この恋、腐れ縁でした。

氷室ユリ

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第五章 扉の先で待ち受けるものは

45.刃物の扱い方(1)

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 季節は過ぎて秋がやって来た。三ヶ月毎の彼の検診結果は良好だったのだが……。
「あ~あ。今度は私がダウンしてるって、何なの?」

 今、彼の運転する車内で会話をしている。隣町の病院に行った帰りなのだ。

「せっかくの休みが終わっちゃうじゃない!」たまたまの会社三連休の初日。
「良かったじゃないか、大した事なくて。大体もう夏じゃないのに、いつまでも薄着なんだよ、おまえは」
「だ~って。別に寒くなかったもん」
「言い訳するな。まあ、例え何が起こっても、俺がついてるから心配ないがね」

 それは実感する。主治医が常に側にいてくれる有り難みは。

「またこうなるのね……」
「またって?」運転席の彼がチラリと私に顔を向けて聞き返してくる。
「私はあなたに頼りっきりって事!」
「それは、ダメなのか?」平然と言う彼に、「ダメでしょ」と即答する。
「なぜだ」

 逆にどうして分からないかが不思議だ。

「もう知ってると思うから言うけど、新堂さんが貴島さんのとこに入院してた時、ウイルス性の胃腸炎に罹ったの」
 彼はただ無言で頷いた。やはり知っていたらしい。
「あの時実感したわ、主治医の有り難みを。私にはあなたがやっぱり必要だって!」
「だったら、思う存分頼ればいいじゃないか」

「もちろんそうするつもりよ。……でも、何だか情けなくて」
「俺は逆に嬉しいけどな」

 車は家の敷地に入った。緩やかな坂を登って行く。

 運転する彼をひたすら見つめていると、こんな事を言った。
「ユイの主治医は俺だ。……あの時は貴島が代わってくれたが、正直言うと、それはもう気が気じゃなかった」
「え?」
「もちろん貴島の事は信頼してる。だが、ユイの事を一番分かってるのは俺だ」

「どうせ私は、複雑なカラダですっ!」
 本当は、彼のコメントがとても嬉しくて涙が出そうだった。気づかれたくなくて、悪態をついて誤魔化したのだ。

「元気であるに越した事はない。だが、おまえが苦しんでいる時に、自分が何かをしてやれる事が嬉しいんだ」
「ねえ?それって、私が苦しんでると嬉しいとも聞こえるけど?」
「そんな事は言ってないだろ!」
「そうかしら……」非常に疑わしい。実は満更でもないのでは?

 車庫に収まった車から降りる。外の空気はひんやりしていたが、微熱のせいかそれが気持ち良く感じる。

「ほら、言った側からこれだ!ちゃんと上に羽織れって」彼が私の肩にストールを掛けてくれる。
「涼しくて気持ちいいのに!」そして玄関は目と鼻の先だと言うのに?
「やれやれ……。早く家に入れ。中は快適だよ」

 鍵を開けて室内に入れば、確かに快適だ。首を傾げつつリビングに向かうと、その理由はすぐに判明した。

「っ!ちょっと?エアコン付けっ放しじゃない。まだそんなに寒くないわよ」
「それがどうした?戸締りはちゃんとしたぞ」
「ええ、確かに出かける時、あなたに戸締りを頼んだわ」それは覚えている。
 だがしかし……この人は電気代の事など全く頭にないらしい。

 ……ああ、考えないか。何しろ一つの依頼だけで、一般の会社員年収を優に超える額を稼ぐ男だ。そんな人に節約しろと言うのもバカバカしいが!
 私には優しい態度も取ってくれるようになったけれど、地球環境には相変わらず優しくない新堂和矢。エコとは無縁だ。

「ユイ?どうした?」
「ううん、何でも。ちょっと休もうかな」

 段々考えるのが面倒になり、不思議そうにする彼を残して一人寝室へと向かった。

 体はぐったりで、熱が上がりそうな雰囲気だ。彼の言う通り温かくして寝よう。
 何と言われようと私は彼に頼りきるのは控えたい。こんなものは早く治してしまわねば!


 結局休暇の三日間は外出もできずに終わった。けれどしっかり休んだお陰で無事に回復し、仕事に行く許可が下りた。

「ユイ、そんな薄着ではまた風邪引くぞ?今日はあまり天候も良くないらしいし。着替えて行け」出がけの私の服装を見て彼が言う。
「そう?皆まだこんなもんよ。それに動いてると暑くって!じゃ、行って来ま~す」

 彼の忠告を無視して会社へと向かった。駅まで歩く間に案の定汗をかいた。着替えずに正解だったではないか?


 やがて一日の仕事を終えて外に出る。

 乗り込んだ電車の窓から景色を眺める。イチョウの葉が黄色く色づき、散りかけている。もう秋も終わるか。本当に秋は短い。年々短くなっている気がする。
 この時期になると、どうしても不安が過ぎってしまう。新堂さんが体調を崩したのは、こんな季節の移り変わる頃だったから。

 家の最寄駅に着いて階段を下りて行くと、ポストの横に彼が立っていた。
 昼の休憩時間に電話が来て、ここで新堂さんと合流する事は決まっていた。彼も仕事でこの近辺にいたらしい。

「お待たせ~、待った?」
「いいや。雨、降らなくて良かったな」
「今のコメントは自分に言ったんでしょ?」濡れるのが嫌いな自分に!
 今日は近場からの依頼だったので公共機関を使ったそうだ。クルマ移動と違って、雨が降れば当然濡れる。

「薄着した私を指摘しときながら、あなたこそ無謀じゃない?傘持ってないんでしょ」
 手にするそのドクターズバッグに、折り畳み傘が入っているとは思えない。
「だから雨に降られたら、ユイの傘に入れてもらおうとね」と私の持つ長傘を指す。
 それで一緒に帰ろうと誘ったのか。そんなに傘を持って行くのが嫌なのか?

 呆れつつも彼に腕を絡ませて引っ張る。「早く行こ!」
 彼がやや体勢を崩した。「おっ、おい、そんなに急ぐなよ……」
「こんな所でモタモタしてると、近所の人に見つかっちゃう!」
「別にいいじゃないか、見せつけてやれば?」
 私に接近して、耳元で艶っぽく囁いてきた彼に言い放つ。「新堂さん、それってどうせ冗談でしょ!」

 こんな私達は、すでにサラリーマン風の中年男性に凝視されている。

「人前でこんな事するなんて……あなたらしくないじゃない」
 病から復活して変わったとしたら、やっぱりそれは私の血が原因か。
「そうか?」
 首を傾げた彼だが、その笑顔は最高に素敵で……何も言えなくなってしまった。

「さあさあ、降り出さないうちに帰ろっ」彼を促して歩みを進める。
 空を見上げるも、辛うじてまだ雨の粒は落ちてくる気配はない。
「なあ。それって俺との相合傘が嫌なのか?」私の横に並んだ彼が聞いてくる。
「……あいあい、傘」
 私達が一つの傘に収まっている様子を思い浮かべた。
 悪くないじゃない!

「……って、もう!何言ってるのよ、大人げない」
 完全に言動が逆転してしまった。いつもこんな事を言い出すのは私だったのに?
 照れ隠しのため、彼を置いてさっさと先に進んだ。

 そんな時。どこからか女性の悲鳴が聞こえてきて立ち止まる。

「どうかしたか?」彼が私に追いついて隣りにやって来る。
「静かに……」人差し指を唇に当てて指示を出す。
 すると今度ははっきりと、助けて、と叫ぶ女性の声が耳に届いた。

 今にも降り出しそうな日曜の夕暮れ時。辺りに人影はない。

「何事だ?」彼にも声が聞こえたらしく、その方角を振り返っている。
 私はすぐさま声のした方へ走った。「新堂さんはここにいて!すぐ戻るから」
「あ、おい!……やっぱり行くのか」
 彼のため息と共に呟く声が後ろで聞こえた。

 狭い路地を入り、六階建てのマンションの前まで来る。どうやらここの三階付近からのようだ。

「警察を呼べばいいだろ。やたらに首を突っ込むなって……」若干息を切らして彼が追い付いた。
「待っててって言ったのに……!まあいいわ。あの叫び方は命の危険を感じた人間の声よ。警察が来るのを待ってたら手遅れになるかもしれない。今度こそ、あなたはここで待ってて」
「いや。ケガ人がいるかもしれない。一緒に行くよ」
 彼がそう言って、私の後についてマンションの階段を駆け上がる。

 巻き込まれたくない割に随分と乗り気ではないか?

 現場に到着すると、部屋の前の踊り場で四十代くらいの女性が焦燥し切った様子でうろたえていた。
「ああ、どうしよう……どうすればいいの!」
「大丈夫ですか?!」
 女性に声をかけながら、開かれた玄関ドアから瞬時に中の様子を確認する。

 奥には横たわる男性の姿。腹部から出血がある。そして目前では二メートルはありそうな巨漢の男と、若い女性警官が対峙している。

「何があったの?」再び踊り場にいる女性に尋ねる。
「あの人、私達を、殺すって言うの……!ああ、どうしてこんな事にっ」
 うろたえる女性を新堂さんの方に引き渡す。
 そして今まさに戦いの火蓋が切って落とされようとしている二人に近づいた。

「ユイ、気をつけろ!」
 彼がそう言ったのは、敵が刃物を所持していたからだ。
 そしてあろう事か目の前の女性警官は、素手で応戦しようとしている。
「それはいくら何でも無謀でしょ!くっ、……間に合わない」

 すでに男の振り上げた刃物は、女性警官の右手に触れている。
 私は彼女の腰に下げていた警棒を引き抜くと、刃物を持った男の手に向かって下から振り上げた。標的の位置が高すぎて、威力半減でも下から打つしかなかった。
 それでも男は堪らずに凶器を取り落とした。

 二人はようやく私の存在に気づく。

「刃物に素手で向かうなんて、何考えてるの?こういうの持ってるくせに!使いなさいよね?」右手を抱えて蹲る女性警官に言う。
 どうせなら拳銃を構えるのもありだと思うのだが?
「新堂さん、彼女の手当て、お願いできる?」
「任せろ」

「何だお前は!邪魔するなぁ!」
「うるさいのよ!」
 大男は声もデカイ。耳障りな低音が、最近また始まってしまった私の耳鳴りを増幅させようとしていた。このままでは最悪、眩暈が起こる。

 男が前に出した足を、透かさず払って体勢を崩させそのまま押し倒す。
「ねえ、ケガ、どんな感じ?」
 巨漢男を押さえつけながら様子を聞く。
「おまえのお陰で、切断は免れたようだよ」新堂さんが傷の具合を確かめながら答えた。
 持参していたカバンを開き、手際良く応急処置を施しているのが見える。

「うっ……。あなた達は、一体?」女性警官が痛みに顔を歪めながら聞いてくる。
「私は通りすがりの外科医です。出血が酷いように見えますが大丈夫です。応急処置はしておきました。すぐに病院で縫合してもらってください」
「……ありがとうございます……」

 彼女がこちらを見ている。当然私の素性を知りたいのだろう。
 無言を貫く私に代わって、彼が答えてくれた。「彼女もただの……私の連れです」

 彼女はヨロヨロと立ち上がり、私の押さえつけた男の元に来る。

「後はお願いしますね」
 私が彼女に男を託して立ち上がった時、パトカーのサイレンが聞こえてきた。ようやく応援が来たようだ。
「行きましょうか、センセイ?」
 開いたカバンを閉じて、彼も立ち上がった。

「ちょっと待って!一緒に交番まで……いいえ、せめてお二人のお名前と住所、教えてください!」
「その必要はないわ」
 私達は呼び止める声に逆らって建物を出た。

 外はポツリポツリと雨粒が落ち始めていた。

「ほら見ろ、降り出してしまったじゃないか」
「あら。新堂さんは相合傘、したかったんでしょ?」傘を広げて彼に差し掛ける。
 それを受け取って、新堂さんが持ってくれた。
「これぞ完璧な相合傘だな」私を見下ろして微笑む。

 急に少々の寒気を感じて、無意識に二の腕を手の平で擦った。

「寒いのか?」
「ちょっとだけね……」
「動いてたら、暑くなるんじゃなかったのか?」
「だって、動いてないじゃない」
「おいおい!今さっきあんな事しといてそれか?」
「あんな事って?」

 私はわざととぼけた。あんなのは実際動いたうちに入らない!どうせならもっと強敵に出くわしたかった。

「参ったね……」
「ただ図体がデカイってだけでは、強いうちには入らないんです」
「しかし、アレを取り出されなくて良かったよ」
「コルトの事?出す訳ないでしょ。警官の前で!」
 こう返すと、やっぱり持ち歩いてるのか、と彼が呟いた。こんなコメントはもちろん無視したけれど。

「でなきゃ警官の拳銃を拝借する、とかな」
「ダメダメ。警官の銃は、しっかり紐で括りつけられてるから使えないわ」
 納得した様子で頷く彼に続ける。「それにあんなヤツ、拳銃など使うまでもない」
「ああ、ああ!そうだろうとも!」もはや彼は呆れ顔だ。

「だけど。あの状況で何で素手?理解に苦しむわ。防御する道具がちゃんとあるのに」
「とっさの判断が付かなかったんだろ。見たところ新米のようだったし」
「それにしたってよ?手で受け止めたら、切れるの当然でしょ!」
「体を張って市民を守る、尊敬すべき警官だ」
「それ、本気で言ってる?」
「もちろん」

 当然のように言う彼がどこか憎らしい。

「ふう~ん。若い子だから味方したんでしょ。可愛かったモンね、あの警官!」
「本当にそう思うのか」彼の声色が変わった。気分を害したか。
 そう思って別路線に切り替える。「まさか!オレには関係ないって、顔に書いてあるもの。そんな訳ないわ。でも、あなたがいてくれて良かった。ありがとね」
 彼はおどけて肩を竦めた。それを見上げて安堵の息を吐く。

 それにしてもだ。素手で刃物を受けようなど、我が師匠キハラが聞いたら雷が落ちる事間違いなしだ。何せその昔、自分が何度もその雷を落とされていた口だから!

「何をいつまでも笑ってるんだ?」
「ちょっと思い出しちゃって」
「さては、イヤらしい事考えてたな?」
「何それっ!そんな事考えてないもん!」
 そう言って体当たりすると、彼がよろけて傘が斜めになった。

「ちょっと、冷たいじゃない!濡れるっ!」
「ユイが悪いんだぞ、ぶつかって来るから」
「新堂さんが意地悪な事言うからじゃない?」

 こんな調子で、私達の相合傘はしとしと降る雨の中で何度も傾いたのだった。


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