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第三章 適材適所が成功のカギ
草津よいトコ(2)
しおりを挟む翌朝。旅館のエントランスで空を見上げる。
「雪、止まないね」
「今日は一日車で動くしかないな。いいさ、ドライブしようじゃないか」
「ドライブって、雪道を?」
「雪道だったら俺の方が経験あると思うよ」
「言ってくれるじゃない?なら、お手並み拝見と行きましょうか!」
こちらに来た初日はそれほどの積雪はなかったが、昨晩から大分積もったようだ。
玄関先まで回してもらったマイカー、クワトロポルテに乗り込む。
「行ってらっしゃいませ、新堂様!」
「行ってきま~す」窓越しに女将に手を振る。
そして車はスムーズに発進した。
「スタッドレス・タイヤは優秀よね~。歩くより安全だわ!」
「全くだ」
昨日、共に雪で滑った私達は頷き合う。
「だがセダン車で豪雪地帯に旅行は少々無謀だったかな」
「除雪してくれてるし、平気なんじゃない?変なとこ行かなければ」
キュルキュルという音を立てながら、車は何事もなく進んで行く。
「そう言えば新堂さん、北方領土の国後島でも雪道運転したのよね」
「ああ、懐かしいな。あの時はキタキツネ親子にやられたけどな」
これが私の操縦するヘリに初めて新堂さんが乗った時の出来事だ。
あの時は私だって身も心も凍り付いた。雪道運転でスリップ事故を起こして大ケガを負った張本人に、こんな話はマズかった。
「……ごめんなさい、変な事思い出させたよね」
考えなしの話題に後悔しかけた時、彼が言った。「なぜ謝る?あの時の事は、決して嫌な思い出ばかりじゃない」
運転席の彼を見ると、前方を向いたまま続ける。
「ユイのお陰で、俺はこうして生きてる訳だし。ユイもちゃんと生きてる。それに、記憶を失ったお陰でおまえの大切さも身に沁みて分かった」
無言のままの私を、今度は彼がチラリと見てきた。「おい、聞いてるか?」
「ええ、もちろん」
「おまえにとっての方が、嫌な思い出なんじゃないのか」少し不安そうな声だ。
頭のケガのせいで、彼は私の事だけを忘れてしまったのだ。思い出させるために私が取った行動はあまりにも無謀で……。
「否定はできないけど……私だって新堂さんの事忘れた事あるし」
「ははは!そうだな。結構ショックだよ、あれは」
今だからこそ、こうして笑い飛ばせる。彼につられて私もようやく微笑んだ。
安心したのか、彼が再び前方に目を向け運転に集中した。
「ねえ、どこに向かってるの?」
「軽井沢だ。ここから案外近し、足を運んでみよう」
「そこって夏のイメージね」
「あまり知られてないが、冬景色の軽井沢も美しいぞ」
その後新堂さんの案内で軽井沢の景色を堪能する。道中、雪は降ったり止んだりを繰り返してはいたが、ビュースポットをいくつか回る事ができた。
そして旅館への帰り道。
「国内旅行もいいものね」
「たまにはいいだろ」
「たまには、なんだ」この人は仕事もプライベートも専ら国外専門か。
不思議そうに「違うか?」と聞かれ、「そりゃ新堂先生には物足りないよね」と一人納得する。
「俺はユイの気持ちを代弁したんだが?物足りないと思ってるのはおまえだろ!」
一瞬の間があり、「間違ってないけど」と答える。
暴れる機会もコルトの活躍も望めそうにないのがここ、平和の国ニッポンだ。
「そうだろう、そうだろう」やけに満足そうな新堂さん。
「何なのよ!」
「いや。気が合うなと思っただけさ」
それは違う。大いに違う!私は単に、お金持ちの旅行は海外と相場が決まっていると言いたかったのだ。
その後しばし会話が途切れ、唐突にこんな指摘を受けた。
「おいユイ、鼻血が……早く押さえろ、気づいてるか?」
「え?っ、あ、ホント!全然分かんなかった……」
自分の鼻から血が一筋流れ落ちるところだった。差し出してくれたティッシュで慌てて押さえる。
「ちょっと待ってろ、今車止めるから……。そのまま押さえて。量はどの位だ?」
「う……ん、分かんない。血が喉に伝ってくるっ」
「上は向くな。出血量が多い場合、気管に詰まると危険だ」
彼が的確なアドバイスをくれながら停車できそうな場所を選び、路肩に一時停止した。
「急にどうして?新堂さんっ、……私どうしちゃったの?」急に怖くなる。
「落ち着け、大した事ない。室温を上げすぎたかな」
「私、何もしてないよ?……エッチな事も考えてないからね?」
「誰もそんな事は疑ってない。だから落ち着けって」私の顔を持ち上げて鼻腔の様子を診ながら彼が言う。
「鼻の奥を洗浄しよう」
「ここで?」この高級車の中で、という意味だ。
「全く問題ない」
そう言うと、カバンを開けて必要な器具を取り出し、銀のトレイを私に持たせる。
「鼻から食塩水を流し込むから、これに吐き出すんだ」
「ねえ……外でやろうよ」絶対に汚すに決まっている!
「ダメだ。気温差がありすぎる。また出血したら困る。大丈夫だ、汚してもいいからやってみろ」
「そう……?じゃあ、分かった」
時折むせながらも指示通りにやって行くと、血の混じった食塩水を口から吐き出す事ができた。咳き込む私の背中を擦ってくれる。
「な?できたろ。出血は止まったようだ、良かった」脈を取りながら言う。
「……うん」
「どこか具合の悪いところはあるか?」
「いいえ、特に……。ねえ、何だったのかな」何とも言えない不安が襲う。
「気温差で血管が拡張して、細い血管が耐え切れずに切れたんだろう」
「だとしたらヤワね、私の血管って!」
「そんな事ない」
そう答えてはくれたものの、どこか思案顔の彼にさらなる不安が募る。
「新堂さん……」
「とにかく、早く宿へ戻ろう」
「良かった、病院に直行って言われなくて」少しおどけて言ってみる。
「それは帰ってから考える」
こうして車は再び宿へ向けて走り出す。
エントランスに到着すると、女将と数人のスタッフが出迎えてくれた。
「お帰りなさいませ、新堂様」
「戻りました。……あの」
彼が女将に何か言おうとしているのに気づき、引っ張って囁く。「私の体調の事は言わなくていいから!」
しばし見下ろされたが、彼は微妙に頷いた。
「どうかされましたか?」女将が私達を交互に見ながら聞いてくる。
「いいえ。今晩もお世話になります」
「ごゆっくりなさってくださいませ」
「ありがとうございますっ!」私も短く一言口にして軽く会釈を返した。
この時点ではまだ、私の鼻に脱脂綿が詰められている。見られないように下を向いたまま、いそいそと通り過ぎる。
「待てよ、ユイ」早足の私に彼が言う。
私は待てない!そっちが来てくれ。「早く!」
そそくさと部屋に向かう私を追う彼。そんな光景を女将が微笑みながら見つめていた。きっと私達がケンカしているように見えたのだろう。
恋人の機嫌を損ねた理由をあれこれ考え楽しんでいる、好奇心たっぷりの顔だった。
部屋に入り第一声で言う。「暑~い!室温上げすぎじゃない?」続いて中へ入った彼も同意見だ。「確かに暑いな。設定温度を下げよう」
「良かった、私の感覚は正常のようね」
ベッドにドサリと腰を下ろす。
「ねえ、もうこれ、取ってもいいでしょ?」鼻を指して尋ねる。
「ああ、いいよ。診せてみろ」
「完全に止まってるわ。洗浄してくれたお陰で、喉の血の味も消えたし」
「しばらく安静にする事」
「入浴禁止、なんて……言わないよね?」ノーと言い難い雰囲気を醸し出して聞く。
私の顔を間近で見ながら彼が答えた。「言わないよ。今はね」
「今は、って?」
「湯に浸かって同じような事が起きたら禁止にするから、今はって言ったのさ」
「それは、ごもっともです……」勢いを失いうなだれる。
そんな私の髪を新堂さんが優しく撫でた。
「きっと大丈夫さ。心配するな」
「うん……」
その晩も私達は貸切風呂を使った。幸いあれから一度も鼻からの出血はなかった。
それでも念のためと、予定を繰り上げて二泊で帰る事になった。
「また是非お越しください!ありがとうございました。お気をつけて」
宿を出て少しして、申し訳なさでいっぱいになり口を開いた。
「ごめんね、新堂さん……」
「何が?」ハンドルを握る彼は、前方を向いたまま素っ気なく聞いてくる。
「私のせいで、旅行の予定が狂っちゃったから」
「そんなの気にしてないよ。ユイの体の方が大事だ」
「私は別に何ともない……って……言ってもムダね」訴えは即断念した。
私の言い分などなかったように「帰ったらすぐに検査する」と言い放たれる。
拒否できる雰囲気ではない。「ねえ、検査って何をするの?」
「血液検査をする」この一言の後には何も続きがない様子。「それから?」と問うも、「それだけ」と返ってくる。
「それだけ?!」もっと色々を想像していたため、呆気に取られた。
彼が「ああ」と小さく頷いた。
「それなら、ここでもできるじゃない!私我慢するよ?こっちの病院行く。だからまだ帰らなくても……」私の言葉は遮られた。
「ユイ」
やや強めの口調で名を呼ばれて黙る。
「分析も全て自分でしたいんだ。勝手の知った場所で、確実にね」
それはきっと、最悪の結果が出てもすぐに対応できるようにと考えているのだろう。
最悪の結果。それは……。
「ところでユイ、食欲はあるんだな?」
「もちろん。すでにお腹空いてるわ」
「……。そう言えばもうすぐ昼か」
私達は途中のサービスエリアにて昼休憩を取る事にした。
向かい合って食事を摂りながら会話する。
「もしかして私、再発したのかな」
「甲状腺疾患か?」
「うん……」今疑うとすればそれしかない。新たな病でないとすれば。
「どうかな。まあ、血液を調べればすぐに分かる」
「そうね。で、見た感じどう?」両手を顔に当てて尋ねる。
名医は顔を見ただけで病を見抜けるというから、試しに聞いてみたのだ。
「少し痩せた気がする」
「そう?体重は変わってないんだけどなぁ」
少し考えて彼が言った。「恐らく、再発ではないと思うよ」
「そう。なら何なのかしら。本当に運動不足なのか。そうなるとマズいわ……」
「おい、だからって急激なトレーニングはするなよ?」間髪を入れずに指摘される。
「そもそも!新堂さんが生ぬるい事言ってるからこうなったのかもよ?」
「何だよ、生ぬるい事って?」
「だから、ランニングじゃなくウォーキングにしろとか、スクワットじゃなくストレッチにしろとか!」ここぞとばかりに不満を並べ立てる。
「で、おまえはそれを守ってるのか?」この質問に、私の勢いは途絶えた。「え……。それはっ」
「これでもまだ俺のせいか?」彼に凄まれる。
「……参りました」ここは潔く頭を下げて降参だ。どうしていつもこうなるんだ!
「とにかく。帰ったら即検査するからな!」
「仰せの通りにっ」
やはり主導権は彼が握っているのだった。
こうして三日ぶりに我が家へと戻って来た。
「はい!そこに座る!」
彼が個室のリクライニングベッドに私を座らせる。
「本当に、すぐ、だね……」
荷解きも済まないうちに、銀のトレイに採血セットを載せて迫られている。
「長時間の運転で疲れたでしょ。少し休んでからでも……」
「俺の事は心配するな。おまえよりも元気だから」
こんな会話をしつつも手はしっかりと作業を進める。
手際良く採血を終えると、彼はそのまま書斎に籠もってしまった。
「んもう!新堂さんったら」
放り出された彼の荷物まで、私が片付ける羽目になったのだった。
数時間後、ようやく彼がリビングに現れた。
「言ってもムダだろうけど、少し休んだら?」
思い切り嫌味な感じで言ってみると、予想外の言葉が返ってきた。
「そうする。コーヒーでも淹れるか」
そう来るとは思わなかった!慌てて立ち上がって申し出る。「私が淹れるわ!」
「そうか?ありがとう」さっきまでとは別人のような、ゆったりとした口調だ。
それを見てほっとした。「良かった」コーヒーを準備しながら小さく呟いた。
「何が?」聞こえていたらしく、彼に聞き返される。
「だって、何だかずっと、余裕ないっていうか……」
「俺が?」やや不思議そうに私を見つめる。
さてはわざととぼけているようだ。ならばと私も続く。「他に誰かいる?」
「……俺か」彼が折れてくれた。
「そんなに私の事、心配してくれてたの?」
抽出を終えたコーヒーをカップに注ぎながら、チラリと彼を盗み見る。
「禁断症状かな」こんな答えに首を傾げる。「何の?」
「本当は、オペがしたい」
「はあ?」思わず間の抜けた声が出てしまった。
「採血で我慢したが。結構落ち着いたよ」ニヤリと笑いながらこんな事を言う。
「欲求不満?私に針を刺して満足した訳ね、ドSのドクター新堂!」
「そのようだ」否定しない!
大袈裟に頭を振っていると、愉悦に浸る彼が魅惑の笑みを投げてきた。
背筋がゾクッとなり思わず目を逸らす。
「とんだ外科医だわ!そのうち私、あなたにメスで切り刻まれそうね」
「そんな事はしないよ。射撃好きなユイが、俺を蜂の巣にしないようにな?」
「何て例え方するの?当たり前でしょ!」
「だから、そういう事だ」
つまり絶対にあり得ないという事か。妙に納得する。自分のコメントがいかに辛辣だったか理解できた。
「ごめんなさい……変な事言って」
「分かってくれればいい。俺も悪かった、少しイジメすぎたな。懸念していた病ではなくてホッとして、ついテンションが上がってしまった。許せ」
この言葉に目を瞬く。
ああそうか、テンションが上がると〝ドS〟になるのか。……厄介じゃないか!
「ユイ?気を悪くしたか」悪魔の顔はどこへやらで、少しだけ不安そうだ。
その顔はとても端正で非の打ちどころがない。思わずぼうっとなりながらも、何とか答える。「……ううん、そんな事ないよ」
コーヒーを運びながら、気持ちを落ち着ける。
ああ、どうしてこの悪魔はこんなにイイ男なのだろう?だから私はたちまち骨抜きにされてしまうのだ。
「ありがとう」差し出したコーヒーを手にして彼が言った。
横に腰を下ろして質問する。「ねえ?懸念してた病って、もしかして白血病とか?」
私の指摘に彼が驚いている。
「息切れとか鼻血って、白血病の典型的症状でしょ。よくドラマとかでやってるわ」
「……ああそうだな。それだけではないが、確かにそれも疑った。ほんの少しね」
「それって、特殊な血は関係あるのかな……」
「はあ?」少し前に私が発したのと同じくらい間の抜けた声だ。
急に恥ずかしくなる。「ああ!はいはい、あり得ないって事ね、無知でした!」
「遺伝的要素というなら特殊な場合あるにはあるが、そっちは聞いた事もない」
そうであってくれなくては困る。特殊な血が原因ならば、私達二人ともその病になってしまうから。
「心配してくれて、ありがとね。新堂さん。私は元気よ?時々なら、欲求不満解消の相手、してあげるわ」
「残念、毎日じゃないのか!」
不安な気持ちを吹き飛ばすように、しばし軽口を言い合い続けた。
何も怖くない。こうして二人で笑い飛ばしてしまえばいい!
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