この恋、腐れ縁でした。

氷室ユリ

文字の大きさ
上 下
11 / 131
第一章 幸せのシンボルが呼び寄せたもの

 レクイエム(2)

しおりを挟む

 片岡先生の葬儀から数日が過ぎた。あれからどうも元気が出ない。
 それに気づいたのか、気を利かせて新堂さんがこんな誘いをしてくれた。

「なあユイ。久しぶりに出かけないか」
「どこへ?」
「貴島にちょっと用があるんだ。一緒に行こう」
「そう言えば、貴島さんが改めてお礼しに来るとか言ってたけど……」
 こちらもバタバタしていて時間を作れていなかった。

「ならば好都合じゃないか。ドライブがてら遊びに行こう。連絡してみるよ。と、その前に……体調が良くないならやめるが」私を見て思案顔だ。
「体調は問題ない。あれから動悸も感じないし。気持ちの問題かな」
「なら一層、気分転換は必要だな」

 新堂さんがそう納得して、早速電話を掴んだ。
 あまりそんな気分ではなかったが、考える暇も与えられず。私もまなみに会いたいし、行くだけ行ってみよう。

 こんな具合に、思わぬ形で長距離ドライブをする事になった。


「たまにはおまえが運転してみるか?」
 こんな言い草は、ヘリを無免許で操縦されるよりもマシだと言っているようなもの!いつもならやり合うところだが、今はそんな元気はない。
「私はいいわ。緊急時には代わってあげてもいいけど」
「緊急時って?」

「追跡されたり狙撃されたり?先生、追っ手を撒くの苦手そうだから。私は、こういう走りの方が苦手!」
 渋滞でトロトロと車を走らせている新堂さんが言い返してくる。「何を言う。これでも運転には自信がある方なんだが?」
「見た目性格の割りに、あなたの運転は丁寧だからそう思っただけ。だったら今度是非お手並み拝見させていただくわ」

 こうして海沿いの道を順調に進んで行く。やや強めの風が車内に吹き込み、髪が激しく風になびいて乱された。その髪をかき上げて押さえ付ける。

 鬱陶しそうにする私に、チラリと目を向けた彼が口を開いた。「髪、一段と伸びたな」
「ちょっと伸ばしすぎよねぇ。いい加減、そろそろ切ろっかな~」
 その長さは今や腰の辺りまである。こんなに伸ばしたのは生まれて初めてだ。当然好きで伸ばした訳ではなく成り行きなのだが。

 ところが、新堂さんがこんな事を呟く。「それは残念だ……」
「え~何でよ!結構邪魔なのよ、これ。洗うのも大変だし。それに下手したらウィークポイントだからね?」掴まれれば逃げられない!
「いいや、チャームポイントだよ。良く似合ってる。大変ならいつでも俺が洗ってやる。遠慮せずに言え」
 女性の髪を洗えるなんて、もはや美容師だ。
「でも、そうまでして維持させたいなんて?新堂さんて、やっぱ長い髪が好きなんだね」

 前方を向いたまま笑うだけの新堂さん。当然返事はない。

 美容師戸田良平がそんな事を言っていた。半信半疑だったが当たっていたようだ。
 私が半身不随だった時期に、新堂さんが街で見つけて来た美容師だ。定期的に髪の手入れに来てくれたのだが、私が何度バッサリ切ってくれと頼んでも受け入れなかった。新堂さんが、私の髪を大事に思っているからと。

 洗髪方法も戸田から教わったらしい。私のためにそこまでしてくれる新堂さんには、頭が上がらない。
 そんな経緯もあり、今も私はスーパーロングを貫いている。

「ま、いっか。こうなったら、どこまで伸びるか試してみるとかどう?」
「ははっ!いいね、面白い」ようやく返事が返ってきた。

 話が一段落してシートにもたれ掛かり、深く息を吐く。ただ座っているだけなのに疲れを感じるのはなぜだろう。
 やっぱり今は出かけるべきではなかった。こんな状態で、あの強烈な(!)まなみと会話する気力はないかもしれない……。

「ユイ、気分が悪くなったらすぐに言えよ」
 私の不安を察してか、彼が気遣いの言葉をかけてくれる。
「車酔いって事?あなたのこんな丁寧な運転では酔わないって!」本当にこの人の運転はスマートなのだ。自分が乱暴すぎるだけだろうが。
「そういう意味じゃなくてだ」
「はいはい、分かりました」私は小さくため息をついた。

 やがて車はようやく千葉へ入った。このまま海岸沿いをずっと行けば貴島邸だ。


「いらっしゃ~い!ユイ、待ってたよ!」
 車を停めて外に出ると、真っ先にまなみが駆け寄って来た。
 どういう訳かこの子が歓迎してくれている。今まで私に散々な態度を取って来たこの子が!一体どうした事か。

「お久しぶり、まなみちゃん。足、良くなった?」
「もう全然!私、若いから!」

「結構時間かかっただろ」共に現れた貴島さんが新堂さんに声をかけている。
「ああ、今日は渋滞が酷かったよ……」
 肩を竦めて答える新堂さんを見上げて頷いていると、貴島さんが私を見て言った。
「おい朝霧、顔色が良くないみたいだが、車酔いでもしたか?」
「貴島さんまでそんな事を?私は新堂さんの運転では酔いませんっ!」そんなに自分は顔色が悪いのか。

「そりゃそうだ!おまえのと比べたら、誰だって安全運転だからな!」
「あら、貴島さんを乗せた事あったかしら?」
「乗せられたのはヘリだがね。まあ何だ、単なる想像だよ」
「失礼ね!私の運転技術は半端ないんだから。ねえ新堂さん?」

 新堂さんは素知らぬ顔でまなみの頭を撫でている。そんな彼にわざと肩をぶつけて不満をアピールしてやったけれど……。
「貴島、先日の事、詳しく聞かせてくれるんだろうな?」あっさりと無視された。

 私の事など眼中になく、話が広がって行く。
「おお!もちろんだとも。例の臓器移植の結果も伺いたいね!」
「ああ。全く面倒な依頼をしてくれたよ……。まあお陰で稼がせてもらったが」
「だよな~!だと思った。やっぱ敵わないぜ、新堂先生には!」

「ねえユイ、私の部屋に来てよ!」
「……あ、うん。行こっか」

 私はまなみに手を引かれ、一足先に家の中に入った。
 部屋は淡いピンクで統一されていて、その昔に見たまなみのフランス人形のような格好にピタリと嵌まった。つまり貴島さんの趣味か……。

「で?その後、新堂先生とはどうなのよ」腰に手を当てて私を見上げるまなみ。
 窓際で揺れるヒラヒラのカーテンを持ち上げて眺めながら答える。「どうって?」
「ちゃんと愛し合ってるワケ?」
「んなっ!何を聞くのよ……もう!まなみったら」マセガキが!

「そっちが上手く行ってないと困るの!」何でも、私の総先生が奪われる心配が消えない!のだとか。
「それなら安心して。これ見れば、分かってもらえるはずだわ」
 私は左手薬指のリングを見せる。今日もこっそり着けて来てしまった。
「わぉ~!デッカイ宝石付いてるぅ!さすがお金持ちは違うね。あ~、まなみも欲しいなぁ、そういうの」
「おねだりしてみたら?」
「そうするっ!」

 目を輝かせて答えるまなみを見つめ、一瞬ぼんやりとしてしまう。

「ユイ?どうかした?」
「え……?何でもないよ。最近ちょっと眠れなくて」
「ユイのお仕事、忙しいの?ユイって凄く強いんだね!あの時はカッコ良かったぁ!」
「ありがと。まなみだってヘリの動かし方なんてよく分かったわね。あれには助けられたわ。でも危険だから、今後は絶対にしない事!」

「そ~んなの分かる訳ないっしょ!何かしないとと思って、目の前のボタンやらスイッチ入れまくってみたの。それでも全然反応しなくてさぁ。そしたら車のキーみたいなのが刺さってたの見つけて!回してみたワケ。そしたら動いたじゃない?私ってば天才~」一気にここまで語り終えて、両手を胸の前で組んで感慨深げだ。

「その度胸に完敗だわ」……何て事だ!
 全く運に恵まれた子だ。きっと大物になるに違いない?

「私ね、決めたの!」まなみはさらに目をキラキラさせながら言った。
「何を?」
「私、ユイみたいになる!」
「……は?」私は警戒の対象ではなかったのか?
 あの一件以来、どうやらスーパーヒーローに昇格したらしい。

「それで、ユイって何の仕事してるの?弟子にしてよ!そんでもってヘリの動かし方も教えて!」絶対に素質があるはずと続ける。
「残念だけど弟子の募集はしてないのよ。今は特に仕事もしてないし。休職状態よ!お陰で運動不足もいいところ……」これだけは何とかしなくては!
「給食状態?良く分かんないけど、でも疲れてるみたいよ?」

 これ以上込み入った話になるのは控えたい。
 立ち上がって答える。「そんな事ないわ!あと、ヘリは教習所に行って習ってね。さあ、貴島さん達のところに行きましょ」

 私達はリビングへと移動した。

「朝霧、またまなみが失礼な事言わなかったか?済まん、先に謝っとくよ」
「ヤダ~、総ちゃん先生ったら!まなみはそんな事言いません!ね?ユイ」
「ええ、今日のところは」
 私は答えながら新堂さんの隣りに腰を下ろす。

「まなみに、弟子にしてくれって言われちゃった」
「それはそれは!物好きがいたものだな」大袈裟に驚く新堂さん。
「おいおい!マジに取るなよ?朝霧。まなみは女の子なんだからな?」
「失礼ね、私だって女よ!」
 新堂さんが笑いを堪え切れずに吹き出した。
「もうっ、みんな意地悪だっ!」
 一人憤慨している私に三人の視線が集まって、怒りのやり場がなくなる。

「それじゃ改めて。朝霧、新堂、先日は本当に助かった。感謝する。本来なら俺達が礼に伺うべきだったんだが……」
「何、ドライブのついでだ。気にするな。ちょうど気分転換したかったんだ。なあユイ」
「ええそうなの。気にしないで。それに、あれは借りを返しただけだから」
 貴島さんは、私の大切な新堂さんの命を救ってくれた恩人だ。

「お前達に出会えて本当に良かった。これからも、まなみ共々よろしく頼むよ」
「こちらこそ」新堂さんが代表して答えてくれた。

 孤独が好きな(?)新堂さんにも晴れて正式に友ができた。これはかなり大きな一歩ではないか?そんな事を思って嬉しくなる。
「何をニヤケてる?」
「別に!」

 しばらく歓談が続き、夕飯をまなみと二人で作る事になった。

 はしゃぐまなみを目で追いながら、またも私はぼんやりしていたらしい。
「ユ~イ!冷蔵庫、一緒に見てってば。ねえ~!」
 気づくとキッチンでまなみが叫んでいた。
「……あっ、ごめん、今行くわ」慌てて立ち上がる。

「本当にいいのか?朝霧、無理しなくていいんだぞ」私が本調子でない事を見抜いたらしく、貴島さんが言ってくる。
「平気よ。新堂さん、いいよね?」改めて我が主治医に許可をもらおう。
「もちろんだ。まなみ、何か足りない物があったら買い出し行って来ようか?」
 私を見て微笑んだ後、キッチンカウンター越しに彼が申し出た。

「それはダメだよ。お客にそんな事させられない。俺が行く」
「こういうのは若い奴らに任せろって」
 新堂さんのこんな言葉を受けて、貴島さんが苦笑いで頭を掻いた。この中で一番年配なのは貴島さんだから。

「どっちでもいいけど助かるわぁ!じゃぁあ~……」
 まなみが冷蔵庫を開けて考え込んでいる間に、私が適当な食材を彼に告げた。
「おお?手際がいいね~、さすが主婦だな!」こんなセリフにまなみがいち早く反応した。「それ私の事よね?総センセッ!」
 両手を掲げて肩を竦める貴島さん。その様子を見て、新堂さんが笑いを堪えながら食材をメモしていた。

「客に働かせて悪いな、お二人さん」
「気にするな、じゃ行って来る」
「お願いね!」

 彼が出て行くと、私はまなみとキッチンで言い合いを始める。

 なかなか軌道に乗らない調理に、貴島さんが呟いた。「こいつにものを教えるのは、至難の技なんだ」
 そうかもしれない……と思いつつ答える。「貴島さん、ここは任せて」
「じゃあ、俺は書斎で少し仕事させてもらうかな」
「お仕事してくださ~い!」
 踏み台に乗ってシンクで野菜を洗いながら、上機嫌でまなみが答えた。

「あっ、まなみ、包丁使うなら指切らないように気を付けてよ?」
「分かってるって!」
 包丁は使わせたくなかったが、握ってしまったなら仕方ない。私が目を離さないようにすればいいだけの事……。そう思うのに、どうも頭がぼんやりする。

「ねえユイ、これはどう切る?……ユイってば?」

 こんなまなみの声が遠くの方で聞こえた。その後の記憶はプツリと途絶えた。


しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

サイキック・ガール!

スズキアカネ
恋愛
『──あなたは、超能力者なんです』 そこは、不思議な能力を持つ人間が集う不思議な研究都市。ユニークな能力者に囲まれた、ハチャメチャな私の学園ライフがはじまる。 どんな場所に置かれようと、私はなにものにも縛られない! 車を再起不能にする程度の超能力を持つ少女・藤が織りなすサイキックラブコメディ! ※ 無断転載転用禁止 Do not repost.

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

再会したスパダリ社長は強引なプロポーズで私を離す気はないようです

星空永遠
恋愛
6年前、ホームレスだった藤堂樹と出会い、一緒に暮らしていた。しかし、ある日突然、藤堂は桜井千夏の前から姿を消した。それから6年ぶりに再会した藤堂は藤堂ブランド化粧品の社長になっていた!?結婚を前提に交際した二人は45階建てのタマワン最上階で再び同棲を始める。千夏が知らない世界を藤堂は教え、藤堂のスパダリ加減に沼っていく千夏。藤堂は千夏が好きすぎる故に溺愛を超える執着愛で毎日のように愛を囁き続けた。 2024年4月21日 公開 2024年4月21日 完結 ☆ベリーズカフェ、魔法のiらんどにて同作品掲載中。

恋煩いの幸せレシピ ~社長と秘密の恋始めます~

神原オホカミ【書籍発売中】
恋愛
会社に内緒でダブルワークをしている芽生は、アルバイト先の居酒屋で自身が勤める会社の社長に遭遇。 一般社員の顔なんて覚えていないはずと思っていたのが間違いで、気が付けば、クビの代わりに週末に家政婦の仕事をすることに!? 美味しいご飯と家族と仕事と夢。 能天気色気無し女子が、横暴な俺様社長と繰り広げる、お料理恋愛ラブコメ。 ※注意※ 2020年執筆作品 ◆表紙画像は簡単表紙メーカー様で作成しています。 ◆無断転写や内容の模倣はご遠慮ください。 ◆大変申し訳ありませんが不定期更新です。また、予告なく非公開にすることがあります。 ◆文章をAI学習に使うことは絶対にしないでください。 ◆カクヨムさん/エブリスタさん/なろうさんでも掲載してます。

溺愛彼氏は消防士!?

すずなり。
恋愛
彼氏から突然言われた言葉。 「別れよう。」 その言葉はちゃんと受け取ったけど、飲み込むことができない私は友達を呼び出してやけ酒を飲んだ。 飲み過ぎた帰り、イケメン消防士さんに助けられて・・・新しい恋が始まっていく。 「男ならキスの先をは期待させないとな。」 「俺とこの先・・・してみない?」 「もっと・・・甘い声を聞かせて・・?」 私の身は持つの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界と何ら関係はありません。 ※コメントや乾燥を受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。

人違いラブレターに慣れていたので今回の手紙もスルーしたら、片思いしていた男の子に告白されました。この手紙が、間違いじゃないって本当ですか?

石河 翠
恋愛
クラス内に「ワタナベ」がふたりいるため、「可愛いほうのワタナベさん」宛のラブレターをしょっちゅう受け取ってしまう「そうじゃないほうのワタナベさん」こと主人公の「わたし」。 ある日「わたし」は下駄箱で、万年筆で丁寧に宛名を書いたラブレターを見つける。またかとがっかりした「わたし」は、その手紙をもうひとりの「ワタナベ」の下駄箱へ入れる。 ところが、その話を聞いた隣のクラスのサイトウくんは、「わたし」が驚くほど動揺してしまう。 実はその手紙は本当に彼女宛だったことが判明する。そしてその手紙を書いた「地味なほうのサイトウくん」にも大きな秘密があって……。 「真面目」以外にとりえがないと思っている「わたし」と、そんな彼女を見守るサイトウくんの少女マンガのような恋のおはなし。 小説家になろう及びエブリスタにも投稿しています。 扉絵は汐の音さまに描いていただきました。

本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます

結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
本日、私は大切な人達を2人同時に失います <子供の頃から大好きだった幼馴染が恋する女性は私の5歳年上の姉でした。> 両親を亡くし、私を養ってくれた大切な姉に幸せになって貰いたい・・・そう願っていたのに姉は結婚を約束していた彼を事故で失ってしまった。悲しみに打ちひしがれる姉に寄り添う私の大好きな幼馴染。彼は決して私に振り向いてくれる事は無い。だから私は彼と姉が結ばれる事を願い、ついに2人は恋人同士になり、本日姉と幼馴染は結婚する。そしてそれは私が大切な2人を同時に失う日でもあった―。 ※ 本編完結済。他視点での話、継続中。 ※ 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています ※ 河口直人偏から少し大人向けの内容になります

ワケあり上司とヒミツの共有

咲良緋芽
恋愛
部署も違う、顔見知りでもない。 でも、社内で有名な津田部長。 ハンサム&クールな出で立ちが、 女子社員のハートを鷲掴みにしている。 接点なんて、何もない。 社内の廊下で、2、3度すれ違った位。 だから、 私が津田部長のヒミツを知ったのは、 偶然。 社内の誰も気が付いていないヒミツを 私は知ってしまった。 「どどど、どうしよう……!!」 私、美園江奈は、このヒミツを守れるの…?

処理中です...