この恋、腐れ縁でした。

氷室ユリ

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第五章 扉の先で待ち受けるものは

  ブランク(2)

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「急にこんな事になって悪いな」
 私が仕事から帰ると、待ち構えていたように彼が言った。

 本日の依頼先だった市内の病院で、偶然足を運んでいた谷口さんと遭遇し意気投合。新堂さんが病み上がりのため、飲みには行けない。それならば我が家で夕食を、という事になったのだそうだ。
 今日が遅番の日でなくて本当に良かった!

「いいって。むしろ楽しみ~!私、本当に同席してもいいのよね?」
「ああもちろん。紹介したいし。谷口にはユイの事、未来の妻って言ってある」

 今私の左手にはサファイアリングが輝いている。基本家では着けないけれど、今日だけはお許しを得た。そして今だけは左にする!

「ねえ~、それで何作ったらいい?今からだと、そんなに手の込んだものは無理よね。谷口さんの好物って何か知ってる?」
「肉だ、肉!あいつは、とにかく肉食だったよ」
「じゃあ、今から狩りに行きますかっと!」エプロンを脱ぎ捨て、ライフル銃(に見立てたモップ)を担いで……、という演技を始める。

「時間がないと言っておきながら何だって?」
「ほら、山で鹿でもさ?」まだ続ける。「狩猟の免許、いつ取ったんだ?」と予想通りの問いかけに、「そ~んなの、無免に決まってるでしょ!」と返す。
 冷たい視線が降り注いで、おずおずとモップを元の位置に戻した。

「そんなに張り切らなくていい。狩りの必要はない、すでに入手してきた」
「新堂さんが仕留めて来てたのね!なら先に言ってよ」
「俺にそんな腕があると思うか?」
「さあ……?」ここはあえてノーコメントで。

 こんな軽口を叩きながら、二人でせっせと調理を進める。我が家の優秀なオーブンレンジのお陰で、定刻にはそれなりに見栄えのする料理が並んだ。
 ちょうど準備が整った頃、玄関のチャイムが鳴る。

「来たわ!グッドタイミングね」
「やけに嬉しそうだな……」
 家に呼んだのは失敗だったか、と呟く不安そうな彼を尻目に庭を覗くと、ミッドナイトブルーのレクサスが見えた。

 先に玄関に走って待ち構える。

「こんばんは。谷口です。突然の訪問で済みません、あ……あなたがお噂の!」
「いらっしゃいませ!全然大丈夫です、お待ちしていました。さあどうぞ!」笑顔で愛想良く出迎える。
 後ろから新堂さんが言う。「まあ、挨拶は中でゆっくりと」
「お邪魔します」

 貴重なお客様を先に通して、私は後からついて行く。
 リビングで軽く自己紹介をした後、谷口さんが大きく息を吸い込んだ。部屋は今、料理の良い香りで満たされている。

「いやぁ良い匂いだ!実はメチャ腹空いてるんだよね。これ全部奥さんが?」
「ヤダっ、奥さんだなんて……」見る見る顔が火照り出す。こんな呼ばれ方に慣れていないため、平常心でいられず。

 不思議そうな顔で見られ、ようやく冷静になれた。
「……ごめんなさい。えっと、お料理は二人で作ったの。彼、とても上手なので」
「へえ~、新堂は料理できるのか!やるな~」
「大したものは作れないがね」
「謙遜です!私より断然上手なんですよ?」

 ダイニングの席へと案内するも、興味深そうにいつまでも室内を眺めている。

「センスの良い家だ。全く新堂らしい!その上こんなに美しい奥さんかぁ。お前はやっぱり超の付く面食いだったな!」
「何の話だ」
 素っ気ない返答をする彼とは裏腹に、美しいと言われてまたも照れまくる。
「だってあの頃、一番モテてただろ?だけど一人も相手にしてなかった」

「え~!やっぱりモテてたのね、この人」改めて新堂さんを見やる。
 対する彼はどこか不服そうに谷口さんを見る。「そうだったか?」
 谷口さんが大袈裟なくらいに頷いた。
「より取り見取り、だったんだぜ?ま、そのお零れを俺が貰ったりしたけど……ってごめんなさい、こんな話を……!」私に気を遣って謝罪してくる。

 ここはさり気なく話題を変えてあげよう。「お構いなく!さあ、上手く出来たかしら……お口に合えばいいんだけど」
「高級レストランの味に慣れてるなら、厳しいかもな」彼が続く。
「いやいや!むしろ手料理に飢えてるよ」

 三人で和やかに食事が始まる。

「ユイさんて、いくつだって?」
「おい谷口、気安く年を聞くな。相変わらず女性への気遣いがなってない!」
 女性への気遣いを、あなたが指摘するのにも違和感があるのですが?と思いつつ答える。「いいのよ。お二人よりも十歳下です」
「そうなの!もっともっと若く見えるよ?二十代かと思った」

 かなり嬉しい言葉だが「言いすぎですってば!」一応否定する。
 けれど新堂さんは本気モードで否定。「全くだ」
「ちょっと新堂さん?」ジロリと睨んで横に座る彼の肩にわざとぶつかる。

 こんな私達を眺めて谷口さんが言った。「そういうの羨ましいな~。新堂、何だか雰囲気変わったよな」
「そうか?」
「それって、どういうふうにですかっ?!」思わず食いついてしまう。

「まず、あの頃より断然明るくなった。だって表情が柔らかいもの!良かったな、新堂!これもユイさんのお陰な訳だ」
「お前も大分変わったな。何と言うか、風貌が」
 あえて髪の色についてのコメントは控えたようだが、これではバレバレだ。
「ああ。これか?」
 視線が向いていたためすぐに気づかれた。

「苦労しててな~とか言いたいところだが、別にそういうんじゃないんだ。家系が代々若白髪でな。ここまで来ると、逆にカッコいいだろ?」私を見て言う。
 カッコいいとは言えない。私に振らないでくれ!「最近、染めないでいるスタイルも広まってますしね。ねえ新堂さん?」と困った末に彼に振る。
「俺なんて元々髪の色素が薄いから、白くなってもあまり変わらん」

 そう、新堂さんの髪は日本人にしては変わった色をしている。それも良い方に。
 だからそれは全然フォローになっていない。むしろ自慢ではないか!

 彼はあっさり話を逸らした。「しかし谷口、横浜にいたんだな」
「ずっといた訳じゃないんだが。実家がこっちだからな。新堂は?ずっとこっち?」
「拠点は昔からこの近辺だ。俺の場合フリーだから、どこでもありだけどな」
「それじゃユイさんとは、この辺で知り合ったんだ」
 視線が再びこちらに向けられたので、私が答える。「私の母が市内の病院に入院していて、その時に彼に手術をお願いしたんです」

 彼を見て言う。新堂さんも私を見て少し微笑んでくれた。

「へえ~、それって最近、じゃ……ないよね?」どこか確信めいた言い方だ。
 彼もそれに気づいた様子。「なぜそう思う」
「分かるさ。この新堂の閉ざされた心を射止めるなんて、短時間じゃ無理だろ」
 なかなか鋭い。さすがは一番仲が良かった人だ。
 すぐに応じる。「ホントですよ!なかなか心開いてくれなかったもの。昔は大抵別行動だしね?月に数回しか会わない時もあったし」

「何と……。そんなんで良く続いたなぁ!って、またまた問題発言だった、済まん」
「クセは治らんな!許してやってくれ、ユイ」
「気にしないでください、私もそう思うし。何で続いたのかしらね、新堂さん?」
 私と谷口さんの視線が彼に向く。

 悩み抜いた末の彼の答えは、「運命の二人だったから、でいいか?」だった。
「それだ、それ!新堂みたいな色男はやっぱり、キザなセリフが様になるよなぁ」
「言わせたいみたいだったから、言ってやったんだ」

 こんな言い合いをしながらもどちらも楽しそうで、二人の仲の良さが伝わってきた。
「お二人は仲がいいのね」
 それも思っていた以上に。こんな親しい相手がいた事が驚きでもある。
「ああ。同期の中では一番気が合ったな。なあ?」谷口さんが言う。
「そうだな。他の連中はロクなヤツがいなかったから」と彼。
「何せ俺達の年のメンバーは、今も語り継がれるほど強烈らしいぞ!」
「やっぱりか……。入る年を間違えたらしい」

「そんな事言ってるが新堂、分かってるのか?他人事じゃないぞ」
「ああ分かってるよ、お前もな!」
「そうすると、中里さんとか斎木さんも入るんでしょ?」思わず会話に参加していた。
「え?ユイさん、中里と斎木知ってるの?」

 新堂さんの視線が何かを訴えていたけれど、言ってしまったのだからもう遅い。
「はい。中里さんには、高校の時バイトで使ってもらった事があって、斎木さんとは……何だったかな、新堂さん?」
 斎木友則と会ったのは依頼ではなく、新堂さんが巻き込まれたトラブルに首を突っ込んだ成り行きだ。

 彼が答えるより先に谷口さんが口を挟む。「へえ~!もしかしてユイさんってナースだったりする?」
「ううん。違うけど」あっさり否定。

「あれ、そういえば新堂、あのアメリカからの転入生と付き合ってたよな?すっげぇブロンド美人の、何て言ったっけ?ずっと気になってたんだ」
「おい……!」新堂さんが若干顔を青ざめさせて訴えた。
「おっ、……俺また、やっちまったか?」
 彼に睨みつけられて、同様に顔から血の気が失せる谷口さん。

「あのっ!私なら別に大丈夫です、そのショウコさん、でしたっけ?会った事あるし」
「……驚いた、祥子の事も知ってるの!」
「はい。だって私達、長~い付き合いですから?ね!」
 彼が頭を抱えていた。

「新堂さんが困ってるから、これくらいにしてあげましょ。この人、こう見えて病み上がりなので」
「おい、ユイまで……!」彼に指摘されるまで気づかず。「……あっ、いっけない。これは内緒だったんだ!私もやっちゃったみたい?」
 私は谷口さんと顔を見合わせた。

 気を利かせてくれたのか、谷口さんが話を切り替えた。「そうそう。前回のクラス会に顔出したらさ、お前の事が話題になってたぞ」
「今度は何だっ!どうせロクな話題じゃないだろ。ああ、早く酒が飲みたい!」
「ちょっと新堂さんてば。あんまり興奮すると、体に良くないわよ」

 お酒はダメなので、ジンジャエールでどうにか落ち着かせ、話の続きを聞く。
 何でもそれは、何年か前に彼が受けた難易度の高いオペの話だった。

「執刀医は別の人間になっていたはずだが?」彼が不思議そうに尋ねる。
「替え玉か?そんな事したってバレるって!あんなオペができるヤツはそうそういない。その上助手やったドクターは口が軽い軽い!散々言いふらしてたらしいぜ」
「やれやれ……。そんなんじゃ、俺に口止めしても意味ないじゃないか?」

「私は嬉しいな、あなたがやったって皆が知ってる。やっぱり新堂先生は優秀なのね」
「そうだよ。コイツは本当に優秀なんだ。免許返上の件は、心から悔やまれるよ」
 対して彼はきっぱりと言い切る。「俺は何の後悔もしてない。現状に何ら不都合はないからな」
 何も言えなくなった私に彼が迫る。
「思ったままを言っただけだが。何だよユイ、何か言いたそうだな」

 困っている私に助け舟を出してくれたのは谷口さんだった。
「おい新堂、ユイさんが困ってるじゃないか。女性の扱いってヤツはどうした?」
 今度は新堂さんが黙った。
 私はテーブルの下から、横にいる彼の手をそっと握る。正面の谷口さんには見えていない。

 無言で彼を見つめると、新堂さんの表情が緩やかになった。

「なあ、どうしたんだ、二人とも。ケンカするなよ……新堂?」黙り込んでしまった私達を見て、不安そうに聞いてくる。
「何でもない。ケンカなんかしてないよ。それより谷口は恋人とかいないのか?俺だけ幸せになっては申し訳ない」先ほどまでとは別人のような笑顔が私に向けられた。
「今度はお惚気か?参ったね、心配して損した!理想が高いのか、いないんだな~、これが。それに今は、そんな場合じゃないよ……」

 谷口さんの表情から、急に疲労感のようなものを感じた。何か悩んでいるようだ。

 彼もそれを感じ取ったらしく、こんな事を言った。「時間に追われたらダメだ。きちんとメリハリ付けてコントロールしないと」
「確かに。いいよなぁ、フリーは!俺もなるかな」
「あちこちから依頼入るんだろ?フリーでやって行けるんじゃないか」テレビ出演の効果もあり、と続ける。
 谷口さんは小児科のドクターだ。内科も外科も手掛けている優しくて優秀な医師と紹介されていた。
「そうですよ、その方が自由にお仕事できると思うし」私も賛同する。

「かもな。それは有り難いよ。ただお前と違って、度胸がないんだ」
「そうだな。お前は昔から過度の心配性だ」
「そういうお前もかなりの心配性じゃないか」この意見にはすぐに賛同。「そうそう!」唐突に会話に混ざった私に二人の目が向く。

「そういう所で気が合うのね、お二人って!」
 何とも言えない表情の谷口さんが、無表情の彼と目を合わせていた。

 食事も済み、会話も一段落したところで立ち上がる。
「そろそろ片付けますね。二人ともゆっくりしてて。後でお茶淹れるわ」
「頼むよ」彼が頷いた後、「ご馳走様、とても美味しかった」と谷口さんが言った。

 私が食器を運び始めると、二人は小声で話し始めた。

「こうしてお前に会ったのは神の思し召しかもな」こう切り出したのは谷口さんだ。
「何だそれは。どうかしたのか」
「お前なら文句なしだ。なあ新堂、単刀直入に言うが、オペを手伝ってくれないか」
「おいおい!本当にいきなりだな。お前がそんなに悩むからには相当厄介なんだろ?」
「まあな……」

 どうやらオペの依頼を受けているようだ。けれど今の彼はスランプ中。どうするのだろう?でもこれは絶好のチャンスかもしれない。

「とにかく、内容を聞かせてくれ」
「ああ」
「ユイ、ちょっと書斎にいる。お茶は向こうに運んでくれるか」
「了解しました!」


 片付けを終えてお茶を持って書斎に行くと、二人は顔を突き合わせてパソコン画面を凝視しているところだった。
 緊迫した空気に気圧されて声をかけられず、しばらく様子を窺う。

「……なるほどね。確かに厄介だ」新堂さんがため息交じりに言った。
「だろ?」同意を得られた谷口さんは、彼の顔を覗き込みながら何度も頷く。
 だが次に返された言葉は、どこまでも冷たかった。「諦めるんだな。不可能なものは不可能。同じ事を何度やっても結果は同じだ」
「っ!俺が諦めたら、この子はこの世の全てから見放された事になるんだぞ!」

 増々声をかけずらい展開になった。申し訳ないと思いながらも、ドア横に立って引き続き会話に聞き入る。

「そんな事言ってもだな……」と新堂さん。
「不可能を可能にしろって、教わっただろ?自分の限界を決めつけるなって。それって、この事じゃないのか?それに別の人間が見れば、新たな発見があるかもしれない」
「しかし!三度もオペして改善されないんだろ?何度やっても同じだ。さらに言えば、考えられる処置はもうない。いいか谷口、教授はこうも言ったぞ。俺達医者は万能ではない。諦めも肝心ってな」

 新堂さんは頑なに拒み続けている。言っている事は最もだが、それは果たして本心なのだろうか。
 私にはどうしても、彼が逃げているようにしか思えなかった。


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