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おまけ①
【大正裏通りラヂヲ】第壱回
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♠さて、始まりました、「大正裏通りラヂヲ」。パーソナリティは私、犬神零と――
♦椎葉桜子です。よろしくお願いします。
♠この番組は、『久遠の呪祓師──怪異探偵犬神零の大正帝都アヤカシ奇譚』の刊行を記念し、裏話や制作エピソードなどを語っていく、という趣旨のようです。
♦問題は、それが何で私たちの仕事なの? ってところね。普通、そういうのは作者があとがきに書くものじゃない?
♠あー、作者、自分の言葉にすると全く伝わらなくなるタイプですからねー。
♦確かにそうね。SNSの呟きとか、ほとんど意味不明だもの。だからって、仕事を押し付けられるのは勘弁して欲しいわ。
♠まあまあ、紅茶でも飲みながら……
♦いらないです。――そもそも、何であなた、美味しく淹れる腕がないのに紅茶派なの? 紅茶に失礼よ。
♠これには深い訳がありまして。『キャラクターに何か分かりやすい欠点を付けると良い』という創作論を読んだ作者が、真に受けた結果ですね。ほら、私、見た目もいいし頭も切れる、完璧超人じゃないですか。だから意外性のある欠点をですね……。
♦なら、作者は間違えてるわ。欠点はひとつじゃないもの。
♠…………
♦こんなどうでもいい話は置いておいて、本題に行きますわよ。まずは、私がずっと気になってるところから。――なんで舞台に『神田明神』を選んだのかしら?
♠これは私、聞いています。……作者はどうも、古い建物や遺構というものに興味を惹かれるようでしてね。ある時、知ってしまったんですよ――地下鉄万世橋駅の存在を。
♦知ってるわ。現在の東京メトロ銀座線にあった幻の駅ね。
♠はい。当時の地下鉄は、今のように地面の下にトンネルを掘る訳ではなく、地上から穴を掘り、蓋をする工法で工事が進められたんです。その時に問題となったのが、神田川でして。水路を変更するなど、相当大規模な工事が必要だったようです。
♦だから、神田川の手前に、期間限定で暫定的に設けられたのが、万世橋駅だった、って事ね。
♠現在も、その遺構は存在するようです。浪漫がありますよね。
♦万世橋といえば、国鉄の駅も寂しく姿を消したわよね。
♠開業当時は、今の東京駅のようなターミナル駅として建てられた、立派なものだったそうです。しかし、東京駅が開業してからは、その役割が縮小され、関東大震災で焼失してからは、すっかり簡素なものになってしまったようです。
♦話の導入に無理矢理ねじ込んできたくらいには、作者の思い入れがあるみたいね。
♠……これ、実は、本当は地下鉄駅を登場させたかったけれど、銀座線の開通は昭和に入ってからというのを後で知って、変更したらしいですよ。
♦時代モノを書くんなら、しっかり調べなさいよ。
♠全くその通り。――で、地図で見て、万世橋の近くにある目立つランドマークが神田明神だった、というのが、舞台をここに選んだ理由なようですよ。
♦嘘……適当過ぎない?
♠適当ですね。しかも、これだけ語っておきながら、作者、東京へは、修学旅行以来、行った事がないそうです。
♦何で舞台を東京にしたのよ……。
♠絵になるんですよね、東京の地名は。――作者が崇拝するアーティストの楽曲に、東京の地名が多く出てくるものがあり、そういったところに憧れ的なものがあるようです。
♦……まぁ、それは分からないでもないわ。
♠作者の嗜好は登場人物に投影されますから。……桜子さんのモデルもいるみたいですよ。
♦知らなかったわ……。
♠令和の世で大正百十一年を生きる方々の生き方に感銘を受けて、何としてもモダンガールを登場させたかったようです。
♦モダンガールは、婦人解放運動の象徴とも言える存在ね。大正時代は十五年と短かったけれど、世の中の考え方が大きな転換期を迎えた、とても内容の濃い時代よね。
♠厳密に言うと、モダンガール・モダンボーイといった人たちは、関東大震災後に多く現れたという説があり、桜子さんはその中でも先鋭のような存在、という設定です。
♦道理で。服を買うのに困ってるのよ、正直なところ。
♠日本橋の百貨店にでも行けば……
♦百貨店で買い物ができるだけの給料を払ってから言ってくださる?
♠…………
♦と、こんな感じで、作者もまだまだ大正時代の事を学びながら、執筆を進めています。
♠この話、中編の一話完結という話にはなっていますけど、シリーズものとして連作していきます。大正十二年まで続くようです。
♦それ以上言うとネタバレするからやめなさい。
♠すいません……。
♦なので、今回は書籍化という栄誉を頂いた訳ですけれど、次があろうがなかろうが、シリーズの執筆は続けていくつもりのようですので、アルファポリス上でお付き合い頂けると嬉しいです。
♠あと、我々が登場する本格ミステリも公開しております。十八歳以上の方は、スリースペースよりご覧いただけます。
♦……とこんな感じでいいのかしら?
♠次はあるんですかね?
♦知る訳ないじゃない。
♠……という訳で、「大正裏通りラヂヲ」でした。お付き合い、ありがとうございました!
♦また続編でお会いしましょう~♪
♦椎葉桜子です。よろしくお願いします。
♠この番組は、『久遠の呪祓師──怪異探偵犬神零の大正帝都アヤカシ奇譚』の刊行を記念し、裏話や制作エピソードなどを語っていく、という趣旨のようです。
♦問題は、それが何で私たちの仕事なの? ってところね。普通、そういうのは作者があとがきに書くものじゃない?
♠あー、作者、自分の言葉にすると全く伝わらなくなるタイプですからねー。
♦確かにそうね。SNSの呟きとか、ほとんど意味不明だもの。だからって、仕事を押し付けられるのは勘弁して欲しいわ。
♠まあまあ、紅茶でも飲みながら……
♦いらないです。――そもそも、何であなた、美味しく淹れる腕がないのに紅茶派なの? 紅茶に失礼よ。
♠これには深い訳がありまして。『キャラクターに何か分かりやすい欠点を付けると良い』という創作論を読んだ作者が、真に受けた結果ですね。ほら、私、見た目もいいし頭も切れる、完璧超人じゃないですか。だから意外性のある欠点をですね……。
♦なら、作者は間違えてるわ。欠点はひとつじゃないもの。
♠…………
♦こんなどうでもいい話は置いておいて、本題に行きますわよ。まずは、私がずっと気になってるところから。――なんで舞台に『神田明神』を選んだのかしら?
♠これは私、聞いています。……作者はどうも、古い建物や遺構というものに興味を惹かれるようでしてね。ある時、知ってしまったんですよ――地下鉄万世橋駅の存在を。
♦知ってるわ。現在の東京メトロ銀座線にあった幻の駅ね。
♠はい。当時の地下鉄は、今のように地面の下にトンネルを掘る訳ではなく、地上から穴を掘り、蓋をする工法で工事が進められたんです。その時に問題となったのが、神田川でして。水路を変更するなど、相当大規模な工事が必要だったようです。
♦だから、神田川の手前に、期間限定で暫定的に設けられたのが、万世橋駅だった、って事ね。
♠現在も、その遺構は存在するようです。浪漫がありますよね。
♦万世橋といえば、国鉄の駅も寂しく姿を消したわよね。
♠開業当時は、今の東京駅のようなターミナル駅として建てられた、立派なものだったそうです。しかし、東京駅が開業してからは、その役割が縮小され、関東大震災で焼失してからは、すっかり簡素なものになってしまったようです。
♦話の導入に無理矢理ねじ込んできたくらいには、作者の思い入れがあるみたいね。
♠……これ、実は、本当は地下鉄駅を登場させたかったけれど、銀座線の開通は昭和に入ってからというのを後で知って、変更したらしいですよ。
♦時代モノを書くんなら、しっかり調べなさいよ。
♠全くその通り。――で、地図で見て、万世橋の近くにある目立つランドマークが神田明神だった、というのが、舞台をここに選んだ理由なようですよ。
♦嘘……適当過ぎない?
♠適当ですね。しかも、これだけ語っておきながら、作者、東京へは、修学旅行以来、行った事がないそうです。
♦何で舞台を東京にしたのよ……。
♠絵になるんですよね、東京の地名は。――作者が崇拝するアーティストの楽曲に、東京の地名が多く出てくるものがあり、そういったところに憧れ的なものがあるようです。
♦……まぁ、それは分からないでもないわ。
♠作者の嗜好は登場人物に投影されますから。……桜子さんのモデルもいるみたいですよ。
♦知らなかったわ……。
♠令和の世で大正百十一年を生きる方々の生き方に感銘を受けて、何としてもモダンガールを登場させたかったようです。
♦モダンガールは、婦人解放運動の象徴とも言える存在ね。大正時代は十五年と短かったけれど、世の中の考え方が大きな転換期を迎えた、とても内容の濃い時代よね。
♠厳密に言うと、モダンガール・モダンボーイといった人たちは、関東大震災後に多く現れたという説があり、桜子さんはその中でも先鋭のような存在、という設定です。
♦道理で。服を買うのに困ってるのよ、正直なところ。
♠日本橋の百貨店にでも行けば……
♦百貨店で買い物ができるだけの給料を払ってから言ってくださる?
♠…………
♦と、こんな感じで、作者もまだまだ大正時代の事を学びながら、執筆を進めています。
♠この話、中編の一話完結という話にはなっていますけど、シリーズものとして連作していきます。大正十二年まで続くようです。
♦それ以上言うとネタバレするからやめなさい。
♠すいません……。
♦なので、今回は書籍化という栄誉を頂いた訳ですけれど、次があろうがなかろうが、シリーズの執筆は続けていくつもりのようですので、アルファポリス上でお付き合い頂けると嬉しいです。
♠あと、我々が登場する本格ミステリも公開しております。十八歳以上の方は、スリースペースよりご覧いただけます。
♦……とこんな感じでいいのかしら?
♠次はあるんですかね?
♦知る訳ないじゃない。
♠……という訳で、「大正裏通りラヂヲ」でした。お付き合い、ありがとうございました!
♦また続編でお会いしましょう~♪
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