百合御殿ノ三姉妹

──第弐部──

第壱部 あらすじ

　来住野梅子と来住野竹子の双子姉妹から「助けて欲しい」という依頼を受け、水川村にやって来た、犬神零と椎葉桜子。
　彼女らの住む百合御殿を訪れた二人だったが、彼女らの父である来住野十四郎に追い出されてしまう。
　そこへ居合わせた又吉朝夫に、彼の営む旅館・多摩荘に案内される。
　そこで彼らは、この村の複雑な人間関係、そして、過去に起こった「天狗」が犯人とされる変質者の話を聞く。
　翌日、村へ出かけた二人は、それぞれ、浄善寺に伝わる天狗伝説、まるいやの長老が見たとされる天狗の生贄、先月村に現れたという不審な男、そして、今月初めに現れた天狗の使いと名乗る老婆の情報を得る。
　そこへやって来たのが、双子の姉である不知火松子。彼女もまた「妹たちを助けて欲しい」と零に依頼する。

　前夜祭にやって来た零と桜子。そこで、昼間聞いた不審な男を発見するも、取り逃がす。
　その晩、百合園の外れにある離れに案内された二人。激しい雷雨の中、睡眠薬で眠らされる。

　――そして、来住野竹子が殺害される。

　誤認した小木曽巡査に逮捕される犬神零。
　しかし、捜査線上に不知火清弥が浮上したため、彼の疑いは晴れる。
　だが、その容疑はアリバイにより消滅。
　下女の亀乃、梅子に想いを寄せていた水川咲哉と、次々と容疑者は浮上するものの、決定的な証拠が見つからないまま、竹子の通夜を迎えたのだが……。

　亀乃に対し、非道な行いをしてきた来住野十四郎に、犬神零はとある策略を講じた――。

　次ページより、ご覧ください。