140字小説──Twitter掌編集──

お裾分け

「作り過ぎちゃって」

　隣人がよくお裾分けを持ってくる。好みのタイプだから好意を持たれていると解釈してしまう。
　たまにはお礼と、旅の土産を持って呼び鈴を押す。
　だがそこに人の住む気配はない。逆隣も同様。
　そもそもこのアパートに住むのは俺だけだし、核戦争後の世界で生きてる人間は俺だけだった。