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第1章

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案の定、すぐには会うことができなかったが、昼過ぎならということで待つことにした。

待っている間、体を鍛えることを考えたがたまたま、この国の本を借りることができたので魔法局の廊下にあったベンチに腰掛けてそれを読むことにした。

部隊が多国籍だった関係上、とっさに味方から出る言葉を理解するのは必須だったので日英語はもちろん、聞き取りだけなら露語も出来る。
個人的な付き合いで独語も一応会話できる程度には習得している。

この国の言語は音の記号を並べて単語とし、それの並びで意味を作る。
漢字や英語の様な感じに思う。
これなら1年真面目に使い続ければ、拙くても喋れる様になるだろう。
眼鏡の能力でそもそもそんな努力が必要かは疑問だが、

ちなみに本の中身は魔物図鑑である。
この国の最高学校の学者が著作したもので実に数百種も載っている。
魔物の身体的特徴、分布地域との兼ね合い、さらに行動の特徴が書いてあり、国の陸上で会う魔物はほぼ網羅してるらしい。

「やあ待たせたね。」
局長室のドアが開きそこから手招きする女性が見える。
促されるまま部屋に入り、女性の向かい側に腰掛ける。

「急に押しかけたのに会ってもらえて助かる。」
「いえいえ、女王からも異世界人の手助けをする様に言われているので、どちらを優先すべきかは明白です。」

かなり無理やり時間を作ってくれたのは、部屋を入って正面にある大きなデスクを見ればわかる。

かなり紙の書類が積んであり、俺がまっている間もかなりの回数人の出入りもあったし、やはり忙しいのだろう。

「それで今日は何が知りたいのでしょうか?先日の初迷宮潜入は無事帰ってきた様ですが。」
「あぁ、教わった身体強化がかなり役に立った。今日来たのは俺にも使える魔法が無いかと聞きに来た。」
「その様子では、迷宮で魔法の優位性を感じてしまいましたか?」
「‥‥まぁそんな所だ。」
俺の戦い方ではあのドラゴン並みのでかい奴は相手にできない。

武器を変えろ言われたが、それにも限度がある。


「では、まず精密に適性属性を調べてみましょう。」
「適正属性?魔法属性なら俺には無いぞ?」
「ステータスで見れるのは大雑把なものですから、とりあえずこちらを」

デスクの上から1枚の紙を持ってくる。
その紙を俺の前のテーブルに置き、魔力を込めた指先で円とその中に一筆書きの星を書いた。

「これも見えているのですね。既に目を手に入れてるとは貴方の適応速度は恐ろしいです。ここに魔力を注いでください。」

躊躇なく魔力を行使しまくることを言っているのだろうか。
目の事は荒療治の結果なのでなんとも言えないところだが。

言われるがままに魔力を流すべく、指先に集中する。
すると俺の魔力は体内からすんなり指先から外に溢れてくる。
それを紙に流すと細かい紋様が浮かび上がった。


「細かい説明は省きますが、貴方の属性レベルは火2水1風0雷0土1闇2聖1ですね。これは5段階評価です。」
浮かび上がった模様は彼女が最初になぞった円よりだいぶ小さいもので明らかに俺のレベルが低いのはわかる。

「これは適正の度合いですので、0であったり低くても魔法は使えます。制御できなかったり、手元で暴発したりかなり危険ですが。」

彼女は小さな水の玉を手のひらで作り出して遠くに飛ばして見せる。
水の玉はふらふらと蛇行し途中で破裂した。

「私は火4水0風5雷3土3闇5聖5です。ので水の魔法は制御できません、ただ魔力はありますので大量に水を作る程度ならできますよ。適正レベルの高い人は訓練次第でその水を津波の様にあやったりしますが、そもそも魔力から物質を作ることが割と非効率なのであまり見る事はないでしょう。」

言い終えると席を立ち。
「まずは多少の練習で貴方が使える魔法を各属性1つずつ見せていきます。とりあえず移動しましょう。」
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