歪なる世界と結晶奇術師-No point illusionist-

韋虹姫 響華

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第二章 〜幕間〜

桜咲きし門は冥土への片道切符!? 〜幕間〜 +夜永又 素美+ ★★☆

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「桜咲きし門は冥土への片道切符!?」の幕間になります。
夜永又 素美が傀魔になってから、奔放に生きる様を描いたお話です。
今作の分岐ともなる《意味がわかったとしても意味のない話》にも登場していた彼女ですが、こちらでも性描写ありで書かせてもらおうと思いました。
加虐体質であることは今作も変わらず、★付きに相応しい内容にしております。
例に漏れず、本編には直接関係していないため苦手な方は読まないことを推奨いたします。
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 それは唐突に舞い降りた。
 満たされない魂、快楽を貪りながらも足りない加虐性。夜永又やえまた 素美もとみは、己の身に負った傷を省みずに傷を作る人間であった。痛みに伴って得られる快楽が、彼女の生きる実感と言っても過言ではない。
 しかし、複数人を相手にサディスティックなプレイを続けてきた夜永又の肉体は、そろそろ限界を迎えていた。遂には指の一本すらも動かせないほどになって、地面に倒れていた。それも男の一方的なヤリ捨てという形で。

「みぃつけた♪」
「────?」
「わちしの好きぴ♪貴女を見つけるために近付いたあの二人、仕方ないからどうでもいいクリスタルを与えてあげたわ♪本命は貴女には、これ♪」

 そう言って白を基調としたゴズロリチックな服を着た少女が、怪しげな結晶を差し出そうとしている。

 体を動かすことが出来ない夜永又に近付き、結晶を首元に突き刺した。みるみると傷口が再生して、ボンデージスーツを着た怪物へと変身を遂げた夜永又は、起き上がると巨大なハサミを手に持って少女に問う。

「どういうつもり?ワタシはあれで死んでもよかったのよ?」
「あらそう?わちしには、もっと愉しみたいって顔をしているように見えたものだから。そんなことよりも好きぴさん♪そのカラダでもっとハードなプレーをして来たら?」

 少女の申し出に首を傾げた。でも、それもほんの数秒で理解へと至った。
 何を隠そう、生前。そう呼ぶべきであろう時とは違って、爽快な気分というか解放的な気分に満たされている感覚が夜永又の中を駆け巡る。
 早くこのカラダの疼きを抑えたい、そう思うと彼女の足取りは自然と向かう場所を見つけて歩き出した。その様子を少女はニコッと微笑みながら、夜だというのに日傘を差して見送って闇に同化して姿を消した。


 □■□■□■□■□


 道端で声をかけた女をなぶり、激しい暴力衝動を散々ぶつけて死にかけていたのを捨ててきた男達は、スマホを取り出して次の獲物を品定めしていた。

「おいおい、見ろよこの女。首絞めプレイ、亀甲縛り、ボールギャグ、鞭打ち希望だってよ!!」
「さっきの女もイカれてたが、この子もだいぶイカれてそうだなぁ」
「き、君達……」
「「「あん?」」」

 一斉に声をかけられた方に目をやる男達。
 そこに居たのは、メガネをかけた弱々しい男性だった。ガラの悪い集団に勇気を振り絞って声を出したせいか、酷く腰が引けていた。今にも強風が吹けば倒れてしまいそうなほどに、怯えているその男性を見て笑いながら近付く男の一人が問いかけた。

「てめぇ、さっき俺らがやり捨てた女のストーカーだよな?」
「そ、そんなんじゃありません!き、君達のやったことは犯罪だ……。け、けけ……警察に……」
「おっと、そうはいかないよストーカーさん!飲み屋にきて、数回あの子を指名して話してたくらいで、仕事終わりのあの子を追い掛けてるのはストーカーに入らないんですかぁ?」

 スマホを奪い取り、自分達のことを棚に上げたような言い分を言って男性の腹を思いっきり殴った。うずくっているところに全員で、背中を蹴りつけはじめる。
 するとそこへ、カツンカツンとヒールの音が響き渡る。振り返って音のする方向をみた、ガラの悪い男の一人が指をさして声を上げた。さっきの女だと、言った瞬間にメガネ男は起き上がり、その姿を確認した。

「うふふっ♪ねぇ、お兄さん達ぃ~♪もう一度、ワタシと遊ばなぁい?」
「そ、そんな……モトミンさんが……、じ、自分から?」
「まっそういうこと♪お嬢ちゃん、観客は多い方が良いよな?この君に惚れてるストーカーさんも入れて上げていい?」

 男達の前に再び現れた夜永又は、メガネ男の方を見る。舐め回すように下から上まで見渡して、薄っすら笑みを浮かべて一緒に来ることを了承した。
 ここからが地獄であることを男達は知らない。「HOTEL」と妖しくサイネージが輝く場所へ到着した一同は、部屋へ入り持ち込んだものを広げて準備を済ませると、夜永又に円状のベッドに横になるよう言いつけるのであった。

 そして、行為をはじめようとした時に手を上げて一つ条件を出した。

前乃まえのくんは裸にさせて、そこの拘束台に拘束してぇ♪」
「ほぉ、寝取り演出ってやつかい?いいだろう、おい!そのメガネ男を縛りつけろ」

 いつも自分を指名してくれる心優しい、メガネの男性前乃まえのを拘束させ夜永又は腰を突き上げて男達を誘うポーズを取った。
 途端に男達は夜永又に群がり、手足を押さつけてボールギャグを咥えさせる。突き出た臀部でんぶが、ダウンライトが当てられて淫靡いんびな輝きを魅せる。これを目の当たりにして、男の劣情を駆り立てられないものはいないだろう。
 恐ろしいことに、この場に居合わせている男達は異常なまでの暴力的性癖を持ち合わせている。早速、夜永又の官能過ぎるカラダをむさぼるように、背後から覆い被さり首筋にキスをする一人の男。真下に向かって硬くしているソレを夜永又が触れ、少し擦るように扱くと血流を集中させていった。

「うはぁ……、もう勃起させられたぁ。たまんねぇよ、この女」
「あんっ♡もっとぉ、もっと痛めつけてぇ~♡挿れるのはそれからじゃなきゃ、いやぁ~♡」
「おい女っ!!猿轡さるぐつわ外して喋ってんじゃねぇ!!───って、コイツ!?」

 夜永又の正面に立った男が、自分のモノを扱きながら勝手にボールギャグを取ったと思い、夜永又にちゃんと咥えるように指示しようとした時であった。
 四つん這いの状態で、円状のベッドに手足を鎖付きのかせで拘束されているなか、ボールギャグだったものがベッドのクッション上にバラバラになって、真珠色の液だまりに沈んでいた。
 慌てて声を上げようとした男であったが、その声はすぐに淫欲に敗北した甘い声へと変換されることとなった。クッションを水浸しにした、魅惑の口腔に包まれた陰茎は数分と持たずして、夜永又の口の中で果てた。

「んぶっ♡んん……っ、んぐ、ごぐっ…………、じゅろろろっっ!!んんっっ♡♡」
「く、くひぃぃぃぃぃぃ!!!!」

 さっきまで、顔面を破壊するくらいの力で殴って犯していた女に、腰を砕かれるほどの快楽を与えられ壊れた蛇口のように、白い欲望を吸い出されている。情けない声を最後に男は気絶する。

 ようやく、他の男達は気付く。この女が。しかし、時すでに遅し。夜永又は人間離れした怪力で、手枷を破壊して淫靡な輝き放つ結晶を女性器に当てた。


──《サディスティックシザース》ッッ♡♡


 解き放たれたフラッシュを浴びた三人の男は、理性を失ったかのように夜永又に襲いかかった。
 気絶した男を見て、萎えていたはずのモノは嘘みたいに肥大化していき、夜永又の準備万端となっている蜜穴をこじ開ける勢いで男の一人が突き入れた。直後、エロティックなクビレを魅せる腰を力いっぱい掴んで、盛りのついた猿のように肉棒を奥へ突き入れた。
 ビクンッと海老反りになった夜永又に、ムチが飛んできた。それもSMプレイを主体とした店で使っているような、かたちばかりのものではない本物のムチ。ふだんから、男達は歪んだ欲望のために裏のサイトから仕入れた拷問器具ともいえる、それらの趣向品を捕まえた女性に試して欲望を満たしていた。
 まさかそれが、一度殺しそうになるまで凌辱した女に強要されるとは思ってもいなかったであろう。ムチで打たれた箇所は、皮膚が剥がれて蚯蚓みみず脹れを起こしていた。それでも、夜永又はその痛みすら快楽になっていた。口からは泡を噴き出しながら、打たれる度に絶頂していた。

「この女、上の口からも下の口からもイキ汁噴き出してやがるぜ」
「やばっ……、気持ち良すぎて……で、射精るぅぅぅ!!??」

 それは射精と呼べるものではなかった。
 男の意思では制御が効かず、夜永又の肉襞が織り成す射精のリズムに合わせて搾り取られていると言った方が自然であった。

 自分達のサディストを駆り立てられたことで、歯止めの利かないハードプレイに恐怖を覚える男。これまでに味わったことのない、吐精の味を無理矢理教え込まされて尚も搾精は止まらない。恐くなって、夜永又の太腿に手を置き離れようとする。

「ダメよぉ♡♡今、いいところなんだからぁ♡♡あ、あぁぁ♡来た来た……っ、ギ……ダァァァ───♡♡」

 逃げようとする男の腰に両脚を回し、膣を引き締めて更に長い射精を誘発させる。体内の水分を精液に変換されているのではないか、そう感じほど長い吐精を終えてベッドに沈む男。その血色はあまり良くない。
 既に意識が朦朧としている男に馬乗りになり、結合部から出された精液を垂れ流しながら再び同衾どうきんする。これだけ出しても萎えることのないペニスに、夜永又は夢中で腰を振って高まらせていく。声にならない声を上げながら、男は三度目の強制射精オスアクメをキメる。いや、キメさせられてこの世界での生を終えた。
 死体となり行く体に、バチュンバチュンと肉がぶつかり合い性を堪能している、水音を立たせて死後硬直の体からも精液を搾り取る。

「ハァァ♡最ッ高ォォォ♡♡………ん?あぁ……♡前乃くんの、オチンポ……♡」

 二人の男が事切れるほどのハードプレイを見せつけられて、普通なら恐怖で悲鳴を上げていてもおかしくない。それなのに、大人しくしている拘束されたメガネ男の前乃に目をやった。夜永又は舌なめずりをして、前乃のそそり立つペニスを見つめた。
 ズボンの中に収まりきることが出来ず、飛び出してドクドクと脈を打ちながら有り得ないくらいに勃起している。その先端からは、生き物がヨダレを垂らしているくらいの先走り汁カウパー。いや、すでにその領域にはないことを夜永又は理解した。それだけで軽イキした。
 なんと、前乃は夜永又に犯されている男達を見て夢精していたのだ。それも一回や二回なんて生易しいものではない。その証拠に、前乃が座っている場所から夜永又の寝ているベッドまでの道程には、白濁液がカーペットを汚していた。

 新しい性癖に目覚めさせられた前乃は、苦しそうな息遣いで「モトミン……ハッハッ……モトミン」と口に出して悶えていた。
 それを見て、夜永又はムチを手に取り振り回した。その軌道は逃げ出そうとしていた男を捕える。引っ張り、自分の元へ引き寄せた夜永又は激しくキスをする。舌を突き入れて、口内を掻き回した後に舌を吸いながら見せつけるように濃厚なキスを続けた。

「グッ!?」

 ビュッビュッ!と音が聞こえてきそうなほどの放物線を描く、前乃の敗北射精を見て夜永又は全身を震わせて絶頂した。

 最早、男の性癖を破壊することが夜永又にとっての快楽となっていた。《サディスティックシザース》のクリスタルがもたらす悪性によって、夜永又は瀕死になった自分では得られなかった快楽に溺れていた。
 とうとう最後の一人なった男。暴力を振るうこの異状性癖を持つもの達の、リーダーである男だけが夜永又を相手する。その内容は理解に苦しむものでしかなかった。
 切られてもすぐに回復するカラダ、夜永又は自分の傀魔態となった時に呼び出せるハサミで、カラダを傷付けるよう男に強要していたのだ。運が良ければ、ワタシを殺して逃げられるかもしれないと、甘い言葉をかけて男の暴力性を煽った。
 首を絞めては犯し、ケツを叩きながら肉欲だけを吐き捨てる肉壁ノ穴オナホールのように犯し、乳首に噛みつき出血させながら犯した。男のあらゆる凌辱も、夜永又にとってはただの快楽でしかなかった。遂に、手段がなくなり膣内射精を六回も強制された男は、息絶えようとしていた。

「もっとぉ、もっとぉ♡ほらほら♡女を嬲りつけて、殺す勢いで犯すのが好きなんでしょう?ワタシの擬似膣乳内性交パイズリセックスで、元気にさせてあげるからぁ♡♡♡」
「がああああぁぁぁぁぁぁ…………っ!!!!」

 仰向けに寝かされている男のアヌスには、女を犯す用に持っていたアナルビーズが奥まで差し込まれている。緊張状態を解くことの出来ない前立腺、それによって破裂しそうなほど膨張しているペニスを、夜永又はその豊満な胸で犯し尽くした。
 男は潮噴きを起こしながら、最後の一滴まで搾り取られる。絶頂で腰を浮かせる度に、夜永又の柔肌を保ったままボンデージスーツの頑強さを持つ、腹部に押し返されアナルビーズが前立腺をノックした。無限射精と言えば、その地獄がどれほどのものか想像がつくであろう。

 ようやく、地獄の時間が終わり傷口が煙を立たせながら修復していく。夜永又はそのカラダで前乃のもとへ近付き、拘束を解いて自由にしてあげる。前乃もクリスタルの光を浴びせられたことで、欲情していたが好きな人が目の前でハードプレイをすることに、夢精する歪んだ性癖を覚醒させられた。
 そのせいか、あれだけ射精したからだろうか。彼は夜永又を抱くことが出来なかった。

「前乃くん。もうあのお店に来ちゃダメよ?まぁ、行ってもワタシはもう居ないけど♡うふふっ♡」
「モ、モトミン……?」
「今日見た事を思い出して、いっぱいヌキヌキしてねぇ♡────はぁぁ♡♡」
「────ウッ!?!?」

 ビュッビュッ、ブピュッ!
 夜永又の甘い吐息、見ず知らずの人のザーメンとたくさん乱れたことで、混ざり合った夜永又の体液が耳に生暖かい空気を与える。それだけで、前乃は普段自分の右手で果てた時以上の精液を、又しても無駄撃ち射精してしまった。
 すると、夜永又はそんな前乃を可哀想と思ったのか、イキっぱなしになった上下に揺れるペニスを掴み、射精の余韻に浸ろうとしているところを扱き上げ、耳に更に吐息をかけて連続射精させる。


━━ブシャッ、ブシャッ、ドピュピュ...ドプゥゥゥゥッッ♡♡


 もう何発目になるかも分からない射精で、頭が真っ白になる前乃は腰から崩れ落ちる。その時、同時に夜永又も絶頂していた。子宮内を満たしていた精液を押し出す潮噴き絶頂で、前乃と自分の足場に小さな水池を作った。

「アァァ、ダメッ!!イグイグイグッッッ、イグイグゥ♡……オ、ヴッ♡♡♡」

 女の恥じらいを見せることのない、はしたなさ全開のアクメ顔を前乃に見せながら、ベッドになだれ込む。とっくに人間離れした射精力を見せた前乃は、ベッドの中でも射精を続けていた。
 喘ぎ声もオホ声も見分けのつかないイキ声を発しながら、カラダを駆け巡っている快感を表現する手コキで前乃を更なる射精絶頂へと道連れにするのであった。

「ハァ……ハァ……、どう?お手てマンコで射精した気持ちは?見て……、こんなに沢山、ワタシの手にこびり付いているわ♡これ───」

 絶対に受精して妊娠しちゃう。夜永又のその一言がトドメとなり、前乃のペニスは再び敗北射精アンコールを発射するのであった。夜永又の膣内に挿入することなく、延々とお互いに連続絶頂を繰り返していくうちに暗闇に視界が消える。
 それまでの間、萎える気持ちは訪れず秘めた想いが壊されるサディスティックな時間は続いた───。


 □■□■□■□■□


 翌日。目を覚ました前乃は、自宅の寝室にいた。昨日の出来事が夢だったのかと思うほど、頭がぼーっとしていた思い出せなかった。
 しかし、枕元に置かれていた一枚の置き手紙が、夢ではなかったことを教えてくれた。内容を確認し終え、置き手紙を持っていた手を降ろすと、前乃のペニスは反り返る勢いで勃起していた。

 前乃の持っていた手紙には、「あの夜のことを思い出してこれからも抜いてほしい♡」と記されていた。以来、前乃は夜永又 素美ことモトミンとの激しいあの日の事をオカズに、脳内再生オナニーすることでしか射精することが出来なくなった。
 人間の倫理観から壊れた乱交を見させられ、密かに思っていた女性は怪物と成り果てていた。それが前乃の目にどう映っていたのかは、誰にも分からないのであった。

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