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第1章
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「大丈夫か⁈」
2人?が上空に行き場所が空いたところにロレンスが他何人か連れてやってくる。
「………まぁなんとかな」
龍の興味が別のところに移ってくれて助かった。
まぁ龍からしたら人間なんてそんなものだろうな、むしろ生きのいい奴相手したの方が楽しいだろう。
「彼女達はこちらで保護します。」
ロレンスの後ろに控えていた女性の騎士達が俺の上にいる2人を回収しにやってくる。
「おじさん、助けてくれてありがとね」
片方はすんなりと離れていった。
それでも腰は抜けているのか女性の騎士に抱えられてだが。
「………」
「………」
問題はこっちだ。
彼女は無言で俺にしがみついて、一向に離れようとしない。
さっき死にかけた時は泣いてなかったのに、今や目に涙を浮かべ助けて欲しそうな目でこちらを見ている。
あまりにも必死にしがみついているから後ろに控えている騎士も苦笑いを浮かべている。
どうしたものかとしばらく考えたら、とりあえず濡れたスカートが目立たなければいいのではないかと思い至り、俺の上着を脱いで彼女に着せた。
防弾性もある少し厚めで重いものだが、サイズは彼女のお尻あたりまで隠せるちょうどいいサイズだ。
少し心配そうな表情を浮かべていたが、後で返してくれれば問題ないと伝えおもむろに近くにあったからという理由で頭を撫でてみたら、彼女は満足そうな表情をして、最後はペコペコ頭を下げながら騎士に抱えられていった。
軍服には危険なものは入っていないし大丈夫だろう。
拳銃やナイフは中に着込んだ胸当ての脇が意外と空いていてそのままホルスターを利用して身につけている。
上では一人称が僕だった少女が壁と壁を飛び交いながら龍に剣で一撃喰らわそうと飛び回っている。
それに対して龍は翼の羽ばたきと火の玉で応戦している。地上から仲間と思われる3人の援護射撃が飛んでくる。
俺はそれをしたから眺めるだけ。
ロレンスも俺を移動させるつもりはないのか、隣に座って一緒に眺めている。
「なぁ?」
「ん?」
「なんな奴と戦いたいと思うか?」
「嫌」
「そうか」
そこからは会話もなくただ眺めている時間が少し続いた。
見ていてなんとなく感じたことは龍が遊んでいるんじゃないのかと言う事だ。
出てきた時は全員血祭りにあげてやるというような勢いだったが、その戦いぶりはお世辞にも積極的とは言えない。
全て相手の出方に対して後手に回って対処している。
学生側が放つ、かなりの密度の弾幕を大きい体を自在に操り、避けて、避けようがない時だけ魔法の属性に対して相性の良いものをぶつけて相殺していくといった事をやっている。
火に水はわかるが、雷魔法にも水をぶつけるのはとあるゲームのせいで違和感を感じるが科学的にはあっている。
土魔法の石飛礫も水の高圧レーザーみたいなものをなぎ払い全て砕いていた。
他にも風や闇など学生は多彩な魔法を使っていたが、この辺りは龍には効かないのか全部スルーしていた。
「はぁ」
思わずため息が出る。
「闘いたかったの?」
「馬鹿言うな、さっきどうやったら逃げ切れたか考えたんだ。」
「そう、今のあなただと例え万全の状態でも無理だと思うわ。」
「は?」
間違ってない紛れのない事実だが、自覚がある事を再度はっきりと言われると少しイラッとくる。
隣に座るロレンスとは反対側から声のするのでそちらの方に向くとそこには金髪の大人びた女性が座っていてこちらを見上げて笑っている。
「誰だお前?それにお前に何がわかる?」
俺はすぐに視線を上に戻して、雑に言い放った。
「わかるよぉ、君の強さもそれでも逃げることさえ出来ない、あの子の強さもね。」
そう言って彼女は俺の視界を遮るように立ち上がり俺を見下ろして微笑んだ。
2人?が上空に行き場所が空いたところにロレンスが他何人か連れてやってくる。
「………まぁなんとかな」
龍の興味が別のところに移ってくれて助かった。
まぁ龍からしたら人間なんてそんなものだろうな、むしろ生きのいい奴相手したの方が楽しいだろう。
「彼女達はこちらで保護します。」
ロレンスの後ろに控えていた女性の騎士達が俺の上にいる2人を回収しにやってくる。
「おじさん、助けてくれてありがとね」
片方はすんなりと離れていった。
それでも腰は抜けているのか女性の騎士に抱えられてだが。
「………」
「………」
問題はこっちだ。
彼女は無言で俺にしがみついて、一向に離れようとしない。
さっき死にかけた時は泣いてなかったのに、今や目に涙を浮かべ助けて欲しそうな目でこちらを見ている。
あまりにも必死にしがみついているから後ろに控えている騎士も苦笑いを浮かべている。
どうしたものかとしばらく考えたら、とりあえず濡れたスカートが目立たなければいいのではないかと思い至り、俺の上着を脱いで彼女に着せた。
防弾性もある少し厚めで重いものだが、サイズは彼女のお尻あたりまで隠せるちょうどいいサイズだ。
少し心配そうな表情を浮かべていたが、後で返してくれれば問題ないと伝えおもむろに近くにあったからという理由で頭を撫でてみたら、彼女は満足そうな表情をして、最後はペコペコ頭を下げながら騎士に抱えられていった。
軍服には危険なものは入っていないし大丈夫だろう。
拳銃やナイフは中に着込んだ胸当ての脇が意外と空いていてそのままホルスターを利用して身につけている。
上では一人称が僕だった少女が壁と壁を飛び交いながら龍に剣で一撃喰らわそうと飛び回っている。
それに対して龍は翼の羽ばたきと火の玉で応戦している。地上から仲間と思われる3人の援護射撃が飛んでくる。
俺はそれをしたから眺めるだけ。
ロレンスも俺を移動させるつもりはないのか、隣に座って一緒に眺めている。
「なぁ?」
「ん?」
「なんな奴と戦いたいと思うか?」
「嫌」
「そうか」
そこからは会話もなくただ眺めている時間が少し続いた。
見ていてなんとなく感じたことは龍が遊んでいるんじゃないのかと言う事だ。
出てきた時は全員血祭りにあげてやるというような勢いだったが、その戦いぶりはお世辞にも積極的とは言えない。
全て相手の出方に対して後手に回って対処している。
学生側が放つ、かなりの密度の弾幕を大きい体を自在に操り、避けて、避けようがない時だけ魔法の属性に対して相性の良いものをぶつけて相殺していくといった事をやっている。
火に水はわかるが、雷魔法にも水をぶつけるのはとあるゲームのせいで違和感を感じるが科学的にはあっている。
土魔法の石飛礫も水の高圧レーザーみたいなものをなぎ払い全て砕いていた。
他にも風や闇など学生は多彩な魔法を使っていたが、この辺りは龍には効かないのか全部スルーしていた。
「はぁ」
思わずため息が出る。
「闘いたかったの?」
「馬鹿言うな、さっきどうやったら逃げ切れたか考えたんだ。」
「そう、今のあなただと例え万全の状態でも無理だと思うわ。」
「は?」
間違ってない紛れのない事実だが、自覚がある事を再度はっきりと言われると少しイラッとくる。
隣に座るロレンスとは反対側から声のするのでそちらの方に向くとそこには金髪の大人びた女性が座っていてこちらを見上げて笑っている。
「誰だお前?それにお前に何がわかる?」
俺はすぐに視線を上に戻して、雑に言い放った。
「わかるよぉ、君の強さもそれでも逃げることさえ出来ない、あの子の強さもね。」
そう言って彼女は俺の視界を遮るように立ち上がり俺を見下ろして微笑んだ。
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