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第五章 扉の先で待ち受けるものは
41.カレのご意向(1)
しおりを挟む二月も中旬に入った。今日で安静期間として言い渡された三日間が終了し、早速出かける支度を始める。
すぐにでもホテルに車を取りに行きたい。無断でトランクを開けられる事はないだろうが、悪臭が漂っていないか心配だ。
「ユイ、どこか行くのか?」
着替えて洗面にいた私に気づいて、新堂さんが聞いてくる。
「ええ。私達の車、ホテルに残したままだから」
「ああ、そうだったな……」答えた後、何かを考え込んでいる様子。
そんな彼を残し、貴島さんの書斎に顔を出す。
「ちょっと外出して来るわ」
「車だろ。早く取りに行った方がいい。フロントには断ってあるから」
この言葉で貴島さんがチェックアウトしてくれた事を思い出す。
「ありがとう。宿泊代、払ってくれたんでしょ?」
不意に私から視線を外して、デスクの書面を見ながら素っ気ない口調になる。
「あ、……ああ。駐車代の追加分は自分で払えよ!」
「後で返すから。ガソリン代も含めて清算しといて」
「いいって!そんな大した額じゃなかったし」今度は顔を上げて言い返される。
「ダメよ、お金の事はきっちりしなきゃ?」
そこへ新堂さんが現れた。
「親しき中にも礼儀ありって言うよね?」と話を振る。会話は聞こえていたはずだ。
しかし心ここにあらずの様子で、「ユイ、俺も行く」と彼は言った。
「……ねえ。話、聞いてた?あと、それはあなたが判断する事じゃないから」
その昔良く言われたセリフだ。こんな事を言える日がやって来ようとは!
「天気はいいが今日は冷える。やめておけ」主治医の発言に、「ですって!」と念押しのように続ける。
一方、対抗姿勢の彼。「いいじゃないか、寒さには強いんだ」
「そういう問題じゃない。外出は暖かくなってからにしろ」
不服そうな彼を横目に、ここぞとばかりに言い放つ。「主治医の指示に従って!」
ようやく諦めたらしく、新堂さんは私に向かい合って口を開いた。
「ユイ、一緒に行けなくて済まない……。気をつけて行け」
こんなコメントに一瞬思考が停止する。
嫌味でも不満でもない、何という大人な切り返し!私達を似た者同士と言った貴島さんは、こんなやり取りを見てそのうち前言撤回するに違いない。
「気にしないで。分かったわ」挑発をやめて素直に答えた。
新堂さんに見送られ、徒歩で丘を下る。
正直に言えば、ついて来られなくて助かった。
そもそもマセラティからベンツに乗り換えた事を話していない。さらにその車は、外見上はピカピカの新車でもトランクに死体を乗せたのだ。血痕の残り具合云々の話ではなく、そんな車に乗せる訳には行かない!
「やっぱ、もう一度買い換えるしかないよなぁ……」
こんな事をぼやきながら電車に揺られる事小一時間、ようやくホテルに到着した。
入り口に、ちょうどあの時のフロントマンが居合わせた。
私に気づき笑顔を向けてくる。「朝霧様!もうご体調はよろしいんですか?」
「ええ。色々と済みませんでした」
お陰でスムーズに事が進んだ。一通り手続きを済ませると、ロビーの待合に通される。
「お車、すぐにこちらにお回ししますのでお待ちくださいね」
「ありがとうございます」
そして数分後には、真新しいメルセデス・ベンツがエントランス前に姿を現した。
「またのお越しをお待ちしております。お気をつけて!」
「本当に助かりました、また利用させていただきますね」
フロントマンに軽く会釈をしてその場を後にした。
しばらく走り、人気のない場所に停めて外に出る。気持ちを落ち着けるべく、まずは煙草を一本吸う。
そして意を決しトランクに手を掛ける。
「神様仏様っ!」今年はやけに神頼みをする年だ。
一息に開いて覗き見れば、予想通りに底のフェルトに大きな黒い染みが出来上がっていた。
「これ剥がしたらバレない?なぁんてね……」大いに事件性を感じるクルマだ!
観念して、ひと月前に訪れたディーラーに向かう。
私の要求に当然担当者は驚いた。ついこの前購入した新車を廃車にして、同じものを買うと言い出す女性客に!
「あの、朝霧様、廃車ではなく、せめて売りに出されてはどうですか?まだほとんど乗られていない事ですし、それなりの額は付くかと……」
「いいえ。廃車にしてください。今すぐに!全部込みで一括で払うと言ってるの。すぐに手配して!」
私の剣幕に、ただただ頷くしかない担当者なのだった。
けれど今回は、納車まで最短で一ヶ月かかるとの事。
「あ~あ。新堂さんに何て言えばいいワケ?お金の事は問題ないけど」
すでにイーグルからの振込を確認した。この事は彼には話し済みなので安心だが。
何かと考える事が山積で、また頭痛がしそうだ。
再び来た道をトボトボと帰る。
「ただいまぁ……」
貴島邸の玄関ドアを開けると、新堂さんが待ち構えていた。
「お帰り。車はどうした?」
私が徒歩で帰宅したところを見ていたらしい。
「うん、ちょっと調子悪いから、ディーラーに預けて来た」
奥から貴島さんも出て来た。「調子悪いって、最近買い換えたばかりだろ!」
こんなセリフに彼が反応する。「買い換えた?」
「あ……っ」自分の失言に気づき、言葉に詰まる貴島さん。
また余計な事を!口だけ動かして悪態を突いた。
「買い換えたのか?」新堂さんが私を振り返って聞いてくる。
慌てて形相を整え笑顔をつくる。「ええそうなの!凹んでたし……ほら、狙われたりとかしたし?きっと相性悪かったんだと思って!」
彼はまだマセラティに乗っていると思っているのだから、これで合っているはず。自分でも分からなくなりそうだ!
「相性悪かったか?俺は結構気に入ってたけどな」思わぬ感想が飛び出した。
「えっ、そうだったの!?」
クワトロポルテに罪はないが、あれを選ばなければこんな騒動には巻き込まれていなかった。相性が悪いと感じてしまうのは当然だ。でも新堂さんがあれを気に入っていたとは予想外だった!
安易に乗り換えて失敗だったかと悩んでいる間も、貴島さんが彼に見えないように手を合わせて謝っている。
チラリと貴島さんを見てから再び視線を彼に戻す。お次は一体どんなご指摘を?
「で、何に乗り換えたんだ?」
そう来るよね……。「えっとそれは……来てからのお楽しみって事で!」今はまだ言いたくない。
「……。まあいい。で、車の調子が悪いって?おまえ、まさかまた何か……」
「何もしてないってば!今回はカーチェイスもしてないからね?」車種の詮索は諦めてくれて助かったが、やはり疑い始める彼に言い訳は続く。
貴島さんも合いの手を入れてくれる。
「まあまあ!車だって家電と同じで不良品ってあるからな~。な、朝霧?」
「そうそう!今回のはイマイチだったのかもね」ここは話を合わせよう。
「それはそれで問題じゃないか。どうせならもう一度買い直せ」
こんなコメントには、二人で固まる。
「金持ちの言い分は、やっぱブッ飛んでるぜ……」貴島さんが呟いた。
「それからユイ、ホテル代の件だが、俺が払っておいたから」
そう言って私の肩をポンと軽く叩くと、新堂さんは部屋に戻って行った。
「なぁ~んだ。あの時の話、聞いてたんじゃない。んもう、ワケ分かんない人!」
「金はちゃんと貰った。それより悪かったな、つい口が滑って!けど、車買い換えたのは、取りに行ったらどうせバレるぜ?」秘密にする意味あるか?と続ける。
「ベンツの事はね、サプライズにしたいの。何だかんだ言ってあの人、本当はベンツに乗りたいのよ」そう思う事にしよう。
私の肩を威勢良く叩く貴島さん。「ま、成功を祈るよ。今度は極力黙ってるからさ!」
新堂さんの順調な快復の裏で、この二月は怒涛のような日々だった。
それも全て解決。ようやく安心して過ごせる!今はただ、この貴島邸での日常がとても心地がいい。
「ねえユイ~、この宿題手伝ってよ。ソウ先生じゃダメなの!」使えない!と、今日も毒舌絶好調のまなみ。
手にする問題集を覗き見ると、それは英語のテキストだ。
「ユイ、英語ペラペラなんでしょ?」そう言って私の前で問題集を開いた。
「うげっ、今の中学ってこんな難しいのやってるの?ゴメン、私文法の方はからっきしダメ!こういうのは新堂さんの方が適任よ」と勝手にご指名。
「え~?そうなの?喋れるのにできないなんて、変なの!」
たらい回しに遭ったまなみは、次なる場所へと向かったのだった。
まなみが去った後、貴島さんがやって来た。
「ちょっと。あんな英語の問題くらい、教えてあげられなくてどうするの?」
「あぁ?朝霧は講師やってたんだろ。新堂から聞いたぞ!つまり教えるのが上手いって事だ、俺より向いてる。中学の問題なんてお茶の子サイサイだろ!」
「何を勝手な!講師って言ってもね……」かなりの語弊が。説明が面倒になり断念。
新堂さんは一体どんな話をしたのだろう?
その後、上機嫌で姿を現したまなみに聞いてみた。
「宿題は無事に終わった?」
「うん!新堂センセイ、超頼りになる!誰かさん達と違って?」まなみの視線が痛い。
それは良かった、と笑って流したのだった。
その足で新堂さんの病室に向かう。彼はまだ大抵この部屋で一日を過ごしているが、出入りは自由だ。
「おおユイ、いいタイミングだ。ちょうど行こうと思ってたんだ」
「それってまさか英文法の話じゃないでしょうね?」ベッド脇の椅子を引き出して座る。
「ははっ!したいならしてやってもいいぞ」
「違うなら結構です!まなみに教えてあげられたのね。さすが先生」
せっかく持ち上げてあげたのに、あの程度できなくてどうする?と逆に責められた。
こちらの毒舌も復活傾向にあるようだ。嬉しい悲鳴なのだが、これに関してだけは素直に喜べず。
「それで、私に何か用事だった?」
「車、修理に出しただけなんだろ?まだ終わらないのかと思って」
その指摘に思わず舌打ちをしそうになった。「……ああ、その事?」あれからすでに十日以上過ぎている。
「実はさ、あの後ディーラーの人と相談してね」こう切り出すと、「買い直すなら渡してあるカードを使え」とすぐさま返された。
本当は買い直したのだが、すぐに否定。「違うの!あのね、買ったばかりだったし今回の不具合はメーカーの責任かもって話になって、取り換えてくれる事になった」
「新車にか?」との質問に頷くと彼が笑った。「太っ腹なメーカーだな!」
実際はそんな話はあり得ない。それを信じてしまうところがまたこの人か……。
けれどそのお陰で窮地を脱した。納車が注文からひと月後だったのだと説明して、事なきを得たのだった。
閉塞状況はなくなったはずなのに、私はまた不眠に陥っていた。
この晩も、眠れずに何度も寝返りを打った。
「ああ~っ!もう……眠るの諦めよう」
そうして翌早朝を迎える。この時節はまだ日も昇っていないため、真っ暗だ。
「何だ新堂、もう起き出してるのか。まだ横になってろよ」
いつものように様子を見に来たらしい貴島さんが、こんな早くから起きていた彼に声をかけているようだ。
そんな声を、私は同じ部屋で聞いている。が、まだ私の存在は貴島さんには気づかれていない。
「……ああ貴島か。大丈夫さ」
「ん?」
ベッドの使用者は離れた位置に座っているのに、なぜかこんもりと山が出来ている。
それに気づかれまいと、新堂さんが気を逸らそうとしている。
「っ!なあ、俺を見に来たんだろ。そっちは関係……」
けれど言い分は無視され、ベッドに掛けられた布団は勢い良く剥ぎ取られた。
そして新堂さんのため息が聞こえた。
「……ちょっと?寒いじゃない、もう少し寝かせてよ」寝ていたのは何を隠そう私だ。
「何でお前がここで寝てるんだよ!」当然貴島さんは驚く。「おい!病人を追い出してお前が寝るな、起きろ!自分の部屋に戻れ」
「貴島。いいんだ、寝かせてやってくれ」
ベッドで気持ち良さそうにする私を、優しい新堂さんは追い出せない。
「いつからここにいるんだ?……まさかお前ら、昨夜から一緒か!」
「そうじゃない、ユイは朝方に来たんだ。それと、そういう事は何もしてないぞ!」
慌てて否定する彼を見ていて、次第に眠気がどこかへ飛んで行く。
そういう事、私の方はしたかったのに、と。でも、もちろんそれが目的でここへ来た訳ではない。
起き上がりベッドの上で正座した私に、彼が声をかけてくれる。
「おはようユイ。少しは眠れたか?」
夜通し眠れずにいた私は人恋しくなり、我慢できずに彼のベッドへ忍び込んだというのが事の顛末なのだが、主治医の怒りは収まってはくれない。
「おはよう、じゃない!そこで何してるんだって聞いてるんだ!」
「新堂さんゴメン……、私、寝相悪かった?追い出しちゃったみたいね」
最初は一緒に寝ていたはずだが、いつからか彼はいなかった。つまり自分は眠っていたという事。眠れて良かった!と喜んでばかりはいられない状況なのが残念だ。
「違うんだ。早くに目が覚めてから、眠れなくなってね」
布団の中からぬいぐるみを取り出す。ずっと抱いていたのでまだ温かい。
「全く……。そんなモン抱きやがって。いくつだ、お前は?」
「あら。そんなモンとか言っていいのかなぁ?まなみが貸してくれたの。お気に入りのカピバラさんよ?ソウ先生ったら知らないの?」
「知らん!モグラか?」との問いに透かさず「ネズミです!」と応酬。
「……それ、ネズミなのか?」新堂さんまでもが参戦。「世界最大のネズミだそうよ。動物園でも大人気なんだから!」
とはいえ私が抱きしめているブツの形は、どう見てもただの枕(!)だ。何せ枕として持って来たのだから。まなみが知ったらさぞお怒りだろうが。
そんな話をしながら、部屋から引きずり出される。
「仲良しするのはまだ先!コイツが病人だって事、忘れるなよ?朝霧」
この主治医の念押しに、「だから、俺達は何もしてない!」しつこく彼は否定した。
彼にそういう欲求があまりない事は知っているが……私はたくさん愛してほしい。
元気になったら、いっぱいしようね、新堂さん。心の中だけでそう伝えた。
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