだけ私を安心させた事か。
「取り越し苦労、って事かぁ。参りました!」
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