元禄大正怪盗伝

山岸マロニィ

文字の大きさ
上 下
4 / 61
Ⅰ.トーキョー・ファントムシーフ

(4)廃駅ニテ

しおりを挟む
「――トウヤ、起きるでアリマス。朝でアリマス」
「…………ん……」
 寝返りを打っただけで再び目を閉じた彼の顔にリュウが張り付き、ザラザラとした舌で頬を舐め回す。
「起きるでアリマス」

 リュウの両目が眩しく光る。目に搭載された懐中電灯だ。
 瞼越しに懐中電灯に照らされては、さすがに二度寝できない。
「起きるよ……起きるから」
 と、トウヤはリュウの頭を軽く撫でる。すると、気持ち良さそうに細め、リュウの目から光が消えた。

 それと同時に室内灯が点灯する。ピアスからの脳波に反応したのだ。裸電球の明かりはおぼつかないけれど、寝起きの目にはちょうどいい。

 リンゴ箱を並べただけの粗末なベッドを軋ませて身を起こす。
 すぐ横の、味噌ダルに板を置いただけのテーブルには、半分に割ったコッペパン。昨夜の残りだ。
 ベッドの端に腰掛け、コッペパンをかじる。
 すると、寝癖だらけの頭からようやく抜け出したリュウがポトンとテーブルに落ちた。そしてトウヤにもの欲しげな顔を向ける。
 二十二世紀の生物型自律ロボットにありがちな、糖分を燃料にする自家発電装置が内蔵されているのだ。

 トウヤは、テーブルの端に置かれた瓶から金平糖コンペイトウを数粒取り出し、リュウの前に転がしてやる。すると、猫がボールにじゃれつくようにひとしきり遊んでから、リュウはパクリと口に入れた。

 食事中はそっとしておいてやろうと、トウヤは見慣れた部屋を見渡す。
 裸電球が照らす狭い空間。
 薄汚れた灰色の壁と、ひび割れた天井。飾りらしいものは、石積みに張り付いた苔と蜘蛛の巣くらいだ。

 人の住むべき空間ではないこの場所に、辛うじて生活感を醸しているのは、簡素極まるベッドとテーブル、そして壁際のトランクの上に置かれたドローンと、剥き出しのパイプに引っ掛けてある黒いフロックコートだけだ。

 窓はない……いや、あるのだが、窓の外も似たような景色だから、窓がある意味がほとんどない。気休め程度にボロ布を垂らしてあるが、カーテンの役割すら意味がないのだ。

 太陽の光の届かない、カビ臭い地下廃構。
 リュウに内蔵された原子時計だけが、朝を知っている。

 ここは、地下の廃駅の、かつて駅舎だった場所。
 皆が忘れ去った存在である「地下鉄」の遺構である。

 この辺りの歴史も、トウヤが知っているものと食い違っている。
 師匠が持っていた本によると、日本で最初に地下鉄が運行されたのが、昭和二年の銀座線。西暦一九二七年の事だ。
 ――そして、この世界での年号が、元禄二百三十三年。
 もしトウヤが元いた世界と世界線を共通としているのなら、元禄元年を起点に計算すれば、西暦一九二〇年に当たる。

 この時代に、地下鉄があるはずがないのだ。

 しかし地下鉄はかつて存在し、とうの昔に打ち捨てられている。
 どうやら八十年前には既に存在していて、神帝暗殺未遂事件で使われたために厳重に封じられたようだ。

 とはいえ抜け道はあるもので、マンセイ橋の下にある荷揚げ場の奥に、ここへと通じる入口があった……もちろん一般人が見付けられるような場所ではないが。

 八十年も昔の地下遺構。
 魔法の遮断されたこの空間が、トーキョーで唯一安らぎを得られる「我が家」なのだ。

 ここに落ち着くまで、トウヤは労働者たちが集まる安宿を転々としていた。
 魔人マヒトといっても階級はピンからキリで、支配階級となる華族の他にも、生活のために働く者も数多く存在する。そんな彼らが出稼ぎするための簡易宿泊施設が、トーキョーのあちこちにあった。
 そこでは身分証の確認など行っていないから、非魔人ミソギが混じっても気付かれない。

 とはいえ、抜き打ちで行なわれる憲兵のモソギ狩りに出くわしたら、タダでは済まない。
 もし身分がバレれば、奴隷としてどこかに連れ去られるか、殺されるか。
 ミソギは働くだけで命懸けなのだ。

 その上、彼が「怪盗」である証拠を隠すには、安宿ではあまりにも心許ない。

 そのため、トウヤは地下に潜ったのだが、リュウは不満そうだ。
 地下迷宮に住み着く巨大ドブネズミが、彼の天敵だからだ。
 
 とはいえ、ここが「我が家」。
 命の心配がなく眠れるだけマシだ――そう思い込もうとするものの、この場所が持つ陰鬱な空気は、精神までもを蝕んでいく。
 「この街の全ての魔法を盗む」などと大言壮語を吐きながら、それは到底叶えられる夢ではないと、トウヤも心の奥では思っていた。

 異端児として、異世界で生きていく理由付けとしての言い訳なのだろう。
 果たして俺に、生きている価値があるのか――師匠を死なせた、俺に。

 灰色の景色を眺めていると、ついそんな事を考える。
 ――そんな投げやりな気分が、彼に危険な獲物に向かわせる。
 ヒリヒリと身を切るような痛みスリルだけが生きている実感であり、師匠との繋がりだから。

 数口でコッペパンを食べ切り、水を飲もうと水差しに手を伸ばす。しかし瓶の重さで空だと悟った彼は、すぐさまテーブルに戻して伸びをした。
「水を取りに行かなきゃな……」

 辛うじて水道が生きている隣の駅まで、線路を歩いて行かねばならない。

 空瓶を背負い、立て掛けただけの戸を開けてホームに出る。戸を戻せば、目の前は漆黒の闇だ。
 すると、いつの間にか肩に乗っていたリュウが声を掛けた。
「ワガハイが目で照らすでアリマス」
「いや、いいよ。もし誰かがいたら大変だ」
 トウヤはそう言うと目を閉じ、軽く瞼に触れた。

 そして目を開くと、アメジスト色の瞳がぼんやりと光っている――義眼に仕込まれた「暗視モード」だ。

 彼は幼い頃事故に遭い、両親と、視力もを失った。
 人身売買のブローカーにも相手にされず、酷いありさまで捨てられていたところを、師匠に拾われたらしい。
 その頃の記憶はない。
 だから、師匠にもらったこの目で初めて見た彼の笑顔が、一番大切な存在になった。

 何度か瞬きをして光度を調整し、トウヤは顔を上げた。
 正面の狭いホームの下が線路で、その奥に支柱が立っている。
 右手側の線路は行き止まりだ。カンダ川の下にトンネルを通す工事は魔法の力を以てしても難航し、そのまま放棄されたようだ。
 ホームの右手側には、途中で崩れている階段と、マンセイ橋に向かう通用口がある。

 けれど、今の目的地はそっちじゃない。
 トウヤは線路に降りて左手に向かった。

 隣の駅までは歩いて十分ほど。
 『うょちろひゑす』と書かれた看板の脇に、蛇口が壊れて出っぱなしになっている水道がある。

 トウヤは溢れる水に直接口をつけて喉を潤す。それから、風呂敷で背負ってきた一升瓶を水で満たして再び背負った。

 ……水が近くて便利なこの駅に住めば良いようなものだが、トウヤは敢えて隣の駅に住んでいる。
 万一、水漏れに気付いて誰かが工事に来た時、ここにいては危険だからだ。

 つまり、トウヤの――怪盗ジュークの隠れ家がバレるとすれば、この駅からである可能性が高い。

 そのため、行き来するための線路には、踏めば音が鳴る罠を複数仕掛けてある。もちろん、マンセイ橋からの隠し通路にも。
 それだけの警戒をする根拠は、壊れた水道の他にもあった。

 満タンの一升瓶を「よいしょ」と背負って身を起こした瞬間。
 轟音が響いて、突風が彼の癖髪を揺らしたのだ。

 老朽化のために、地上と繋がるどこかに裂け目ができている。時折、落ち葉や古新聞が舞い込んでくるほどの裂け目が。
 そこに誰かが落ちて、この地下迷宮に迷い込んできてもおかしくない。
 
 そしてこの時も、風に向けた彼の顔に、飛ばされてきた新聞紙が張り付いた。
「うわっ!」
 いきなり視界を奪われて平衡感覚を失い、重い荷物を背負ったばかりのトウヤはよろめく。
 すると、肩のリュウが口で器用に新聞を取り外した。

 何とか転ばずに済んで、トウヤはふうと息を吐く。
「助かったよ、リュウ」
 すると、リュウは首を傾げた。その青白い光を帯びた目は、口にくわえた紙面に向けられている。彼の目にもトウヤの義眼と同等の性能があるから、漆黒の闇の中で紙面を読む事が可能なのだ。
「この新聞、今日の日付でアリマス」
「へえ、それは面白いじゃないか。どれどれ、怪盗ジュークの大活躍は一面に出てるかな」

 ところが、怪盗ジュークによる犯行の記事は、三面に小さく書かれていただけだった。被害者であるタジミ公爵の世間体をおもんばかっての事だろうが……
「チッ、つまんねえな」
「いや、もっと面白いものがこちらにあるでアリマス」
 そう言って、リュウが覗き込んだのはその記事の裏――一面だ。

 裏返した紙面。
 そこにあったのは……


『ノノミヤ公爵ノ御息女 怪盗ヲ捕エルベク探偵ヲ募集ス』


 一面のど真ん中に、大きく配された見出し。
 通常の新聞では考えられない、異例の全面広告である。

 ノノミヤ公爵といえば、昨夜トーキョー駅で見掛けた馬車だ。
 そんなお家柄のご令嬢が、一体どういうつもりだ?

 不審に思いつつも、トウヤは紙面から目が離せない。
 これは、彼への挑発であると同時に、チャンスでもある。

 ミソギを邪険に追っ払うような奴らに一泡噴かせてやるのも悪くない。トウヤはそう思った。

「……ふうん、確かに面白いね」
 と彼は目を細め、ニヤリと口角を上げた。
「その挑戦、受けて立とうじゃないか」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~

樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。 無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。 そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。 そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。 色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。 ※この作品はカクヨム様でも掲載しています。

ダンジョンシーカー

サカモト666
ファンタジー
高校生の武田順平はある日、不良少年の木戸翔太や幼馴染の竜宮紀子らと共に、「神」の気まぐれによって異世界へと召喚されてしまう。勇者としてのチート召喚――かと思いきや、なぜか順平だけが村人以下のクズステータス。戦闘もできない役立たずの彼は、木戸らの企みによって凶悪な迷宮に生贄として突き落とされてしまった。生還率ゼロの怪物的迷宮内、絶体絶命の状況に半ば死を覚悟した順平だったが、そこで起死回生の奇策を閃く。迷宮踏破への活路を見出した最弱ダンジョンシーカーが、裏切り者達への復讐を開始した――

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革

うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。 優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。 家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。 主人公は、魔法・知識チートは持っていません。 加筆修正しました。 お手に取って頂けたら嬉しいです。

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!  父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 その他、多数投稿しています! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

毒素擬人化小説『ウミヘビのスープ』 〜十の賢者と百の猛毒が、寄生菌バイオハザード鎮圧を目指すSFファンタジー活劇〜 

天海二色
SF
 西暦2320年、世界は寄生菌『珊瑚』がもたらす不治の病、『珊瑚症』に蝕まれていた。  珊瑚症に罹患した者はステージの進行と共に異形となり凶暴化し、生物災害【バイオハザード】を各地で引き起こす。  その珊瑚症の感染者が引き起こす生物災害を鎮める切り札は、毒素を宿す有毒人種《ウミヘビ》。  彼らは一人につき一つの毒素を持つ。  医師モーズは、その《ウミヘビ》を管理する研究所に奇縁によって入所する事となった。  彼はそこで《ウミヘビ》の手を借り、生物災害鎮圧及び珊瑚症の治療薬を探究することになる。  これはモーズが、治療薬『テリアカ』を作るまでの物語である。  ……そして個性豊か過ぎるウミヘビと、同僚となる癖の強いクスシに振り回される物語でもある。 ※《ウミヘビ》は毒劇や危険物、元素を擬人化した男子になります ※研究所に所属している職員《クスシヘビ》は全員モデルとなる化学者がいます ※この小説は国家資格である『毒劇物取扱責任者』を覚える為に考えた話なので、日本の法律や規約を世界観に採用していたりします。 参考文献 松井奈美子 一発合格! 毒物劇物取扱者試験テキスト&問題集 船山信次  史上最強カラー図解 毒の科学 毒と人間のかかわり 齋藤勝裕  毒の科学 身近にある毒から人間がつくりだした化学物質まで 鈴木勉   毒と薬 (大人のための図鑑) 特別展「毒」 公式図録 くられ、姫川たけお 毒物ずかん: キュートであぶない毒キャラの世界へ ジェームス・M・ラッセル著 森 寛敏監修 118元素全百科 その他広辞苑、Wikipediaなど

お母さん冒険者、ログインボーナスでスキル【主婦】に目覚めました。週一貰えるチラシで冒険者生活頑張ります!

林優子
ファンタジー
二人の子持ち27歳のカチュア(主婦)は家計を助けるためダンジョンの荷物運びの仕事(パート)をしている。危険が少なく手軽なため、迷宮都市ロアでは若者や主婦には人気の仕事だ。 夢は100万ゴールドの貯金。それだけあれば三人揃って国境警備の任務についているパパに会いに行けるのだ。 そんなカチュアがダンジョン内の女神像から百回ログインボーナスで貰ったのは、オシャレながま口とポイントカード、そして一枚のチラシ? 「モンスターポイント三倍デーって何?」 「4の付く日は薬草デー?」 「お肉の日とお魚の日があるのねー」 神様からスキル【主婦/主夫】を授かった最弱の冒険者ママ、カチュアさんがワンオペ育児と冒険者生活頑張る話。 ※他サイトにも投稿してます

処理中です...