21 / 69
【肆】百合ノ宴
①
しおりを挟む
――その夕刻、四時。
人々はそわそわと、祭りに向かう準備をしだす。普段はそれなりに人通りのある水川銀座だが、今日ばかりは、月原山道の方に人が集中している。
そんな閑散とした通りを、二人の若者が歩いていた。
一人は、丸井勝太。薄汚れたシャツと作業ズボンと長靴の、普段着のままだ。
もう一人は、久芳春子。いつものように、作務衣に束ねた髪を垂らしている。
二人は同級生である。村にひとつしかない学校で、ずっと同じクラスで過ごしてきた。
西集落から通う子供は少ないため、自然と二人で連れ立って通学するようになった。卒業してからも、事あるごとに話し相手になる。友達以上恋人未満、といった関係だ。
二人は、天狗祭りに行く事はなかった。どうしても、行けない事情があった。
――まだ小学生だった頃。丸井勝太は、天狗に遭った。
子供は全員、お神楽に参加するのだが、このお神楽というのが少し変わっており、男女が逆転の衣装を着るのだ。その由来は、出雲阿国を始まりとするかぶき踊りとも言われているが、詳しくは伝わっていない。
性別の違う衣装を着るというのは、自分の殻を解放するものであり、お神楽もそれに合わせた、非常にコミカルなものである。
その日は衣装合わせだった。女の子の格好をして興奮した勝太は、両親に見せてやろうという悪戯心から、その衣装のまま帰宅しようとしたのだ。
――そして、薄暗い月原山道に差し掛かった時、背後から、天狗に襲われた。
当時は、性的被害を受けたという認識がなかった。物心ついてから、あれはそういう意味だと認識したものの、男の矜恃から、自分だけの胸に隠してある。
一方、久芳春子も、天狗に襲われた経験を持つ。しかし、僧侶の娘という立場、そして、母の与志子が神経質なところから、被害に遭った事を黙っている事を選んだ。
……それに、もうひとつ。
「――天狗の顔を見たのか?」
親戚の集まりの時に、母方の伯父である水川滝二郎にそう聞かれた。春子は血の気が失せるほど驚いた。なぜ彼が、春子が天狗に襲われた事を知っているのか? ――そして、察した。
「……天狗とは、何の事でしょう?」
春子が答えると、滝二郎は
「それでいい」
と、春子の頭を撫でた。
そう、春子はあの時、天狗の面がずれ、その下の顔を見ていたのだ。見間違いだと、ずっと自分に言い聞かせてきたのだが、滝二郎の一言で、それは確信に変わった。
春子はその記憶を、墓まで持って行くと、心に誓った。
――そんな二人である。
互いに、そのような立場にあるとは気付いていない。しかし、相手が「天狗」と聞くだけで顔色が変わるのを知っているため、それ以上は何も言わず、天狗祭りの日は毎年、二人で過ごすのだ。
二人は水川銀座を離れ、月原川の川べりに向かった。
対岸の月原山道は、ひっきりなしにハイヤーが行き交う。山の中腹の百合御殿には、煌々と明かりが灯され、もうすぐ祭りが始まるという合図である、お囃子の音が響きだした。
「……ねえ、勝ちゃん」
石の上に腰を下ろし、水面をチャプチャプと蹴りながら、久芳春子が言った。
「なぜか今年は、父も母も、百合御殿にお手伝いに行ってるの」
例年、僧侶の役割は、二日目の本祭、捧げ物をする際にお経を奉る、それだけなのだ。しかし昨年から、花沢凛麗こと不知火松子が奉納舞をしだして、格段に見物客が増えた。そのため、交通整理などの人手が足りぬと、駆り出されたらしい。
……それはどういう意味か。勝太は戸惑った顔を春子に向ける。すると彼女は、隣に座った彼の手に手を置いた。
「――そろそろ、友達、やめない?」
「…………」
薄明かりの中、勝太を見上げる黒い瞳は、初心な青年をゾクッとさせた。
勝太とて、考えていない訳ではなかった。彼は農家の次男。兄・新造もいい歳だ。家を出た方が、何かと都合が良い。――しかし、善浄寺という由緒ある名跡を継ぐ覚悟があるのかと考えると、それ以上進む勇気がなかった。
そんな心境を知っているのだろう。春子は勝太の節立った指に、白い指を絡める。
「実はね、総本山からお婿さんを迎えようって話があるの」
「……え?」
「私、結婚させられるかもしれない」
春子の手の下で、勝太の手が震えた。
「……それは、嫌だ」
勝太は、春子と繋がっていない方の手を、彼女の肩に置いた。そして真正面から向き合うと、顔を寄せ、唇を合わせた。
厚い梅雨雲から奇跡的に顔を出した、東の空の十四夜の月だけが、二人を見ていた。
犬神零と椎葉桜子は、多摩荘の部屋を引き上げるべく片付けをしていた。
不知火松子から依頼を受け、今晩から来住野家の離れに泊まるよう、手配がされたのだ。
片付けと言っても、着の身着のままである。少しの手荷物と、桜子が買い物した風呂敷だけ持てば、あとは何もない。
「松子さんからお代は頂戴してますんで」
又吉朝夫が彼らをにこやかに見送った。
……そして、出かけ間際、若女将の史津が二人を呼び止めた。
「この人に案内させるよ」
と、彼らの横に来たのは、三十路の痩せた女だ。史津は零に耳打ちした。
「うちの下働きと、松子さんとこの通い家政婦を兼業してる人。きっと役に立つよ」
彼女は、初江と名乗った。若くして未亡人となり、女手ひとつで三人の子供を育てるため、昼夜問わず働いている苦労人だ。
しかし彼女は、そんな苦しい境遇をおくびにも出さない、おおらかな人柄だった。
「あたしは働いてないと落ち着かない性分でね。子供らも分かってるから、三人でよくやってるよ。むしろ、家の中にあたしの居場所がないくらいさ」
ハハハと笑う様子は、肝っ玉母さんそのものである。
分厚い雲が夕日を覆い、月原山道は一足速い夕暮れを迎えている。行き交うハイヤーのヘッドライトが、轍の目立つ路面を白く照らす。
「しかし、今日は特別、旅館は忙しいんじゃありませんか?」
「あたしもそのつもりだったんだけどね、うちが三人ともお神楽に出てるから、一人しかいない親なんだから、行っておやりと、若女将がね。サチコちゃんの晴れ姿も見たいだろうに」
テキパキとしているが、細やかな気遣いができるところは、さすが若女将である。
「来住野さんのところでは、いつから働いておられるのですか?」
「二年前、松子様が結婚されて、本宅の奥の洋館に住まれるようになってからだよ。あたしは松子様ご夫妻の洋館専属でね、本宅には入らないんだけど」
「今日のお祭りのお仕事は頼まれなかったので?」
「最初からの契約でね。十四郎様から多摩荘の旦那に、朝八時から昼の十二時まで、お掃除とお洗濯だけ、来られる人はいないかって、声が掛かってね。で、お風呂掃除担当のあたしが選ばれたんだよ。お食事のお世話は、本宅の下女の亀乃ちゃんがやってるよ」
恐らく昨日、十四郎に折檻を受けたあの少女だろう。
話しながら歩いているうちに、来住野家へ向かうつづら折れに差し掛かった。
続々と曲がっていくハイヤーの中に、零は柴田の顔を見つけた。彼も気付いたようで、軽く会釈を返す。……そして、その後部座席に収まる人物。その顔は、新聞で見た事がある。次期総理候補と名の上がっている、与党の幹事長だ。このような山奥の祭りの来賓としては、最上級の人物だろう。
ハイヤーだけではない。つづら折れには多くの人影がある。まだお神楽を舞える年齢ではない幼子の手を引く村人たちや、それ以上に、小洒落た洋装の旅行客の姿が目立つ。皆一様に、つづら折れを上って行く。
そして、行き着く先は、古の陣屋を思わせる、立派な長屋門である。
ところが、今宵ここは来賓専用になっている。物々しいばかりに制服警官が目を光らす。小木曽の配慮もあるだろう。
一般客は、竹垣を裏山の方へ回った、裏門が入口になっていた。
「こっちからじゃないと、百合園に真っ直ぐ入れないのよ」
初江が説明する。長屋門の先は、本宅やら洋館やらの居住区画で、百合園と直接繋がっていないらしい。
竹垣を裏手に曲がる。すると道は、薮に吸い込まれるように細くなる。薮を抜けた甍の裏門は、大きくはないが、篝火で照らされ、実に風情がある。……門の左右に二人並ぶ警官が無粋ではあるが、仕方あるまい。
その門を潜った途端、桜子が聞こえる程に大きく息を飲んだ。
「――素敵だわ……」
裏山にかけての斜面一面に、百合の花が咲き乱れている。その広さは、学校の運動場ふたつ分くらいはありそうだ。
百合畑の間を径が走り、裏山から流れる小川が、百合園の中央の池に流れ込んでいる。
各所に配された石灯籠や篝火が、それらを幻想的に浮き上がらせていた。風流人ではない零でも、鳥肌が立つほどの景観だ。
初江が言った。
「ここが、百合御殿よ」
《添付図3》
人々はそわそわと、祭りに向かう準備をしだす。普段はそれなりに人通りのある水川銀座だが、今日ばかりは、月原山道の方に人が集中している。
そんな閑散とした通りを、二人の若者が歩いていた。
一人は、丸井勝太。薄汚れたシャツと作業ズボンと長靴の、普段着のままだ。
もう一人は、久芳春子。いつものように、作務衣に束ねた髪を垂らしている。
二人は同級生である。村にひとつしかない学校で、ずっと同じクラスで過ごしてきた。
西集落から通う子供は少ないため、自然と二人で連れ立って通学するようになった。卒業してからも、事あるごとに話し相手になる。友達以上恋人未満、といった関係だ。
二人は、天狗祭りに行く事はなかった。どうしても、行けない事情があった。
――まだ小学生だった頃。丸井勝太は、天狗に遭った。
子供は全員、お神楽に参加するのだが、このお神楽というのが少し変わっており、男女が逆転の衣装を着るのだ。その由来は、出雲阿国を始まりとするかぶき踊りとも言われているが、詳しくは伝わっていない。
性別の違う衣装を着るというのは、自分の殻を解放するものであり、お神楽もそれに合わせた、非常にコミカルなものである。
その日は衣装合わせだった。女の子の格好をして興奮した勝太は、両親に見せてやろうという悪戯心から、その衣装のまま帰宅しようとしたのだ。
――そして、薄暗い月原山道に差し掛かった時、背後から、天狗に襲われた。
当時は、性的被害を受けたという認識がなかった。物心ついてから、あれはそういう意味だと認識したものの、男の矜恃から、自分だけの胸に隠してある。
一方、久芳春子も、天狗に襲われた経験を持つ。しかし、僧侶の娘という立場、そして、母の与志子が神経質なところから、被害に遭った事を黙っている事を選んだ。
……それに、もうひとつ。
「――天狗の顔を見たのか?」
親戚の集まりの時に、母方の伯父である水川滝二郎にそう聞かれた。春子は血の気が失せるほど驚いた。なぜ彼が、春子が天狗に襲われた事を知っているのか? ――そして、察した。
「……天狗とは、何の事でしょう?」
春子が答えると、滝二郎は
「それでいい」
と、春子の頭を撫でた。
そう、春子はあの時、天狗の面がずれ、その下の顔を見ていたのだ。見間違いだと、ずっと自分に言い聞かせてきたのだが、滝二郎の一言で、それは確信に変わった。
春子はその記憶を、墓まで持って行くと、心に誓った。
――そんな二人である。
互いに、そのような立場にあるとは気付いていない。しかし、相手が「天狗」と聞くだけで顔色が変わるのを知っているため、それ以上は何も言わず、天狗祭りの日は毎年、二人で過ごすのだ。
二人は水川銀座を離れ、月原川の川べりに向かった。
対岸の月原山道は、ひっきりなしにハイヤーが行き交う。山の中腹の百合御殿には、煌々と明かりが灯され、もうすぐ祭りが始まるという合図である、お囃子の音が響きだした。
「……ねえ、勝ちゃん」
石の上に腰を下ろし、水面をチャプチャプと蹴りながら、久芳春子が言った。
「なぜか今年は、父も母も、百合御殿にお手伝いに行ってるの」
例年、僧侶の役割は、二日目の本祭、捧げ物をする際にお経を奉る、それだけなのだ。しかし昨年から、花沢凛麗こと不知火松子が奉納舞をしだして、格段に見物客が増えた。そのため、交通整理などの人手が足りぬと、駆り出されたらしい。
……それはどういう意味か。勝太は戸惑った顔を春子に向ける。すると彼女は、隣に座った彼の手に手を置いた。
「――そろそろ、友達、やめない?」
「…………」
薄明かりの中、勝太を見上げる黒い瞳は、初心な青年をゾクッとさせた。
勝太とて、考えていない訳ではなかった。彼は農家の次男。兄・新造もいい歳だ。家を出た方が、何かと都合が良い。――しかし、善浄寺という由緒ある名跡を継ぐ覚悟があるのかと考えると、それ以上進む勇気がなかった。
そんな心境を知っているのだろう。春子は勝太の節立った指に、白い指を絡める。
「実はね、総本山からお婿さんを迎えようって話があるの」
「……え?」
「私、結婚させられるかもしれない」
春子の手の下で、勝太の手が震えた。
「……それは、嫌だ」
勝太は、春子と繋がっていない方の手を、彼女の肩に置いた。そして真正面から向き合うと、顔を寄せ、唇を合わせた。
厚い梅雨雲から奇跡的に顔を出した、東の空の十四夜の月だけが、二人を見ていた。
犬神零と椎葉桜子は、多摩荘の部屋を引き上げるべく片付けをしていた。
不知火松子から依頼を受け、今晩から来住野家の離れに泊まるよう、手配がされたのだ。
片付けと言っても、着の身着のままである。少しの手荷物と、桜子が買い物した風呂敷だけ持てば、あとは何もない。
「松子さんからお代は頂戴してますんで」
又吉朝夫が彼らをにこやかに見送った。
……そして、出かけ間際、若女将の史津が二人を呼び止めた。
「この人に案内させるよ」
と、彼らの横に来たのは、三十路の痩せた女だ。史津は零に耳打ちした。
「うちの下働きと、松子さんとこの通い家政婦を兼業してる人。きっと役に立つよ」
彼女は、初江と名乗った。若くして未亡人となり、女手ひとつで三人の子供を育てるため、昼夜問わず働いている苦労人だ。
しかし彼女は、そんな苦しい境遇をおくびにも出さない、おおらかな人柄だった。
「あたしは働いてないと落ち着かない性分でね。子供らも分かってるから、三人でよくやってるよ。むしろ、家の中にあたしの居場所がないくらいさ」
ハハハと笑う様子は、肝っ玉母さんそのものである。
分厚い雲が夕日を覆い、月原山道は一足速い夕暮れを迎えている。行き交うハイヤーのヘッドライトが、轍の目立つ路面を白く照らす。
「しかし、今日は特別、旅館は忙しいんじゃありませんか?」
「あたしもそのつもりだったんだけどね、うちが三人ともお神楽に出てるから、一人しかいない親なんだから、行っておやりと、若女将がね。サチコちゃんの晴れ姿も見たいだろうに」
テキパキとしているが、細やかな気遣いができるところは、さすが若女将である。
「来住野さんのところでは、いつから働いておられるのですか?」
「二年前、松子様が結婚されて、本宅の奥の洋館に住まれるようになってからだよ。あたしは松子様ご夫妻の洋館専属でね、本宅には入らないんだけど」
「今日のお祭りのお仕事は頼まれなかったので?」
「最初からの契約でね。十四郎様から多摩荘の旦那に、朝八時から昼の十二時まで、お掃除とお洗濯だけ、来られる人はいないかって、声が掛かってね。で、お風呂掃除担当のあたしが選ばれたんだよ。お食事のお世話は、本宅の下女の亀乃ちゃんがやってるよ」
恐らく昨日、十四郎に折檻を受けたあの少女だろう。
話しながら歩いているうちに、来住野家へ向かうつづら折れに差し掛かった。
続々と曲がっていくハイヤーの中に、零は柴田の顔を見つけた。彼も気付いたようで、軽く会釈を返す。……そして、その後部座席に収まる人物。その顔は、新聞で見た事がある。次期総理候補と名の上がっている、与党の幹事長だ。このような山奥の祭りの来賓としては、最上級の人物だろう。
ハイヤーだけではない。つづら折れには多くの人影がある。まだお神楽を舞える年齢ではない幼子の手を引く村人たちや、それ以上に、小洒落た洋装の旅行客の姿が目立つ。皆一様に、つづら折れを上って行く。
そして、行き着く先は、古の陣屋を思わせる、立派な長屋門である。
ところが、今宵ここは来賓専用になっている。物々しいばかりに制服警官が目を光らす。小木曽の配慮もあるだろう。
一般客は、竹垣を裏山の方へ回った、裏門が入口になっていた。
「こっちからじゃないと、百合園に真っ直ぐ入れないのよ」
初江が説明する。長屋門の先は、本宅やら洋館やらの居住区画で、百合園と直接繋がっていないらしい。
竹垣を裏手に曲がる。すると道は、薮に吸い込まれるように細くなる。薮を抜けた甍の裏門は、大きくはないが、篝火で照らされ、実に風情がある。……門の左右に二人並ぶ警官が無粋ではあるが、仕方あるまい。
その門を潜った途端、桜子が聞こえる程に大きく息を飲んだ。
「――素敵だわ……」
裏山にかけての斜面一面に、百合の花が咲き乱れている。その広さは、学校の運動場ふたつ分くらいはありそうだ。
百合畑の間を径が走り、裏山から流れる小川が、百合園の中央の池に流れ込んでいる。
各所に配された石灯籠や篝火が、それらを幻想的に浮き上がらせていた。風流人ではない零でも、鳥肌が立つほどの景観だ。
初江が言った。
「ここが、百合御殿よ」
《添付図3》
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】共生
ひなこ
ミステリー
高校生の少女・三崎有紗(みさき・ありさ)はアナウンサーである母・優子(ゆうこ)が若い頃に歌手だったことを封印し、また歌うことも嫌うのを不審に思っていた。
ある日有紗の歌声のせいで、優子に異変が起こる。
隠された母の過去が、二十年の時を経て明らかになる?
隠れドS上司をうっかり襲ったら、独占愛で縛られました
加地アヤメ
恋愛
商品企画部で働く三十歳の春陽は、周囲の怒涛の結婚ラッシュに財布と心を痛める日々。結婚相手どころか何年も恋人すらいない自分は、このまま一生独り身かも――と盛大に凹んでいたある日、酔った勢いでクールな上司・千木良を押し倒してしまった!? 幸か不幸か何も覚えていない春陽に、全てなかったことにしてくれた千木良。だけど、不意打ちのように甘やかしてくる彼の思わせぶりな言動に、どうしようもなく心と体が疼いてしまい……。「どうやら私は、かなり独占欲が強い、嫉妬深い男のようだよ」クールな隠れドS上司をうっかりその気にさせてしまったアラサー女子の、甘すぎる受難!
伏線回収の夏
影山姫子
ミステリー
ある年の夏。俺は15年ぶりにT県N市にある古い屋敷を訪れた。大学時代のクラスメイトだった岡滝利奈の招きだった。屋敷で不審な事件が頻発しているのだという。かつての同級生の事故死。密室から消えた犯人。アトリエにナイフで刻まれた無数のX。利奈はそのなぞを、ミステリー作家であるこの俺に推理してほしいというのだ。俺、利奈、桐山優也、十文字省吾、新山亜沙美、須藤真利亜の6人は大学時代、この屋敷でともに芸術の創作に打ち込んだ仲間だった。6人の中に犯人はいるのか? 脳裏によみがえる青春時代の熱気、裏切り、そして別れ。懐かしくも苦い思い出をたどりながら事件の真相に近づく俺に、衝撃のラストが待ち受けていた。
《あなたはすべての伏線を回収することができますか?》
リモート刑事 笹本翔
雨垂 一滴
ミステリー
『リモート刑事 笹本翔』は、過去のトラウマと戦う一人の刑事が、リモート捜査で事件を解決していく、刑事ドラマです。
主人公の笹本翔は、かつて警察組織の中でトップクラスの捜査官でしたが、ある事件で仲間を失い、自身も重傷を負ったことで、外出恐怖症(アゴラフォビア)に陥り、現場に出ることができなくなってしまいます。
それでも、彼の卓越した分析力と冷静な判断力は衰えず、リモートで捜査指示を出しながら、次々と難事件を解決していきます。
物語の鍵を握るのは、翔の若き相棒・竹内優斗。熱血漢で行動力に満ちた優斗と、過去の傷を抱えながらも冷静に捜査を指揮する翔。二人の対照的なキャラクターが織りなすバディストーリーです。
翔は果たして過去のトラウマを克服し、再び現場に立つことができるのか?
翔と優斗が数々の難事件に挑戦します!
カフェ・シュガーパインの事件簿
山いい奈
ミステリー
大阪長居の住宅街に佇むカフェ・シュガーパイン。
個性豊かな兄姉弟が営むこのカフェには穏やかな時間が流れる。
だが兄姉弟それぞれの持ち前の好奇心やちょっとした特殊能力が、巻き込まれる事件を解決に導くのだった。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる