38 / 61
Ⅱ.クニツクリの涙
(3)魔法適正検査
しおりを挟む
――場所を移し、食堂。
トウヤの正面には、ワカバヤシ主任執筆が座っている。
魔法診断士の資格を持つ彼に、トウヤの潜在魔力を診てもらおうという訳だ。
あれこれと質問をされ、彼が答えるとワカバヤシはメモをしていく。
それから、手の動きを見たり、目を調べたり……義眼や義顔の存在がバレないかと少しヒヤヒヤしたが、さすがに二十二世紀のシロモノは見抜けなかったようで、ワカバヤシは片眼鏡を元に戻した。
そして、初めて見る測定器をトウヤの掌に押し当て、彼はメーターの針を睨む。
……彼は難しい顔でメーターを眺めていたのだが……
測定が終わると、彼はトウヤにこう言った。
「誠に申し上げにくいのですが、あなた様はこれ以上、魔法に関わられない方がよろしい」
「どういう事なの?」
同席したヒカルコが眉を寄せる。
すると、ワカバヤシは少し迷った様子を見せた後、答えた。
「魔法力の数値が、今でこそ基準内にありますが、個人差はあれ、魔法のトレーニングをすれば、その数値は通常、二、三倍に増します」
「それは、つまり……」
「ヒカルコ様、あなた様のお母君と同じ状況になられる可能性が高いのです」
ヒカルコが息を呑む。
「要するに、私と同じって事?」
その顔を申し訳なさそうに見ながらワカバヤシは続けた。
「魔法を知らずにここまで生きてこられたのは僥倖と言えます。このまま魔法に一切関わらずに、非魔人として過ごされる事を、私はお勧めいたします――特に、このお屋敷で過ごされるのなら」
◇
「驚いたわ、あなたにあんな力があったなんて」
極力明るい笑顔を見せているが、ヒカルコがかなりのショックを受けている事をトウヤは察していた。
非魔人と結婚したくて、いきなり彼に求婚したくらいなのだ。それが、魔力に呑まれ自害した母――つまりは自分自身――と同等の潜在魔力を持っていると知れば、戸惑うのも無理はない。
トウヤもこれには何も言い返せなかった。まさか、自分に魔力なるものがあるとは思ってもいなかった。
食堂を退出してから、庭をブラブラと並んで歩く。
午後の日差しが柔らかく木々を照らしているが、ヒカルコの表情は暗い。
トウヤは彼女をどう励ましていいか分からず、つい口走った。
「……プロポーズの件、なかった事にしてもいいんだぜ」
すると、ヒカルコは足を止め、冷たく言い放った。
「そんな言葉、聞きたくない」
「…………」
「ごめんなさい……私、どうやって自分を納得させればいいか分からなくて……」
気持ちのやり場に困った二人の足は、何となく礼拝堂に向かっていた。
ヒカルコは中ほどの椅子に座り、じっとマリア像――彼女の母の面影を見ている。
トウヤはそれを邪魔しないよう、窓辺に腰を下ろして庭を眺めた……とはいえ、建物を隠すように周囲に木が植えられているから、あまり眺めは良くない。
景色に飽きて、窓の装飾に目を移す。百合の形を抽象化した飾り窓は凛として美しく、ヒカルコの存在そのもののようだ。
その窓の上、壁に飾り彫りを施された線が、礼拝堂の内部を一周する形でぐるっと配されている。その模様を見ていると、何となく文字に見えてくるから不思議だ。
……ノノミヤ公爵が、勇者オージオへの憧れを込めたこの礼拝堂。ひょっとして、これが何かのメッセージだったりしたら面白いな。
トウヤはそんな事を思い、手持ち無沙汰に呟いた。
「これ、何かの文字に見えないか?」
当然、笑って流されるだろうと思ったのだが、やって来たヒカルコはそれを見て息を呑んだ。
「……古代ヒノモト文字だわ。見慣れてるのに、全然気付かなかった」
「何だ、それ?」
「神代文字とも呼ばれているものよ。なんでこんなものが……」
「つか、なんでそんなものを知ってるんだ?」
すると、ヒカルコは気まずそうに目を逸らした。
「な、何かの暗号に使えるかなって、調べた事があったのよ……」
父譲りのオタク気質、というところかもしれない。
――しかし、それがこんなところに彫られているのなら、意味がないはずがない。
「読めるのか?」
「本で調べれば……ちょっと待ってて」
礼拝堂を出て行ったヒカルコは、しばらくして使いこまれた本を持ってきた。
「これ。例えばこの文字なら『か』、これは『ぬ』に該当するの」
「へぇ」
「読んでみましょ」
それから二人は、壁の端から解読を始めた。
トウヤが椅子に乗って文字を書き写し、ヒカルコが該当するひらがなをメモしていく。
壁を一周するその文字列を解読し終わる頃には、窓の外はすっかり暗くなっていた。
自動的に灯ったシャンデリアの下にメモを広げる。
そして、そこに記された言葉をヒカルコは読み上げた。
「魔法とは、全ての人が平等に持つ能力であり、我々からそれを学ぶ権利を奪う事で、マヒトは優位に立っている……」
そこで彼女は目を見開いた。
「これは……どういう事……?」
トウヤには分かった気がした――かつてノノミヤ公爵が見たという、使用人のミソギが持っていた、勇者オージオの英雄譚の一節だろう。
ヒカルコは続ける。
「我々は、彼らから魔法を奪う事を求めてはいない。ただ平等を求めるのみだ。人間としての、平等を……」
――そのために血を流す過ちを、私は知っている。革命に流される血の全ての罪を、私は背負おう。皆の心の正しい希望に罪はない。今こそ、立ち上がる時。全ての人の命を背負い、私は戦う――
「……絶対不変の正義に誓う――オオシオ・コシロウ」
『オオシオ・コシロウ』というのが、オージオの本名なのだろう。
八十年前の叛乱の宣誓文に違いない。
トウヤの肌が粟立つ。このようなものを、この礼拝堂に彫り込んだノノミヤ公爵の思い以上に、この宣誓文が謳う内容の重さに、である。
これは、ただの宣誓文ではない。マヒトという特権階級の欺瞞を告発したものだ。
――こんなものが世に出れば、ヒノモトはひっくり返る。
イザナヒコが叛乱を、どんな手段を以てしても押さえ込みたかった理由が、これなのだ。
トウヤの横で、ヒカルコも震えている。
「これは、どういう事……」
そう繰り返し、メモからトウヤに視線を移す。
「つまり、本当はミソギなど存在しない、って事なの?」
「この文面をそのまま読むと、そういう事になるな……」
「なら――」
ヒカルコの目が潤む。
「私がトウヤを選んでも、問題ないって事ね……!」
トウヤは笑顔を返す。
「だね」
「良かった……」
と、彼女はその場に泣き崩れた。
「本当に私、どうしようかと……」
トウヤはそんな彼女の肩にそっと手を置いた。
「これからマヒトもミソギもない世の中にするんだろ? どっちにしたって、関係ないじゃないか」
するとヒカルコは顔を上げた。
「本当に、そんな世の中にできるのかしら」
「君が心からそう望めば、そうなるさ――俺がそうする」
そう言って彼はニヤリと歯を見せた。
「実は、君の母上に約束しちゃったからさ。こう見えて、約束は守る主義でね」
と彼が顔を覗き込むと、ヒカルコは頬を紅潮させて固まった。
「あ、あの……もう少し、顔を離してくださらない?」
目を泳がせるヒカルコの肩をポンと叩き、トウヤは立ち上がる。
「やっぱり、君には笑顔でいて欲しいんだ――これが、俺の望み」
トウヤの正面には、ワカバヤシ主任執筆が座っている。
魔法診断士の資格を持つ彼に、トウヤの潜在魔力を診てもらおうという訳だ。
あれこれと質問をされ、彼が答えるとワカバヤシはメモをしていく。
それから、手の動きを見たり、目を調べたり……義眼や義顔の存在がバレないかと少しヒヤヒヤしたが、さすがに二十二世紀のシロモノは見抜けなかったようで、ワカバヤシは片眼鏡を元に戻した。
そして、初めて見る測定器をトウヤの掌に押し当て、彼はメーターの針を睨む。
……彼は難しい顔でメーターを眺めていたのだが……
測定が終わると、彼はトウヤにこう言った。
「誠に申し上げにくいのですが、あなた様はこれ以上、魔法に関わられない方がよろしい」
「どういう事なの?」
同席したヒカルコが眉を寄せる。
すると、ワカバヤシは少し迷った様子を見せた後、答えた。
「魔法力の数値が、今でこそ基準内にありますが、個人差はあれ、魔法のトレーニングをすれば、その数値は通常、二、三倍に増します」
「それは、つまり……」
「ヒカルコ様、あなた様のお母君と同じ状況になられる可能性が高いのです」
ヒカルコが息を呑む。
「要するに、私と同じって事?」
その顔を申し訳なさそうに見ながらワカバヤシは続けた。
「魔法を知らずにここまで生きてこられたのは僥倖と言えます。このまま魔法に一切関わらずに、非魔人として過ごされる事を、私はお勧めいたします――特に、このお屋敷で過ごされるのなら」
◇
「驚いたわ、あなたにあんな力があったなんて」
極力明るい笑顔を見せているが、ヒカルコがかなりのショックを受けている事をトウヤは察していた。
非魔人と結婚したくて、いきなり彼に求婚したくらいなのだ。それが、魔力に呑まれ自害した母――つまりは自分自身――と同等の潜在魔力を持っていると知れば、戸惑うのも無理はない。
トウヤもこれには何も言い返せなかった。まさか、自分に魔力なるものがあるとは思ってもいなかった。
食堂を退出してから、庭をブラブラと並んで歩く。
午後の日差しが柔らかく木々を照らしているが、ヒカルコの表情は暗い。
トウヤは彼女をどう励ましていいか分からず、つい口走った。
「……プロポーズの件、なかった事にしてもいいんだぜ」
すると、ヒカルコは足を止め、冷たく言い放った。
「そんな言葉、聞きたくない」
「…………」
「ごめんなさい……私、どうやって自分を納得させればいいか分からなくて……」
気持ちのやり場に困った二人の足は、何となく礼拝堂に向かっていた。
ヒカルコは中ほどの椅子に座り、じっとマリア像――彼女の母の面影を見ている。
トウヤはそれを邪魔しないよう、窓辺に腰を下ろして庭を眺めた……とはいえ、建物を隠すように周囲に木が植えられているから、あまり眺めは良くない。
景色に飽きて、窓の装飾に目を移す。百合の形を抽象化した飾り窓は凛として美しく、ヒカルコの存在そのもののようだ。
その窓の上、壁に飾り彫りを施された線が、礼拝堂の内部を一周する形でぐるっと配されている。その模様を見ていると、何となく文字に見えてくるから不思議だ。
……ノノミヤ公爵が、勇者オージオへの憧れを込めたこの礼拝堂。ひょっとして、これが何かのメッセージだったりしたら面白いな。
トウヤはそんな事を思い、手持ち無沙汰に呟いた。
「これ、何かの文字に見えないか?」
当然、笑って流されるだろうと思ったのだが、やって来たヒカルコはそれを見て息を呑んだ。
「……古代ヒノモト文字だわ。見慣れてるのに、全然気付かなかった」
「何だ、それ?」
「神代文字とも呼ばれているものよ。なんでこんなものが……」
「つか、なんでそんなものを知ってるんだ?」
すると、ヒカルコは気まずそうに目を逸らした。
「な、何かの暗号に使えるかなって、調べた事があったのよ……」
父譲りのオタク気質、というところかもしれない。
――しかし、それがこんなところに彫られているのなら、意味がないはずがない。
「読めるのか?」
「本で調べれば……ちょっと待ってて」
礼拝堂を出て行ったヒカルコは、しばらくして使いこまれた本を持ってきた。
「これ。例えばこの文字なら『か』、これは『ぬ』に該当するの」
「へぇ」
「読んでみましょ」
それから二人は、壁の端から解読を始めた。
トウヤが椅子に乗って文字を書き写し、ヒカルコが該当するひらがなをメモしていく。
壁を一周するその文字列を解読し終わる頃には、窓の外はすっかり暗くなっていた。
自動的に灯ったシャンデリアの下にメモを広げる。
そして、そこに記された言葉をヒカルコは読み上げた。
「魔法とは、全ての人が平等に持つ能力であり、我々からそれを学ぶ権利を奪う事で、マヒトは優位に立っている……」
そこで彼女は目を見開いた。
「これは……どういう事……?」
トウヤには分かった気がした――かつてノノミヤ公爵が見たという、使用人のミソギが持っていた、勇者オージオの英雄譚の一節だろう。
ヒカルコは続ける。
「我々は、彼らから魔法を奪う事を求めてはいない。ただ平等を求めるのみだ。人間としての、平等を……」
――そのために血を流す過ちを、私は知っている。革命に流される血の全ての罪を、私は背負おう。皆の心の正しい希望に罪はない。今こそ、立ち上がる時。全ての人の命を背負い、私は戦う――
「……絶対不変の正義に誓う――オオシオ・コシロウ」
『オオシオ・コシロウ』というのが、オージオの本名なのだろう。
八十年前の叛乱の宣誓文に違いない。
トウヤの肌が粟立つ。このようなものを、この礼拝堂に彫り込んだノノミヤ公爵の思い以上に、この宣誓文が謳う内容の重さに、である。
これは、ただの宣誓文ではない。マヒトという特権階級の欺瞞を告発したものだ。
――こんなものが世に出れば、ヒノモトはひっくり返る。
イザナヒコが叛乱を、どんな手段を以てしても押さえ込みたかった理由が、これなのだ。
トウヤの横で、ヒカルコも震えている。
「これは、どういう事……」
そう繰り返し、メモからトウヤに視線を移す。
「つまり、本当はミソギなど存在しない、って事なの?」
「この文面をそのまま読むと、そういう事になるな……」
「なら――」
ヒカルコの目が潤む。
「私がトウヤを選んでも、問題ないって事ね……!」
トウヤは笑顔を返す。
「だね」
「良かった……」
と、彼女はその場に泣き崩れた。
「本当に私、どうしようかと……」
トウヤはそんな彼女の肩にそっと手を置いた。
「これからマヒトもミソギもない世の中にするんだろ? どっちにしたって、関係ないじゃないか」
するとヒカルコは顔を上げた。
「本当に、そんな世の中にできるのかしら」
「君が心からそう望めば、そうなるさ――俺がそうする」
そう言って彼はニヤリと歯を見せた。
「実は、君の母上に約束しちゃったからさ。こう見えて、約束は守る主義でね」
と彼が顔を覗き込むと、ヒカルコは頬を紅潮させて固まった。
「あ、あの……もう少し、顔を離してくださらない?」
目を泳がせるヒカルコの肩をポンと叩き、トウヤは立ち上がる。
「やっぱり、君には笑顔でいて欲しいんだ――これが、俺の望み」
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
チート生産魔法使いによる復讐譚 ~国に散々尽くしてきたのに処分されました。今後は敵対国で存分に腕を振るいます~
クロン
ファンタジー
俺は異世界の一般兵であるリーズという少年に転生した。
だが元々の身体の持ち主の心が生きていたので、俺はずっと彼の視点から世界を見続けることしかできなかった。
リーズは俺の転生特典である生産魔術【クラフター】のチートを持っていて、かつ聖人のような人間だった。
だが……その性格を逆手にとられて、同僚や上司に散々利用された。
あげく罠にはめられて精神が壊れて死んでしまった。
そして身体の所有権が俺に移る。
リーズをはめた者たちは盗んだ手柄で昇進し、そいつらのせいで帝国は暴虐非道で最低な存在となった。
よくも俺と一心同体だったリーズをやってくれたな。
お前たちがリーズを絞って得た繁栄は全部ぶっ壊してやるよ。
お前らが歯牙にもかけないような小国の配下になって、クラフターの力を存分に使わせてもらう!
味方の物資を万全にして、更にドーピングや全兵士にプレートアーマーの配布など……。
絶望的な国力差をチート生産魔術で全てを覆すのだ!
そして俺を利用した奴らに復讐を遂げる!
根暗男が異世界転生してTS美少女になったら幸せになれますか?
みずがめ
ファンタジー
自身の暗い性格をコンプレックスに思っていた男が死んで異世界転生してしまう。
転生した先では性別が変わってしまい、いわゆるTS転生を果たして生活することとなった。
せっかく異世界ファンタジーで魔法の才能に溢れた美少女になったのだ。元男は前世では掴めなかった幸せのために奮闘するのであった。
これは前世での後悔を引きずりながらもがんばっていく、TS少女の物語である。
※この作品は他サイトにも掲載しています。
君を愛することは無いと言うのならさっさと離婚して頂けますか
砂礫レキ
恋愛
十九歳のマリアンは、かなり年上だが美男子のフェリクスに一目惚れをした。
そして公爵である父に頼み伯爵の彼と去年結婚したのだ。
しかし彼は妻を愛することは無いと毎日宣言し、マリアンは泣きながら暮らしていた。
ある日転んだことが切っ掛けでマリアンは自分が二十五歳の日本人女性だった記憶を取り戻す。
そして三十歳になるフェリクスが今まで独身だったことも含め、彼を地雷男だと認識した。
「君を愛することはない」「いちいち言わなくて結構ですよ、それより離婚して頂けます?」
別人のように冷たくなった新妻にフェリクスは呆然とする。しかしこれは反撃の始まりに過ぎなかった。
召喚され救世主じゃないと言われたが、復讐の旅でなぜか身体を狙われている
咲
BL
ある日、俺は異世界に救世主として召喚された。しかし伝承とは違う性別の俺は投獄され、召喚した国の王に奴隷に落とされかける。
だが、ある1人の兵士に助けられ、俺の人生を狂わせた暴君への復讐を誓った。少しずつ知って行く事実、先代の救世主が俺の家族だったことや人間が他の国にしている事。俺の怒りはあっという間に大きくなって行く。
チートな能力と喧嘩の経験を使いこなしながら旅を始め、その旅の中で出会った人間に恨みがある他種族を仲間にしていく。
仲間を増やしてレッツ復讐!
………の旅なのに、なんでエロ展開になって俺が総受けになってんだ!?
❇︎=R-18
※残酷描写を含みます
※男性向けの表現を含みます
※投稿頻度はランダムになります
お気に入り登録、感想などはお気軽にしていただけると嬉しいです!
前世は婚約者に浮気された挙げ句、殺された子爵令嬢です。ところでお父様、私の顔に見覚えはございませんか?
柚木崎 史乃
ファンタジー
子爵令嬢マージョリー・フローレスは、婚約者である公爵令息ギュスターヴ・クロフォードに婚約破棄を告げられた。
理由は、彼がマージョリーよりも愛する相手を見つけたからだという。
「ならば、仕方がない」と諦めて身を引こうとした矢先。マージョリーは突然、何者かの手によって階段から突き落とされ死んでしまう。
だが、マージョリーは今際の際に見てしまった。
ニヤリとほくそ笑むギュスターヴが、自分に『真実』を告げてその場から立ち去るところを。
マージョリーは、心に誓った。「必ず、生まれ変わってこの無念を晴らしてやる」と。
そして、気づけばマージョリーはクロフォード公爵家の長女アメリアとして転生していたのだった。
「今世は復讐のためだけに生きよう」と決心していたアメリアだったが、ひょんなことから居場所を見つけてしまう。
──もう二度と、自分に幸せなんて訪れないと思っていたのに。
その一方で、アメリアは成長するにつれて自分の顔が段々と前世の自分に近づいてきていることに気づかされる。
けれど、それには思いも寄らない理由があって……?
信頼していた相手に裏切られ殺された令嬢は今世で人の温かさや愛情を知り、過去と決別するために奔走する──。
※本作品は商業化され、小説配信アプリ「Read2N」にて連載配信されております。そのため、配信されているものとは内容が異なるのでご了承下さい。
狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
マーラッシュ
ファンタジー
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる