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第五章 扉の先で待ち受けるものは
カレのご意向(2)
しおりを挟むそうして未来の皇帝と約束した日が来たわけだが。
「うーん、こまった……」
「どうしたんですか?」
「きんとれのまえに、じこしょうかいしなきゃいけねぇことはおぼえてたんだが……」
「あ、そういえばまえにしませんでしたね。しつれいしました。ぼくは、ディオ・セバールだいさんおうじです」
「お、おお、ありがとな……。ついでにあたいのなまえわかるか?」
「…………………え?」
一瞬固まった未来の皇帝ことディオ。やっぱりそうなるよな。まさか自分の名前を忘れたんですか?そんなわけ……ないですよね?とディオが目で語るのがわかる。そのまさかなんだよなぁ……前世での自分の名前ならわかるんだが。
「おじょうさまとばかりいわれてじぶんのフルネームがわかんねぇんだよ……あ、おじょうさまがあたいのなまえか?」
「さすがにちがいますね」
「だよなぁ」
おう……めっちゃ呆れられてるのがわかるぞ?いや、私でもそうなるだろうけど。いくら勉強から逃げてたとはいえ名前くらい知っとかないとさすがにやべぇもんなぁ。
「ルルリア・サブレこうしゃくれいじょうでしたよね」
「おお……!すげぇな、しってたのか!」
「まあ、こんやくしゃのなまえですし……」
「わ、わりぃ……あたい、あんたのなまえしらなかった……」
「じぶんのなまえをわすれるかたにきたいはしてませんから、だいじょうぶですよ?」
「うぐ……」
そりゃそうだ。なんだろう、胸が痛い。
「でも、これからはおぼえてくれるとうれしいです」
「お、おう!ディオだよな!」
「!………ええ、そうです」
一瞬驚いた顔をされたが、間違ってなかったようだ。さすがにさっき聞いた名前を忘れるほどバカじゃない。
「じぶんはともかく、ディオのなまえはわすれねぇよ!」
名前呼ばれただけでなんかすっげぇ嬉しそうにされちゃあ寧ろ忘れられないしな。なんか顔がいいからいちいち反応が可愛く見えるし。
「じぶんのなまえもわすれないようにしましょうよ……」
「わすれたときはディオにじこしょうかいたのむ。かわりに、あたいがディオのじこしょうかいしてやるよ!」
「はは……っじこしょうかいはじぶんでするものですよ?」
耐えきれなかったとばかりに笑いながらも最もなことを言うディオ。やっぱ人の楽しそうに笑う姿を見るのは好きだ。何よりディオは気のせいか会った時からどうも自分を抑え込んでいるように見えたから。やっぱ神様が言ってた髪の色のせいなのかもしれない。黒髪なんて前世じゃ一番多い色だったっつーのに。外見でとやかく言うやつはろくなのがいないのを私は知っている。
「こんやくしゃなんだからたがいのじこしょうかいぶんどってもいいだろ?きょうゆうざいさんてきななんかでさ」
「じこしょうかいが、きょうゆうざいさんってきいたことないですよ?はははっだめだ、おなかいたいっ」
「そんなおもしろいかー?」
まあ笑うのはいいこととはいえ、ディオは笑いすぎな気がしなくもない。何がディオをそこまで笑わせたのかはわからないが、しばらくディオが落ち着くまで目的の筋トレができることはなかった。
「うーん、こまった……」
「どうしたんですか?」
「きんとれのまえに、じこしょうかいしなきゃいけねぇことはおぼえてたんだが……」
「あ、そういえばまえにしませんでしたね。しつれいしました。ぼくは、ディオ・セバールだいさんおうじです」
「お、おお、ありがとな……。ついでにあたいのなまえわかるか?」
「…………………え?」
一瞬固まった未来の皇帝ことディオ。やっぱりそうなるよな。まさか自分の名前を忘れたんですか?そんなわけ……ないですよね?とディオが目で語るのがわかる。そのまさかなんだよなぁ……前世での自分の名前ならわかるんだが。
「おじょうさまとばかりいわれてじぶんのフルネームがわかんねぇんだよ……あ、おじょうさまがあたいのなまえか?」
「さすがにちがいますね」
「だよなぁ」
おう……めっちゃ呆れられてるのがわかるぞ?いや、私でもそうなるだろうけど。いくら勉強から逃げてたとはいえ名前くらい知っとかないとさすがにやべぇもんなぁ。
「ルルリア・サブレこうしゃくれいじょうでしたよね」
「おお……!すげぇな、しってたのか!」
「まあ、こんやくしゃのなまえですし……」
「わ、わりぃ……あたい、あんたのなまえしらなかった……」
「じぶんのなまえをわすれるかたにきたいはしてませんから、だいじょうぶですよ?」
「うぐ……」
そりゃそうだ。なんだろう、胸が痛い。
「でも、これからはおぼえてくれるとうれしいです」
「お、おう!ディオだよな!」
「!………ええ、そうです」
一瞬驚いた顔をされたが、間違ってなかったようだ。さすがにさっき聞いた名前を忘れるほどバカじゃない。
「じぶんはともかく、ディオのなまえはわすれねぇよ!」
名前呼ばれただけでなんかすっげぇ嬉しそうにされちゃあ寧ろ忘れられないしな。なんか顔がいいからいちいち反応が可愛く見えるし。
「じぶんのなまえもわすれないようにしましょうよ……」
「わすれたときはディオにじこしょうかいたのむ。かわりに、あたいがディオのじこしょうかいしてやるよ!」
「はは……っじこしょうかいはじぶんでするものですよ?」
耐えきれなかったとばかりに笑いながらも最もなことを言うディオ。やっぱ人の楽しそうに笑う姿を見るのは好きだ。何よりディオは気のせいか会った時からどうも自分を抑え込んでいるように見えたから。やっぱ神様が言ってた髪の色のせいなのかもしれない。黒髪なんて前世じゃ一番多い色だったっつーのに。外見でとやかく言うやつはろくなのがいないのを私は知っている。
「こんやくしゃなんだからたがいのじこしょうかいぶんどってもいいだろ?きょうゆうざいさんてきななんかでさ」
「じこしょうかいが、きょうゆうざいさんってきいたことないですよ?はははっだめだ、おなかいたいっ」
「そんなおもしろいかー?」
まあ笑うのはいいこととはいえ、ディオは笑いすぎな気がしなくもない。何がディオをそこまで笑わせたのかはわからないが、しばらくディオが落ち着くまで目的の筋トレができることはなかった。
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