中年sランク冒険者の俺が次世代の育成をしてたら、異世界召喚勇者軍団が俺を魔王と勘違いして攻めてきた。

二章 後輩冒険者

セレシアの使徒

次の日、アミルは真夜中に魔力を切れるまで使ったため、全回復しておらず、身体強化の魔法を満足に使えなかった。
仕方ないので俺が担いで移動している。
フーロが俺の背中に張り付いているアミルを鋭く睨みつけているが、見なかった事にする。
今日は世界樹の麓を出発して4日経つ、そろそろ着く頃だと思うのだが。
ミロが昨日来た時、特に言ってなかったが、残ったメイド達は仲良くやってるだろうか。帰ったら、みんなミロみたく飛躍的に成長してたら嬉しい。

そんな事を考えていると、先頭を走っていたコウマが急に止まる。
おそらく範囲探知していてその範囲内に何か掛かったのだろう。
「神龍がこっちに向かってる！」コウマがみんなそうに叫び近くの森に身を隠してやり過ごす事を提案する。
神龍とは女神セレシアの使徒の一種で、簡単に言うとホーリードラゴンという種の一部が丸々セレシア側について力をつけた。
その長たるマスタードラゴンは竜種の中だと龍王と肩を並べるくらいの強さがあるとかないとか、
龍王曰く「あのババアの力を借りなきゃ戦えない臆病者など相手にならんわ」だそうです。参考にならねぇ。

幸い飛んできているのは、そんなに強くないらしい。コウマ基準で強く無いだから、他の天狗達は当てならないと警戒を怠らなかったけど。
程なくして神龍が姿をあらわす。うん、あれは竜種の中でも弱い、てかまだ子供だろあれ。天狗達の中でも安堵の雰囲気が漂っている中俺は観察を続ける。そしたら神龍の独り言が聞こえた。

「なんで俺が索敵なんかしなきゃいけないんだよ。女神が呼び出した勇者だがなんだか知らないけど、俺を無理やり家族から引き剝がしやがって、こちとら生まれて60もたってないんだぞ、なのに勇者の実力的に俺しか契約できないて、女神様、絶対勇者の人選間違えたでしょ。俺一族の中で最弱最年少なんですけどー！」
うん。なんか理不尽な目にあってきたんだなこの神龍。おそらく勇者が主従契約を結んで従魔になったのだろう。
自分の意思ではなさそうだけど、契約で縛るにも魔力が必要なので、強い従魔を連れている人ほど、本人も強い。 
Sランク冒険者にも竜種と契約を結んでる人いるけど、基本的に本人が戦えば事足りる状況がほとんどとか言ってた。
どうでもいい解説してるとこっちに気づいていたらしく、俺たちの方に話しかけてくる。

「あの～、あれっすよね、風神様のところの天狗っすよね？俺の契約者に探して来いって言われたんすけど、俺じゃ勝てる見込み微塵もないんで報告しない代わりに見逃してくれくれないっすか？」えらく逃げ腰な神龍である。
無理もない竜種の60はまだ巣から出てこず、親に育てられてる年齢だ。
代表して、コウマが神龍の前に立つ。
「そうね、実力がわかってて身の程をわきまえてるくらいだし、返してあげてもいいよ」
神龍はありがたいと頭を下げる。
そこで念話でもきたのだろうか神龍の表情が変わる。
「何言ってんだ？国がゴブリンに囲まれてるとか何言ってんだか？しかも俺に全滅しろとか、はぁしかたねぇ。」
この神龍は声に出さないとまだ念話もしっかりできたいほど幼いのか。
それにしてもゴブリンを神龍に襲わせる勇者って。
でも、そう言う事なら帰してあげることができなさそうだ。