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第一章
悪夢と魔法少女と... ★★☆
しおりを挟む「絵里香、おまたせ。待った?」
「あ、ううん全然。わたしも今来たとこだから」
その日はデートだった。
部活で一軍になるくらいに運動神経抜群の勝也くんとは、今の高校で知り合った。それもお互いに変わった本が好きなんだと図書室で鉢合わせてから惹かれ合うようにお付き合いが始まった。
「今日はこの前言ってた絵里香の好きな魔法少女のアニメ化記念コラボカフェに行こっか」
「うん♪その後は、勝也くんの好きな……えっと……」
「ファウストの展示会?でも、絵里香は苦手だろああいうの?」
それでも勝也くんの笑ってるところが見たいから一緒に行きたい。そう伝えて勝也くんの手を握る。お互いにこれが初めてのお付き合いで、まだドキドキして満足に手を繋ぐことも出来ない。そんな傍から見たらギクシャクしてそうな雰囲気を感じながら、コラボカフェの階にエレベーターで移動してドアを開けて店内に入った。
「────ん?」
「な、なっ……何だよ、これ────ッ?」
カフェの入口のドアのベルの音が静かになる店内は血の海が広がっていた。ウェイトレス服の死体を持ち上げてこちらを見ているのは右半分白髪に左半分黒髪。目の色は左右で異なり、片目は白いはずの結膜は真っ黒で角膜はとても人間的な色をしていない少年の姿。コスプレにしては度が過ぎているその格好をした少年の辺りには、入店したお客さんと店員らしき人達の死体の山だった。恐怖で硬直していると、隣に立っていた勝也くんが前に倒れるのが見えた。身体がまるで金縛りにあったかのように動けないまま、後ろから同じような見た目の長髪の少女が前に出てきた。
「あらあら?まだお客さん?それにこの子……アタリみたいね♪」
「へぇー、その男がアタリかぁ……。じゃあこっちの女の子は、ハズレかなぁ?」
アタリだとかハズレだとか、訳の分からないことを言っているその二人は沢山の返り血を浴びている姿のままクスクスと口元を押さえて笑っていた。
噎せ返るような血なまぐささと、さっきまでの日常が嘘みたいな非現実的光景に意識を保てず気を失ってしまった。
「ねぇ?この女の子……面白そうな小説、読んでたよ」
「どんなお話なの?」
「いや、中身は見てない。でも、魔法少女に憧れる主人公の女の子が目撃した魔法少女は実は男で、その人と一緒に過ごす中で本当に魔法少女になるってあらすじが書いてある」
「なにそれ?面白くなさそうなんだけど?私には貴方の感覚が分からないわ……グレーテル」
確かにそう聴こえた気がした。次に目を覚ました時には、まったく知らない暗くて薄気味悪い場所だった。カラカラと何かを引きずるような音が近付いてくる。それは自分が持っていた小説を片手に、血がべっとり着いた斧を引きずるさっきの少年であった。
「お?起きたんだ……。これ、結構面白いね?」
「ここ……何処?勝也くんは?勝也くんはどうしたの?」
「勝也?ああ、姉さんが見つけたアタリの男か。こんな状況でよく他人の心配出来るよね……人間ってさ」
そう言ってきた彼は斧を振り上げてこちらに近付いてくる。恐くなりグッと目を堅く閉ざす。殺されるかもしれないと。そう思ったから。でも生きていた。ただ────。
「────ッ!!!!イィ!?ギャァァァァァアァァァァ!!!!」
「煩いなぁ……腕の1本斬り落とされたくらいで、喚かないでよ。ハズレならそのまま死ぬだけなんだからさ……」
痛い。なんてものじゃない。右肩の下から綺麗に喪った腕。目に入った瞬間に全てを理解して絶叫する。叫びが唯一痛みから逃れられる状況に少年が口に丸めたタオルを押し込んでくる。
「あ、そっか。タオルって止血する為に使うんだっけ?でも、煩いからいいや」
「ちょっと。何をしているのグレーテル?そんな状態で怪異になっても、片腕のないものになるじゃない」
「ああ姉さん。これ見てよ」
悲鳴を聞いて現れたのは長髪の少女。確か名前はヘンゼル。痛みに喘ぐ事しか出来ないこちらを見向きもせず手渡された小説をみて、納得したように頷いている。そして、こちらに向かって2階の高さから階段を使わず飛び降りてきて何かを観察するように見回してほくそ笑みながら口を開いた。
「ふふっ。そうね。この本によれば魔法少女になった主人公の女の子は強靭的な再生力を手に入れて喪った脚が戻ったって書いてあるわね」
「じゃあ、脚を斬ればいいの姉さん?」
「いいえ♪この本の主人公は目の前で、愛する弟を喪うことで魔法少女の力に目覚めたそうよ。つまり、痛みを与えても怪異になれるかは分からないわ。この子が本当に魔法少女に憧れているのなら、の話だけど」
その言い方だと、まるで魔法少女は本当に存在しているみたいじゃない。そんなふうに思っていると、何かを始めることを決心した二人は痛みに苦しんでいる身体を持ち上げて部屋の奥へと運ばれた。
連れてこられた部屋で少年に無理矢理立たされた状態で暗闇の方に照明が着いた先を見させられる。そこには骨組みが雑に作られた上にマットが敷かれた簡易なベッドの上に寝かされている勝也くんの姿があった。
「この子、必死に貴女の名前を呼んでいたわ。でも、私のお菓子を沢山食べて傀異化が始まっているわ♪このまま怪異……そうね。名前は【メフィスト】かしら?それになるのを待っていてもいいけど」
そう言うとヘンゼルは勝也くんのお腹の上に乗った。苦しいそうに呻き声を上げている勝也くんの腕をよく見ると紫色に変色して鬱血しているように見えた。するとヘンゼルは勝也くんの服をいきなり脱がせた。親に買ってもらったプレゼントの包装を乱暴に剥がすようにみるみるうちに裸体が晒されていく。そして、狡賢そうな笑みをこちらに向けてきて言った。
「貴女が立派な魔法少女になれるように、人間であるうちの彼のコレ♪奪ってあげるわ」
「うわ~、酷いなぁヘンゼル姉さんは」
「グレーテル。その子が目を逸らさないように見開いてこっちを向かせるのよ♪さぁ……たっぷり、交ぐ合いましょう♡────ああんっ♡」
「うっ、────グ、ゥウッ!?」
━━ブシャァァ...ビュルビュル...。
「あはっ♡この子、挿入れただけで出しちゃったわ♡ひょっとして初めてだったぁ?じゃあ遠慮なく楽しみなさい♪もっと、もぉ~っと吐き出しなさい♡どうせ人間でなくなるのだから♡♡」
勝也くんのソレが壊れた蛇口のように体液を溢れさせてヘンゼルの蜜穴へ流し込んでいく。見たくないけど、グレーテルに頭を鷲掴みにされ瞼を両手でこじ開けてその光景を見させられる。次第に勝也くんの方から腰を突き上げて求めるようになっていき、人間離れした大きさへ膨れ上がったモノをヘンゼルを壊す勢いで突き入れていく。
「フッ、フッ、フッ!!クル、シイッ……」
「ええそうね♡でもそれも、この最後の1発で終わるわよ♡怪異になる前にヒトとして精液♡全部全部、私の腟内にぶちまけなさい♡♡ウフフ……、アハハハ────ッ♡♡」
「グアァァァァァァアアアァァァ────────ッ!!!!!!」
━━ビュクッ!!ドピュウゥゥゥ────ッ!!!!
狂ったように腰を剃り帰らせてヘンゼル突き上げて吐精させていた。噴き出している精液が頬にかかると、後ろにいたグレーテルは手を離して避けた。
「汚ったなッ。姉さん、遊び過ぎ……」
「はぁ♡はぁ♡はぁ♡ゴメンねグレーテル。でも……逞しくなったわよ【メフィスト】として生まれ変わったから♪」
「ウヒャヒャヒャ♪何だこの力!?これが怪異と言うやつなのですかぁ?見違える程になりましたねぇ?早速、楽しませてもらいましょう……ウヒャヒャヒャ」
目の前で彼氏が奪われたことで腕が斬り落とされた痛みなんて忘れていた。そんな勝也くんはよく分からない紫色の肌をした化け物になって浮遊して天井に空いていた穴からどこかへ飛んでいってしまった。
悪夢だ。
勝也くんは、他の女の子相手にあんなに気持ち良さそうだった。
いや、違う。
勝也くんは連れ去られたのよ。
【メフィスト】という怪物に連れて行かれたの。
だからわたし、わたしは...ワタシは────。
記憶が飛んだ気がした。ワタシは身体の内側から溢れ出す何かに従うようにヘンゼルに殴りかかった。それは斬り落とさたはずの右腕が前に飛び出し受け止めれている。
いや、違うこれはワタシが魔法少女であったから当然のことで、今始めてみるタイプの魔族と戦っていたんだ。ワタシは諦める訳にはいかない。ここで突如現れた上級魔族のこの二人に負ける訳には行かないんだ。勝也くんを取り戻すまでは────。
「おいおい嘘でしょ?怪異にはなれたけど……」
「これは予想外の深刻化ね……。まさか、自分が小説の中の魔法少女になったつもりでいるだなんて。まぁ、目の前で彼氏寝盗られれば人間は皆そうなのかしらね?」
「何を言っているの?ワタシは魔法少女カエリ。愛する人達のために闘う正義の味方よ。喰らいなさいッ!!リターンチャージセレナイトォォォ!!」
ワタシはいつものように魔法石に祈りを込めた一撃を繰り出す。上級魔族のヘンゼルに向けて放ったその一撃をグレーテルが割り込み、持っていた斧で真っ二つに切断して防がれる。
やはり、強いッ!?
すると、戦いはワタシの劣勢だったはずなのに武器をしまう二人がこちらに向かって口を開いた。
「まぁなんでもいいや。これで今の噂観測課の実力、見れるだろうし。ああ、違うな……えっと?」
「ふふっ♪今回は退いてあげるわ魔法少女カエリ。でも、次はこうは行かないわよ♪」
「あ、待てッ!?」
そう言って姿を消してしまった。同時に辺りから魔性の気を感じなくなったワタシは変身を解除する。
せっかくの休日。勝也くんが攫われたこの場所で寄りにもよって上級魔族が現れるなんて思わなかった。それにしても、あのヘンゼルという上級魔族は変なことを言っていた。
───目の前で彼氏寝盗られれば人間は皆そうなのかしらね?
「うっ!?あ、頭が……痛い?」
何か大切なことを忘れている気がする。でも、同時に思い出してはいけないことのような。ここへ来たではなく、ここに居たような記憶があるのが分かるけど、そこに濃い霧がかかっている。不安になり右手を見る。切れてなどいないし、切れていても直ぐに再生して元に戻る治癒能力を魔法少女は持っている。
わたしは混濁している記憶の中で、目的を思い出す。
そうだ、わたしは倒さなければいけない。
【メフィスト】を────勝也くんを攫ったあの魔族を...。
決意を新たに、明日からの学校に備えて家に帰ることにした。
次の日、学校へ向かうとクラスメイトのみんながビックリしていた。いつものようにバレーでポインターを努めたり、先生に当てられて黒板に書いた答えが当たっていただけで褒められるどころか何故か心配された。
不思議な時間を過ごしながらも、放課後になり魔性の気を感じたわたしは気配のする場所へと向かった────。
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━ 報告があった二日後 ━
「つまり、この腕のDNA鑑定して一致した持ち主が怪異って事ですね教官?」
「ああそういうこったな。しかし、何だって2箇所で大量殺人が起きていたのかだな」
トレードは運転席のハンドルにもたれかかりながら、持っている調査資料に目を通している。その様子を音雨瑠 空美はハンドルの中に入っているエアバッグ程の大きさを誇るトレードの胸に目がいっていた。トレードは乳腺肥大症、通称巨乳症と呼ばれる病を患っており定期的に水を抜く処置で大きさを抑えて貰っているが、傍から見れば一体どうなっているんだこの胸はと気になってしまうのも無理はない。
「っておい、話聞いてるか?」
「え?あー、はいはい。聞いてますよ♪要は怪異を見つけたら、あーしらでバシっとやっつけちゃうんですよね?」
「全然聞いてねぇのな……」
「あは、あはは……」
(そらぁ聞けないっしょ!?目の前にこんな特大メロンなんて置かれてたら?女だってえぇーってなるし……)
「ここで怪異が発生したとして、それより前に街中のアニメカフェで惨殺事件があったのはおかしいだろ。こりゃあ、あの影薄課長。別件持ってるな」
自身の上司の愚痴を零しつつ、車を走らせるトレードはこの場所で目撃された怪異【魔法少女カエリ】を探すために、報告から女子高生であるとのことを頼りに近くの高校を訪問した。
学校に着くと、部活の時間らしく体育会系の運動部はグラウンドを使って練習している。生徒玄関の方では家庭科部が裁縫や工作物を出店練習していた。そこを横切り来客玄関に着くとチャイムを鳴らして校内見学の許可を貰い中へ入った。今日は来客が多いなどと言っていたが、殺人事件の疑いで警察でも調査はしているのかと思い中庭に行くと見知った顔がいた。
「はいはい、何でしょう?焼き芋に焼きリンゴ。あ、それから~、季節を先取りかき氷もありますよ、はい」
「何でてめぇが居るんだよ?」
「ん?この、喧嘩腰な憎まれ口はトレードですね?おめぇこそ、何しに来たです?はい?」
「あれれ?教官、この方お知り合いで?あ、茅野先輩じゃないですか?」
「やぁ空美ちゃんよね?記者対策はお2人でやっているの?」
どうやら、記者対策として噂観測課極地第2課の燈火と茅野 芳佳は学校で売店のおばちゃんをやっているという事にしているらしい。それなら、何か情報はないかと尋ねるとなんでも先週末から生徒が不登校になっているという事件の匂いのする出来事が起きているのだとか。そのいずれも、スポーツ推薦が期待されている生徒ばかりで何の兆しもなく突然来なくなり親族に確認しているさいちゅうなのだと焼き芋を齧りながら燈火は説明した。
「まぁ怪異調査依頼がこちらには来てねぇですから、おめぇが追ってるその魔法少女とやらの仕業かもしれねぇですね、はい。実は逆ハーレムがお好きな怪異なのかもしれねぇですから……はい。あ、芳佳さん。この焼き芋もう食べ頃ですから売りに出してください」
その情報も踏まえて教室へと移動することにした二人は二手に分かれて残っている生徒に話を聞いてみることにした。三年生の教室へとトレードは向かうことにした。
「おばさん、おっぱいデカくね?てか、なにそのマッスルボディ?ウケるんですけど?」
「ああ……そうかい。────んで?さっき言ったことなんだけどよ……」
「あ~、運動部の生徒が不登校になってるってやつ?なんか、最初に消えたのは1年の勝也って子だった気がする」
そこから連日、不登校が始まった。どうも魔法少女の一件と関係しているようには思えないが、別の怪異が絡んでいることは間違いないということだけは分かった。教室を出ると空美が一年の教室で魔法少女かもしれない女の子がいると言っている生徒が居たと情報を手に入れた。その生徒曰く、最近部活動にも顔を出さず放課後になると何かを追いかけているかのように走って校門を出ていくのだとか。
絵里香という名前の生徒が行きそうな場所を聞いて、その生徒を探すことにした二人は車に乗り言われた場所を回った。しかし、何処にも手がかりはなくその日は調査を切り上げることになった。
「明日は午前中、記者対策で別行動ですよ?ま、あーしはトライアスロンやってるギャルって事で単独行動ッスけど」
「あたいはアブノーマルと一緒に魔霧の怪異調査をしてから、か」
マルチタスクは疲れるとトレードは肩を揉みながら帰路へと着くのを見送る空美は弟子ながら、教官の肩凝りは仕事量だけではないなと謎に頷いてから帰宅し明日へ備えるのであった。
翌日。魔法少女が人助けをしたとして新聞や雑誌に掲載されてしまっていた。まだ、早めに怪異を捕らえて一連の報道はコスプレイベントでしたなどのカバーストーリーが通じるが、事態は一刻を争っていると緊張感を持ちながら待ち合わせていた場所へと向かっている亜美は、声が上擦っている教官の声を聞き物陰に隠れて様子を見ることにした。
何やら華奢な出で立ちをした男性と話しているのだが、どうにも落ち着きがない。というより、トレードには旦那と子どもが居ることを聞いている空美はまさか浮気現場の目撃かと息を荒げて聞き耳を立てた。
「わ、わざわざ……いいのに、よぉ?」
「駄目だ……。お昼の弁当……忘れてそのまま、栄養……取らない気でしょ?」
「い、いやぁ?そ、そそ…そんなこたぁねぇよ?それより、あたいこれから現場入りなんだ。仕事の内容、お、おお…お前にも。見られる訳には……」
「────────。」
すると、男性の方からトレードのよそよそしい唇を塞ぐように口付けをして来た。これから怪異調査に向かうってのに教官の浮気現場目撃かとショックを受けていると、トレードはその男性を引き離して言った一言で空美は冷静さを取り戻した。
「───んぱぁ!!バ、バカヤロー!?人前だぞ?い、いい…いくら旦那だからって、いきなりキスは……ないだろう?」
「ん?────、じゃあ僕は……帰るよ。今日は何時に……なりそう?」
「お、おう!夜には帰るから、飯はあたいが作るって娘にも言っておいてくれぇ。それと、弁当……ちゃんと頂くからなぁぁ!!」
こくりと眠そうに頷き、その場を後にするトレードの旦那。それと入れ違いで合流するように歩み寄る空美はトレードに飛びついた。驚きはするものの、今の始終を見ていたことを知らされ恥ずかしさのあまり拳骨をつくり頭を殴った。
頭にタンコブを作りながら昼ご飯を食べている空美は、隣で美味しそうに旦那が届けてくれた弁当を食べている。どうやら世間では愛夫弁当と言われる逆愛妻弁当らしく、旦那は医学や電子工学と幅広い分野で活躍する人で、栄養バランスには煩いらしくしっかりとバランスの取れた物ばかりを入れた弁当を毎日作ってくれているのだ。
しかし、時折こうして忘れてしまうことがあり職場や現場近くに渡しに来ることがあるとのことで、それはもう何の仕事しているのか知っているのではないかと半ば都市伝説寄りな話になるものの、空美は気になることを口にした。
「教官?旦那さんとは、いつもあんな感じなんですか?」
「あ?そうだけど、文句あっか?」
「いやぁ……。あんな調子だったら、どうやって子ども作ったんですか?」
「ブフゥ!?お、お前……何言ってんだよ急に」
「いやだってー。あーしが見る限り、あんな緊張してたらえっちするとき力入り過ぎません?それに教官のその鍛え抜かれた身体だと旦那さん死んじゃうんじゃないですか?」
「馬鹿言え!?そういうことする時は、あいつの方が凄いんだよっ!!あたいがへばっても続けるから、鍛えたんだよ体力つけるために!!って今のナシ!!忘れろぉぉぉ!!!!」
空美の一言で夜の営み事情まで暴露してしまったトレードは恥ずかしさのあまり、持っていた箸をへし折ってしまい残りを装う事なく駆け込んで食べ終えると車のキーを挿して走らせた。
「んもぉぉ教官ってば。そんなに怒らなくても……。あーしからして見れば、まるで記憶がないみたいに見えるから家族なのか不思議だっただけだし」
今度は突然急ブレーキをかける。手に持っていたデザートのシュークリームを足元に落とし涙目になっている空美の肩を掴んで、もう一度質問した。すると、笑顔を向けて言った。
「お前、天才だぜ。あたいの旦那くらいにな。そういうことか。怪異は2つ生まれたんだ」
「え?どういうこと?魔法少女の他に怪異が?」
「魔法少女はおまけだ。本元の怪異は別にいる。言うなら、魔法少女の方はファウストだ。己のなりたいものになる代わりに魂を引き渡している。つまりは、既に絵里香って人間じゃない。絵里香の記憶を魔法少女になれる少女とした怪異は使っているだけに過ぎない」
そう言うと、怪異発生現場でその後も調査していた警察へ確認の電話を入れる。すると、片腕がない遺体が倉庫奥で発見されたと報告があった。絵里香は既に死亡している。しかし、翌日も学校に登校し魔法少女だと思い込んでいるのと同時に自分が生きていると錯覚して今も活動をしていることが明らかとなった。
「取れましたよ許可。あーしらが討伐すべき怪異、その名も【メフィスト】。教官の言うとおりメフィストフェレスがもとの怪異みたいですね。ラット先輩の情報網の調べによれば、連続で高校生の不登校は失踪と判明。なんでも最初に不登校になった勝也って生徒は直前の目撃がないことから、怪異の疑いありだとか」
「なるほどね、要は変異型とそれを目撃して殺された人間の怨念型の怪異って訳だな」
すると、トレードの目の色が変わる。思い詰めた表情で考えているのは、【メフィスト】の居場所。力に溺れて暴れているかのように自身が通っていた学校のスポーツ推薦候補の生徒を狙っている。対して【魔法少女カエリ】こと"絵里香"の怨念は神出鬼没。いや、そうではない。怨念型ということはすでに幽霊のような存在。それもファウスト────。
「そうか……、魔法少女を誘き出すには【メフィスト】を倒そうとすればいいのか」
「え?それって、魔法少女は【メフィスト】のおまけだからですか?」
「そうであって、違うとも言えるな。《ファウスト》に登場する悪魔メフィストは誘惑の悪魔。その誘惑に魅入られた魔法少女カエリもまた、失う訳にはいかないって訳だ契約した悪魔をな」
魔法少女はすでに霊体として彷徨う亡霊と化しており、不規則に姿を現す以上、怪異として追跡するのはあまりにも手間と時間を有する。その間にマスコミやメディアへの報道が増えてしまう。しかし、追っている怪異がセットであるのなら、わざわざ散り散りになった不確かなものを掴める必要はない。一気に本丸を叩けばいいのだ。
人々が寝静まる頃。
「なんだよ母ちゃん。学校じゃ運動部の生徒の不登校が流行ってるって言うのに、帰ってくるの遅くなっていいとかさ……。普通心配だから早く帰ってこいって言うだろ」
不登校が相次ぐ高校から塾に向かう予定もない生徒の一人が愚痴を反抗期なりのトゲのある言い方で零しながら夜道を歩いていた。すると、物陰から草木が揺れる音が聞こえて振り向くとそこには、何処に売っているのかという大きさのハサミを片手に持つ紫色の化け物がこちらに向かって来ているような気がしたが、後ろから強い衝撃を受けて気を失った。
「よぉ【メフィスト】さん。怪異の力を存分に楽しんでやがるみたいだな?」
「アヒャアヒャヒャ♪────おぉや?誰ですか?俺の邪魔をするのは?」
「てめぇを地獄に送る者さッ!!行くぜッ!」
現れた怪異へと向かっていくトレード。次に誘拐するであろう運動成績が高い生徒の家族に協力してもらい【メフィスト】を誘い出したのであった。そんなこと知る由もなかった【メフィスト】は邪魔をしてきたトレードに巨大なハサミを差し向けて迎撃に入る。
筋肉と肥大している胸も合間って大きな体躯となっているトレードは、目にも止まらない身のこなしで躱すと間合いを詰め左ストレートを顔面に叩き込む。怯んで顔を押さえているのもお構いなしに容赦のない追撃をかける。肩を掴み頭上を側転するように飛び越えて両腕を掴んで背中に膝を入れて肩を外そうとする。
「アヒャヒャヒャヒャ♪やりますねぇ?お見受けしたその胸。痛ぶりがいがありそうですねぇ?」
「悪魔には魂も体も売りたくねぇもんだな。そら、肩が外れても再生するその姿……気色悪いことこの上ないぜ?」
「違いありませんねぇ、アヒャヒャヒャ♪しかし、俺はなりたかったメフィストになれたのだからどうでもいいですけどね?」
「だったら、なんで同じ推薦候補の生徒ばかり狙う?」
「それは、まずは手近な人間で力を試そうと思いまして……」
「ふ~ん。要は、ひよってるってことだなッ!!」
怪異となって時間が経っていない者ならではの自由な殺害動機に釘を刺しながら、持てる怪力で壁に叩きつける。まずは、己のエゴで無差別に殺した生徒達の分と強打を加えていき、吹き飛ばされた先で両脚から巻き戻しのように体勢を立て直す【メフィスト】は、みるみるうちに傷が塞がっていく様子を見て不敵な笑みをトレードに向けた。
対するトレードも、もうウォームアップは終わりでいいかと首を鳴らして右拳を突き立てる。そして、今まで背負っているだけで使わなかったロッドを左手に持ち目の前に地面と平行になるように投げ拳で地面に叩きつけた。そして、その名を呼ぶ────自分の身体に飼っている怪異の名前を。
「死を測る時間だぜ────【死の商人】ッ!!」
「おや?ロッドがサイスに?アヒャヒャヒャ、指図め死神の鎌ですね」
「ご名答……」
殺気のみを残した眼で【メフィスト】を睨むトレードの手には、漆黒を彩ったサイスが握られていた。足の付け根が煙のように変えて襲いかかってくる【メフィスト】の攻撃を弾き、背後に回った【メフィスト】は柄が地に着いているトレードの背後がガラ空きのため追い討ちをかけた。
すると、トレードの腰から【メフィスト】の方に向いているロッドの先に持ち手を伝ってサイスの刃が移動した。なんとデッドマイスターのサイス部分はリバーシブルタイプでロッドに装着されているため、刃先の移動が可能だったのだ。その意表を突く変型にサイスに設けられた槍先に身体が突き刺さってしまった。
「嬉しいぜ。自分から飛び込んで来てくれるたねぇ。さぁ……裁定の時間だぜ?お前は冥界に何を差し出して門を通る?」
「グ、クフゥ────。アヒャヒャ、ヒャ……俺は、まだ……」
「そうかい……そんじゃあ」
突き刺さりぐったりしている【メフィスト】を空高く突き出し、落下してくるその身体目掛けて漆黒の一振りをお見舞いした。
───問答無用、地獄行き...。
振り下ろしたサイスから人ならざる声でそう言われて切断された【メフィスト】は空へと灰になって消滅して行った。
やがて、一段落着いたトレードは気絶させた生徒を協力してくれた家族のもとへ送り届けた。【メフィスト】は文字取り生徒が学業疲れで見た悪夢ということにしてくれることを条件に見逃すことにした。そして、スマホの画面を見て魔法少女の方も討伐が完了したと通知が届いたため車で空美のいる場所へ迎えに行くのであった。
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今日は魔族の反応がやたらに多い。ワタシは変身を解除する間もなく次から次へと現れた魔族を倒して行った。そして、遂に近くに感じる────【メフィスト】の存在を。
気配の濃い場所へ向かっていると目の前に女子高校生の格好をした女の子が立ち塞がった。
「だ、誰ッ!?まさか、メフィストの使い魔?」
「あーしは、あんたの目を覚ましに来たしがない航海士のギャルさ♪」
「航海士でギャル?また魔族達は変な暗黒合体の魔族を造り出したのね?いいわ。アナタも倒して、メフィストを探し出してみせるわ」
新しく現れた魔族は人間態を持っている魔族であることから、この前であったヘンゼルやグレーテルと同じ上級魔族。それでもワタシは負けられない。手に持つマジカルステッキをレイピアへと変形させて一気に勝負をつけるべく、立ち向かった。
それでも流石は上級魔族相当の強さ。簡単に攻撃をすらりと避けていく。すると一瞬生まれたワタシの隙を縫って両手に装備しているナックルのような武器でワタシの懐を突いてくる。
「ぐはッ!?うぐっ!!こ、このッ……」
「よっと♪ん?────あー、本気ぃ?魔法少女ってとんでもない再生力だって言ってたけど……」
「それでもワタシは負けないッ!!魔法少女カエリとして、魔法石よ────ワタシに力を!!」
「ちょぉ!?パワーアップとかもある系?こりゃあ、遊んでる場合じゃないって感じー?」
バージョンⅡへとパワーアップしたワタシの攻撃で一気に形成を逆転していく。ギャルの魔族は殴り合いでスピードが追い付いていないようでこのままいけば倒せる。しかし、追い詰められたギャル魔族からとんでもない一言がワタシに迷いを生じさせた。
「う、くぅ……いいのぉ?あんたが……倒そうとして、る……【メフィスト】は、あんたが記憶、借りている子の……彼氏さんなんですけどぉ?」
「メフィストが……勝也、くん……?────うっ!?」
その動揺がトリガーになってかまた激しい頭痛に襲われる。割れそうなくらいに痛い頭を抱えながら、ワタシの知らない記憶が流れ込んでくる。
勝也くんが……ヘンゼルに無理矢理されていた。
腕が切られて痛い……もう目の前の光景を見ていられるほど意識が保てないよ。
魔法少女になれたら……わたしが……絵里香が魔法少女カエリになれたら────。
━━勝也くんを助けられるのにっっ!!!!
「イヤァァァァァァァァァァァ!!!!なに、これ?ワタシ……知らないッ!!カエリは……絵里香はワタシ。魔法少女カエリだってワタシ。愛する恋人を……え?愛する?……恋、人?違うわッ!!ワタシはメフィストを倒すのッ!!ワタシの大好きな彼……目の前で見せ付けるように他の女と楽しんでいた勝也くんを倒すわッ!!」
みるみるうちに変わるのが分かる。ワタシは絵里香の死に際に思った本当の感情で生まれた魔法少女。勝也という人間を助けたいと願う魔法少女なんかじゃない。絵里香の最後の意志はただ一つ。
━━━他の女との浮気セックスを見せびらかして来て、助けもしなかった勝也を殺してやりたい。
黒く渦巻く瘴気の中で本来の姿へと変貌を遂げるワタシは、内から溢れ出す魔力でギャル魔族を捩じ伏せるべく手を伸ばした。
「魔法少女といえば、闇堕ちが憑き物って言うしね……ヘヘッ」
最後の遺言がそんなものでいいのかと思うが、そんなものはどうでもいい。どうせ魔族なんて何処にも居ないのだから。ワタシの行く手を邪魔するヤツらは全て魔族として消していけばいい。さよならの念を込めて拳を突き下ろすがギャル魔族はそれを掌で受け止めてみせた。
「な、にッ!?」
「ん~、まぁ途中までは泣かせる系?かと思ったからさ。思うように力出せなかったんだけど、そんなクズ女な一面を持った怪異なら、萎えぽよでぶっ飛ばせるってのォ♪」
「ぬっ!?ぅぐあぁ!!??」
有り得ない。そんな不利な体勢で、ワタシを押し返すだなんて。そして、仰け反る体勢を直して再び見上げたギャル魔族。いや、航海士服を来た変わったギャルを見て涙が流れた。ふと、耳元で聞こえてきた絵里香の声にワタシは全てを悟った。
「そんじゃあ行くよ?あーし直伝、あーし流オリジナル必殺ッ!ブリッド オブ フィストォォ────ッ!!!!」
──綺麗...。
──あれは、わたしが憧れた本の中の魔法少女そっくり...。
──嗚呼...わたしも、ああ───なりたかったな...。
次の瞬間身体に直撃した拳から放たれた黄金の光に包まれた。そして完全に意識ともどもに消滅しそうになるワタシに向けてその憧れそうな魔法少女は言った。
「あーし、音雨瑠 空美って言うんだ。魔法少女にはなれないだろうけど、あんたみたく道外しちゃったヤツの光くらいにはなれると思う。────てか、なって見せるし♪」
その一言に救われた気がした。どうにもならなかった悪夢のような状況で、歪んだ願望から生み出された連鎖的怪異に囚われるくらいなら。夢見たものを託せる人に委ねて逝けるのだから。
──さよなら、魔法少女カエリ...それと絵里香の記憶。
✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳
━ 翌朝 ━
「ふはぁぁ。もうムリー、本気でリームー」
「弱音吐いてんじゃねぇよ新入り。記者対策なんて楽なもんだろ」
「そうは言いますけどねぇディフィート先輩。何もないってのも、やる気を削ぐポイントなんですよ~」
「ああ、そうかい。んじゃ、トレードに頼んで稽古でも付けてもらうんだな。にしても課長のヤロー来ねぇぜ今日も。あたし1人で記者対策で割り当てられている場所行っとくか……」
ディフィートの後ろに泣きながら着いていく課長のインビジブルが居るのだが、その場にいる誰にも見えていないのであった。魂の抜けたように天井を見ている空美は考えていた。怪異に呑まれて死んでいった人間の光となるために自分に出来ることとは何か。ここへ配属される前に教官に救われた自分だからこそ、怪異を克服出来るという希望を知っているが故に思ってしまった自己満足なのかもしれないと感じていた。
しかし、今は答えが出せなくてもいつかは出せるかもしれないとお腹を擦り、自身の内側に従えた【知恵の女神ミネルヴァ】に問いかけた。
──みんなが、あーしらみたくなれる日...来るよね?
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