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1章 奴隷の育成

俺のした事

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自室について、ソファにかける。フーロを隣に座るよう促す。以外にも素直にフーロは隣に座った。
「ご主人様、何かご用がお有りなのでしょうか?」フーロが俺を見上げて言う。
「いやな、今日は大変だったな」
「ご主人様の命令は絶対ですので」フーロがいつもよりそっけなく言う。握り込んでいる手が震えてる。必死に涙もこらえているようだ。
「俺が初めて殺した時の感覚を今でも思い出す。」
「え?」急に何を話し始めたのか理解できてない様子のフーロ。
「これまでに戦争にも出たし、盗賊も何回も殺した。でも最初の一回その時の感覚は今でも覚えてる。」まぁ俺が初めて殺したのが仲間の裏切りで殺そうとしてきたからという印象的なものだからではあるが、
「正直後悔している。でももうやり直せない、だから我慢するのはやめたほうがいい。俺どうしてもというなら、が泣くのを許可するよ」嘘ではない、怒りに任せて殺したのは確かだけど、そのまま婚約者ごと放り出すって選択肢もあったのだ。だが奴の死ぬ間際に見せた筋違いにもほどがある俺を恨むその表情、あれだけは拭い去れないたまに夢にも出てくる。
「申し訳ありません、ご主人様」そう言って俺の胸の中で泣くフーロ。俺はあやすようにそっと頭を撫でた。
ここで俺は自分がした事の重大さに気づいた。例え実力があったとしても中身は成人したばかりの少女なのだ。そんな子の心が人殺しというプレッシャーに耐えられるはずはない。
フーロは俺の胸の中で怖かった、怖かったと泣いている。当たり前の話だ。そして俺は泣いているフーロを見て、こんな思いをさせたくないと感じた。この半月で彼女らは保護してきたいずれは出て行く奴隷から、しっかりとこの家の一員として認識が変わったらしい。この場合はメイドとでも呼べばいいか。俺はメイド達にこんな思いを2度とさせたくないと切に思った。

しばらく泣いて落ち着いたのか、フーロは俺の胸の中でスヤスヤ寝ている。フーロが寝てから1時間が経っている。俺は世界の調和を保つ為という自分の使命のために二十歳も超えてない少女に人殺しを強制してしまった。たとえそれが何回も復活する勇者だとしてもだ。本当のことを言えば、俺はフーロにも残ってもらいたいけど、これ以上こっちの権限を押し付けるのはやりたくない、自分の意思で決めてもらいたい。もう殺人を強要してる時点でもう何も言えないのだがな。
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