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学内実戦実習編

2日目朝

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次の日、夜明け頃起きてきた健治に俺は昨日の夜中に起きたことを話した。
「要はその、第三の勢力が現れたってことだろ?それにこの実習で自分が憎い奴を殺そうとする奴なんてかなりの数いる。そいつもその1人だったと言うことはねえのか?」
健治の意見は最もだ、不意を突かれたり完全に対策されて仕舞えばいくら学園のトップとは言えまだ学生、うっかりやられてしまうこともある。

「とは言え、これを感知したのが俺ならまだしもコンだからなぁ」
俺は欠伸を噛み殺しながら、伸びた口調で言う。
「むしろはっきりくっきり見えておったからのぉ」
コンが俺たちの会話にひょっこり顔を出して話に加わってくる。
「まず蛇竜がいるってのも信じられねぇ、だってあいつの封印札は軍の官品で3枚しかないって話じゃねぇか。」
「それが流出したのか、はたまた新たに捕獲されたのか。でも捕獲した組織がわざわざ学生に横流しにするってのがよくわかんないけど」
「重要なのはそこじゃなく、蛇竜を捕獲できるほどの組織が秘密裏に動いていることじゃな。」
「いやそれも違うだろう。いや違くないけど、当面はその術者と蛇竜の警戒だろ?」
急にスケールがでかくなりすぎたことを言い出すコンに思わずツッコミを入れる。

「隠形使いのトップが逃走出来ずに喰い殺されてるんだから、俺は生徒会よりこっちを先に対処すべきだと思うのだが。」
健治も色々な場合を考えているのか言い淀む。
「正直術者の実力もある程度知れれば、偵察するべきなのかしない方が被害が出ないのかわかるんだけど。」
当然竜を使役している人だから弱い訳が無いんだけど。
「なんじゃ術者が知りたかったのか?それならそうと早く言えばいいのにのぉ。」
「俺らの知ってる奴か?」
コンの発言に健治が食いつく。
「知ってるとも、術者はこないだ恵子にしばかれてた淫乱メス猫じゃ」
「……」
「……」
「……紅?まぁなんとかなるよ。」
健治が訳のわからないことを言っている。
何がなんとかなると言うのか?
「十中八九、向こうは俺を探しに来るよね?」
「………うん」
「どうしたのじゃ2人とも。あやつ程度ならおぬしらの敵じゃないだろ?その様子だと何かあったのじゃろうがあまり聞きたくないのぉ」
「実は恵子さんにボコボコにされたあの日、雨宮は医務室に運ばれる際、ヒステリックに喚き散らしていて、その時に溢れ出た呪詛がね」
健治も見ていたのでお互いあの時の様子を思い出して苦い顔をしている。
「コンちゃんは恵子さんと先に行っちまったから見てないだろうけどな、いやあれはもう期待の新星呪詛使いだったな。2度と会いたくないけど。」
呪詛というのは俗に言う呪い、ゲームでいう状態異常。
動けなくなる程度ならまだいい方で、プロの傭兵や軍人が使うと敵対したものすべての精神が崩壊する。
弱点として強い意思がないと術者本人が飲み込まれたりするなど扱いが難しかったり、他の術と比べて妖力をかなり消費したり、あったらすごく強力だけどなくてもなんら問題ないという代物だ。
むしろ向けられた側からしたら存在しない方がいい。

「まぁうまくいけばその呪詛で自爆させればいいと思うのだが現実的ではないか。」
健治が物騒な事を言っている。
「で結局今日は何するのじゃ?」コンが逸れた話を戻してくれる。
「とりあえず、周囲の警戒を続けて、コンちゃんには引き続き雨宮の監視をしてもらいたい。場所の移動は無しだ。移動中に鉢合わせとかは絶対避けたいからな。」

健治がいい感じにまとめるとちょうど恵子さんと女子たちが朝ごはんを持ってきてくれた。
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