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第四章 狂い始めた歯車を修正せよ!
33.クナシリの悲劇(1)
しおりを挟む「あーあ。またやっちゃった」
夜。キッチンでお気に入りのワイングラスを落とし、派手に割ってしまった。
「ペアグラスの一つが割れたら、もう使えないじゃない……」
これは新堂さんと一緒にワインを飲む時に使っていたもの。
十二月に入ってからというもの、よく食器を割っている気がする。全く自分のそそっかしさには辟易する!
ため息をついて破片を拾いにかかろうと腰を屈めた時、携帯電話が鳴り出した。
「はいはい、ちょっと待って!誰?見覚えのない番号ね。はい……もしもし?」
何の応答もない。
「あの~、聞こえてますか~?」繰り返しても、やはり向こうの声は何も聞こえない。
お気に入りのグラスを割った直後でイラ立っていた事もあり、乱暴に言い捨てた。
「イタズラなら切るわよっ!」
切った後になって、電話の向こうで微かになっていた音に気づく。
「……何の音だった?」そう、それは車のクラクションのような……。
新堂さんは一週間ほど前に入った北の地からの依頼で、現在留守にしている。もしやと思い彼に連絡を入れてみるも、携帯の電源は入っておらず。
「何も電源切らなくても!せめて留守電設定にしといてよね?」
連絡がつかないなど、今始まった事ではない。
この日は全く気にも留めなかった。
そして翌日の夕方、再び同じ見知らぬ番号から電話が入った。
携帯を引っ手繰り慌てて出る。すると聞こえてきたのはロシア語だ。そして相手は意外な名称を名乗った。
【以下カッコ内ロシア語】
『アロー?(こちらは国後総合病院ですが……)』
「クナシル、ですって?」聞き取った会話から、この言葉を抜き出し反芻する。
『(繋がって良かった、言葉、分かりますか?)』続けて相手は男性看護士と名乗った。
久しぶりのロシア語に少々テンションが上がるも、嫌な予感がする。
「(大丈夫です。それでどのようなご用件で?昨夜もかけてこられましたよね)」
『(昨夜……ああ、この患者さんがですね。その発信履歴を見てかけました)』
「患者?」
続けて語られた患者の特徴は他愛のないものばかりで、人物を特定するには至らず。
その男性患者は、昨夜の大雪でスリップ事故を起こし、車ごと崖から転落したらしい。
身元を証明するものを所持しておらず、外国人とあって警察も身元割り出しには消極的だそう。患者は一刻を争う状況。家族への連絡をしなければ!
困り果てた病院スタッフは、唯一の所持品である携帯電話で、最後に発信された番号に連絡をしたとの事だった。
だが次の一言で一転する。
『(とても特殊な血液型なんです。応急処置はしましたが、手術ができなくてはもう、助かる見込みは……)』
「(……今何て言った?)」
『(ですから、血がですね、非常に稀なナルという型なんですよ。初めて見ました)』
ここで真っ先に新堂さんが浮かんだのは言うまでもない。
彼が出向いた北の地というのが北方領土だったとすれば合点が行く。国後島は一応海外だ。電波状態も悪そうだから、衛星電話でも使っていたのだろう。
つまりあの日のあの電話は、やっぱり新堂さんだったのか。最後の力を振り絞って、私に電話をしてきた……?あまりの衝撃に、私の中の全てがフリーズした。
あの時の、電話越しの微かなクラクション音が甦り耳の中で鳴り響く。
「すぐに向かいます!それまで、どうか彼をお願いします……!」
こう言い放ちながらすぐさま家を飛び出した。
北方領土への交通手段などあるはずがない。迷わずヘリコプターで直行だ。
夕暮れの中、朝霧邸に到着した私はすぐさまフジタさんを探し出す。
「よう!ユイちゃんじゃないか。久しぶりだな~、血相変えてどうしたの?」
相変わらず軽い調子のフジタさんを見て、少しだけ気持ちが落ち着く。見ないうちに、この人もすっかり年を取っていた。
「ご無沙汰してます。悪いけど、ゆっくりしてられないの。ヘリ、貸してくれる?」
「今から?もうすぐ暗くなるよ」
強く視線を向けて様子を窺う。余計な事は言いたくない。自分をこれ以上取り乱させないためにも。
やがてフジタさんが右手を上げた。どうやら緊急事態という事が伝わったようだ。
「よっしゃ。オーケー、どこへ飛ばせばいい?」
「ありがと!貸してくれるだけでいい。私が飛ばす」
「おおっ?ユイちゃん、やっぱり操縦免許取ったんだね!凄いじゃない!」
これには何も答えられず。ごめんフジタさん、私は無免です……。
「そんじゃ、これ、貸してあげよう。西日は案外堪えるからね」
フジタさんが差し出したのはサングラス。幼い頃に憧れていたあのカッコいいヤツだ。
「やった!ありがと!……どう?似合ってる?」受け取って、早速掛けて見せる。
束の間こんな会話で気を紛らせた後、フジタさんから拝借したヘリで、大急ぎで国後島へと向かった。
島に着く頃にはすっかり闇だった。先日からの雪は、幸い今は止んでいる。
大胆にも病院の敷地にヘリを着陸させて、病室へと急ぐ。
「新堂さん!」
どこかで人違いである事を願っていた。だが、そこにいたのは新堂和矢だった。
彼は無表情で横たわっている。顔にできた傷を見る限りは、それほど酷くはない。
恐る恐る側に寄る。いつもと違う蒼白な顔に、ただただ愕然とした。
「ウソよね?これは何かの冗談でしょ……?」
「(意識が戻りません。今はどうにか止まっていますが、出血もかなりあった。……もう、私共の力ではどうする事も……)」
医者が呆然とする私にこう告げる。
「(血ならここにある!彼を助けて!)」私は必死で懇願した。
「(それは本当ですか?ですが……申し訳ありません、血液があっても、とても難しい手術でして……)」自信なさげな医師。
「(皮肉ね。この人は医者なの。それも飛びきりの外科医よ。こんなケガ、簡単に治せるのに!)」
「(力不足で、本当に済みません……)」そう言って、再び頭を下げる面々。
絶望的状況に、思わず両手で顔を覆う。何もできない無力すぎる自分に怒りさえ覚える。悔しさで胸が張り裂けそうだ……。
そんな絶望の中、ある男の顔が浮かんだ。
「あの人なら?そうよ、貴島先生!いつでも連絡しろって言ってたもの!」
一人で興奮している私に、医者達が戸惑っている。
「貴島総一郎なら、治せるかもしれない!」
あの男が、本当に新堂さんと同等の腕を持っているなら……。もうそれに賭けるしかなかった。
私は彼の衛星携帯を拝借して、すぐさま貴島さんに連絡を入れた。
『はい、キジマ先生のおウチです』電話口に出たのはまなみだった。
「遅くにごめんなさい、朝霧です!まなみちゃんね?先生はいる?」
『アサギリ?だれ?』少女が困った声で聞き返してくる。
「悪いけど急用なの。先生に代わって……!」頼みの綱はこの人だけだ。
新堂さんだけは、何が何でも救う。貴島医師が在宅である事を祈った。
『朝霧?どうかしたか、こんな時間に』貴島さんは家にいた。
「ああ、良かった……!貴島先生、早速だけど、依頼、引き受けてくれる?」
『何かあったのか?』
「新堂さんが、新堂さんが……!崖から落ちて、意識不明の重体なの!」
『落ち着くんだ、今どこなんだ?』
「国後島の病院よ」
ベッドサイドにしゃがみ込み、新堂さんの手を握りながら会話を続ける。
『国後島だって?北方領土か!随分と僻地に行ったもんだな。すぐには行けんぞ……』
「大丈夫、私達がそっちに行くから。着くの深夜になるけど、いいわよね?」私は努めて冷静に答えた。
『それは構わんが……おい、やけに簡単に言うな』
「とにかく、今すぐ行くからお願いします!」立ち上がり、有無を言わさず言い放つ。
『分かった。とにかく待ってる。気をつけて来いよ、朝霧ユイ』
この貴島さんの言葉に、ようやくほっとした。
「ええ……」力なく答えて電話を切る。
再び新堂さんの様子を確認する。それはいつもの無表情とは全く別の、まるで死んでいるような顔だ。
「新堂さん……死なないで!」
涙を堪えて、医者達に手を貸してもらいながら外へと連れ出す。
「(来るのがバカに早いと思ったら、ヘリコプターとは!あなたは日本の自衛隊か、米軍の人?)」
スタッフが口々にそんな疑問を投げかける。
ヘリの機体には何の表記もない。グレー一色のいかにも物々しい外観が、そういった組織を連想させたのだろう。
質問には答えず、ただ礼を述べるにとどめた。
新堂さんをヘリに乗せ終え、漆黒の闇の中、すぐさま貴島邸に向けて飛び立った。
そして数時間後。私達は無事、貴島邸に到着した。
新堂さんはそこで、貴島先生の緊急手術を受ける事になった。もちろん私も輸血のために一緒に手術室に入る。
「無理だ、朝霧の血だけでは足りない!……どうする?」
「貴島先生!限界まで使って!私はどうなっても構わない……。この人を助けて!」
「どうなってもって、無茶言うなよ……。お前、体重五十キロ以下だろ。本来は四百の献血すらできないんだぞ?」
「そんなセリフは聞き飽きてる!平気よ。献血慣れてるから!ねえ、お願い……!」
「やむを得ない、やれるだけ……やってみるか」
懇願し続ける私を前に、ようやくその気になってくれた。
「ああ……新堂さん、頑張ってね……」私は祈り続けた。
血を採り終えた私は、先に手術室を出て一人外で待たされた。立ったり座ったり、歩き回ったり蹲ったりの、落ち着かない数時間が始まる。
そのうち貧血からか気疲れからか、気分が悪くなってきた。胸元に手を当てて、何とか落ち着こうと深呼吸を繰り返す。
どのくらいそうしていたのか、良く覚えていない。
ようやくドアが開いて、貴島先生が姿を現した。
「新堂さんは?彼はどうなの……!」縋り付いて問いただす。
「あと半日遅かったら、手遅れだったよ」私の目を真っ直ぐに見て、先生が続けた。「安心しろ。オペは成功、新堂はちゃんと生きてるよ」
この言葉に思わず崩れ落ちる。
「おい、お前こそ大丈夫かよ!」差し伸べられた手に、辛うじて支えられる。
「ああ、ありがとう……!貴島さん、いえ先生。本当にありがとうございました……」
崩れ落ちたままの体勢で、何度も何度もお礼を言った。
そんな私に、「お疲れさん」と貴島さんは優しく声をかけてくれた。
引っ張ってもらってようやく立ち上がる。
涙は一向に止まらない。仕舞いには子供のように嗚咽を漏らして泣いた。
そこへまなみが顔を出した。
「いい大人が、どうして泣いてるの?子供みた~い!」無邪気に声をかけてくる。
「子供は、嬉し涙は流せないんじゃない……?」
この日から私も貴島邸に泊まり込んでいる。
そして数日後、彼がついに目を覚ました。
「……ここは……?」目覚めた新堂さんが、ぼんやりと辺りを見渡している。
「新堂さん!目が覚めたのね?ああ……良かった!」
ゆっくりと瞬きをして、彼が私の顔をじっと見つめる。
「新堂、さん?」再び問いかける私に、「君は、誰だ……?」と彼が言う。
「ヤダ!そんな冗談言っちゃって……。笑えないから」
そうは返したものの、彼の目は冗談を言っている目ではなかった。
呆然とする私の元に貴島先生が現れた。
「おお、ようやくお目覚めだな。気分はどうだ、新堂。……ん?どうした朝霧」
「新堂さん、私の事、覚えてないみたい……」
私の言葉に、貴島さんが新堂さんを険しい目で見る。
「落ち着け、一時的なものだろう。すぐに思い出すさ」
貴島さんがそう言ってくれても納得が行かない。
「ねえ新堂さん!本当に私の事分からないの?朝霧ユイよ、おまえの事は忘れたくても忘れられないって、言ってたじゃない!」
「朝霧、ユ、イ……。知らない」そう呟くだけの彼。
「ウソでしょ?ねえ!私の事、一番に考えてくれてるって、……言ってたじゃない」
私の声は次第に弱々しくなり、最後は掠れ声になる。
「朝霧、落ち着けって。強く頭を打ったりすると、良くある事だ。しばらく様子を見よう、な?」そう言って、貴島さんが私の肩に手を置く。
包帯の巻かれた、新堂さんの頭部を見つめる。そうかもしれないけれど!こんな事ってある?
「あなたは……確か、貴島先生、ですよね。私はなぜここに?」新堂さんが、貴島さんの方を見て言った。
「ちょっと待って?この人の事覚えてるの?ふた月前に、会ったばかりの人なのに!」
「俺があんたのオペをした。ひと月もすれば、完治するだろう」
貴島さんは気まずそうにこう説明し、呆然とする私へ慰めの言葉を続けた。
「なあ朝霧、俺を覚えてたのなんて、きっとたまたまさ……、なあ?」
同意を求めるように、最後に新堂さんを見る。
「こんなにすぐにお世話になるとは……。それはどうも、ご面倒をおかけしました」
新堂さんは私の質問には答えず、頭を下げて謝罪の言葉だけを述べた。
何も言えず、そのやり取りをただ見つめるしかない。
「それで、自分に何が起きたかは、覚えてるのか?」貴島さんが確認する。
「ええ。仕事帰りに、車で山道を走行中、雪でスリップして……崖から転落した」
「しっかり覚えてるようだな。で、この人の事は?」
貴島さんの問いかけに、新堂さんが再び私を見たが思い出した様子はない。
「申し訳ない、全く……」
彼はただ、首を左右に振るばかりだった。
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